3Dプリンター奮闘記[75]バーチャルから模型へと現実に……
── 織田隆治 ──

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ここのところ、猛烈に忙しいです。景気が良くなってる気がしているんですけど、どうなんでしょうね。

ずっと工房事務所に引きこもって、3Dモデリング、研磨、組み込み作業、塗装の日々。

「楽しいけどしんどい。しんどいけど楽しい。」

これって幸せなんなんやなぁ、と思います。

今やってるお仕事のほとんどが3Dプリンターを使った立体造形。もしくは、手作業による造形と小規模量産。

ここ一〜二年で、そういった立体制作物のお仕事がどんどん増えていってます。

これは、3DCGなどのインタラクティブの展示から、実際目の前にある立体物にニーズが移行しているということなのかな〜、なんて勝手に思ってます。




最近では、医療に関するお仕事のご依頼もぼちぼち増えてきていて、なんか、僕の仕事が誰かの役に立っているんだなぁ……と嬉しくもあります。

おかげで、人体の仕組みとかもなんとなく分かってきました。勉強しないと作れないですから。

自分の知らない分野のお仕事って楽しいですね。へ〜! そうなんだ!ってことが多いです。この探究心が学校に行ってた時にあったらなぁ……なんて思います(笑)

模型とは別に、バーチャルの方では、また色々な見せ方が出て来てますね。

やっぱり、SFなんかに良く出て来る、立体的なバーチャルリアリティを裸眼で体験できるようなものが出て来て欲しいよなぁ……なんて妄想してますけど、そういったものも色々と研究されているようですね。

最近では触感まで体験できるような技術も開発されているとか……凄いなぁ。

バーチャルと言えば、懐かしいところでは、QuickTime3D、web3Dから始まった、そういった立体的に見せる技術ってのは、バーコードを読み込んでモニターに立体等を映してみるようなものに変わり、プロジェクションマッピングなんかも色々出て来ました。

そういった技術で作られたコンテンツって、結局どんどん進化していって、少し時代遅れのものは、もう見向きもされないコンテンツになってしまいます。

ところが、この「模型」っていうのは、作る技術は変わって来ているけど、立体物っていうのは、永遠に心揺さぶるものなんじゃないでしょうかね?

ミニチュアとか、プラモデルなんかもそうなんですよね。これって、古代から現在まで全く変わらない。

「模型の魅力」……これに尽きるよなぁ、なんて思います。

いくらCGやバーチャルで立体的に見せたとしても、目の前にある存在感、手で触れる存在感には、まだまだ勝てないんでしょうね。

原点回帰じゃないですけど、作る方法や素材、道具が変わっても、出来上がる立体物ってのは、出来ちゃったらおんなじなんですよね。

そこに、立体物の魅力があるんだと思います。

完成した時、その立体物を愛でながらニヤニヤしているのは言うまでもありません(笑)。これって、趣味でプラモデルやフィギュアを作っている人にも言えますよね。

技術の進化、進歩に伴い、最近では3DCGや3Dデータから、3Dプリンターを使って、実際に手にとれる物にしていくことが出来るようになりました。

ホンマにいい時代になりましたねぇ!

元々手作りで模型製作のお仕事をしていましたが、最近では半分以上が3Dプリンターによって制作する物に変わって来ました。

それでも、まだ手作りでの模型、造形製作が半分近くあります。

そういった技術は、もうかれこれ20年前からお仕事としてやってたんですが、独立して7〜8年は、ほとんど3DCGでした。

僕がそういった手作りでの模型製作ってのを、アピールしていなかったこともありますが、4年前に3Dプリンターを導入してから、段々と立体制作のお仕事が増えて来ています。

これって、立体制作の需要が増えてきたこともあるかもしれませんけど、3Dプリンターが良いPRになったんだな〜と思います。

「あ、この人そう言えば立体制作してたよね?」と思い出していただけたようです。

ところで、立体制作ってのは、とっても楽しい反面、素材や工具、機材の購入など、色々と仕入れが必要です。

3Dプリンターで物を作るにも、当然フィラメントや樹脂を購入しておかないといけない訳です。僕の場合、その後の工程もありますので、ヤスリやパテ、塗料等、様々な材料が必要になります。

3DCGだけをやっていた時は、ソフトウェアをPCを1〜2年に数回買い替えるくらいで、この持ち出しがほとんどなかったんですけど、立体制作をやり出したら、この素材等の購入費がバカにならない(笑)ことに、改めて気がつきます。

大掛かりな模型の制作になると、お仕事がスタートしてから、数か月かけて制作する場合もあり、その間は持ち出しで踏ん張るか、クライアント様にお願いして、素材、材料費を前払いでお願いするかしないといけない訳ですね。

〆とお支払い期間を合わせると、納品してから入金まで数か月かかる事もありますし……。

そういう忍耐力(笑)とか折衝力ってのも必要だよなぁ、なんて思います。


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