ネタを訪ねて三万歩[72]交通機関のデザインは発展途上
── 海津ヨシノリ ──

投稿:  著者:


自分の行動範囲を客観的に見つめ直してみると、面白いことが発見できます。例えば、私が一週間に確実に乗降する駅を拾い上げてみると、上野毛、中央林間、久が原、二子玉川、旗の台、日本橋、本厚木、横浜、海老名、溝の口、相模大野、蒲田、飯田橋の13駅となります。

これを一か月サイクルにすると、下北沢、久我山、五反田、千歳烏山、新宿、明大前、東銀座、池袋、渋谷の9駅が加わり、合計21駅となります。

これを多いと見るか少ないと見るかは人それぞれだと思いますが、私は意外と少ないと感じてしまいました。ちなみに、すべて電車だけでカウントしています。もちろん、大学に関わるようになったが故の定期行動範囲が7割ほどなのですが、こんな生活から「本当は電車好きなんじゃないだろうか」という疑惑が私の中で芽生え始めています。

私は駅に立っているだけで、妙に落ち着いたりするのです。どんなに空いていても、ほとんどドアの側に立って走り去る風景を楽しんでいます。つまり、座席に収まるのは好きではありません。酔っ払いやヘビースモーカー、あるいは電話魔に化粧魔は論外としても、隣にどんな人が座るか選べないからです。

例えば、大声で話している人。これは車中でなくても私はダメです。数年前に大阪に出かけた際、名古屋から乗り込んできた大声のおじさん達(名古屋の方ではないです)にウンザリし、指定席でしたが席を離れて連結部分に立ちつくして大阪まで行ったことがありました。それと臭い人。タバコ臭や常軌を逸した香水の類は涙が出るほど不愉快です。最近は使い捨てのマスクをカバンに入れているので、こんな時にはすかさずマスクをして自衛しています。



とにかく、車窓を流れる風景が好きなのです。しかも、普通の町並みが。まっ、新幹線だと速過ぎて面白くないですけど。そのため、地下鉄は当然ながら好きになれません。確かに雨風を避けることが出来るメリットは図りしれませんが、季節はおろか時間さえ分からなくなってしまうので、ストレスが溜まってしまいます。

滅多に乗降しない駅の場合、出口の番号をうっかり間違えると、とんでもない場所に出てしまうなんてことがありますからね。まだまだ公共施設のデザインは発展途上ですから。例えば、地図の表示が天地逆になっていたりすることがあります。普通は北が上となっている地図を見慣れているわけですが、時々南が上の地図を表示しているところがあります。何がなんだかしばらく理解出来ませんでした。見せかけだけのデザインが、あまりにも氾濫してしまった弊害なのかもしれませんね。

話を戻し、大好きな駅もラッシュ時は大嫌いになります。とにかく、どこも階段が優先されている設計なので、階段の脇はスペースがなく、通行していること自体が危険に直結だからです。「黄色い線から出ないように」と朝方は口を酸っぱくして駅員が怒鳴っていますが、そんなの無理に決まっています。一歩間違えたら線路に落下してしまうからです。

ですから、私は乗車駅では下車する駅の出口付近に相当する位置に到達するまで、絶対に乗車しません。既に電車のドアが空いていてもです。また、あとちょっと走れば間に合う場合でも走りません。そもそも駅では絶対に走ったりしません。よく全力疾走で走っていたり、エスカレーターを走る人がいますが、神経疑います。

そんなこんなで、私が一番気に入っている電鉄会社は東急電鉄です。ユーザー優先の券売システムがあることが大きな理由です。実は私は東急をメインに利用していたので気が付かなかったのですが、東急の回数券は、10枚分の料金で普通回数券(11枚)、10時〜14時の時差回数券(12枚)、土・休日割引回数券(14枚)とバラエティーに飛んでいます。

もっとも最近は特に珍しくもないようですが、問題は回数券に対する会社側の判断。例えば150円の回数券を買うと、どこから乗っても150円分というシステムなのです。駅を指定しなくてもいいのです。これはとっても便利です。イレギュラーの利用にも活用できるからです。

ところで私は、pasmoなどのカード優先の改札が大嫌いです。混んでいるときに改札を通ろうとして、条件反射的に避けてしまいます。つまり、あのピンク色に反応してしまうのです。あれは完全にデザインミスですね。女性優先車両のピンクとオーバーラップして、女性専用と瞬間判断してしまうからです。

冷静に考えれば馬鹿な話なのですが、混んでいるときの心理状態は正常ではないですからね。ボーッとしていると、マナーの悪い乗客の一挙手一投足に振り回されてしまいます。ですから、この専用改札機はいまだに慣れることが出来ませんし、そもそも使わないようにしています。実は改札機でもうひとつ嫌いなシーンがあります。改札機にpasmoを叩きつける人のこと。目の前でやられると不快指数300%になります。

----------------------------------------------------------------------
■今月のお気に入りミュージックと映画

[微笑がえし]by キャンディーズ in 1978(日本)

「おっぱいバレー」のエンディングに流れるこの曲は、言わずとしれたキャンディーズの公式ラストシングル曲にして最高傑作。随所に彼女たちのヒット曲のタイトルや歌詞内容が盛り込まれたこの曲は今聴いても新鮮で、映画のさわやかなエンディングを援護射撃していました。

[おっぱいバレー]by 羽住英一郎 in 2009(日本)

劇場公開時はさすがに「『おっぱいバレー』大人一枚!」なんて、恥ずかしくて出かけることは出来なかったのですが、絶対に見たかった映画。例えばタイトルは「約束」で良かったのではと思います。そしてやっとDVDでの鑑賞となったわけですが、予想していた以上の出来でした。

本作が素晴らしいのは、綾瀬はるかは当然として、なんと言ってもバレー部の悪ガキたちが最後までバカのままで、憎めないキャラクターだったところですね。実話を元にしているそうですが、70年代末期が舞台となっており、ストーリー展開もテンポ良く大納得。ベタな展開もなく、とても心地よいエンティングを迎えられます。

伏線が色々と張られていて、涙腺の弱い私には随所で危ない状態になりました。特にラストでキャンディーズの「微笑がえし」がかかるシーンで、綾瀬はるか演じる寺嶋美香子先生が放つ最後の台詞「いい男になれよ」がナイスでした。スナップ写真からのエンドロールへの演出も脱帽です。

更に数々の挿入歌もナイスで、センスの良さが光っています。特にCoaCoaの「個人授業」は捨てがたいですね。オリジナルより絶対にいいです。そんな本作品は、理由なんてどうでもいいから頑張るしかないオジサン達にとって、勇気がもらえる珠玉の一作ですね。エンディングのNGシーンもキャスト達の雰囲気が伝わる心地よいモノで、まさかこの映画で泣かされるとは思いませんでした。40代以上の男性には直球です。

----------------------------------------------------------------------
■アップルストア銀座のハンズオンセッション 第3回

2011年1月17日(月)18:30〜20:00
Hands on a Macとしての画像処理セッション
< http://www.apple.com/jp/retail/ginza/
>
『海津ヨシノリの画像処理テクニック講座Vol.53 Adobe Photoshop CS5によるフォトレタッチ技法前編【レタッチ編】として、画像合成用に元画像を料理する時のマスキングのコツと背景画像との調整テクニックについて、短時間処理を想定して整理いたします。偶数月に行われる従来通りのセッションと異なり、奇数月のハンズオンセッションは予約が必要となります。なお、予約などに関してはAppleに一任しておりますのでご了承下さい。

【海津ヨシノリ】グラフィックデザイナー/イラストレーター
yoshinori@kaizu.com
< http://www.kaizu.com
>(renewed)
< http://kaizu-blog.blogspot.com
>
< http://web.me.com/kaizu
>

原則、映画は映画館で見るべきだというのは正論だと私も思います。しかし、時間に振り回されていると、どうしてもこの原則が守れなくなりつつあります。旬な映画は旬なうちに鑑賞するべきですが、それもここのところ実現不可能になっています。考えてみると料金が高いですからね。

それと電車のシートと同様に、隣に誰が来るか分からないこと。本当にマナーの悪い人が増えていますので、最悪の場合は映画の内容よりも不快感だけが残ってしまうので、「絶対に映画館」という考えは既に無意識のうちに崩壊しているかもしれません。神経質すぎると思われる方がいるかもしれません。しかし、私が学生の頃はまだまだマナーは良かったと記憶しています。とにかく、中高年の態度が最悪です。

ですから、自宅の照明を消し、大型TVでヘッドフォンで音響を占有すれば良い感じです。そんな意味で、iTunesストアで映画の提供が始まったのは朗報かもしれません。まだ少し高いですが、ロードショー作品なら安いかもしれません。

さて、最近の私の映画スタイルは、TSUTAYAとAmazonにどっぷりです。まず、絶対に購入する作品は速攻でAmazon予約。そうでない作品はとりあえずTSUTAYAで借りて、面白かったらAmazonで購入というわけです。もちろん、購入するのは資料としての意味合いが強いです。問題は、同じ映画を見た人を捜すことが難しい点。やっぱり映画は語り合わないとね。最近はもっぱら学生と熱く語り合っています。