久しぶりに、まともに3Dプリンターについて……。
今回は、先日導入したDLP方式の3Dプリンター「B9Creator」を使ってみて、その感想や諸々についてちょっと書いてみます。
今回は、先日導入したDLP方式の3Dプリンター「B9Creator」を使ってみて、その感想や諸々についてちょっと書いてみます。
「B9Creator」は、「UV硬化樹脂DLP式3Dプリンター」と呼ばれる3Dプリンターの一種となります。まずは、その概略を説明します。
「UV硬化樹脂DLP式3Dプリンター」は、透明のタンクの中にある、紫外線を当てると固まる液体樹脂が造形の基礎部となります。造形するための透明のタンクは、バット(VAT)と呼ばれることが多いようですので、以下「バット」とします。
そこに造形テーブルを下向けに沈め、テーブル下面とバットの底面の間の樹脂に、下から紫外線や光、レーザーを照射することにより硬化させ、そのテーブルを積層ピッチ分だけ引き上げて、また下から光を当てて硬化させて造形する仕組みになっています。
テーブルとバットの底の隙間の分が硬化するので、その間の隙間が積層ピッチになるわけですね。
このプリンターの利点としては、非常に繊細な造形が可能なことです。硬化させるためのレーザーの精度、照射する画像の解像度が高ければ高い程、精細な造形を行うことが可能となります。
他にも、断面を一気に当てるので、熱溶解式の3Dプリンターのようにヘッドが物理的に動くわけではなく、その積層ピッチ一段にかかるスピードがかなり早くなることになりますね。
したがって、断面の大きさが造形時間に影響することはあまりなく、高さが造形のスピードを左右するカギとなります。
欠点としては、造形時に、造形物が落下しやすいことです。つり下げて造形しているわけなので、他の3Dプリンターには当てはまらない事態ですね。
途中で落下すると、造形するためのバットの底には、透明のシリコンが塗布されており、そこを傷付ける可能性もあり、バットを交換しなければならないこともあります。
これは、他の3Dプリンターにも言えることで、造形途中に造形テーブルから物が剥がれると、絶対にプリント失敗となるわけです。
それから、Form1のように、レーザーで硬化させるタイプでは、レーザーを反射して屈折させる鏡の角度がズレると、変形した造形物ができ上がったりすることがあるようです。プロジェクターを使うこのタイプの3Dプリンターにはないトラブルとなります。
これまで、このプリンターは、かなり高価なプリンターに属していましたが、最近ではある程度安価な、コンシューマー向けのプリンターが登場してきています。
DLP方式の3Dプリンターは、今コンシューマー向きとすれば、
「Form1」
「MiiCraft」
「B9Creator」
などがありますが、どれも同じように見えて、少し方法が違います。
UVレジンを硬化させる方法として、レーザーを使ったり、プロジェクターを使ったりするのが最大の違いですが、造形途中に、固まった造形物をバットから引き剥がし方法も違いがあります。
DLP方式の3Dプリンターは、UV硬化レジンのはいったバットと呼ばれるプール内で造形が行われますが、そのバットの底に敷かれたシリコン層から、造形物を引き剥がし、次の積層を行うわけです。
Form1は、バットを少し斜めに傾けて、シリコン層から引き剥がすようです。MiiCraftは、真下に引っ張って剥がすようです。B9Creatorは、横にスライドさせて剥がしています。
方式としては、私的には斜めにするのが一番良さそうに思いますが、真下に引っ張るMiiCraftは失敗が少ないと聞いています。
B9Creatorのスライドさせる方式は、バットがかなり高速に横に動くので、見ていて少し怖い感じがします。
この方法の弱点というのが、大きなもの、設置面の広いものは、失敗が多いということです。引き剥がす際に、シリコン面からではなく、造形テーブルから剥がれてしまって、造形物が落下する可能性が高いからですね。
細かいもの、小さい物などにはかなり向いた方法ですが、これから大きいものを造形するには、今のプリンターには向いていないと思います。
こういった方法は、どれが正解か? というのは分かりませんが、今後、色々と出て来ると思われるDLP方式の3Dプリンターの主流は、どういった方法でこの「剥がし」を行うかで決まってくるように思います。
それから、この「UV硬化樹脂DLP式3Dプリンター」で使用する樹脂は、インクジェット式UV硬化式のOBJETなどで使用する樹脂の堅さが違います。
これは、先ほども述べているように、バットから引き剥がす際、固いと細い造形物が折れてしまう可能性があるからだと思います。
「UV硬化樹脂DLP式3Dプリンター」で使用する樹脂は、固まった後にもある程度の弾力性があります。「インクジェット式UV硬化式3Dプリンター」の樹脂は、細いところもかなり固めの樹脂になっています。そのことは、僕が使用していたPBJET24の樹脂にて確認できました。
「UV硬化樹脂DLP式3Dプリンター」で使用する樹脂は、柔らかい割には比較的後加工も楽なようです。
通常、比較的柔らかい樹脂は、研磨性が悪く、後加工がしにくいものが多いです。サンドペーパーなどを当てると、ケバ立ちが出たりして、表面加工に非常に手間がかかります。
これは、「熱溶解式の3Dプリンター」でよく使われるPLAにも言えることです。もっと加工してみる必要がありますが、今の所の僕の見解です。
さらに、現在のコンシューマー向けの「UV硬化樹脂DLP式3Dプリンター」は、造形範囲がとても小さいことが上げられますね。
これは、均一に広い面を硬化させるのが難しいことと、バットから引き剥がすのも難しいことが理由なのではないかな? と思っています。
現在のところ、この「UV硬化樹脂DLP式3Dプリンター」の需要用途としては、ジュエリー製作のような精密で比較的小さいものの出力に向いているようです。
そろそろ、この「UV硬化樹脂DLP式3Dプリンター」の特許切れが起こってくると思われます。新しい機種がどんどん出るのが楽しみです!
【織田隆治】FULL DIMENSIONS STUDIO(フル ディメンションズ スタジオ)
< http://www.f-d-studio.jp
>
久しぶりにマトモな記事を書いてみましたよ(笑)。たまにはね〜。
「UV硬化樹脂DLP式3Dプリンター」は、透明のタンクの中にある、紫外線を当てると固まる液体樹脂が造形の基礎部となります。造形するための透明のタンクは、バット(VAT)と呼ばれることが多いようですので、以下「バット」とします。
そこに造形テーブルを下向けに沈め、テーブル下面とバットの底面の間の樹脂に、下から紫外線や光、レーザーを照射することにより硬化させ、そのテーブルを積層ピッチ分だけ引き上げて、また下から光を当てて硬化させて造形する仕組みになっています。
テーブルとバットの底の隙間の分が硬化するので、その間の隙間が積層ピッチになるわけですね。
このプリンターの利点としては、非常に繊細な造形が可能なことです。硬化させるためのレーザーの精度、照射する画像の解像度が高ければ高い程、精細な造形を行うことが可能となります。
他にも、断面を一気に当てるので、熱溶解式の3Dプリンターのようにヘッドが物理的に動くわけではなく、その積層ピッチ一段にかかるスピードがかなり早くなることになりますね。
したがって、断面の大きさが造形時間に影響することはあまりなく、高さが造形のスピードを左右するカギとなります。
欠点としては、造形時に、造形物が落下しやすいことです。つり下げて造形しているわけなので、他の3Dプリンターには当てはまらない事態ですね。
途中で落下すると、造形するためのバットの底には、透明のシリコンが塗布されており、そこを傷付ける可能性もあり、バットを交換しなければならないこともあります。
これは、他の3Dプリンターにも言えることで、造形途中に造形テーブルから物が剥がれると、絶対にプリント失敗となるわけです。
それから、Form1のように、レーザーで硬化させるタイプでは、レーザーを反射して屈折させる鏡の角度がズレると、変形した造形物ができ上がったりすることがあるようです。プロジェクターを使うこのタイプの3Dプリンターにはないトラブルとなります。
これまで、このプリンターは、かなり高価なプリンターに属していましたが、最近ではある程度安価な、コンシューマー向けのプリンターが登場してきています。
DLP方式の3Dプリンターは、今コンシューマー向きとすれば、
「Form1」
「MiiCraft」
「B9Creator」
などがありますが、どれも同じように見えて、少し方法が違います。
UVレジンを硬化させる方法として、レーザーを使ったり、プロジェクターを使ったりするのが最大の違いですが、造形途中に、固まった造形物をバットから引き剥がし方法も違いがあります。
DLP方式の3Dプリンターは、UV硬化レジンのはいったバットと呼ばれるプール内で造形が行われますが、そのバットの底に敷かれたシリコン層から、造形物を引き剥がし、次の積層を行うわけです。
Form1は、バットを少し斜めに傾けて、シリコン層から引き剥がすようです。MiiCraftは、真下に引っ張って剥がすようです。B9Creatorは、横にスライドさせて剥がしています。
方式としては、私的には斜めにするのが一番良さそうに思いますが、真下に引っ張るMiiCraftは失敗が少ないと聞いています。
B9Creatorのスライドさせる方式は、バットがかなり高速に横に動くので、見ていて少し怖い感じがします。
この方法の弱点というのが、大きなもの、設置面の広いものは、失敗が多いということです。引き剥がす際に、シリコン面からではなく、造形テーブルから剥がれてしまって、造形物が落下する可能性が高いからですね。
細かいもの、小さい物などにはかなり向いた方法ですが、これから大きいものを造形するには、今のプリンターには向いていないと思います。
こういった方法は、どれが正解か? というのは分かりませんが、今後、色々と出て来ると思われるDLP方式の3Dプリンターの主流は、どういった方法でこの「剥がし」を行うかで決まってくるように思います。
それから、この「UV硬化樹脂DLP式3Dプリンター」で使用する樹脂は、インクジェット式UV硬化式のOBJETなどで使用する樹脂の堅さが違います。
これは、先ほども述べているように、バットから引き剥がす際、固いと細い造形物が折れてしまう可能性があるからだと思います。
「UV硬化樹脂DLP式3Dプリンター」で使用する樹脂は、固まった後にもある程度の弾力性があります。「インクジェット式UV硬化式3Dプリンター」の樹脂は、細いところもかなり固めの樹脂になっています。そのことは、僕が使用していたPBJET24の樹脂にて確認できました。
「UV硬化樹脂DLP式3Dプリンター」で使用する樹脂は、柔らかい割には比較的後加工も楽なようです。
通常、比較的柔らかい樹脂は、研磨性が悪く、後加工がしにくいものが多いです。サンドペーパーなどを当てると、ケバ立ちが出たりして、表面加工に非常に手間がかかります。
これは、「熱溶解式の3Dプリンター」でよく使われるPLAにも言えることです。もっと加工してみる必要がありますが、今の所の僕の見解です。
さらに、現在のコンシューマー向けの「UV硬化樹脂DLP式3Dプリンター」は、造形範囲がとても小さいことが上げられますね。
これは、均一に広い面を硬化させるのが難しいことと、バットから引き剥がすのも難しいことが理由なのではないかな? と思っています。
現在のところ、この「UV硬化樹脂DLP式3Dプリンター」の需要用途としては、ジュエリー製作のような精密で比較的小さいものの出力に向いているようです。
そろそろ、この「UV硬化樹脂DLP式3Dプリンター」の特許切れが起こってくると思われます。新しい機種がどんどん出るのが楽しみです!
【織田隆治】FULL DIMENSIONS STUDIO(フル ディメンションズ スタジオ)
< http://www.f-d-studio.jp
>
久しぶりにマトモな記事を書いてみましたよ(笑)。たまにはね〜。