3Dプリンター奮闘記[48]トレフェス神戸|光造形タイプ3Dプリンターの動向
── 織田隆治 ──

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急に寒くなってきました。体調を崩さないようにしないといけないですね。

前回、フィギュアイベント今昔について書きましたが、今回はその「トレジャーフェスタ」に行ってきたことについてちょっと書きますね。


西日本では唯一のフィギュアイベントであるトレフェス神戸。今回はキャラクターもの、版権の発生するものは用意出来なかったので、オリジナルものばかりになりました。

実は、お仕事が忙しくて、版権を申請するのを忘れていて、気がついた時には申請時期を過ぎていた、というテイタラクだったのは秘密です…。

まあ、僕がワンフェスに出典する際は、ほとんど版権物はなく、オリジナルで制作したものがほとんどなので、そんなに焦る必要もないんですけどね。

展示したのは、オリジナルデザインのアンドロイドや、変な虫や生き物なんか。地味でカオスな展示になります(笑)。

会場に9時に入り、設営を始めます。設営といっても、そんなに大したものではなく、会場に設置されたいる会議テーブルの上に、ちょっとしたひな壇を作り、その上に完成品サンプルを並べるだけ。

凄い凝った展示をしている所もありますが、ほとんどは簡易的に展示していました。「どう考えても売れないでしょ?」というアンニュイな展示になっていますが、これでい〜〜〜〜〜〜のだ!

神戸は近いので、交通費もかからず、経費がワンフェスに比べて雲泥の差。多少売れなくても、赤字さえ出なければオッケーなイベントなんです。こういうイベントには、参加することが楽しく、他の出典物を見て回るのも楽しみのひとつだったりします。

と、多少負け惜しみ的な感も否めないわけですが、展示が終って回りを見てみると、僕が講師をしている専門学校で、同じフィギュア科の先生が二軒となりに!(笑)

その方は、デジタルモデリングを主に教えておられるんですが、もちろん展示してあるフィギュアも、全部が3Dモデリングしたものを3Dプリンターで出力、原型とし、それを樹脂に置換えたものです。

これがすごく可愛い。塗装もプロのフィニッシャーにお願いしているらしく、すごくきれいな塗装! 僕は自分で塗装…。この差歴然!(笑)

フィニッシャーとは、商品パッケージに掲載されるようなフィギュア等の商品サンプルを作る、専門の方です。その表面処理の技術や、塗装技術といったら、これがまた凄いんですよ。何でも専門分野がありますね。

会場のオープンは11時からなので、展示が早く終ると周りを見て回ります。やはり、最近では3Dプリンターでの原型制作が増え、フルカラー石膏プリンターなどで制作した物を、そのまま商品として展示する所もかなり増えてきました。

今年、石膏ではなく、UV樹脂で出力するマルチカラーの3Dプリンターも発売されています。今後、そういった樹脂で制作された、フルカラーの樹脂のフィギュアも並んで出て来ると思います。

現在の石膏フルカラー3Dプリンターで出力したものは、どうしても石膏なので、落としたら割れるし、細い部分があるものは、取り扱いには充分注意する必要があります。

しかし、UV硬化樹脂ですと、石膏よりは柔軟性、耐久性があるので、こういったものにはうってつけですね。ただ、まだまだ機械も樹脂もびっくりするくらい高額なので、こういったイベントで制作販売するには、もうちょっとこなれたコストになってからになるでしょうけど。

今年から来年にかけて、このような光造形タイプの3Dプリンターの色々な特許が切れてくるようで、海外や国内でも、光造形タイプの3Dプリンターを開発、販売するような話が色々とあります。

これまでは、ストラタシス、3Dシステムズ、FORM1、B9Creatorなどの海外製に頼らざるをえなかったこのジャンルの3Dプリンターにも、やっと日本企業が参入する形になったわけです。

ローランドDG、キヤノン、セイコーエプソン、リコーなども参入予定で、すでにローランドDGからは、ホビーユースにも使えるような光造形の3Dプリンター「ARM-10」も発売されています。

面白いのは、3DSMAXやMayaなど3DCGソフトのAutodeskからも、光造形タイプの3Dプリンターが発表されるなど、この一〜二年の光造形タイプのプリンターの動きからは目が離せませんね!

【___FULL_DIMENSIONS_STUDIO_____ 織田隆治】
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