ところのほんとのところ[115][ところ]を支えてくれる人たち
── 所 幸則 Tokoro Yukinori ──

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●「アインシュタインロマン 所幸則 Tokoro Yukinori」

森岡書店(茅場町)での個展「僕が愛した渋谷、そして銀座」が13日(土)20時に無事終了しました。わざわざ来てくださった方ありがとうございました。次は、「アインシュタインロマン 所幸則 Tokoro Yukinori」が以下のスケジュールで開催されます。

会期:6月19日(金)〜7月30日(火)11:00〜21:00 日休〜20:00
会場:H.P.FRANCE WINDOW GALLERY MARUNOUCHI
東京都千代田区丸の内2-4-1丸の内ビルディング1F
< http://hpgrpgallery.com/cms/wp-content/files_mf/1432454086TOKORO_ReleaseSS.pdf
>




◎H.P.FRANCE WINDOW GALLERY MARUNOUCHIより、所幸則「アインシュタインロマン」の開催をご案内申し上げます。走行中の新幹線の車窓からシャッターを切り、流れゆく風景をカメラに収める所幸則。切り取られる一瞬の中で、被写体となる物は容易に形を変え、日常では感じ得ない”危うさ”を画面に漂わせます。緊張を孕んだ静謐な世界観を、この機会にぜひご高覧ください。

◎これは僕が少年の頃からのスーパースターである、アインシュタインの特殊相対性理論へのオマージュである。僕が生きている間には、光に近い速度で地上を走りながら写真を撮る事は不可能だろう。せめてもの可愛い挑戦として、時速300km(秒速83m)で走る新幹線から撮る事で、一部の人には伝わるかもしれないというささやかな試みである。(所 幸則)

オープニングレセプション:6月19日(金)19:00〜21:00
大口俊輔(音楽家)と樋笠理子(バレエダンサー)によるイベント

さて、このオープニングでは、7月1日から始まる個展「PARADOX - TIME アインシュタイン・ロマンスをめぐる冒険-」のために作ったタブロイドを配布します。H.P.FRANCEのキュレーター戸塚健太郎くんの寄稿が掲載されているからです。この8ページのタブロイドに参加してくれた、あらゆるジャンンルの55人のほとんどが、[ところ]のアート活動を始めとして、One Secondに対する理解者です。

東京藝術大学の教授から、音楽家、ダンサー、茶の湯のひと、画家、哲学家、カメラ雑誌の編集長、写真が趣味の人、美術評論家、写真家、キュレーターなど多岐にわたり、とても面白いものになっています。

あまりに急に決まったため、どうしても書いて欲しかった人七〜八人に連絡がつくのが遅れたりして、残念ですがまたの機会に。

そんななかで、僕の転機のときのもっとも重要な一人が漏れてしまいました。電話が繋がらなかったのです。忙しいのと、電話にあまり出ないキャラだったからか、理由は定かではありませんが非常に残念でなりません。

●MOGRAの大将

そこで、彼にどれだけ世話になって感謝しているのか、「渋谷1セコンド」の展示を渋谷で実現できた経緯をふくめて書いておきます。

マイタウンである渋谷のランドスケープを撮るには、大きなカメラでなく小さいカメラがいいと思っていたので、描写が抜群のSIGMA DP1を買った。使い方は相変わらずよく分からないけど、何となく使ってた(じつは携帯もカメラも操作は苦手だ)。

そのとき、はっとする写真が撮れた。いや、まだ完成していないのだけど、イメージが頭に流れ込んで来た。それが渋谷1secondの1枚目として、その後仕上がっていくのだ。

これだ! これなら[ところ]を知る人も知らな人でも、はっ! とするよ。うん、これだー。[ところ]スタイルのランドスケープだ! それを現実に一枚に定着するにはどうすればいいのか? Adobe CS3で試行錯誤、数日悩む。ここは友人のAdobeの人に来てもらうことに。ランチでおびき寄せる。

こういうイメージなんだけど、それに向いた技術はCS3にあるかな〜。Kさんは、こうやれば良いんじゃないかなと、テキパキ教えてくれる。

できそうだ! ありがとう! ヒントはいただいた! そこから3〜4日ずっと実験。手応えあり! [ところ]はいつもみんなに助けられて[ところ]でいられるんだなあと実感。

2008年6月15日に1枚の写真が仕上がった。「合成」という言葉はちょっと違うと思う。「凝縮」があってる。「コマーシャル・フォト」10月号の個展紹介の三枚並んだ[ところ]の作品の、真ん中のが最初の完成品です。

こういうのが撮りたかったんだ。[ところ]が元旦から撮ってたスナップは、まさに[ところ]にとって王道のスナップだ。その場の出会いに反応して、自分の目とカメラで素早く切り取り定着される。もちろん、同じ写真は二度と撮れない。

自分の体の中を通って行ったスナップであり風景、[ところ]スタイルが次第にかたまってきた。そしてその写真は今、その時はこのカメラじゃないと撮れなかったと思う。

6月末に4〜5枚の写真が仕上がって、渋谷で有名雑誌のADやってる知人のいる編集部に電話して、面白いことやってるんだけど見に来ない? って言ったらその日の夕方に編集部を抜け出してやってきてくれた。面白いからもっといっぱい見たい、新作できたらいつでも見に来たいと言って帰って行った。

自信が出て来て突っ走る。念のため、もう一人の渋谷の写真の目利きに電話。彼女はハーフでかつてNY'70年代に生息していたアーティストたちとすごく交流があり、アートや写真については正統派の目利きだ。

彼女も「これはまるで、渋谷という街のポートレートね」「渋谷と、ところさんの狂気が見えるわ」といって帰って行った。

次の日、近所にいるから会おう、ついでに昼飯でもっ! と電話をかけて来たのがMOGRAの大将だった。彼、高村くんは、アートコーディネーターをしている友人で、彼にも見せてみた。「これはおもしろいすね……、渋谷で個展やる気ないすか?」

ん? これはベルリンかパリに持ってくつもりなんだけど(これも長くなるから次回!)日本なら確かに渋谷が一番だよね。相談にのってくれるかな、[ところ]は渋谷の展示スペースに疎くて。

渋谷なら思う場所があるので、話をしてみていいすか! とのこと。それならと彼に協力をお願いして、いろいろ案内してもらったりしたけどなかなか決まらず[ところ]はあきらめかけていた。その二週間後に個展が決まった、と高村君から連絡が! 大感謝! しかし、その時点で作品数たった八枚……。

日にちが決まったのが7月31日。会期は9月28日(日)から10月4日(土)だ。7月31日は「アイデア」8月9日売りの校了日、たまたま編集長立ち会いで撮影をしていた。そのとき差し替えで個展のために表3をくれた。感謝です! その時点で作品数はまだ予定の半分かな。

高村君の友情と、彼がいいと思ったものに対して、見返りもなく協力してくれるところに感激しています。個展もおかげさまで大盛況に終わった。大感謝な[ところ]でした。

●写真集制作プロジェクト

最後にいま、新たなそして歴史的な作品集を作ろうと頑張っています。方法はクラウドファンディングで、これを使う意味はこういう本があるということを広めること、出資者を募ることだ。

今回、以前出した「One second vol.1 Shibuya」と同じA4変形横位置で、なおかつ目一杯のサイズで写真を配置して、より大きく作品を見てもらおうと思ってファンディングを募った。

その金額の7割は制作費になるほどの金額だったが、支援者たちはもっと大きいイメージでもあった。そこでB4変形横位置にしようとしている。知らなかったが、このやり方だと機械製本ができないらしい。すべて手製本になるため予算は1.8倍になってしまった。

16日には蒼穹舎の太田さん、デザイナーの原さんとの話し合いで決めるつもりですが、[ところ]は記憶に残るいい本が作りたい。みなさん支援よろしくお願いします。

このプロジェクトは、写真家・所幸則の写真集制作プロジェクトです。
< https://greenfunding.jp/lab/projects/1083
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【ところ・ゆきのり】写真家
CHIAROSCUARO所幸則 < http://tokoroyukinori.seesaa.net/
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所幸則公式サイト  < http://tokoroyukinori.com/
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