ネタを訪ねて三万歩[19] 忘れてはならない"give and take"の精神
── 海津ヨシノリ ──

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Apple Mac Pro (DualCoreWoodcrest Xeon-2.66GHz×2 メモリ1GB HDD250GB GeForce7300GT 256MB) MA356J/Aついに、すべてのMacintoshがIntel Core Duoマシンになりました。個人的にはMacBook Proに触手を伸ばしてしまいましたが、これで一気にクリエイターの制作環境が変わっていくことでしょう。こうなったら、一刻も早くIntel Core Duoに対応したAdobe Creative Suiteを使いたいものです。そして、純正マシンの存在しなかったWindows環境でも、もしかしたらIntel Core Duo Macが純正マシンとなるのではないかと感じています。あながち冗談ともいえない展開だと思いませんか?

そういえば、9月11日(月)の19時から銀座のアップルストアで行なう私のセミナー(海津ヨシノリの画像処理テクニック第2回『絶対に外せないデジタルメイクアップ技法』)用のマシンはMacProなのか、G5なのかについてまだ確認していませんが、それは当日のお楽しみというわけです。

●予習と復習の大切さ

さて、この号が配信される頃(執筆中はかなり前ということを把握して読むと面白いかも)には、授業の予習状態に突入というわけです。あともう少しで新学期ですからね。しかし、そんなことを言うと「毎年同じ内容を教えるのに予習ですか?」と、突っ込まれそうですが、同じだからこそ少しずつ進化しなければ継続している意味はないと感じています。


というわけで、予習は復習とともにかかせません。復習は次年度への布石となります。不足している、あるいは必要だと感じる素材や資料を今から整理整頓しておくことは大切です。そもそも、伝統芸術を教えているわけではない(さりとて、ソフトの使い方ではないことだけは付け加えておきます)ので、状況は刻一刻と変化しています。ですから、旧態依然としているわけにはいかないのです。

例えば、仕事においても自分の常用ツール以外に見向きもしないというのは少し乱暴だと感じています。大切なのは興味を示すことです。現状維持で無頓着になってしまったら、後は退化に直行というわけです。交友関係で説明すれば、いつもの仲間は大切ですが、異業種で年齢差の大きい交友関係の構築が大切だということです。そんな交友関係から思わぬ刺激を受けて、眠っていた部分のスイッチが入ることも少なくありません。だから、色々な職業の方とお話をするのが私は好きです。

そんな交友関係から、「こんな授業があれば面白いのに」といったアイデアが色々と湧いてきます。もっとも、沢山湧いてくるからといって、私が好き勝手にカリキュラムを追加変更したりできるわけではありません。自分の授業の中で、脱線しない程度に取り入れるようにしていますが、案外それが大切なのかもしれません。とにかく、常にアイデアと可能性を考えていることは大切です。それがすぐに形にならなくても、いや、もしかしたら永遠に形にならなくても必要なことだと強く感じています。

●非デジタル系の展示会からの誘惑

そんな訓練の一環として、昔から非デジタル系の展示会へ、かなり積極的に出かけるようにしていました。それも、主に陶芸などの工芸作品の展示会を中心として。こんなことを書くと、中高年にダントツで人気のある趣味(ちなみに、陶芸は二番で、一番は蕎麦打ちなのだとか)とオーバーラップされてしまいそうですね。

しかし、家族の中に陶芸家がいるので、私はいまのところ見るだけです。ただし、骨董系にはそれほど興味はありません。基本的には現代陶芸かな。そんな感じで鑑賞しまくっていましたが、昨年あたりからそれに拍車が掛かるようになり、絵画展や建築など、ほとんど節操なく覗くようになりました。

デジタルを極めようと思ったら、非デジタルを熟知することが先決(私論)、といったところです。知らないことが山のように私に襲いかかってきます。その強烈な威圧感が、私の意識を高めてくれます。もちろん、四六時中出かけているわけではありませんが、可能な限り交友関係を活用しては情報を集めています。

例えば、銀座界隈なら予定が狂って急に時間が空いてしまったとしても、フラフラしているだけで沢山のギャラリーが目に飛び込んできます。ですから、ほとんどが飛び込みかといったところです。そして、基本的には記帳することにしていますので、毎年案内が届き、あとはそれを頼りに毎回出かけるという繰り返しです。

でも、半分以上は『梅津さん』宛なんです。楷書で作成したスタンプでも押さないと、正しい案内は届かないのかもしれないですね。郵便配達の方も心得ているのか、しっかり届くので問題ないので、本人は気にしていません。

そういえば、先日近くを散歩していたら、いきなり宅配便の車が目の前に止まり、「海津さん、ここで荷物を手渡ししてもいいですか?」と声をかけられたときは焦りました。よく見れば、配送の方は見覚えがあるのですけど、これって反則モードに近いですね。もちろん、私はそこで荷物を受け取って家に戻りました。帰り道でしたし、何をおいても最後は人と人ですから。

●信頼関係と大きなお世話

ネットの中も同じですね。信頼関係が崩れてしまったらすべてがアウトです。実は数名の友人と、何年もチェーンメールもどきでヨタ話を続けています。これがとても楽しく、ついつい本音でやりとりしてしまうわけです。数名でMLという方法もありますが、必ずROMとなってしまう方が出て、バランスが直ぐに崩れ、本来の意味がなくなってしまう事が多く、いい流れでの継続は難しいようです。それに、脱線しすぎてしまう問題も孕んでいます。しかも、それに気がつかずにエスカレートしてしまい、知らず知らずのうちに排他的になってしまう奈落化の法則。だから、個人との間でのやりとりが一番いいのかもしれません。

そして私は、個別メールから様々なアイデアと情報をいただきます。もちろん、私もさまざまなネタを発信しているので、"give and take"というわけです。世の中には、都合の良いときにしか声をかけてこない打算的な人が恐ろしく多いので、この関係はとても気持ちが良く、癒される世界といったところです。さしずめ「デジタルお茶のみ友達」といったところですね。

そんな流れの延長で、ふと最近ご無沙汰でメール交換も滞っている友人のことを思い出します。「あの人はこの集まりに誘った方が絶対にイイ」と。完全に直感的なものです。もちろん、速攻で声をかけるのですが、スケジュールの関係で無理という場合がかなりあります。そして、それが何度も続いてしまうと、いつの間にか誘うという行為を私自身が躊躇するようになってしまいます。

そして、最後は声をかけなくなってしまいます。タイミングの悪い関係ということなのかもしれません。いや、私の行為そのものが大きなお世話なのでしょう。しかし、そうではなくて引っ込み思案だから参加できないという方が時々います。こうなってしまうと、無理に誘うのは本当に失礼なことかもしれません。よかれと思っていても、相手にとって無礼となってしまうことは、やはり避けるべきですからね。こうして、少しずつこちらから声をかけるというアクションが鈍ってしまうようになってしまいました。これは色々な意味で、かなりつまらない結末かもしれません。でも、所詮は片方向からの情報では長続きしません。やっぱり"give and take"は大切ですね。

【海津ヨシノリ】グラフィックデザイナー/イラストレーター
8月に入ってから暇になってしまったので、狂ったように大掃除に突入しました。もう永遠に終わらないくらいゴミが出てきます。もちろん、塵や埃ではなくて不燃ゴミとリサイクルゴミの山です。不燃ゴミは古すぎて使わなくなったケーブル類や4GB程度の古いSCSIのハードディスクの山や、古いカセットテープにビデオテープ(録音録画の繰り返しで老朽化と判断したもの)、それに今となってはどうでもよくなってしまったFDやCD-ROMとそのケース。とにかくウンザリするほど出てきました。

逆にいうと、そんなものを後生大事に持っていたわけです。これは完全に私の貧乏性が裏目に出てしまった結果。とにかく、自分にとって大切なものは他人にとっては単なるゴミですからね。ある程度思い切らないと本当にゴミ屋敷になってしまいます。誰かが「半年使わないものは永遠に使わないから捨ててしまう」と話していましたが、あんがい正論かもしれないですね。使うこともなく箱に詰まったままにしている、10台近い古いマシンの処分を本気で考え始めました。

続けてリサイクルゴミはダンボール箱や雑誌、古いマニュアル、使わなくなった資料、意味のなくなったカタログ類。私は普段から紙類は専用のA4サイズの箱に収め、一定の枚数(300枚程度)が溜まったらヒモで括ってゴミ出しをしていました。とにかくリサイクルゴミは部屋の1/3を掃除しただけですべてを重ねると2mを突破する勢い。しかし、肝心の紙系のリサイクル用ゴミ出しの日が大雨となり、ゴミ出しそのものが中止となってしまいました。次回は2週間後です。ということで玄関はつい先日まで完璧にゴミ屋敷状態。ところで私は中綴の雑誌や資料、カタログのホチキスの針はすべて外してからリサイクルゴミ出ししています。その必要はないそうですが、私のこだわりです。

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