ネタを訪ねて三万歩[52]試行錯誤のRAW現像
── 海津ヨシノリ ──

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●夢にまで見た〈カラーの現像〉をしている不思議

写真を撮りまくっていた学生の頃、私は現像も自分で行っていました。その処理方法は常用のネオパン400に対してD76を2倍に薄め、2倍の時間で現像するというやり方。この方法なら定着液を使うタイミングが微妙にズレても、誤差の範囲となるからです。さらに夏場は氷水、冬場はぬるま湯を張ったボールに湯煎するような感じで温度を保っていました。

しかし、これも当然ながらモノクロフィルムの話。カラーフィルムを個人で現像処理している人を私は知りませんでした。私自身も授業で1度やっただけです。とにかくカラーの処理は色々と大変だ、という印象しかありませんでした。

そんなことを思い出しながらRAW現像処理を行っている自分が、なんだか不思議に思えるわけです。「夢にまで見たカラーの現像をしている」と。とは言うものの、まだ試行錯誤の繰り返しです。そんな私の画像データは「大は小を兼ねるが正義〜」ということで、R-D1xGではRAWとJPEGのダブル保存としています。最高画質といってもR-D1シリーズは600万画素ですし、SDHCカードもリーズナブルな価格なので、目いっぱい使っても使い切れません。この設定でおおよそ1GBに100カット保存できるので、わかりやすくて気に入っています。

で、肝心のRAWデータですが、私はまだ愛用すべきRAW現像専用ソフトを限定しておらず、チマチマとPhotoshopのネイティブ環境だけで処理しています。もっともR-D1xG購入直後はPhotoshopが対応しておらず、かなり焦りましたが、現在は対応しています。


SILKYPIX Developer Studio 3.0 Windows版
なお、Photoshopを所有していない方は、R-D1xGに添付されているEPSON Photolierで対処可能です。無料なのにとてもいいソフトなので、当面はコレがメインになりそうです。ところで私の周りでは、RAW現像処理には最初にJPEG現像に対応した、SILKYPIXシリーズを愛用している方が多いようです。多いを通り越して、問答無用かつ圧倒的に支持されているといった感じです。私も友人から紹介され、フリー版にて試行錯誤中で、かなり気に入っています。

DxO Optics Pro v5 スタンダード 日本語版しかし、画像処理で愛用しているDxO FilmPackの姉妹ツールとしてリリースされている、DxO Optics Proも気になっていました。ただし、現在の体験版ではR-D1のRAWデータには対応していないので、JPEG画像での処理となってしまいます。なお、DxO FilmPackとは、様々なフィルムの特性をシミュレーションするツールで、目立った宣伝もしていないのにヨーロッパではかなり売れているそうです。

※DxO FilmPack
< http://www.dxo.com/jp/photo/filmpack
>
< http://kaizu-blog.blogspot.com/2008/05/dxo-filmpack.html
>

※DxO Optics Pro
< http://www.dxo.com/jp/photo/dxo_optics_pro
>

※SILKYPIX
< http://www.isl.co.jp/SILKYPIX/japanese/
>

とにかく現像処理は、JPEGも現像できた方がいいですね。私はあまりにもタイムラグが大きすぎる携帯カメラ(私の所有している機種固有のようです)でのスナップ撮影はあきらめ、常にCASIO EXILIM EX-S10を持ち歩き、意外と面白い写真の撮影に成功しています。カメラの機能から、RAWではなくてJPEG保存オンリーとなっており、RAW現像の利便性に慣れてしまった身としては、JPEGも現像したくなったというわけです。

どちらにしても、相性が合ったカメラに出会うのは大変なことです。なにより、やっと出会ったお気に入りのカメラも、デジタルであれば、その宿命から永遠に使い続けるというわけにもいきません。少なくとも、ライカに代表されるレンジファインダーカメラは、50年以上頑固に使い続けられています。その頑固さはとても格好イイです。それを横目に勝手な理屈で遠吠えをするとしたら、昔から使い続けているフィルムカメラに装置できる、CCDユニットみたいなものが出てくれると嬉しいですね。学生の時に苦労して手に入れたカメラは、これからも末永く使い続けたいので。

などと言っている私は、フィルムカメラを既に5年近く使っていません。処分のタイミングを逃してしまったということでしょうか。そのうち、懐古趣味でフィルムカメラが劇的なブームになることを祈りたいものです。

●学生と校庭で公開デート

末永く〜で思い出したのが、多摩美術大学造形表現学部デザイン科の卒業生数名からのリクエストで、新学期初日に校庭でお茶会をしたこと。もちろん、手作りケーキを持参したのは言うまでもありません。学生からも本当のピクニック以上の差し入れがあったのでビックリ。学生との関係は長くても4年間ですが、教え子としての関係は永遠ですから、こんな関係が末永く続くと楽しいですね。しかし、このゆったりと流れた2時間は本当に至福の時でした。なにより、校庭があれほど安らぐ空間だとは思っていませんでした。いつも何気ない自分の場所も、視点を変えて再考してみることは大切ですね。

そういえば、今年卒業した造形科の学生のうち、顔見知りで飲み友達2名(このような表現しか思いつきませんでした)が大学院に合格しました。つまり、あと数年間は彼らと学内で騒げることになったわけです。造形科の場合は、アトリエということで教室が2〜3名に1部屋という感じで割り当てられているので、遊びに行くことも出来るのがうれしいです。実は、造形科独特のにおいが部屋いっぱいに立ちこめている、あの雰囲気が好きだったりします。そのうちどさくさに紛れて、私も何か描いてみても面白いかもしれないと、ある人にそそのかされています。

※多摩美術大学周辺の写真ネタ
< http://kaizu-blog.blogspot.com/search/label/Tamabi
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また、駿河台大学の方でも、昨年唐突に始まった講義の3回目ぐらいから、毎回校庭での弁当に付き合ってくれた学生たちと、同じように校庭でお茶会をしました。今年も授業は後期からですが、調べ物などで学内のメディアセンターに出かけるためです。大学の図書館やメディアセンターは、独特の空気があり本当に気持ちがいいです。とにかく我々の仕事には何も無駄はない(常識的に考えて)ので、色々なヒントが、何気ないそんな行動の中から生まれてくるように感じています。で、肝心のお茶会は強風のために校庭での開催を断念し、第2講義棟1Fのラウンジで3時間半ほど大騒ぎ。

※駿河台大学周辺の写真ネタ
< http://kaizu-blog.blogspot.com/search/label/Sundai
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い・け・な・いルージュマジック(初回盤A)(DVD付)今月のお気に入りミュージックと映画
"い・け・な・いルージュマジック" by 忌野清志郎+坂本龍一 in 1982
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"クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦" by 原恵一 in 2002
(日本)
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■アップルストア銀座のセッション 6月15日19時より
Made on a Macとして画像処理セッション
海津ヨシノリの画像処理テクニック講座Vol. 35
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【海津ヨシノリ】グラフィックデザイナー/イラストレーター
yoshinori@kaizu.com
< http://www.kaizu.com
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< http://web.mac.com/kaizu/
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●Rey.Horiさんの個展

4月20日、銀座で行われていたRey.Horiさんの個展に出かけてきました。Apple Store Ginzaでのセミナー当日が個展の初日でしたので、予告なしに出かけたのですが、忙しいRey.Horiさん本人にも会えて大満足。なにより不思議な空間が、Rey.Horiさんの作品とマッチし、その世界に吸い込まれるような感じでした。ということで、2年越しの飲み会を激しく約束して別れたのでした。と、公開プレッシャー。
※当日の会場内の写真
< http://kaizu-blog.blogspot.com/2009/04/reyhoriwall.html
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●Painter 11が出た

Corel Painter 11 通常版4月21日、Painter 11のプレスリリースに出かけてきました。会場では、おそろしく久しぶりに会った寺田克也さんの生ライブが得した気分でした。で、既に色々なところで話第になっていると思いますが、今度のPainterの目玉はリアルブラシとカラーパレットの無限拡大機能ですね。リアルブラシはパステルや鉛筆など一部のブラシにのみ追加されていますが、タブレットペンを寝かせて描くといったリアルな処理が可能になっています。鉛筆の腹で描くような処理です。こうなってくると、タプレットペン自体のデザインにもこだって欲しいと激しく感じるのでした。完全に鉛筆の形状だったら面白いかもしれませんね。名付けて「リアルタブレットペン」……とか。

●手動大作戦

2003年12月29日から、2006年9月21日まで利用していた旧Blogのデータ1800発言ほどを、無謀にも手動で、現在使っているBlogに転送しています。このテキストが公開されている頃には、無事に完了しているはずです。調べたところ、Movable TypeのデータをBloogerへの一気の転送は、スクリプトを書き換えたりすれば出来るそうですが、完璧ではないとのことで断念しました。本当はやりたくないのだけど、出来れば最初からつながっていた方がいいですからね。それと、現在は自分のBlogにもかかわらず、問題の旧Blogは諸般の事情で修正することも出来ません。これは色々な意味で困ってしまうので、行動に出たというわけです。そのかわり、コメント類は転送できないのでなんとなく中途半端ですが、仕方ないですね。ちなみに、2005年10月2日から2009年01月13日まで続けていたTips Blogも既に転送済みです。