6月は季節柄なのか、普段の月と比べてセミナーの数が多く、そしてその全てが画像処理という括りであるのには少しびっくりしています。もっとも、分りやすいという点ではタイトルにしやすいのかもしれませんね。今年はFlashばかりでなく、Motionグラフィックス等もネタにしてみたいと予定しています。そのためのネタ整理とエクササイズは、今から準備しておかないとダメですね。頑張らなくては、というよりネタ帳整理しないと。
●同時読書
ネタ整理といえば読書が一番と思っていたら、必要に迫られたこともあり、唐突に同時に数冊の本を読むという行為を実行してみました。始めは冗談のつもりで。でも、とにかく一刻も早く読み終えて、紹介してくださった方に感想を送らなくてはという本が突然参戦。その時読んでいる本のページがまだ半分という段階で舞い込んできたのです。しかも、両者はまったく真逆に位置するジャンルとでもいうような世界。そして、わがままなことにどちらもとにかく読みたくて仕方のない本。
●同時読書
ネタ整理といえば読書が一番と思っていたら、必要に迫られたこともあり、唐突に同時に数冊の本を読むという行為を実行してみました。始めは冗談のつもりで。でも、とにかく一刻も早く読み終えて、紹介してくださった方に感想を送らなくてはという本が突然参戦。その時読んでいる本のページがまだ半分という段階で舞い込んできたのです。しかも、両者はまったく真逆に位置するジャンルとでもいうような世界。そして、わがままなことにどちらもとにかく読みたくて仕方のない本。
そこで、今までやったことのない二冊同時読書にチャレンジしてみたわけです。しかし、やってみると、同じジャンルではないので、意外に読めてしまうのには驚いてしまいました。もちろん、本当に二冊を同時に読むなんてことは聖徳太子でもない限り無理でしょう。私は時間を区切って二冊を読み続けたわけです。この、区切って何かをするというのは、気持ちの整理が出来るので意外に効率的です。
まっ、こんな私も学生の頃は推理とミステリー専門でしたが、毎日二冊ほど読みふけっていた時期もありました。その後、社会人になってからは、それこそ手当たり次第に安土桃山関連の本に目覚めてしまい、もうほとんどオタクの世界でした。ちなみに、もっとも好きな武将は伊達政宗です。彼のドラスティックな人生とセンス、そして手腕から導き出された天下の副将軍は、見事と言うしかありません。
で、話を戻すと、自分の中でリズムを作り、電車の中で読む本、喫茶店で待ち時間に読む本、そんな具合に整理してしまうとかなり類似している本でも頭がしっかり切り分けてくれることを体感しました。その反動か、最近は地下鉄を乗り過ごすことがわりと頻繁になって苦笑い&打ち合わせに遅刻しないように全力疾走という悪夢の繰り返しに陥っています。しかし、調子のいいときは三冊同時読書も大丈夫になりました。もちろんこれがギリギリの限界点ですけど。
●狭い東京にもやたらとある業界用語のイレギュラー使い
ところで、資料整理で思い出したのですが、レジュメ書類などを作成していると難しい言葉ばかりでなく、普段のセミナー等で間違って使っている用語などに時々気がついて赤面しそうになることがあります。その最たる例が、6〜7年ぐらい前までPhotoshopの描画モードを、何を勘違いしたか、レイヤーモードと記述して原稿を書き続けているミスに気がつき、出版社の方と苦笑いした事を思い出しました。つまり、数年間誰も気がつかなかったわけです。そんなこともあるのです。
ところが、逆にこちらが正しい、少なくとも嘘は言っていないのにガンとして受け付けない方がいて、かなり困ってしまうことがたまにあります。例えば、先日もあったのですが、あるレジュメにて水平方向、垂直方向という表現にクレームが入りました。上下と左右への変更依頼です。多分、この方はIllustratorやPhotoshopを使ったことのない方なのだと直感し、丁寧に説明をして理解してもらいました。
数学的な水平方向、垂直方向、とくに垂直という表現は2D系のグラフィックソフトでは変かもしれませんが、それはこちら側から見ているから変なのであって画面の中では水平と垂直の関係しかない(レイヤーで奥行きがあるという突っ込みはなし)わけです。
とにかく、実際にそのような処理名がソフトウェアの中にあるので、こちらの説明は理解してもらえますが、そうではない場合がもし発生したら、もう「はいはい、直しますよ!」で私は終わってしまいます。例えば、ローカルな用語の使い方みたいな部分です。そんな表現など「ない」と言われても実際に使っていた者にとっては「そうでしたね」とは言えないわけです。
言葉は生き物ですから、正しいか否かという問題ではありません。大好きな江戸時代に「書かる」から「書ける」という可能動詞が作られました。それ以前にはなかった言葉です。そして、色々と調べてみると日本人はこの可能動詞が大好きであり、そんな国民性で考えると「見れる」「食べれる」という可能動詞(厳密には可能動詞ではなく、方言からの発生した可能動詞モドキ)が生まれたことは、それほど不自然ではない流れということになるようです。
とにかく、狭い東京での不可思議な現実に苦笑いするばかりですが、当然私にとっては実際に体験したことで嘘ではないのに、真っ向から「嘘」と決めつけられたら、もう正直相手をする気にはなれません。無視というのではなく、話してもしょうがないと直感したら私は黙ってしまいます。
●忘れかけていた血が騒ぎ出す
まっ、どうでもいいことは忘れて自分にとって大切なことにエネルギーを割きたいと思っているわけですが、そんなキッカケは意外なところから舞い込んできます。たとえば、渋谷区立松濤美術館で6月5日から7月16日まで行われている「大辻清司の写真 出会いとコラボレーション」を鑑賞してきました。
実は、この企画に関わっており、「大辻清司の仕事 1946-1999(モール写真パラダイム・パラダイス研究所刊)」の執筆もされている大日方欣一先生からの紹介で知ったのです。ちなみに先生は多摩美術大学造形表現学部で写真表現史等を担当されており、私の講義日と一緒なので講師控室での準備中によく雑談を交わす仲なのです。私自身が撮影技法についても講義で触れていますし、写真好きな事もあり、声を掛けていただけたのだと思います。
しかし、考えてみると系統だてて、時代のターニングポイントを打ち立てたのは誰であったのかという事まで意識して作品を鑑賞することはなかったので、大変良いキッカケになりました。ふだん合成処理などを仕事としているので、本来の写真とでもいうべき作品を見ると、いつも心が洗われますが、今回は「忘れていた何か」を思い出させてくれたような、そんな不思議な時間を過ごすことが出来ました。
信じてはもらえないでしょうが、私も本来はモノクロ写真派なのです。学生の頃の私の作品を見ている友人であれば、私の今の活動を逆に不思議がると思います。ちなみに、大辻清司のオリジナルモノクロプリントの美しさは芸術品ですね。最近は写真家の知り合いも増えてきているので、これからは積極的に写真展などにも足を運んでみたいと思います。
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●今月のお気に入りミュージック
"Can The Can" by Suzi Quatro in 1973
"Karn Evil 9: 1st Impression, 2nd Impression, 3nd Impression" by Emers
on, Lake & Palmer in 1973
"The Magnificent Seven" by Elmer Bernstein in 1960
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●来月(7月16日19時より)のアップルストア銀座のセッション
Made on a Macとして画像処理セッション
『海津ヨシノリの画像処理テクニック講座Vol.11
Creative Suite 3のパワーと可能性』
遂に出たAdobe Creative Suite 3の中から今回は、Photoshop CS3、Illustrator CS3の使える新機能と可能性について、それぞれのCS2との違いを踏まえ、MacBook Proを利用し、独自の視点で検証・整理する予定です。予約無用・参加無料です。
【海津ヨシノリ】グラフィックデザイナー/イラストレーター
Rey.Horiさんからアナウンスを受けていた「元非常勤講師の極私的ソーカツ」は毎回楽しみにしていました。不幸なのか幸いなのか? 同族の私は今のところ類似するような体験をしていません。教え子の数というだけなら既にRey. Horiさんの9年間の3倍に迫る数なのですが、年数という意味では経験が浅いので学ぶべきことばかりです。Rey.Horiさん、いつもありがとう。
もっとも、今期から新たに担当することになった「コンピュータ画像処理論」という講義用のプリント作成に爆発しているため、それどころではないのかもしれません。今後どうなるかは誰にも分りませんが、今のところ、私は講師を楽しんでいます。色々と刺激もあり勉強になるからです。学外でのセミナーネタの組立てとは明らかに異なりますので、それが逆に学外のセミナー等にも良い意味で影響が出ています。今後、チャンスがあれば非美術系の大学で、デザインについて授業をしてみたいとすら思うようになりました。それについては持論も含めて、次回以降の適当な時期に整理してみたいと思います。
yoshinori@kaizu.com
< http://www.kaizu.com/
>
< http://kaizu-blog.blogspot.com/
>
< http://efgra.blogspot.com/
>
< http://web.mac.com/kaizu/
>
まっ、こんな私も学生の頃は推理とミステリー専門でしたが、毎日二冊ほど読みふけっていた時期もありました。その後、社会人になってからは、それこそ手当たり次第に安土桃山関連の本に目覚めてしまい、もうほとんどオタクの世界でした。ちなみに、もっとも好きな武将は伊達政宗です。彼のドラスティックな人生とセンス、そして手腕から導き出された天下の副将軍は、見事と言うしかありません。
で、話を戻すと、自分の中でリズムを作り、電車の中で読む本、喫茶店で待ち時間に読む本、そんな具合に整理してしまうとかなり類似している本でも頭がしっかり切り分けてくれることを体感しました。その反動か、最近は地下鉄を乗り過ごすことがわりと頻繁になって苦笑い&打ち合わせに遅刻しないように全力疾走という悪夢の繰り返しに陥っています。しかし、調子のいいときは三冊同時読書も大丈夫になりました。もちろんこれがギリギリの限界点ですけど。
●狭い東京にもやたらとある業界用語のイレギュラー使い
ところで、資料整理で思い出したのですが、レジュメ書類などを作成していると難しい言葉ばかりでなく、普段のセミナー等で間違って使っている用語などに時々気がついて赤面しそうになることがあります。その最たる例が、6〜7年ぐらい前までPhotoshopの描画モードを、何を勘違いしたか、レイヤーモードと記述して原稿を書き続けているミスに気がつき、出版社の方と苦笑いした事を思い出しました。つまり、数年間誰も気がつかなかったわけです。そんなこともあるのです。
ところが、逆にこちらが正しい、少なくとも嘘は言っていないのにガンとして受け付けない方がいて、かなり困ってしまうことがたまにあります。例えば、先日もあったのですが、あるレジュメにて水平方向、垂直方向という表現にクレームが入りました。上下と左右への変更依頼です。多分、この方はIllustratorやPhotoshopを使ったことのない方なのだと直感し、丁寧に説明をして理解してもらいました。
数学的な水平方向、垂直方向、とくに垂直という表現は2D系のグラフィックソフトでは変かもしれませんが、それはこちら側から見ているから変なのであって画面の中では水平と垂直の関係しかない(レイヤーで奥行きがあるという突っ込みはなし)わけです。
とにかく、実際にそのような処理名がソフトウェアの中にあるので、こちらの説明は理解してもらえますが、そうではない場合がもし発生したら、もう「はいはい、直しますよ!」で私は終わってしまいます。例えば、ローカルな用語の使い方みたいな部分です。そんな表現など「ない」と言われても実際に使っていた者にとっては「そうでしたね」とは言えないわけです。
言葉は生き物ですから、正しいか否かという問題ではありません。大好きな江戸時代に「書かる」から「書ける」という可能動詞が作られました。それ以前にはなかった言葉です。そして、色々と調べてみると日本人はこの可能動詞が大好きであり、そんな国民性で考えると「見れる」「食べれる」という可能動詞(厳密には可能動詞ではなく、方言からの発生した可能動詞モドキ)が生まれたことは、それほど不自然ではない流れということになるようです。
とにかく、狭い東京での不可思議な現実に苦笑いするばかりですが、当然私にとっては実際に体験したことで嘘ではないのに、真っ向から「嘘」と決めつけられたら、もう正直相手をする気にはなれません。無視というのではなく、話してもしょうがないと直感したら私は黙ってしまいます。
●忘れかけていた血が騒ぎ出す
まっ、どうでもいいことは忘れて自分にとって大切なことにエネルギーを割きたいと思っているわけですが、そんなキッカケは意外なところから舞い込んできます。たとえば、渋谷区立松濤美術館で6月5日から7月16日まで行われている「大辻清司の写真 出会いとコラボレーション」を鑑賞してきました。
実は、この企画に関わっており、「大辻清司の仕事 1946-1999(モール写真パラダイム・パラダイス研究所刊)」の執筆もされている大日方欣一先生からの紹介で知ったのです。ちなみに先生は多摩美術大学造形表現学部で写真表現史等を担当されており、私の講義日と一緒なので講師控室での準備中によく雑談を交わす仲なのです。私自身が撮影技法についても講義で触れていますし、写真好きな事もあり、声を掛けていただけたのだと思います。
しかし、考えてみると系統だてて、時代のターニングポイントを打ち立てたのは誰であったのかという事まで意識して作品を鑑賞することはなかったので、大変良いキッカケになりました。ふだん合成処理などを仕事としているので、本来の写真とでもいうべき作品を見ると、いつも心が洗われますが、今回は「忘れていた何か」を思い出させてくれたような、そんな不思議な時間を過ごすことが出来ました。
信じてはもらえないでしょうが、私も本来はモノクロ写真派なのです。学生の頃の私の作品を見ている友人であれば、私の今の活動を逆に不思議がると思います。ちなみに、大辻清司のオリジナルモノクロプリントの美しさは芸術品ですね。最近は写真家の知り合いも増えてきているので、これからは積極的に写真展などにも足を運んでみたいと思います。
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●今月のお気に入りミュージック
"Can The Can" by Suzi Quatro in 1973
"Karn Evil 9: 1st Impression, 2nd Impression, 3nd Impression" by Emers
on, Lake & Palmer in 1973
"The Magnificent Seven" by Elmer Bernstein in 1960
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●来月(7月16日19時より)のアップルストア銀座のセッション
Made on a Macとして画像処理セッション
『海津ヨシノリの画像処理テクニック講座Vol.11
Creative Suite 3のパワーと可能性』
遂に出たAdobe Creative Suite 3の中から今回は、Photoshop CS3、Illustrator CS3の使える新機能と可能性について、それぞれのCS2との違いを踏まえ、MacBook Proを利用し、独自の視点で検証・整理する予定です。予約無用・参加無料です。
【海津ヨシノリ】グラフィックデザイナー/イラストレーター
Rey.Horiさんからアナウンスを受けていた「元非常勤講師の極私的ソーカツ」は毎回楽しみにしていました。不幸なのか幸いなのか? 同族の私は今のところ類似するような体験をしていません。教え子の数というだけなら既にRey. Horiさんの9年間の3倍に迫る数なのですが、年数という意味では経験が浅いので学ぶべきことばかりです。Rey.Horiさん、いつもありがとう。
もっとも、今期から新たに担当することになった「コンピュータ画像処理論」という講義用のプリント作成に爆発しているため、それどころではないのかもしれません。今後どうなるかは誰にも分りませんが、今のところ、私は講師を楽しんでいます。色々と刺激もあり勉強になるからです。学外でのセミナーネタの組立てとは明らかに異なりますので、それが逆に学外のセミナー等にも良い意味で影響が出ています。今後、チャンスがあれば非美術系の大学で、デザインについて授業をしてみたいとすら思うようになりました。それについては持論も含めて、次回以降の適当な時期に整理してみたいと思います。
yoshinori@kaizu.com
< http://www.kaizu.com/
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< http://kaizu-blog.blogspot.com/
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< http://efgra.blogspot.com/
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< http://web.mac.com/kaizu/
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- 大辻清司の仕事1946‐1999
- 大日方 欣一 モール写真パラダイムパラダイス研究所
- Mole(モール) 2000-01-01
- 大辻清司の写真―出会いとコラボレーション
- 大辻 清司 大日方 欣一 光田 由里
- フィルムアート社 2007-06
- Can the Can
- Suzi Quatro
- EMI 2000-05-02
- おすすめ平均
- ファーストアルバム+Can the Canを収録
- 曲名リスト
- 48 Crash
- Glycerine Queen
- Shine My Machine
- Official Suburban Superman
- I Wanna Be Your Man
- Primitive Love
- All Shook Up
- Sticks and Stones
- Skin Tight Skin
- Get Back Mamma
- Rockin' Moonbeam
- Shakin' All Over
- Can the Can
by G-Tools , 2007/06/27