ネタを訪ねて三万歩[18] 狂ってしまう予定に流されるのも楽しい
── 海津ヨシノリ ──

投稿:  著者:


●リズムが狂う夏休みは嫌い

夏休みに入り、昨年同様にリズムが狂い、なんとなく間の抜けた状態となっている私です。もっとも、これは小学生の頃から変わらないリズムの狂いというやつですから、今更どうのこうのということではないのですけど、やはりひとことだけ言ってみたくなっちゃいます。

これは多分、私が一定のリズムで規則正しく動けなくなってしまうことに抵抗があるからかもしれません。もちろん、ガチガチに規則正しい生活なんてできるはずもなく、そんなことは希望もしていませんが、行き当たりばったりな生き方はできそうもないので、リズムを求めてしまうといった程度の話です。

どのみち、フリーのデザイナーに規則正しい生活なんて無理難題の世界ですからね。それを承知で、できる限り規則正しい生活を心がけようとする天の邪鬼、といったところかもしれません。とにかく、予定はゴロゴロと音を立てて変わってしまいますから。


●ダブルブッキング

たとえば、今年も多摩美校友会を楽しみにしていたのですが、当日が私の講義の試験日で、しかもパーティーの開催時間がまさに試験の立ち会い時間と重なるという事実に気が付いたのは既に後の祭り状態。それでも、昨年までのように上野毛での開催であれば一時間遅れで参加も可能でしたが、今年は上野毛ではなくて八王子での開催なので、物理的に不可能(「どこでもドア」でもあれば話は別)というわけです。

このため、諸先輩方との再会の約束が果たせなくなってしまいました。かなり楽しみにしていたのでガッカリですが、その分を来年に期待することにします。もっとも、どこも似たような状況でしょうけど、同窓会って卒業生の0.1%も参加していないのが実態なのですよね。高校までならほとんど地元の友人ばかりですが、それ以上の学校では色々な地域から集まってきた人と友人になれるわけです。そして同窓会に出席すれば、世代の違う同窓生と出会うチャンスが生まれるのにもったいない話です。出会いが様々なチャンスやキッカケを与えてくれるはずなのに。

●いつでも会えるはいつになっても会えない

でも、現実は真逆の方向をむいています。忙しさにかまけ、いつでも会えると思いこんでいるから、なおざりになってしまいます。いつでも会えるは、いつになっても会えないと同義語みたいなものだと思っています。

東京に住んでいるのに何年も、何十年も会わずじまいの友人は案外多いものです。こちらは自由の身(会社員ではないという意味)なので、時間が空いたら連絡ちょうだいと言っているうちに彼は病で帰らぬ人に。会えなかったことも、それはそれで運命だったのかもしれませんが、それってなんとなく寂しい人生ですね。結局、最後は人と人の関係なのですから。

まっ、無理して会いたいと思わない方もいますが、上手にスルーするのが大人のマナーといったところですね。そして、その分のエネルギーは大切な出会いや勉強の方に使った方が賢明ですからね。

●楽しみにしていたオープンキャンパス

そんなわけで、7月21日、22日の両日は八王子校舎でオープンキャンバスが行なわれるので、ちょっと覗きに行ってみようかと計画していました。ちなみに、上野毛校舎は7月17日〜19日の3日間でしたが、時間が調整できませんでした。で、八王子の22日は上野毛で試験の立ち会いになってしまうのでダメでしたが、21日は何の予定もなかった(結果的には午前中に打ち合わせが入っただけ)ので、朝からおもいっきり授業を見学&体験しようと、7月に入ってから予定を入れておいたのですが、諸般の事情でカフェラテを大量に作らなくてはならなくなってしまったために断念してしまいました。しかも、飲むためではないというかなり複雑な事情なのですが、色々あって守秘義務範囲なので説明は省きます。

そんなわけで、予定が狂った理由が少し情けなかったかもしれませんが、あんがい世の中そんなことの繰り返しです。考えてみれば、今年は色々と土壇場で予定が狂うことの多い年です。もちろん、私の場合だけですけど。それすらもすべてプラス思考にしてしまえば、楽しいイベントのようなものかもしれません。とにかく、色々な刺激が楽しくて仕方がありません。ですから、さらなる刺激を求めて積極的に色々な集まりに顔を出すようにしています。

●デジコン・サロン

例えば、デジコン・サロンという月に一度の親睦会的な有料(諸経費負担程度)の勉強会に参加しています。これはゲストのスピーチとQ&Aという典型的な勉強会ではなく、デジタル・テクノロジーに関したタイムリーなテーマについて様々な分野からゲストスピーカーを招き、参加者全員で情報、知識、意見を交換し合いながら互いに切磋琢磨できる肩の凝らないサロンで、1996年から開催されており、既に100回を超えています。

また、組織にありがちなドロドロベタベタもなく、関係各位のボランティアだけで成り立っているのもリラックスできる要因のひとつ。私はお誘いを受けてまだ一年ほどの参加歴しかありませんが、参加者の多くは旧知の友人ばかりなので、1996年から参加しているような雰囲気で、毎月外せない行事となってしまいました。様々な立場の方がフランクに参加されているので、かなり楽しめる(勉強にも当然なります)内容になっているからです。

●J-Mac

また、J-Macというマンガ家、イラストレーター、デザイナーを中心としたクリエイター集団にも参加しており(実は全容を私はいまだによく分っていません)、その勉強会が毎月一回アップルのセミナールームで開催されています。

私も8年ほど前から参加し、時々PhotoshopやIllustratorについてのミニセミナーを行なっていますが、5月ぐらいからは『イラレ塾』という初心者向けのIllustrator勉強会を定期開催しています。ここは会員向けの場なので一般非公開ですが、参加されている方の多くが顔見知りなので、まるで公開の場のような錯覚すら受けます。

とにかく、他のクリエイターのオペレーションを実際に見ることは大切な勉強です。実技を伴う勉強は、参考書をいくら読んでもダメですからね。ですからJ-Macの勉強会は親睦的な意味合いもあるのですが、私にとっては他の方のオペレーションを楽しめる大切な勉強の場でもあります。

●画像処理テクニック講座

勉強といえば、アップルストア銀座で始めた『画像処理テクニック講座』の第2回目は夏休みを外して9月11日(月)19時〜20時に決定しました。私はこの講座で、自分なりに随分曖昧な形でしか整理できていなかったコンピュータ画像処理(持)論のようなものを整理(勉強)できればと考えています。

Photoshopでの画像処理は、私にとってライフワークのひとつだからです。もちろん、そこに行き着くまでには他の様々な画像処理ソフトや、撮影も含めた多種多様な状況について更にしっかりと学ばなくてはなりません。特に、ソフトウェア以外の勉強なり体験が重要だと感じています。24時間全てが学習の場であり、刺激を受ける瞬間だと心していないと、駄目なのかもしれないですね。

もちろんIllustratorとの相乗効果も奥が深いので、ますます深みにはまるといったところかもしれません。できる限り、とにかくコンピュータの前に座っていたくないのが本音なのですが、そうもいかないのが現実世界。にもかかわらず、私は四六時中コンピュータの前に座っていると思われている現実の不可思議さ……。

●自分から積極的に動くことに努めたい

とにかく、一日24時間という流れはどんな立場の人にも公平に訪れます。おのずと出会う人の数や刺激を受ける場も、偶然や必然により狭められてしまいます。だからこそ、出会う場を選び、刺激を受ける場所を探さなくてはならないのではないでしょうか。待っても来ない人を待ち続けるのではなく、待っても来ない人は忘れ、自分から積極的に動くことに努めなくてはなりません。まっ、誰しも思っていても実際に行動できたことの方が少ないかもしれません。土壇場のどんでん返しが多いからです。違いますか?

【海津ヨシノリ】グラフィックデザイナー/イラストレーター
数年前から、雨の日に転倒した老人を抱き起こすことが多くなってきました。偶然なのか? あるいは宿命なのかはわかりませんが、かなりの頻度で転倒した老人に出会います。もちろん、速攻で抱き起こしてしかるべき処置をとるのですが、先日は、一度抱き起こした老人が踏切で再転倒して出血するほどの怪我をしてしまいました。私は先を急いでいたのでドライバー(家族)にあとの対処を任せて電車に乗ったのですが、近くに居合わせた学生さんがいち早く救急車を手配してくれたので素早く対処できたそうです。しかし、その一週間後に同じ踏切で人身事故があった事を知ったときは、かなりショックを受けました。それは、あの時の老人を思い出したからです。願わくば、あの時の老人でないことを祈ることしか私にはできませんでした。近い将来、私があの老人と同じぐらいの年になったときに転倒しても、きっと誰も助けてくれないでしょうね。頑張って足腰を今から鍛えておくしかありません。

yoshinori@kaizu.com
< http://www.kaizu.com
>
< http://graphic.pastel.co.jp/kaizu/
>
< http://fmaug.nifty.com/efgra/
>
< http://web.mac.com/kaizu/
>

photo
海津ヨシノリのイメージング&デザインスーパーテクニック
海津 ヨシノリ
ソーテック社 2005-07
おすすめ平均 star
star結構役に立ちます。

by G-Tools , 2006/07/26