ネタを訪ねて三万歩[55]学生イベントに参加して盛り上がる
── 海津ヨシノリ ──

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●私が学生だった頃にオーバーラップ

7月19日、造形科の学生で今年大学院生となったSさん(※1)達が続けている『t o m o s u(ともす)プロジェクト』(※2)に、今年も参加してきました。コンセプトは以下の通りです。
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様々な環境と限られた場所で、さもすれば見逃してしまうような物事を平面や空間、音を用いて、観る人の感覚に訴えかけるコンセプトで、関わる世界中の人と現象を大切にして、表現をしていきたいと思います。(HPより)
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正直この世界観にはまっています。「作品が出来ました。見に来てください」というお決まりの展示会ではないからです。昔からの定番である、作者側からの視点だけで作品を主張する一方的な展示、ではない新鮮な感触が心地よいのです。

そんな新しい展示と表現にこだわる彼らと私の関わりは、教員と学生ではなく、完全に仲間なのです。少なくとも私はそう感じています。そんな関わりが得られたのは講師の特権ですね。大いに楽しみたいと思っています。

(※1)男子生徒です。私は学生に対する呼称は全て「さん」で統一しています。逆に私は敬称で「くん」を使うことはありません。そう改めて数年が経ちます。やっと言い間違えないで済むようになりました。ただし、幼稚園児などの場合は使うかもしれません。

(※2)29YORKst
< http://www11.plala.or.jp/york/top/framepage.html
>

このイベントへ、初回から4回ほど参加している私は、イベント冒頭で椅子に坐り損ねて、おもいっきり後頭部からコケてしまったこともありました。かなりマヌケな状況でしたが、それもまたイベントの一部であり、全体の中の作品というわけです。ついにはこのイベントの中で、私は生まれて初めてジャンベを即興演奏してしまうまでのめり込んでしまいました。



私が学生だった頃、漠然として定まらない自分の目標のような何かを見つけたくて、学内で色々なイベントを行っていたことと完全にオーバーラップしているのです。挑戦的写真展、映画作品への俳優出演、学園祭名の命名(長月祭)、バンド結成、同人誌作成、弾き語り……。数年前(気分的に)のことのように思い出しました。

今回は、作品と音楽と舞踊。とても神秘的かつ躍動的な瞬間でした。参加者一人一人に意見を求め、積極的に改善、修正する真摯な姿勢は気持ちがいいものです。ついつい応援したくなってしまいます。いや、学生から学んでいると言ったほうが正しいかもしれません。新しい着眼や組み合わせ。それらは私にとっても大いに参考になる刺激です。もちろん、そんな彼らにはいつものように手作りクッキーを持参していったのは、言うまでもありません。

ところで前にも触れましたが、講師でいることで最近かなり困ったことが発生しています。名前と顔が一致している学生や、顔を知っているが名前は知らない学生から街中で突然挨拶されることには問題ないのですが、顔も名前も記憶にない学生(学生にとっては失礼な話ですね)から、突然声を掛けられることです。しかも、新宿や池袋に銀座といった繁華街なので、多摩美術大学の学生か、駿河台大学の学生なのかわからずに挨拶してしまう情けなさ。

とにかく、ボーッとして街中を歩くことが出来なくなってしまったのは、いいような悪いような。なにせ、絶対にあり得ないと思っているクローズなパーティーなどでも突然声を掛けられますので、緊張は常に持続していないと……。不思議なもので、緊張が緩んでいるときに限って声を掛けられるのです。もっとも、声を掛けられるうちが華なのかもしれませんね。大いに緊張して街中を徘徊することにします。出会いは大切ですから。

●縁(えにし)と出会い

出会いと言えば、大学だけでなく、私は東京都の職業能力開発センターでも非常勤講師を行っています。ここでは1年コースの場合、最近のデザイン系専門学校の2年分以上の勉強を消化するワケなので、かなりのハードスケジュールです。筆記試験と面接試験をクリアして入ると、月曜から金曜まで毎日朝9時から午後5時までビッシリ。夏休みは3週間、冬休みも2週間しかありません。しかも、実技だけでなく講義科目や一般常識、更には校外学習など、まさに心技体のカリキュラムです。修了時には経験者扱いとなるのもそのためです。

その発端は、友人がこの学校で行っていたオプションセミナーの代役でした。友人Aがどうしても出られないということで代役を行った結果、不思議なご縁により数か月後には非常勤講師となってしまいました。その後、通常の授業とは別にオプションセミナーも年に数回行っているのですが、学校からの要請で相棒探しを迫られ、誰に頼むか悩んでいたとき、偶発的にメールのやりとりをしていた友人Bに声を掛けたことで、鉄壁のチームワークが生まれました。世の中、こんな具合にかなりの偶発で物事が決まってしまうような気がします。

もし、あの時まったく別の人とメールでヨタ話をしていたら、私の相棒はその人になっていたかもしれません。いや、そもそも最初に声を掛けてくれた友人Aも実はネットでメールを頂いてからのお付き合いでしたから、気まぐれで彼が私にメールを送信しなかったら、この学校との関係はなかったかもしれません。いやいや、友人Aが私にメールをするきっかけ作ったのは、友人Cとの仕事の成果物。そして、その成果物の発端は、偶然ネットで声を掛けてくれた某出版関係者のDさんの気まぐれ(後日談として数年後に知る)でした。

こんな具合に、誰しも整理してみれば意外と自分の行動範囲が数珠つなぎになっていることに気がつくはずです。だからと言って、知り合った人達の全てと、まんべんなくお付き合いできないのが悲しい現実です。なかなか思うようになりません。もっとも、それが面白いのかもしれませんけどね。そんなわけで、縁(えにし)と出会いを私は大切にしています。しかし、最近はこの「出会い」という言葉があまり良い意味でメディアに登場しないので、いらぬ誤解を受けてしまいそうなのが悲しい現実。とにかく、人とのつながりは大切にしたいものです。もっとも、自分のことしか考えていない輩とのつながりは、百害あって一利なしですが。

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【海津ヨシノリ】グラフィックデザイナー/イラストレーター
yoshinori@kaizu.com
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○ファラ・フォーセット・メジャーズのインパクト

相変わらず1か月遅れのずれた話題で恐縮ですが、6月25日にファラ・フォーセット・メジャーズが亡くなってしまいました。同じ日にマイケル・ジャクソンも亡くなっていたので、話題は完全にマイケル一辺倒となってしまい、あまり話題になりませんでした。仕方がないのかもしれません。しかし、ファンの方には失礼な話ですが、私はマイケル・ジャクソンには特別の思い入れはまったくありませんでした。DVDもCDも我が家にはありません。どれだけ著名でも周波数の合わないことは、よくある話ですからね。

ソフトシェル 地上最強の美女たち! チャーリーズ・エンジェル コンプリート 1stシーズン (5枚組) [DVD]逆に、ファラ・フォーセット・メジャーズの死は少なからずショックでした。そして、オリジナルTV版でのチャーリーズエンジェル(※1)のイメージを今も引きずっている方が多いことを知ったのは最近のことです。実は友人にこのパターンが多いのです。しかし、実際には5シーズンあったTV版チャーリーズエンジェルの、ファーストシーズンにしか彼女は登場していなかったのです。それにも関わらず、このインパクトはいったい何であったのだろうかと、不思議で仕方がありません。私もDVDは持っていますが、このファーストシーズンのみです。

スパイ大作戦 シーズン1 [DVD]余談ですが、7シーズンあったスパイ大作戦(※2)も2シ−ズンからリーダーとして登場したジム・フェルプス役のピーター・グレイブのイメージが強烈で、ファーストシーズンだけに登場していたリーダーであるダン・ブリックス役のスティーヴン・ヒルのことは誰も知らないという、逆の結果が大変興味深い事例です。とにかく地上最強の美女バイオニック・ジェミー(※3)のリンゼイ・ワグナーとともに、ファラ・フォーセット・メジャーズは70年代後半のインパクトあるスターだったのは確かですね。ご冥福をお祈りします。ちなみに、「600万ドルの男」の主役であるスティーブ・オースチン役のリー・メジャースが1973年から1982年まで、ファラ・フォーセットの夫でした。だからファラ・フォーセット・メジャーズなのです。

※1 日本では「地上最強の美女たち! チャーリーズ・エンジェル」
※2 第4シーズンからアメージング・パリス役でレナード・ニモイ(スター・トレックのスポック)が登場していますが、やはり、ローラン・ハンド役のマーティン・ランドーと、シナモン・カーター役のバーバラ・ベイン(2人は当時実際の夫婦)が登場している第2〜3シーズンが黄金期だったと感じています。
※3 「600万ドルの男」のスピンオフドラマであったのに、本家を抜いてしまった伝説のドラマ。