3Dプリンター奮闘記[60]3Dプリンターの多種多様なフィラメント
── 織田隆治 ──

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最近すごく忙しくて、なかなか時間が取れないんです。何の時間って?

そりゃもう呑みに......ではなく、3Dプリンターをいじり倒して研究するってことです。実際、呑みに行く時間もあまりないんですけどね......。

今、僕の事務所には、熱溶解ニュルニュル方式のプリンターが四台。UV(光硬化)式のプリンターが一台あんですが、ニュルニュル式のプリンター、一台はまだ梱包が解かれないまま置いてあったりします。

最近、色々な方面の3Dプリンターの会合なんかに顔を出しているせいか、色々な素材サンプルをいただくことが多くなってきています。

熱融解ニュルニュル式でも、透明のもの、金属調のもの、いろいろあります。それを、思う存分試してみたいところですが、日常の業務に追われて、なかなか手を付けられない状態にあります。

うう〜! 色々やってみたい!




寝る時間を削ぐとなんとでもなる気もするんですが、さすがにこの状態の忙しさで、睡眠をこれ以上削るのは凡ミスを誘発したりするので、今はグッと我慢。

それでも、少し空いた時間に、少しずつでもやってみることにしています。

前回、3Dプリンターも色々と機種が出そろってきて、よくなってますよ〜ってなことを書いたんですが、ここ一年くらいの間に、多種多様なフィラメントが出て来ています。

PLAをメインに使っているんですが、素材の持つ特性上なのか、いろいろな障害に気がつきます。

まずは、縮みの問題。PLAはABSに比べて、安定して出力できるので、最近では熱溶解式プリンターではメインの素材となっています。

しかし、特に大きいものを出力することが多い僕にとって、はじめはいいんですが、時間が経過するにあたって、かなりの歪みや伸縮が起こることが、かなり気になってきています。

僕の場合、出力したものを原型にして、シリコン型を起こして樹脂に置換えることが多いんですが、ワンオフのものについては、コストや制作期間の問題から、PLAそのものを使うこともあります。

その場合、時間が経過することで、この「歪み」や「伸縮」が顕著に現れて来ます。

湿度や温度など、周りの環境に影響される素材でもあるので、できるだけ外気などに触れないよう、表面に塗装を施してみたりして、そういった現象を抑える方法を取ってはいるんですが、半年から一年くらい時間をおくと、どうしても歪みが出て来てしまいます。

こういった問題も、色々なパーツ分割など、多少工夫すれば少しは抑えることも可能なんですが、それでもやっぱり問題は出て来ます。

先日、フィラメントを制作しているメーカーの担当者さんとお話をしたんですが、出来ればそういった伸縮がおきにくい素材の開発をお願いします! とお伝えさせて頂きました。

そうすると、数日後に、ちゃんとサンプルを送って頂けました!ありがたいですね! これも、ちゃんと試験してみなきゃ!

その他、この熱融解式のプリンターでは、木製ライクのフィラメント(ケミカルウッドのように、粉体にした木を練り込んだもの)や、金属ライクのフィラメント(粉体の金属の粉を練り込んだもの)、電気を通しやすいフィラメント、ガラスライクの物、食器等に使えるものなど、いろいろなものが出て来てます。

光硬化樹脂タイプのプリンターより、その性質上、沢山の種類のフィラメントが開発されています。これは、他の方式のプリンターよりも、そういった面ではとてもエキサイティングな状況にあると思っています。

例えば、通電する素材としない素材を組み合わせて、2ヘッドで出力すれば、立体的な電子基板が出来ますし、今まで平面で回りくどかった基盤も、立体的に通電できることで、コンパクトな基盤ができる可能性もありますよね。

これは、家電のさらなる小型化やコストカットにもつながって行くことになると思います。

ABSライクのPLAなんてものも出て来ていますが、まだ僕は使ったことがないので、今度試してみようと思っています。

あ〜いろんなフィラメントを使ってテストしたい!!!!

ご提供頂いているいろいろなサンプル、頑張ってテストしますので、もうちょっとお待ちください、すみません。って、ここで書いても伝わらない(笑)

で、光硬化式のプリンターですが、そろそろもう1グレード上の機種を狙っています。今使っている機種は、ちょうど一年くらい前に購入したもの。

熱融解式のプリンターとはまた違うノウハウが必要になってきます。

この光硬化式のプリンターですが、基本はオブジェクトをつり下げる方式のものがほとんどなんですが、これがきれいに失敗なくプリントするのはなかなか難しいんですよね。

ちょっと何らかの原因があると、テーブルから剥がれる現象が起きて、出力に失敗すること多数。

設置面とオブジェクトの位置関係や、底面積の工夫など、その機種に合った方法を模索する必要があります。

使用される光硬化樹脂にも特徴があり、色々な機種のプリンターの素材をミックスして、最良の素材を見つけて行く方法もあります。

こういったように、それぞれの種類のプリンターも、色々な種類の素材が出ています。どういう用途で、どういう素材を使えば、うまく効率良く出力できるのか?

バスっと一発で出力出来る素材なんてないのかなぁ、なんていつも思ってます。

この光硬化式のプリンターですが、これがまた熱融解式より困難で、せっかく買ったのに使いこなせないパターンが多いようです。かくいう僕も、いまだに数回に一回はミスをして、出力に失敗しています。

ジュエリー専門でやっている方には必須のプリンターのようですが、僕の仕事の場合、この光硬化式のプリンターの使用頻度は低くて、すごい精度のものを必要としていないんですけどね。

たまに、細かいものを出力しなければ行けないので、一台くらいはあった方が便利なんです。

こういうように、使う目的によって、プリンターを選んで行くことも重要です。どの制作にはどのプリンターが合っているのか? なんてことも知識として持っている方が、無駄な出費と労力と精神力を減らさないで済みますね(笑)

これからも、色々な種類の素材が出て来ると思うですが、とっても楽しみです!あ〜でも、早く色々試したいので、頑張って仕事こなします!


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