3Dプリンター奮闘記[87]コンシューマ向け光造形3Dプリンターの今後
── 織田隆治 ──

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昨日まで少し温かかったのに、急に冷えて来ましたね……。体調崩しやすいので注意です。

と言う僕はここ何年も風邪をひいたことなんてないんですが、多分、事務所に引きこもりで、沢山の人に会うことが少ないからかも。

人に会わない。まあ、これも一種の風邪対策なのかなぁ……。

で。本題。

3Dプリンターですが、最近はFDM(熱融解式)のもので良いのがたくさん出て来ていますね。随分こなれてきて、低価格のプリンターでもかなりの実力を持って来ています。




たくさんのメーカーから出て来るようになり、技術面でもかなりこなれてきて、素材のフィラメントの性質クオリティも随分上がってきました。

やはり、市場に出る量が多くなると、品質も競争原理で良くなりますね。使う側からすると、嬉しいのですが、目移りして困ります。

ちょっと昔では考えられなかった値段のプリンターでも、かなりの高品質です。

今回、手前味噌でのコンテスト「シゴトバLAB 3Dプリントコンテスト」の優秀賞賞品でもある、フラッシュフォージ「Finder(ファインダー)」も、8万円クラスのプリンターですが、かなり高品質のプリントが出来ますね。

「シゴトバLAB 3Dプリントコンテスト」の詳細はこちら
http://shigotoba-base.com/event/288/


他にも、ネットではかなり評判の良さそうな、久宝金属工業さんが開発したQholia(クホリア)。

このプリンターの出力サンプルや、実際に出力する様子なども拝見しましたが、かなり期待出来るプリンターです。

Qholia(クホリア)の詳細はこちら
http://q-ho.com/products/Qholia/Qholia.php


一台予約してありますので、このプリンターの詳細は、届きましたらレビューしてみたいと思います。色々な新しい工夫がされており、なかなか面白そうな機種です。

初回出荷分で予約しましたが、大きな専門工場とは違って、一台一台、自社工場で生産されているようなので、届くのがいつになるかは、今のところちょっと不明なのですが、丁寧な製品作りに期待したいところですね。

年内に届くと嬉しいなぁ……。

さて、ポータブルのFDM方式3Dプリンターは、少しずつ熟成されてきています。

次に来るのは、間違いなく光造形のプリンターになるわけですが、ポータブルというか、コンシューマ向けの光造形プリンターに至っては、今のところまだまだという感じを受けています。

このコンシューマー向け光造形プリンタージャンルでの需要ですが、まず第一に上げられるのがジュエリー分野。そして、歯科関連ですね。

それと、意外と需要が多いのがフィギュア関連になります。

大手メーカーさんは、多分あまり気にしていない部分かとは思いますが、フィギュア関連でちゃんと使える光造形プリンターって、現在はほぼ皆無だと思います。

かろうじて、現在僕が知っているプリンターの中では、From2くらいじゃないかなぁ、と。

B9クリエーターが良さげな気もするかもしれませんが、僕が使っていた初代のB9クリエーターでは、かなり失敗が多く、なかなか思ったような結果を得ることができませんでした。

新しくなったB9クリエーターは、かなり性能も上がっているようではありますが、それでもまだなかなか出力が難しいようです。

From2は、From1が出た当時はかなり騒がれた機体ですが、更にバージョンアップしているようです。出力サンプルをじっくり拝見しましたが、なかなか良い結果が出ているようでした。

しかし、僕が実際に出力したものでもないので、その出力にどれだけの時間と手間がかかったか? ということはわかりません。

光造形のコンシューマ機は、本当これから発展して行くんだろうなぁ、と思って期待しています。

光造形の最大のポイントは、その造形方法から言って「造形テーブル(バットとかプールとか言われます)」の扱いと、樹脂の性能ですね。

積層する時に設置する部分ですが、現在の所は透明のシリコンが使われることが多いですね。

ProJet1200や、マスターEVといったような、設置面にフィルムを使うタイプもありますが、プール内で造形するタイプは、透明シリコンの劣化が早く、頻繁にプール本体の交換をするか、透明シリコンを貼り換える必要があります。

このアクリル製のプールがまたお高いんですよね。透明シリコンの貼り換えも結構時間と手間がかかります。

まだまだ失敗することも多く、光硬化樹脂のお値段も高いことから、まだランニングコストが結構高くつきます。

光を透明な底面等に投影し、そこが固まりますので、その面からひっ剥がす必要があるのですが、どのメーカーも色々試行錯誤しているように見えます。

スライドさせたり、上下に動かしたり、斜めに傾けたりしたり。ここの技術や方法も、もっとこなれて行く必要がありそうですね。

FDM(熱融解)と比べて、圧倒的に造形もきれいですし、この技術が画一化され、素材の値段もこなれてくると、もっと普及するのになぁ、なんて思います。

FDMプリンターでは、テーブルから剥がれにくい方が良いんですが、光造形だと剥がれ易い方が良いんですね。

住友3Mさんとか、こういったFDMプリンターのテーブルに貼るシートを開発されていますが、逆に剥がれ易いシートなんかを開発すると、この光造形のプリンターにはかなり需要があるんじゃないですかね?

前にヨーグルトの上蓋のアルミ部分に、ヨーグルトが付かないとか、マヨネーズがきれいに出るパッケージとかあるじゃないですか?

あれを応用出来ないものかしらん? とか思うんですが、どうでしょう?

って、そんなメーカーの方が僕のこのテキストを読んでくれている可能性はかなり低いんですよね。

今度の大阪3Dプリンタービジネス研究会で言ってみようかしらん。

もし、この記事を読んでいる方で、3Mさんとか旭化成さんとか、フィルム技術に特化されている方がいたら連絡ください〜。(笑)

いろいろアイデアありますから〜 な〜んてね。


【___FULL_DIMENSIONS_STUDIO_____ 織田隆治】
oda@f-d-studio.jp
http://www.f-d-studio.jp