歌う田舎者[46]薩摩藩はちんちんぼーぼーである
── もみのこゆきと ──

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先月末、極秘任務を帯びて、東経139度、北緯35度付近で、ちょっとばかり諜報活動を働いていたわたしである。え、それどこ? ♪街の灯りが〜とてもきれいねヨコハマ〜♪である。

それで久々に薩摩藩の空港をうろちょろしていたのだが、2F出発ゲート前にあるつけ揚げ屋さんを見て思い出した。Twitterで通りすがりの大阪人が「さつま揚げにはフツー生姜醤油つけて食べるよね」と言っていたことを。

じぇじぇ!ありえないでごわす! ちなみに「つけ揚げ」(あるいは「つき揚げ」)とは「さつま揚げ」のことであって、地元では「つけ揚げ」のほうがポピュラーアムラープロレスラーである。

ちゅーか、よその皆さまは、ほんとうに生姜醤油をつけておられるのであらうか? つけ揚げとは、天ぷら鍋の中で、ぷーーーっと黄金色にふくらんだ揚げ立てを、ハフハフ言いながら、そのまんま食べるものだ。

夜は、6:4や7:3の目盛りが書かれたグラスに焼酎を作り、そのアテとしていただく食い物である。揚げ立てでなかったとしても、何もつけないけどなぁ。よその皆さまが食べている「さつま揚げ」は、何か違うシロモノなのではないか。

そんなわけで(どんなわけだ?)ネタに困ったわたくし、今回はTwitterやFacebookで流れてきた薩摩藩絡みの小ネタでもまとめて、お茶を濁そうという魂胆なのであった。




◆酒と言ったら焼酎である

ベタすぎて面白くもなんともないネタなのだが、国税庁の統計を見て「え?」と思ったので、メモ代わりに書いておこう。

薩摩藩で酒と言ったら、もちろん焼酎のことである。焼酎の生産量も消費量も47都道府県中ダントツの1位だが、日本酒とビールの消費量はビリである。日本酒はともかくビールもビリというのが、わたし的にはちょっと驚きなのであった。飲み会では、「とりあえずビール」で始まることが多いのだが。

ちなみにわたしは炭酸飲料が不得意なので、しょっぱなから焼酎かワインである。日本酒も美味いと思うのだが、遺伝子配列が焼酎に最適化されているようで、日本酒を飲むとすぐに酔って頭痛がしてくる。

薩摩藩で「なんや、そのしんき臭い顔は。酒や酒や! 酒買うてこい!」と言われたら、日本酒ではなく焼酎を買ってこなくてはならない。

【国税庁:平成23年度の酒類の消費状況について】
< http://www.nta.go.jp/kanazawa/shiraberu/sake/shiryo/sake_shohi/sake_shohi.htm#a06
>

◆宮崎に負けると微妙な気分になる

友人J子が「道で宮崎ナンバーの車に抜かれると鼻息が荒くなる」と言った。そんなわたしも、数年前に宮崎に出張したときに、セブンイレブンを見て「なんで宮崎にセブンイレブンがあるんだ! 薩摩藩には一軒もないのに」と、バスの窓に手のひらと顔を押しつけて、きりきりと唇を噛みしめた覚えがある(ちなみに九州新幹線全線開通時期に、やっと薩摩藩にもセブンイレブンができた)。

薩摩藩の人間は、基本的に宮崎に負けてるはずがないと思っているのである。そもそも宮崎南部はかつて薩摩藩だったので、同じ薩摩藩連邦の一員だと思っているフシもある。

しかし方言は結構違う。宮崎弁はなにやら「おっとり・ほんわか・ゆったり」なのだ。大学の頃、教室で宮崎出身の女子たちが「今日も雨が降るっちゃね」「よだきーね」と可愛らしくしゃべっているのを聞くと、女子として微妙に負けてる気になったものである。

方言の響きのせいか、可愛らしくない宮崎女というものを見たことがない。宮崎女を嫁にしたら、きっと毎日癒されるのではないかと思う。

しかしながら、よく考えてみると、宮崎が東国原知事だった時代は、薩摩藩中の土産物屋が東国原グッズに占拠されており、そのブームが去ったと思ったら、くまもんが南下してきて、今や土産物売り場は熊本県の植民地状態である。西南戦争以降、どこに対しても負け癖が染みついている薩摩藩なのである。

◆薩摩藩のそうめんはくるくる回っている

Facebookで拾ったのだが、都会のそうめん流しは、直線に流れ行くものと聞きおよび、意味が分からないわたしである。♪ああ〜川の流れのように〜ゆるやかに〜いくつも〜そうめんは過ぎて〜♪ で、過ぎたそうめんはどうなるのだ? 誰の箸にもひっかからなかったそうめんが不憫ではないか。

もしかして都会のそうめん流しってこれですか??
【ドリフ大爆笑ユ85 流しそうめん】
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そうめん流しいうたら、これですよ、これ。
【市営唐船峡そうめん流し】
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生まれてこの方、回らないそうめん流しを一度も見たことがないわたしでありました。

◆薩摩藩の男は優しくない

なんといっても男尊女卑の総本山であるため、薩摩藩の男は優しくない。「え、そんなことないけどな。知り合いの西郷さん、薩摩藩出身やけど、そこそこフツーに優しいけどな」などと思っているあなた。その男は脱藩浪士で、都会に洗脳されてしまったのである。

20年も前の話だが、東京に行ったときに、高校の同級生だった女子が結婚する彼氏を紹介してくれた。重い荷物を持ってバスから降りるわたしに、東京男の彼氏が「持ちますよ」と言って手を差しのべた。

何すんねん! 惚れてまうがな! そんなことしてくれる人、テレビの中にしかおらんで。なんだか自分が女優になったような気がして、友だちの彼氏に「カンチ、セックスしよ」と言いそうになったくらいである。そんなことしてくれる薩摩藩の男はどこにもいない。

そういえば、道を歩いているときに「危ないから君は歩道側を......」と言って、車がびゅんびゅん通る車道側を歩いてくれた男も東京男だった。まぁ、薩摩藩の男と甘い言葉ほど似合わないものはないので、同じセリフを言ったら、「たわけ! 歯が浮くようなことを言うでない。この軟弱者が!」と謗られるのがオチであろうが。

もしかして、それは薩摩藩の男が優しくないのではなくて、単にあんたがモテ
ないだけではないのかとか、あんたのほうが重いもの持てそうなガタイなんじ
ゃねぇかとか後ろ指を指されると、そんな気がしなくもないのだが、いや、こ
こはやはり薩摩藩の男は優しくないということにしておく。とにかくわたしを
いつまでも独身のままにしている薩摩藩の男には絶望しているのである。

しかしながら、つい最近、その絶望に希望の光が差した。ちょっとしたお仕事で、とある高校の取材に行き、学食で鶏天甘酢定食を食らっていたときのことである。「いやー、さすがに高校生の学食の量は、おばちゃんにはこたえるねぇ」と腹をさすり、空のトレイを持って片づけ場所を探していたところ、近くにいた坊主頭の少年がサッと手を出した。「自分が片づけますっ」。

何やて! 惚れてまうがな! もう少しで「坊や、セックスしよ」と言いそうになった。ふっ、まったく近頃の高校生ときたら......おばちゃん、女優になってまうやないかい。薩摩藩の男と付き合うなら、高校生が狙い目である。

◆薩摩藩はちんちんぼーぼーである

あまりに普通に耳にするので、twitterで小ネタとして流れてくるまでは、おかしな方言だと思っていなかった。薩摩隼人は男らしいことこの上ないので、ちんちんにもぼーぼー毛が生えているという意味である。......うそである。正しくは「ちんちんぼっぼっ」。「そろそろ」とか「ゆっくり」という意味だ。

【使用例】
「ちんちんぼっぼっ戻らんなら」(そろそろ帰ろうかねぇ)。

「薩摩藩では鰹のお頭のことをビンタっていうんですか?」という質問も流れてきた。鰹の頭だけじゃなく、頭はすべてビンタである。「頭が痛い」は「びんたがいて」。「頭に来た」は「びんてくらい」である。ドイツ語でも英語でもない。

「びんてくらい」の正しい発音
【秘密のケンミンSHOW】02:05付近
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大阪にはチャウチャウ犬をネタにした「チャウチャウちゃうんちゃう?」というギャグがあるそうなのだが、これに対抗できる薩摩言葉は「けけけけ」である。「貝を買いに来い」という意味である。ほんとうだってば。

分解すると「貝を(け)買いに(けけ)来い(け)」になる。発音的には「けけっけけー」が最も近い。応用例として、桜田淳子を表す薩摩言葉は ♪くっくくっくー♪である。信用しないように。

※「ブルー・ライト・ヨコハマ」いしだあゆみ
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※「浪花恋しぐれ」都はるみ・岡千秋
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※「川の流れのように」美空ひばり
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※「セックスしよ!」東京ラブストーリー(10:50付近)
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※「わたしの青い鳥」桜田淳子
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【もみのこ ゆきと】qkjgq410(a)yahoo.co.jp

どうにも死にたくなるようなことばかり起こる今日この頃、人生二度目くらいのイヤ〜な沈没状態であります。しかし、まだこの世にやり残したことがあるので、それを体験しなければ死ねないのであります。

その心残りとは、1.サイゼリヤにまだ行ったことがない 2.大阪でうどんを喰ってない 3.長い間エンゼルパイのレギュラーサイズを喰ってない の3つであります。

それにしても「大阪」と「うどん」って何なんでしょうか。大阪のガイドブックを読むと、たいていうどんについて書いてあるのですが、「大阪」と「うどん」というのが、どうも結びつきません。Peach Aviationで格安航空券が出た暁には、ぜひ大阪うどんを食べてみたいので、どこのうどんが美味しいのか、どなたかリサーチしといてくださいまし。