そろそろ決算月も終わりの時期になってきました。僕の仕事もピークです。色々な仕事がこの時期に入って来ます。
数年前までは、ほとんどが3DCGのお仕事だったんですが、ここ3年くらいはほとんど模型や造形のお仕事になってきました。
それも、やはり3Dプリンターのおかげですね。
さて、そういった色々なお仕事ですが、当然発注いただけるクライアントさんがいる訳ですね。
そこで、モノ作りをする現場での、「ありがたいクライアントさん」とはどういう人か? ということを少し書いてみます。
基本的に代理店さんからの仕事が多いのですが、やはり、
「モノ作り」がどういった工程で進められているのか、どういった素材を使い、どういった加工が必要なのか。
という事を理解されているクライアントさんと一緒にお仕事をすると、とてもスムーズに仕事が進みます。
詳細までは知ってもらわなくてもいいのですが、ある程度の知識がある方は、当然どのような工程を経てモノが出来上がって行くのか、という事を考えて、予算やスケジュールを管理していただけます。
これ、現場ではすごく「ありがたい」存在なんですね。
例えば、3Dプリンターで立体を制作する場合、
1)3Dデータが必須で、まずはモデリングする作業がある
3Dデータが支給されるとして、そのデータ形式が色々あり、形式によっては使えなかったり、ある程度の手直しが必要となります。
使用するプリンターによっては、パーツを分割して出力する必要があり、その分解にもある程度の慣れが必要になります。
また、出力するプリンターによって、得手不得手があり、そのプリンターに合った分割にする事が必須となります。
2)3Dプリンターで出力するには、ある程度の時間がかかる
手作りで作る事を考えると、3Dプリンターで出力した方が効率が良い事がほとんどです。
だいたい、出力時間を知らせると、「ええ!そんなに時間かかるの?」と言われる事が多いんですけど、それを一つ一つ手作りしていると、多分その倍くらいの時間がかかり、精度もモノによっては悪くなります。
いまだに、3Dプリンターは一瞬で凄いモデルが出来上がる、というイメージをもたれている人が多いんですよね。
3)3Dプリンターで出力したものは、かならず「積層痕」ができ、そのままでは製品にはならない
これ、なんとなく理解されている方も多いんですが、まだ現状の3Dプリンターでは、そのまま色塗って終わり、という訳にはいかないんですよね。
プロトタイピングで形状だけ分かればいい、という物ならそのままでもいいのですが、やはり見た目をきれいにしたいというご要望が多いので、「研磨作業」というのはまだまだ必須となります。
最近のFDMはかなりきれいになったので、この面ではかなり良い環境になってきました。あと何年かすると、もっと凄いのが出て来るんでしょうね。
4)3Dプリンターは色が付かない
一部の高価なプリンターは、出力する際に着色する事が出来ます。しかし、現状では、石膏プリンターがほとんどで、壊れ易く、色あせ等の問題があります。
最近では、光硬化でのフルカラーに近いプリンターも出て来ましたが、まだまだ凄く高価で、しかも光硬化樹脂の耐久性や堅牢度等を考えると、FDMなどのプリンターで出力し、着色する。という方法がまだまだ続くと思われます。
簡単にあげて行きましたが、3Dプリンター事情や仕様を知っているクライアントさんは、そういう事を考慮してくれる、というわけなんですよね。
そりゃあ、こちらはすごくやり易いし、良い物も出来上がります。
3DCGをメインでやっていた頃でも、「あ、ここね。チャチャっと直してよ〜」などと、よく言われてきました。
3DCGの仕組み、絵が出来上がって行くまでの工程が理解出来ていれば、そういった発言は出来なくなります。
これ、3DCGや造形だけではなく、すべての製造工程で言える事なんですよね。
仕事を繋ぐ人には、是非、一度現場に行って、作業をじっくり観察する機会を作ってほしいと思います。
僕も、自分の範囲以外の事柄で、色々な方にお仕事を依頼する事があります。その際は、その工程等を質問して、どれくらいの時間と手間がかかるかを理解するようにしています。
そうすれば仕事がスムーズに進み、無理のないスケジュールを組む事が出来ますので、当然良いものが出来上がります。
そりゃあ、たまには無理をお願いする事もありますが、最低限の時間は取るようにしています。
クライアントさんには、ぜひうちの工房に来ていただきたいと思っています。どういった感じで制作しているのかを理解してもらうためです。
そのちょっとした事で、クライアントさんにある程度の仕事内容を理解して頂けて、良い関係を作る事が出来ます。
僕は、無理を平気で言うクライアントさんのお仕事は、お断りする事にしています。生意気な事を言うようですが、やっぱり「良い物」を作って、完成時にみんなに喜んでもらいたいじゃないですか。
「下請け」ではなく「協力業者」、ですね。それに尽きます。
せっかくモノ作りするんだったら、大変でも楽しくやりたいじゃないですか。そういった「モノ作り」の楽しさを共有して、もっと良い「モノ」を作りたいですね。
制作現場の方は、ぜひクライアントさんを一日呼んでみてください。
発注する人は、ぜひぜひ、一度制作現場を訪れて、一日でいいから制作行程を観察してみてください。
制作現場の人とも仲良くなれるかもしれないし、そうする事で仕事もスムーズに進みますよ。
【___FULL_DIMENSIONS_STUDIO_____ 織田隆治】
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