書類の用意を急ピッチで進めていた司法書士の先生が提案した、一番乗りを狙うための秘策。
それは「オンライン申請」でした。
オンライン申請はその名の通り、行政機関の窓口に出向くことなく、インターネットによる申請・届出や公文書(許可書等)の取得が可能なシステムなのです。
それは「オンライン申請」でした。
オンライン申請はその名の通り、行政機関の窓口に出向くことなく、インターネットによる申請・届出や公文書(許可書等)の取得が可能なシステムなのです。
そんなシステムがあることすら知らなかったですし、事前の登録が必要であったり、やはり登記に必要な書類に関する専門的な知識が必要でしたので、どちらにしてもお任せには変わりないのですが、オンライン申請を使うと一番乗りの確率がぐんと上がるということでした。
どういうことかといいますと……
法務局は17時で業務を終了し、窓口だけでなくオンライン申請の受付も終了しますので、17時以降のオンライン申請に関しては翌日に持ち越されます。つまり、17時1秒に申請すれば、次の日の一番に受理したことになるのではないか、ということでした。
申請の受付さえ完了すれば、必要な書類は後から提出すればいいので、徹夜で並ばなくてもいいとのこと。
今から考えれば、どこぞの株の時間外取引に似た後ろめたさがありますが、オンライン申請の存在を知るまでは徹夜覚悟で並ぶという確実性の低い力技しかなかったので、委託という形にはなるものの、これに賭けてみようということになりました。
本音は徹夜で並ばなくていいというところが一番の魅力でしたが、後日LLPが集まるイベントでは、徹夜で並んだ人達から非難されたことは言うまでもありません。
とにもかくにも「オンライン登記で一番乗り作戦」に決まり、申請までにこちらですることといえば「出資金の払い込み」ぐらいでした。
LLPの場合、出資金は申請をするまでに銀行口座に全額払い込まないといけないのですが、最低額が2円となっています。会社法が変わった今となっては特別なことではなくなりましたが、当時としては画期的でした。
なぜ1円ではなく2円なのかといいますと、LLPは組合の一種で2人以上でないと設立できない決まりになっています。さらに組合員になるためには出資しなければいけない決まりになっていますので、一人あたり1円とすれば、設立出来る最低限の2人の場合は合わせて2円ということで、出資金の最低額は2円となっています。
バビル6LLPの場合、組合員は(個人事業+法人という組み合わせですが)最低限の2名で、必要な場所や機材などの一切が既に揃っており、LLP設立に際して特に追加で必要なものがありませんでしたので、制度の特徴を最大限に活かすという意味も込めて、出資金は2円でいいんじゃないかという話をしていました。
ただ、銀行口座への払い込みなどを考えると、2円は恥ずかしいしふざけていると思われるのも良くないし、ということで一応2万円を出資金として払い込むことにしました。
しかし、これも後から考えると、登記の際にいろいろお金がかかるので、全然足りなかったのですが……。
法律が施行される2005年8月1日は月曜日だったので、月曜日の朝一番に受理されるためには(土日は休みなので)金曜日の17時過ぎにオンライン申請を行なう必要があり、良く分からないながらも銀行への払い込みを済ませたのは、オンライン申請を行なう当日の2005年7月29日金曜日の午前中でした。
準備期間が2日間も縮まるというのは通常であればかなりの痛手ですが、すでに申請用の書類が出来ているとのことで、午後からは書類の最終チェックとオンライン申請のために産創館へ。
オンライン申請で一番乗りを目指すという方法が珍しいということもあり、テレビの取材が入ることは事前に聞いていましたので、敢えて普段通りのきたない(怪しい?)格好で出向きました。
まずは司法書士の先生にお任せだった書類のチェック……といって、も何の書類なのかという説明を聞き、ハンコを押すだけでした。その後オンライン申請についての最終確認をしましたが、準備は全てお任せで、私はマウスのボタンをクリックするだけという段取りでした。
そして、テレビ取材班の到着。取材された内容は、関西地区限定ながらも月曜日の夕方のニュースで流れるということを聞き、ついにテレビ初出演かと胸を躍らせながらも少しづつ緊張が高まっていきました。
準備は滞りなく進み、17時10分前には1回クリックするだけという状態になり、ようやく余裕が出て和やかなムードになりました。出来るだけのことはしたはず。あとは、パソコンの画面上にあるこのボタンを1回クリックし、結果を祈るだけ。
テレビカメラがビックリするくらい近くで私を捉えている中、なぜか周りからカウントダウンの合唱が始まりました。
5、4、3、2、1……
(続く……)
【ふかがわまさひで】
バビル6 LLP(有限責任事業組合)組合員
※バビル6 LLPは日本第一号のLLP(有限責任事業組合)です
< http://www.b6p.jp/
>

どういうことかといいますと……
法務局は17時で業務を終了し、窓口だけでなくオンライン申請の受付も終了しますので、17時以降のオンライン申請に関しては翌日に持ち越されます。つまり、17時1秒に申請すれば、次の日の一番に受理したことになるのではないか、ということでした。
申請の受付さえ完了すれば、必要な書類は後から提出すればいいので、徹夜で並ばなくてもいいとのこと。
今から考えれば、どこぞの株の時間外取引に似た後ろめたさがありますが、オンライン申請の存在を知るまでは徹夜覚悟で並ぶという確実性の低い力技しかなかったので、委託という形にはなるものの、これに賭けてみようということになりました。
本音は徹夜で並ばなくていいというところが一番の魅力でしたが、後日LLPが集まるイベントでは、徹夜で並んだ人達から非難されたことは言うまでもありません。
とにもかくにも「オンライン登記で一番乗り作戦」に決まり、申請までにこちらですることといえば「出資金の払い込み」ぐらいでした。
LLPの場合、出資金は申請をするまでに銀行口座に全額払い込まないといけないのですが、最低額が2円となっています。会社法が変わった今となっては特別なことではなくなりましたが、当時としては画期的でした。
なぜ1円ではなく2円なのかといいますと、LLPは組合の一種で2人以上でないと設立できない決まりになっています。さらに組合員になるためには出資しなければいけない決まりになっていますので、一人あたり1円とすれば、設立出来る最低限の2人の場合は合わせて2円ということで、出資金の最低額は2円となっています。
バビル6LLPの場合、組合員は(個人事業+法人という組み合わせですが)最低限の2名で、必要な場所や機材などの一切が既に揃っており、LLP設立に際して特に追加で必要なものがありませんでしたので、制度の特徴を最大限に活かすという意味も込めて、出資金は2円でいいんじゃないかという話をしていました。
ただ、銀行口座への払い込みなどを考えると、2円は恥ずかしいしふざけていると思われるのも良くないし、ということで一応2万円を出資金として払い込むことにしました。
しかし、これも後から考えると、登記の際にいろいろお金がかかるので、全然足りなかったのですが……。
法律が施行される2005年8月1日は月曜日だったので、月曜日の朝一番に受理されるためには(土日は休みなので)金曜日の17時過ぎにオンライン申請を行なう必要があり、良く分からないながらも銀行への払い込みを済ませたのは、オンライン申請を行なう当日の2005年7月29日金曜日の午前中でした。
準備期間が2日間も縮まるというのは通常であればかなりの痛手ですが、すでに申請用の書類が出来ているとのことで、午後からは書類の最終チェックとオンライン申請のために産創館へ。
オンライン申請で一番乗りを目指すという方法が珍しいということもあり、テレビの取材が入ることは事前に聞いていましたので、敢えて普段通りのきたない(怪しい?)格好で出向きました。
まずは司法書士の先生にお任せだった書類のチェック……といって、も何の書類なのかという説明を聞き、ハンコを押すだけでした。その後オンライン申請についての最終確認をしましたが、準備は全てお任せで、私はマウスのボタンをクリックするだけという段取りでした。
そして、テレビ取材班の到着。取材された内容は、関西地区限定ながらも月曜日の夕方のニュースで流れるということを聞き、ついにテレビ初出演かと胸を躍らせながらも少しづつ緊張が高まっていきました。
準備は滞りなく進み、17時10分前には1回クリックするだけという状態になり、ようやく余裕が出て和やかなムードになりました。出来るだけのことはしたはず。あとは、パソコンの画面上にあるこのボタンを1回クリックし、結果を祈るだけ。
テレビカメラがビックリするくらい近くで私を捉えている中、なぜか周りからカウントダウンの合唱が始まりました。
5、4、3、2、1……
(続く……)
【ふかがわまさひで】
バビル6 LLP(有限責任事業組合)組合員
※バビル6 LLPは日本第一号のLLP(有限責任事業組合)です
< http://www.b6p.jp/
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