武&山根の展覧会レビュー 特別編  アーティストステイトメントを考え抜く/武 盾一郎&山根康弘

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武:こんにちは。昨夜は呑みすぎたww

山:こんにちは! いや〜、呑みました。

武:何時頃まで呑んでたんだ?

山:覚えてない。。。で、年末のチャットはどうするか。

武:まあ、ありきたりの「今年一年を振り返って」だね。

山:去年はやらなかったんやな。2011年の平行世界みたいなん作るか。
< http://bn.dgcr.com/archives/20111207140200.html >

武:今年はそこまで作り込まなくても良いよ。テキトーにサクサク終わらせましょうw

山:やる気なさそうやな〜。

武:凝ったものが出来そうな気がしないだけです。

山:なんでやねんw じゃあとりあえず、今年を振り返って見て下さい。

武:そうですね。いやあ、忙しい一年だったよ。。まあなんと言っても家をリフォームしたことかな。で、ようやくギャラリーの床も白く塗った。
< http://d.hatena.ne.jp/Take_J/20131209/1386575848 >

山:全部終了したんかいな。

武:厳密にはまだです。階段と二階はこれから、、ってリフォームの話は先月のチャットでも言ってるんじゃん! 他に今年を振り返るとなると……そうか、ようやく展覧会でポツポツと絵が売れたり、「なんとなく絵を売ることがフツーな感じ」になってきたのかな。
トンド展 < http://d.hatena.ne.jp/Take_J/20130807/1375861819 > とか、
ゼロネロ < http://d.hatena.ne.jp/Take_J/20131013/1381639867 > とかで。

地元のカフェ「森の音」での展示もポストカードが売れまして2500円くらいの収入になりましたw
< http://d.hatena.ne.jp/Take_J/20131208/1386579741 >

山:「なんとなく絵を売ることがフツーな感じ」になってきたんやったら、今度は「きっちり売ることがフツー」にしていけばいいってことやね。

武:おお! そうだね! しっかし、ここまでも長い道のりだったよ。「売る」という意味も感覚も分からなかったからなー。

山:もう思い切って会社にすればいいんちゃう?

武:そこまでまだ儲けが出てないw

山:じゃあまず経営理念でも作ればいいやん。

武:経営理念かあ!


●武盾一郎のアーティストステイトメントを添削する

山:絵描きやとアーティストステートメントってことやな。作品の解説文。きっちり作ったことは? アーティストステートメント。

武:前に一回書いた。これ

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僕は線画(ドローイング)を描いています。音楽を内包している「楽譜のような絵」でありたいことから「線譜」と名付けています。「線譜」は直感的な楽譜です。

不協和音が調和する旋律。ミニマムでクラシカル。アンビエントでノイズ。自然発生のような。微生物が増殖していくような。結晶が法則的に形成されてくような。

すぐそばにある「平行世界」。今の宇宙に少しだけ姿を現してる「未出現の宇宙」。風や水や空気、音や時間、目に見えないもの、触れないものに宿る「霊」。「物語り」を感じさせる絵でありたい。「言葉」が産まれる前の状態の絵でありたい。

上下左右の無い世界。始まりも終わりも無い世界。線を紡ぎ刻み重ねて象(かたち)にして行く「線譜」。楽譜はそれを見ただけでは音楽は聴こえません、観る人の心の中で音楽を奏でて貰えたら嬉しいなあと思っています。

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添削してください! あ、でもギャラが出せないか。線譜一点あげる。

<ポイント1◎言い切る>

山:こんなの作ってたんや。そうやな、、わかるようなわからんようなw まあ、言い切ってしまった方がいいんかもね。「そうありたい」ではなく、「そうである」と。

武:なるほど! 自分の絵を買って貰うためにステイトメント書くんだから、言い切らないとだよね。

山:そうやな。希望ばっかり言われてもな。

武:俺が他人のを読んだら同じこと言うんだろうなw

山:ありえる。では書き直していこう。『音楽を内包している「楽譜のような絵」でありたいことから「線譜」と名付けています。』ここの「ありたい」をなくそう。

武:『私は「線譜」を描いています。「線譜」とは直感的な楽譜です。音楽を内包している「楽譜のような絵」です。』どうだろう?

山:『楽譜のような』ってのも、もう『楽譜』でいいんちゃう? 『楽譜です』って言ってるし。

武:『音楽を内包している「楽譜」です。』

山:『楽譜です』が被るね。

武:あ、『音楽を内包している絵です。』

山:ふむ。

武:『私は「線譜」を描いています。「線譜」とは直感的な楽譜です。音楽を内包している絵です。』

山:『「線譜」とは直感的な楽譜であり、音楽を内包している絵画です。』

武:おお。

山:できたやん。

武:素晴らしい!

<ポイント2◎短くする>

山:じゃあ次。『不協和音が調和する旋律。ミニマムでクラシカル。アンビエントでノイズ。』よくわからんw

武:リリカルでしょ? けど、要らないってことか。。。

山:かもなw 『不協和音〜始まりも終わりもない世界』、までをまとめよう。『「物語り」を感じさせる絵でありたい。「言葉」が産まれる前の状態の絵でありたい。』これは要らないかな。

武:ふむ。

<ポイント3◎問い直す>

山:『自然発生的に微生物が増殖し、結晶が法則的に形成される』ことが、なぜ美しいのか? なぜそこに美しさを感じるのかを、考えてみたらどうやろ。

武:数学が隠されているから。法則性と調和があるから。あと、人為的、作為を、極力消したい。

山:なるほど、じゃあそのことを伝えた方がいいんかもね。

武:無意識に描く、オートマティックに描く。という画法を説明したいんかも。

山:無意識を使ってオートマティックに描く事が、なぜ法則性と調和に繋がるか、やね。

武:無意識は自然や宇宙と繋がっている。意識は人為や作為と繋がってる。この「無意識が宇宙と繋がってる」という仮説に基づいて自動筆記法で無意識的に描いてるんだよな。間違ってるかも知れないんだけどさw

山:まあね。でも要は、「線譜」とは一本の線から始まり重なっていき、最終的に調和で終わる物語、ってことだ。

武:はい。例えば、カビが増殖して飽和すると増えなくなる、ってのが「調和」ってことだろう、と。

山:あ、最後の方に書いてるな。『線を紡ぎ刻み重ねて象(かたち)にしていく』って。これが「線譜」の説明としてはシンプルかな。

武:てことはそこだけでいいのかな。。?

山:絵の説明、描き方の説明としてはそれでいいんやろうけど、なぜそれをするに至ったか、という過程の表明はあってもいいかも。

武:過程の表明って?

山:いや、つまり何をもとにしてるか、とか。

武:何をもとにしてるのか? うーん。。。

山:だからそれが、自然のフラクタルだったりするわけでしょ。

武:はい。あ、なるほど。そうですw で、具体的には、上尾の近所の風景にそのフラクタルや自然の法則や渦のような流れやらを見いだしてるんですよね。

山:じゃあそれを書いたほうがいいんちゃう?

武:上尾の世界だ、と。

山:まあ、上尾を強調しなくてもいいかとは思うけどw

武:近所の風景で観るフラクタルや小宇宙をサンプリングして無意識でミックスして線で奏でてる、ってことなんですよね。

サンプリングするものが「フラクタル」であったり「平行世界」であったり「未出現の宇宙」だったり「霊」だったり。それらを無意識でミックスすると、「アンビエント」で「クラシカル」で「ミニマム」で「ノイズ」な音楽になる、と。そしてそれを自動筆記法で描くと「不協和音が調和する旋律」になる、と。

山:じゃあそれを端的に書いてみようw

武:こんなんだとどうかな? 『近所を歩いていてふと目にする風景や植物や空などから小さな宇宙の片鱗を集めて、無意識の中に溶かし、一本の線を紡ぎ出します。』

山:いいやん。

武:『それらの線を時と共に刻み重ねて象(かたち)にして行く、「線譜」です。観る人の心の中で音楽が奏でられて完成となります。』

山:もうちょっと、一本の線から増殖していく過程を書けないかな? 線が増殖、変化していくことを。

武:『それらの線は感覚に任せた自動筆記法で自然発生的に増殖し、植物が成長していくように、常に天候が変化していくように、描かれて行きます。』

山:『感覚に任せた』ってよくわからんな。

武:要らないってことか。

山:かもなw

武:『それらの線は自動筆記法で自然発生的に増殖し、植物が成長していくように、常に天候が変化していくように、描かれて行きます。』

山:すっきりした。

武:『常に』も要らないかw

山:そうね。

武:あともうひとつ言いたいのが、そこに「時間」が封入されて行くってことなんですよ。

山:なるほど。

武:そう書けば良いのかw

山:えーと、時間を感じさせる自然現象、でもなんでもいいけど、なんかいい説明はないかな?

武:楽譜って結局、時間を指示してる訳ですよね。で、僕の絵も「時」が封じ込められた状態だってことなんです。時間って言っても制作にかかった時間というよりも「悠久の時」みたいな観念的なものなんだけどね。

けど、その悠久の時を醸し出すためには制作時間を長くかけて描きたいんです。時間が圧縮されてる、または封入されている、または折り畳まれている、という感覚なんです。時間が圧縮されて平面にひっついてる、っていうか。。絵を観るとその圧縮された時間が解放されて音楽を奏でる、というイメージ。で、まあ、それをうまく端的に言葉にしろって話しだわなw

山:そうやなw

武:そして額装されてタブローとして絵は完成してても、足りないんです。観る人が時を解放させて音楽が奏でられたら完成で、僕の作品はずっと未完のまま誰かを待っているんです。この、「足りてない」っていうのも俺の中では大切な要素なんです。

山:それは最後に語られてるね。

武:それらを要約すれば良いんだな。

山:つまり、楽譜がただの音符の配置ではなくて、音楽という時間が封入されている。線譜もそうだ、と。

武:そうそう。「時」とは「音楽」のことなんです。

山:ちょっとまとめてみよか。

武:まとめてみました。

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『武盾一郎は「線譜」を描いています。
「線譜」とは直感的な楽譜であり、音楽を内包している絵画です。

近所を歩いていてふと目にする風景や植物や空などから小さな宇宙の片鱗を集めて、無意識の中に溶かし、一本の線を紡ぎ出します。

それらの線は自動筆記法で自然発生的に増殖し、植物が成長していくように、天候が変化していくように、描かれて行きます。

そこには描かれているのは封印された時間です。時とはまさに音楽のことです。そして、観る人によって時が開封され、心の中で音楽が奏でられて初めて「完成」となります。

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山:ふむふむ。端的では、ある。

武:ステイトメントとしてはどうなんだろ?

山:どうなんやろね。
< http://d.hatena.ne.jp/arthonyaku/20110603/1307139627 >

1.作品の目的、制作の動機、制作やアイデアの発展の過程。
2.作品の基盤となる考え、コンセプト、その他の作品影響をあたえたもの。歴史的、批評的、理論的な作品の位置づけと作品の枠組みの説明。
3.作品の制作過程やマテリアルの説明(作品の理解に必要と思われる場合のみ)

う〜ん、ステイトメント完成への道のりは長い。来年の目標ってことでw

武:来年はきっちり売ることがフツーになります!


【武 盾一郎(たけ じゅんいちろう)/納税芸術家】
ゼロネロ@中津でオンライン投票できます!
ぜひ武盾一郎にご投票ください!!
< http://zeronello.jimdo.com/%E3%82%AA%E3%83%B3%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3%E6%8A%95%E7%A5%A8%E6%96%B9%E6%B3%95/ >

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