武:こんばんはー。
山:はいよ。
武:珍しく呑み始めてますわ。
山:めずらしい? ほんまかいな。僕は今日は1升の焼酎買ってもうた。まあ明日は空けなんでいいけど。
武:なに! 明日休みなのか!!
山:そうですが。
武:くそう! 「休み」という概念が羨ましい!
山:休み作ればいいやんか。
武:「毎日が日曜日」なので休みという概念が生じない。
山:じゃあ逆に仕事作れよ!
武:そして「24時間365日仕事中」。
山:結局自分でそうしてるんやないか。
武:そうそうw
山:楽しそうやん。
武:楽しい感じする!
山:じゃあ文句言うな!
武:文句なんて言ってないがなw
山:あ、そう。ってことは、ないものねだりやな。でも自宅で個人でやってる人は確かに難しいとこあるんやろな。どないして区切りをつけてるんやろ。
武:一日できっかり死ぬw
山:そんなんなかなかできんやろ。
武:でも一日の中に「休日」を作る感覚とか、あるよ。
山:「休み」という概念があるやないか!
武:「休むぞ」という意識を作って休むんじゃなくて、ボーッとしてる数時間の空白なんすよ。知らない間に「空白」。概念とか意識の領域でもないのさよ。
山:ただ放心してるだけか。
武:そうなんすよねw 「永遠の永遠の永遠」みたいなw 実際に作業は休んでる訳だが、事前に休日へのワクワク感を認識できない。
山:どないしたいねん。まあ、とりあえず進めよう。
武:やべえ、眠くなってきたw
【縄文人展/国立科学博物館】
山:今回は国立科学博物館。縄文人展です!
「私たち人類学者は、骨によって作られた履歴書を通して生前の彼らの姿を想像する。しかし人物を理解する方法はそれだけではない。芸術は科学とは全く異なるアプローチで人物の本質に迫ることができる。一枚の写真が、あらゆる説明を越えて、人物の本質を伝えることもある。私たちは、縄文人の実像を伝える際に、芸術と科学が互いに排除するものではなく、共に対象の本質に迫る方法だと考え、この展覧会を企画した。国立科学博物館 篠田謙一」
博物館の一室を展示会場として、人類学者と写真家とグラフィックデザイ
ナーの3者が協同する、という展示やね。写真と実際の骨が展示してある。
武:同じ国立科学博物館で長蛇の列だった【マチュピチュ発見100年インカ帝国展】をスルーしてる所が俺たちのポテンシャルだよなw
山:混んでなけりゃ観てもよかったんやけど。
武:観てもいんか帝国w やべえ、すごいカタルシス得ちゃったw
山:...えーっと、縄文人について想像するという、そういう展示です。
武:デゴイチの前で記念撮影しましたよ!
< http://www.facebook.com/photo.php?fbid=404095312968695&set=a.284015148310046.73732.206228169422078
>
山:なんやこのおっさんは。
武:武盾一郎という絵描きでございます。俺ね、小さい頃このデゴイチ見てるんよね。いやあ、嬉しいわ。
山:そんな前からあったのか。
●日本人=縄文人
武:あれだね、まず俺が気になったのは「JOMONESE」という横文字だな。
山:なにそれ。
武:縄文人展の入り口の看板に書いてあったがな!
山:そんなん書いてたっけ。あ、これか。
< http://www.yoshihikoueda.com/i/soloexhibitions/jomonese/
>
武:縄文人展の英字ということか、造語なんかな。「JAPANESE」のモジリだよね。モジリアーニ!
山:...発売されてる写真集のタイトルでもあるんやな。
武:「日本人=縄文人」てことだわな。
山:なんで?
武:「JAPANESE」⇔「JOMONESE」
山:ジョウモンに「ーズ」がついてるってこととちゃうの。たまたま「J」は一緒やけど。CHINESEかって一緒やがな。
武:縄文人を普通に英訳すると「Jomon man」になるじゃん! 「JOMONESE」は造語だよw
山:造語なんやろうけど。意味よ、意味。
武:だから、「日本人=縄文人」てのがコンセプトなんだよ。縄文人に日本人の起源を求めたい願望と実証が籠められてる。
山:そうなんかね。
武:縄文人は原住民で弥生人が侵略してきた、的な、ね。
山:Wikipediaから。
弥生文化の母体としての縄文人
第二次世界大戦後には出土史料に基づく考古学が発展し、それまで弥生人に単純に置換された存在と見られていた縄文人を、弥生文化を主体的に受容して弥生人へと変化していった人々として捉え直す論調が生まれてきた。
< http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B8%84%E6%96%87%E4%BA%BA
>
武:おお、面白いね。
山:まあいろいろあるんやな。「遺伝子型から見た〜」ってとこ見ると、縄文人=日本人のルーツ、とする説もある、と。
武:ざっくりと1万年が縄文時代てことでしょ?
山:まあ、ざっくりと。Wikipediaから。
< http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B8%84%E6%96%87%E6%99%82%E4%BB%A3
>
武:縄文時代以降からの1万年前をひとつの時代に括っていいんかね? 縄文時代ってアバウト過ぎるよな。
山:わからんからそうなってるんやろうな。
武:てことは、要するに謎って事じゃん!
山:でもそんなこと言い出したら、ほとんどのこと謎やぞ。
武:確かに。現代だって他者は謎だしな。自分すら謎だし。ましてや異性なんて、謎そのものだからな。
山:謎しかないやないかw
武:実際そうだよ。「ほとんどの事が謎である」ことだけが分ってるんだよw
山:だから縄文時代に限らず、わからんことだらけやん。「おそらくそうであろう」という、わかった風なだけで。
武:てことは「科学」なんて「気休め」だってことだわなw
山:科学によって出来るようになったことってのも、もちろんあるやろうけど。
武:「藝術」は「治療」だと最近思うんですよ。「気休め」と「治療」の融合てのはちっとも違和感ないし、「科学」と「藝術」は最初から親和性が高いのよ。
山:科学って、「新しいもの」とか「新しい考え」って感じする。
武:へえ!
山:藝術ってなると、もちろん新しいこともあるけど、それだけでもない、って感じがする。
武:へえ!
山:そんなことない? 漠然としたイメージやけど。
武:科学てのは理論、藝術てのは理論の外側と言うイメージだな。左脳と右脳のような。理系と文系の区分けのような。で、対立してるかのように捉えられ過ぎてる、そんなことないのに。科学と藝術は同じようなものなのに。
山:そっか、そういうイメージもあるな。
武:むしろ「生まれ育ちがラッキーなだけの学歴エリートのアート」と「俺のアート」の乖離の方が凄まじいなw
山:そうか? 僕からしたら別に武さんがラッキーじゃない、とも思わんが。
武:別な意味でラッキーだけどな、俺w
山:同じやろ。
武:そか。じゃあ同じだ!
山:なんやその投げやりな感じはw
武:いやね、実を言うと「アートエリート達が言ってるアート」とやらもね、「俺の言ってるアート」も言ってる事は同じだなあと最近なんか感じたんよ。有名になってるか、権威があるか、稼げてるか、が違うだけなんだな。
山:でも、それで生れ育ちを引き合いに出してもしょうがなくないか? さほど関係ないと思うけどなあ。昔やったらいざ知らず。
武:ざっくりと1万年でくくれば全て一緒よ。
山:じゃあくくれよ!
武:縄文ね。
山:あ、戻しやがった!
武:俺の知的プレーさよw
山:都合がいいだけやろ!!
武:それを「知的」と言うんじゃねえか!
山:めんどくさい人やな。。。知ってるけど。
武:なにそれw
山:展示の入り口にしかまだ入ってないやないか!
武:ぶっちゃけインカ帝国展に行きたかったなー。
山:しらんがな! 展示の話をしろ!
●骨と写真
武:あ、ひとつ感じたのはね、「縄文」ていう妄想を広げないストイックな感じが良かったっす。
山:と言いますと。
武:俺なんかね、縄文に妄想を抱いてるもんだからね。そういう方向をくすぐってあらぬ方向へイメージを膨らませて行きたいのよ。縄文人の宇宙観として「我々は宇宙から来て宇宙に帰る」とか、ね。
山:縄文人の宇宙観ってそんなんやったっけ。
武:どっかで聴いたのよ。
山:どっかってどこや。まあいいけど。で?
武:ざっくり1万年を縄文としてるのに、展示はコリッと2体の人骨を展示してるだけですからね。
山:あれだけ良い状態の骨が、そんなに数ないんとちゃうの。
武:まあ「男女ペア」てことでね。けどなあ、子ども(の完全骨)とかあるといいなあ、と。
山:あるんかな。
武:あとね、装飾、衣服、髪型、そういうのも「科学」で再現して欲しかったねえ。
山:でもそれは残ってるものがないから、わからんのとちゃうの。
武:残ってたじゃん、手首に輪っかはめてなかったっけ?
山:どこにあったっけ?
武:発掘写真。
山:ああ、そっか。勾玉があったり、まったくない訳ではないんやろうな。でもそこまで展示でやったら、武さんの言ってるストイックな感じは出ないんちゃうか。
武:そうだわなw
山:骨に焦点を絞るから、そこからしか感じれないし、そこに集中出来る。
武:今回の展示はストイックな感じてとこが良かったからね。
山:あ、わかった。ストイックって言ってるのは、どういう意味か。つまり最近の展示でもなんでもいいけど、あらかじめ「こう感じて下さいね」というような答えも用意されてるフシがあるんよな。エンターテインメントってそうやろうけど。
武:ふむ。
山:個人が感じることまで、企画者が用意する。
武:ふむ。
山:そういうのがなかったんか、最小限やったんかもね。
武:なるほど。
山:想像して下さい、と。
武:物語りを捏造してない、と。
山:写真はフィクションと言えるやろうけど、実物も展示されてる。骨ってフィクションではないよな。写真を観てゾクゾクする感じと、実際の骨を観てゾクゾクする感じは、あきらかに違うし。
武:骨という現物を前にして「写真って虚像じゃん」てことを写真自体が証明してる。一般的には写真はドキュメント(実像)だけど。いや、だからといって写真が悪かった訳じゃなくて、むしろ良かった。グッとくる写真だった。この振幅を内在しながら、あえて、写真を撮れるって凄いよね。
山:写真家はそこを考えるんやろな。そりゃ。
武:漢字で書くと「写真」だからね、「写影・写光」なのにね。そこが罪だよ。真実じゃないじゃん虚実じゃん写真って。絵の方が真実だよ。
山:ま、それはいろいろ捉え方あるやろうけど。人類学者や博物学者は、常にブツを観察、分類して、そこから思考する訳でしょ。そうすると、そっからは離れづらくなるんやろうな。そこで写真家によって、ブツを客観的に、虚構的に、別のアプローチで捉えて、違う世界を見せてもらい、イメージを膨らます。またグラフィックデザイナーは、それらのモノ、その人たちの考えを展示空間や各種媒体に、イメージに合うように作り上げる、と。そういうことか。
●骨とアーティスト
武:そうね。別の箱で例えると、骨はアーティストなんだよ。写真家がDJ。グラフィックデザイナーは音響担当。あれ科学はどこにあるんだ? あ、リミックスのライナーノーツか。そういう役割なんじゃないかな?
山:今回では、科学は場所の提供もあるな。
武:クライアントか。
山:写真家やグラフィックデザイナーは、どちらかと言えば職人側で。
武:骨はやっぱアーティストだよね。
山:アーティストなんかな。むしろアーティストが骨ぐらいにならなきゃいけない、とか。
武:そうだなあ、1万年くらい存在して、発見される訳だからね。消費される訳でなく存在し続けた。
山:だいたい太古の壁画も骨みたいなもんやろ。
武:存在し続けたってことがすごいよ。生き続けたようなもんだ。発見されるまで。
山:なくなってもええやん、って気もしないでもないけど。
武:本人の意識じゃないからな。いやまてよ? 「本人の意識」ってなんだ?
山:あ、またそこ行ったかw
武:骨に自意識があるとするならさ、
山:ないやろ。
武:発掘されるまでの永い永い間、洞穴の中で、または地中で、その物質としてのプライドを守り通して、
山:ない。
武:溶けないで頑張ったんだな。
山:頑張ってない。自意識ないから!
武:100年経ったら見つけてもらえるから頑張れ! ←挫折
1,000年経ったら見つけてもらえるから頑張れ! ←挫折
10,000年経ったら見つけてもらえるから頑張れ! ←発掘
で、俺に見られて、語られてる、と。「おっしゃー!」って、その骨は思
ってるかもよ。一万年を超えて。
山:思ってないやろw
●名前
武:「B-19」とか名前付けられてたじゃん。
山:分類としてね。
武:あれ見てさ、じゃあ、俺の名前ってなんだ? って思ったよね。一万年的には意味ない訳で。
山:まあな。
武:「名前に意味がない」てどういう事だ?
山:意味はあるんちゃう? 当時のことがわからないから便宜的に番号になってるけど、もし本人の名前が出土資料かなんかに残ってたとしたら、その名前で呼ばれるやろうから。
武:文献とやらもなさそうだしね。
山:名前に意味があるって言ったけど、その意味って、おそらく「個人意識」とか「自我」っていうことなんやろね。
武:名前てのは誰かに付けてもらうものなんだよな、そもそも。
山:たいがいそうよな。
武:で、誰の自意識、自我を尊重するのかというと、名付けた側のなんだよね。
山:それはあるかもな。でもそうすると、同時発生的やな。
武:自我てのはとどのつまり、本人由来にならない、他者認証ってことにならないだろうか。
山:そうかもな。
武:それを自らが自己としてしまうところが苦悩の始まりではないだろうか!!自分にとって本当の自分てのは、台風の目の真ん中のように、空洞であるかも知れないのよ。「空」。色即是空。
山:うーん、縄文人に辿り着かんなw
【縄文人展 芸術と科学の融合/国立科学博物館】
< http://www.kahaku.go.jp/index.php
>
< http://www.kahaku.go.jp/event/2012/04jomon/index.html
>
会期:2012年4月24日(火)〜7月1日(日)
休館日:毎週月曜日
観覧料:一般・大学生600円、高校生以下および65歳以上無料
【武 盾一郎(たけ じゅんいちろう)/アーティストとして有名になって稼ぐことにしました】
出展してます! アートラッシュ『Tシャツ展』
会期:2012年5月30日(水)〜6月18日(月)11:30〜20:00(月曜日17:00まで)
火曜休 入場無料
参加作家:岡沢幸、ぬいぬい、東田亜希、武盾一郎、千葉由笑、くわナよしゆき、藤沢芳子、Yellow Bros.+Hitoshi、IWAKIRI、ラジカル鈴木、たむらせいじ、フタナシ ヒョウホン
< http://www.artsrush.jp/
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アトリエ「世界征服研究所」
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【山根康弘(やまね やすひろ)/結婚式が多い!】
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