歌う田舎者[55]あこがれのBEN E.KING
── もみのこゆきと ──

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『ご無沙汰しております、すでにデジクリでは過去の存在となってしまっている、もみのこです。』

……は? この文章どっかで読んだって? これはデジクリ2016年3月11日号のアナログステージ「桜が咲くまえにコンニチハ」byべちおサマンサさんのパクリじゃねーかって?

いや、それは夢か幻でも見たんでしょう。ついに認知症きましたか大丈夫ですか医者呼びましょうか。あ、メールボックス確認しちゃだめです。ああん、やめて、見ちゃらめえ!

二年ぶりに降って湧いた緊急登板でWORDを開いてみたものの、コラムの書き方が思い出せない。認知症はわたしではないか。真っ白なWORDのA4縦フォーマットを前にしばし呆然としたあと、デジクリのバックナンバーを唾つけてめくっていると、同様に緊急登板のべちおさんのコラムが目に入った。

ふんふん、よし、これをパクることにしよう。なになに、冒頭の文章のあとに、京都に出張したという思い出を書けばいいんだな。そこで買った美味しいものを報告すればコラム一丁上がりだぜベイビーいつだって天下無敵さ。




『先日の出張(という休息)で、京都方面へいってきました。』そう、先日の出張で京都に……行ってねえ! 行ってねえよ、京都!

どーでもいいが、いま、わたしの行きたい心の京都といえば「餃子の王将」である。薩摩藩にも「餃子の王将」はあるが、それは皆様ご存じの「餃子の王将」とは違う。大阪王将はちゃんと別に存在しているので、そちら系列でもない。

かつて京セラの稲盛和夫の親戚が、本家本元の王将フードサービスが経営する「餃子の王将」で働いていたのだが、「おいどんは独立したかでごわす」ということで、稲盛和夫が本家に仁義を切ってのれん分けしてもらったのが、薩摩藩にある「餃子の王将」なのである。

大阪王将が「餃子の王将」と名乗ることについて揉めたのと異なり、店名も本家に認めてもらっているんである。薩摩藩の「餃子の王将」は、宮崎県へも出店していいという取り決めになっているため、すなわち宮崎県は薩摩藩の植民地であるということを表して、あわわわ宮崎県の皆さんすいませんすいません。

詳しくはWikipedia「餃子の王将」をどうぞ。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A4%83%E5%AD%90%E3%81%AE%E7%8E%8B%E5%B0%86


そのような事情があって、メニューや価格帯はそう大きく変わらないものの、薩摩藩と宮崎県にある「餃子の王将」は本家と資本関係がなく、全国の皆様が行く「餃子の王将」ではないのである。

そんな折(ってどんな折だ)、京都人の知り合いに「京都で食うべきものつったらなんですかね、にしんそばとかですかね」と尋ねたところ、「何いってんですか。それは間違いなく餃子の王将でしょう」という回答が返ってきたため、それ以来ずっと気になっているのだ。

といっても、薩摩藩の「餃子の王将」に不満があるわけではない。安い、旨い、早い上にメニューも豊富で飽きない。店で働く料理人たちの侠気あふれるキビキビした動きを眺めるのも楽しいものである。

あ、ひとつ不満があった。わたしがこの世で最も好きな食べ物である春巻がないのは不満である。しかしながら、それ以外には何の不満もない。

非正規ワーキングプア道をまっしぐらのわたしにとって、こんなありがたい店がほかにあるだろうか。餃子+一品料理+焼酎お湯割り2杯で、おおよそ1,000円程度。友人帰鹿の折にはここで飲み会を催すのが最近のデフォルトである。

しこたま飲み食いしたあとは、帰り間際に入り口の人材募集ポスターを眺め、燦然と輝く「正社員・初任給22万円」という求人情報によだれを垂らして帰るまでが定番コースである。

いや、それはどうでもいい。どうでもいいのだ。京都の思い出が書けないとなるとどうすればいいのだ。泣けてくる。

♪京都〜泣いてどうなるのか〜
それは京都じゃなくて神戸だろう。すいませんすいません。

……思い出したよ。台湾だ。ワープアなあまり節約に節約を重ね続け、メンがヘラってしまいそうになった冬の日、年末の台湾行格安チケットを見つけてしまったんだよ。わたしじゃない。わたしの心の悪魔がポチってしまったんだ。去年の話だがそれだ、そのネタでいこう。

ってなことで、べちおさんの構成を丸パクリして台湾の報告でもいたしたいと存じます。

【飛行機】中華航空

LCCじゃなくて中華航空であるからには昼酒飲まずになんとする。薩摩藩-台北直行で飛行時間が2時間25分と短いことと、12時15分出発で時間が早めのせいか、機内食サービス時にアルコールが出ない。

そんなことはわたし的には許されないわけであって、空中小姐に白ワイン、次いで赤ワインまでリクエストし、喜色満面で昼酒をあおっていたんだが、機内を見渡す限り、そのようなならず者はわたし一人であった。

【宿】ゲストハウス ネオユニバース

航空券が格安とは言うものの、宿泊費がかさむとかえってメンがヘラるので、宿はドミトリー。宿主さん(日本人男子グラフィックデザイナー)も、つかず離れずの距離感で清潔快適な宿であった。おすすめである。
http://minato-tw.com/


【観光ガイドブック】るるぶ‘16台湾 ちいサイズ

これは大失敗である。るるぶの内容が悪いのではなく、ちいサイズにしたのが大失敗。荷物を軽くするためにこのサイズにしたのだが、老眼きちゃってる目には辛い。

特に地図の字が小さくて、「目がぁ、目がぁあああああ!」と叫ばざるをえないのである。介護保険料を払う年になったら、レギュラーサイズの購入をおすすめする。

【無料公衆無線LANサービス】i-taiwan

出発前にi-taiwanに登録していったのだが、ときどき謎の接続不良に。るるぶのちいサイズを携帯しても読みにくいので、地図情報は宿のWi-Fiに繋がっているときに画面キャプチャ取って持ち歩くという面倒なことに。
http://itaiwan.taiwan.net.tw/


【新幹線】

到着した日から台北はずっと雨予想だったので、しかたなく地方都市の天気予報を見ていたところ、台中はいつ見ても晴れである。そうか、台中は「晴れの国おかやま」みたいなところなんだな…ということで、二日目に新幹線で台北から逃亡。

しかし、皆様にここで有用な情報をお伝えしたい。新幹線の台中駅と在来線の台中駅は違うということを。新幹線の台中駅に直結している在来線の駅は新烏日駅で、在来線の台中駅は新烏日駅から3駅離れているのである。

ということをまったく把握していなかったので、道に迷ったまま台中の町をうろつくことになってしまった。

【観光】

☆淡水 ☆九◎(にんべんに分) ☆故宮博物院 ☆中正紀念堂 ☆建国週末花市・玉市 

とりあえず皆様が行きそうな定番ポイントには行ってみた。

時期によるのかもしれないが、九◎行きのバスは行きも帰りも満席で乗れなかったので、金額的には倍額程度になるが、そこいらにたむろってる観光客とタクシーに乗り合って移動。タクシー料金は安く、所要時間はバスより短縮されるので、そこまで大損な気分にはならない。

【生理用品】蘇菲

そんなはずではなかったのだが、やってくるものは拒めない。宿の近所のスーパーで買ったのがユニチャームのソフィである。中国語では蘇菲と書くらしい。

「弾力貼身 日本開発瞬吸引力」と大書きしてある。水道栓壊れたくらいに出血するわたしにとっては、羽なしだと横モレしそうで嫌だなー複数枚重ねるかなーと思ったのだが、台湾の蘇菲にも羽つきがあって一安心。

しかしながら、微妙に日本製品と違うところが。個包装のビニールを破ると、ナプキン本体が出てくるわけだが、接着部保護用についているシートがワンタッチで取れないのだ。

今の日本仕様だと、折りたたまれた羽部分とショーツ側のシートが微妙に連結していて、一度にはがせるのだが、台湾仕様は一枚一枚別々にはがす必要があるのだ。

昔は日本のもこうだったよ。これが小さくストレスでめんどくさい。ユニチャームよ、仕事しろ。

【夜市・朝市】

☆士林夜市 ☆饒河街観光夜市 ☆雙城街夜市 ☆雙連朝市

夜市や朝市の屋台メニューなら、ちょいとつまみ食い程度のものが多数あるので、一人旅にはおすすめ。

【食い物】

・西瓜汁

5泊6日の行程で、4杯くらいは飲んだ。単なるスイカの生ジュースである。初めて飲んだのはバンコクだったのだが、暑いところで飲む西瓜汁のうまさと言ったら! どうして日本ではあまり売っていないのだ。

たまに缶ジュースやペットボトルのスイカものを、見かけた時に買ってみるのだが、コレジャナイ感満載である。そういうわけで、ここぞとばかりにあちこちの夜市で堪能したのであった。

・胡椒餅

胡椒のきいた肉饅のようなものを釜でカリカリに焼いたっぽい食い物である。リピート3回。どこで食べてもハズレなし。

・朝飯屋

宿の近くの朝飯屋に数か所行ってみた。これがまたすばらしくハズレなし。中国語読めないので、そこにあるものを適当に指差し注文したのだが、豆漿(豆乳っぽいもの)に粉もん系のものを合わせたり、魯肉飯(豚バラを細切れにして甘辛く炒めたっぽいものを乗せたご飯)で軽く済ませたり。

一人旅のニーズにぴったりで、食べ物屋としては朝飯屋が一番楽しかったかもしれない。有名小籠包店に行かずとも朝飯屋にもあるので、次回台湾に行ったら小籠包を食べたい。

・臭豆腐

もう名前通りに臭い。なんというかあのワイルドなアンモニア臭。どこの夜市に行っても襲ってくる鼻が曲がりそう匂い。なぜこんなものを台湾人は平気で食べているんだか意味がわからんぞ、ってか全く食欲そそられない。

豆腐を植物性の発酵液に漬けたものらしいのだが、その匂いはWikipediaにも糞便臭と書かれている。しかし、このままおめおめと引き下がっては日本人として負けだ。そこまで猛アピールするなら、その喧嘩、買ってやろうじゃないか。というわけで饒河街観光夜市で恐る恐る食ってみた。

屋台のおっちゃんは、揚げた臭豆腐を鉄板で更に焼き、そこに甘酢に漬けた人参やらキャベツやらを乗っけて出してきた。プラスチックトレーで渡された臭豆腐の匂いを嗅いでみると、揚げる&焼くという調理のせいか、香ばしい匂いもするが、やはり糞便臭もそこはかとなく漂っている。

で、食った結果どうだったかというと、うーん、まあ食えないことはない。何かに気を取られた状態で食べると糞便臭もどこぞに紛れるかもしれないので、愛の告白の傍ら食べるとか、いざベッドの中で女のブラジャーを外しながら食べるとか、そのような気を取られた状態で食べればいいのではないか、と思われる。

・唐揚

なんだよ唐揚って、フツーに日本でもあるじゃねーか…なんだが、台湾では作りおきを出されるということが少ないような気がする。

わたしがオーダーした夜市の屋台では、オーダーしてから鶏肉に粉つけ始めたので少し時間がかかったのだが、揚げたてアツアツカリカリで旨い。普通の唐揚げのほかに、中にチーズを挟み込んだものやスパイシー系もあるが、サイズが巨大なので、これを食べると他のものが入らなくなるので要注意。

☆牡蠣オムレツ ☆水餃子 ☆牛肉麺 ☆マンゴーかき氷 ☆タピオカドリンク

そのほか、いろんなものを食べた。牛肉麺を食べたのは「永康牛肉麺」という有名店だったのだが、長蛇の列で40分くらいは待った。昔の北京と比べるのは申し訳ないのだが、20年前の中国本土の人は列に並ぶという概念が脳内になかったように思うが、台湾の人々は粛々と列に並んでいた。今の北京は変わったのだろうか。

それから胃袋を休めるのに買った蓮霧(英語名Wax Apple)という果物がすんごく美味かった。見た目は赤ピーマンに似ているのだが、りんごと梨を合体させたような味で、シャキシャキと爽やか。台湾のこってり味に飽きたら、ぜひどうぞ。



すばらしい台湾の思い出を抱いて帰国したワタクシ。抱いて帰ったのは思い出だけではない。食らったものも全て持ち帰ってきた。

わたしの体を通り過ぎた数々の男たちの思い出よ。あ、いや失敬、男じゃない。もとい、わたしの胃袋・小腸・大腸を通り過ぎ、肛門までたどり着いた美味なる食べ物たちの思い出よ。

君たちを台湾のトイレに流して帰るなんて、無礼なことなどわたしにはできない。そんなことになったら腹かっさばいてお詫びしたいというか、腹かっさばいてウンコ出したかったくらいの勢いだったのに、5泊6日全然出なかったじゃねえか、どうしてくれる!

ああ、あこがれの便意。
♪When the night has come
♪And the land is dark

STAND BY ME。夜が来るたびに、今日も出なかったことを思い煩う苦悩を歌い上げた名曲である。この歌の大ヒットにより、名医をつけた歌い手は便秘を解消できたということで、のちに彼はBEN E.KING(便意王)と呼ばれるようになったのである。

常日頃から便秘には悩まされているワタクシであるが、下剤は少量でも効き過ぎることがあって、ウンココントロールには細心の注意が必要なのだ。

プルーンでお腹をゆるくする作戦とか、お腹を刺激する下半身のエクササイズとか、芋食いまくるとか大根おろし毎食食うとかヨーグルトで菌活とか、そりゃいろいろやってみたのだが、決定打がない。

すると友人が「朝起き抜けにコップ一杯の白湯飲めばいいってインド人が言ってたよ」と教えてくれた。えー、白湯ってただの白湯かー。まじかー。とやってみたところ、意外とするりと効果が。そういえばコーヒーのがぶ飲みや牛乳のがぶ飲みってのも結構きた気がする。

♪わかり始めたMy Revolution 水分をとるこーとさー

そうだ。水分とればいいんだよってことで、豆漿や中国茶、西瓜汁にタピオカジュースをがぶがぶ飲んでいたにもかかわらず、お腹に鎮座まします弾道ミサイルは微動だにしなかったのはなぜなのか。この上はミサイルをバカスカ打ってる北朝鮮に赴き、偉大なる将軍様に発射方法についてご指導をお願いするしかないのではあるまいか。

台湾の思い出を振り返りつつ、今日も出なかったことを思い煩う最近のわたしである。

※「そして神戸」前川清with THE THRILL

※「Stand By Me」Ben E.King

※「My Revolution」渡辺美里



【もみのこ ゆきと】qkjgq410(a)yahoo.co.jp

今の時点で、べちおさんに断りもなく書いているのだが、編集部に原稿を送信したあとに謝り倒す所存であるからして、平に平にお許しいただきたいでごわす><。

ちなみに便秘に水分作戦だが、午前に何も予定がない休日は効くのである。しかし平日は、遠距離車通勤に加えて、その道の大半が沿道にコンビニもない一本道であるため、水分をがぶ飲みすると途中でトイレに行きたくなり、モジモジしながら運転せねばならないという羞恥AVみたいなことになるので使えないのであった;;

さて、非正規ワープアにとって4月は更新の季節。去年とおんなじ手書きの履歴書をしたため、印鑑を押し、写真を貼るという憂鬱な作業を再びやっているわけである。

手書きの履歴書の方が心がこもっているとか熱意が見て取れるとか、そういう前時代的なご意見にはウンコ召し上がれ!(下々の言葉に翻訳するとクソ食らえ)と言いたいのだが、いや、むしろわたしのウンコは滅多に出ない貴重なものであるからしてぜひ神棚にでも奉って拝み倒してほしいものであるが、先の仕事の見込みもないうちに失業というのもこれまた困るので、いたしかたなくアナログにちまちまと履歴書を手書きしている。

写真データも去年のでいーだろー超メンドくせーなチキショと思っているのだが、余計なトラブルを招くのもまたメンドーなので、新しく撮り直した。撮り直したものの、被写体になるのが大嫌いなわたしは、写真撮影されると緊張のあまり毎回顎が歪むのである。

これでは採用されまいというくらいブスくなるのである。しかたないのでフォトショでソフトフォーカスをかけ、ほうれい線を薄く修正し、歪んだ顎をフィルターで元に戻した偽造写真を作って提出した。

今日からショーンもみのこと改名しよう。