ネタを訪ねて三万歩[173]脳内が製本工場
── 海津ヨシノリ ──

投稿:  著者:



先月の大阪でのセミナーは、もうなんていうか、隣町でちょっと騒いできました的な感じで楽しませていただきました。大阪まで2時間半、片道2時間ほどの大学に出講しているので、感覚的には同レベルですね。

逆に新幹線の中での時間が中途半端で苦労しますが、最近の私はiPadなどで原稿を書いていたりします。あとは落書きですかね〜。今回は行きも帰りも隣には誰も座らなかったので、とても快適にイタズラ書きに集中できました。

しかし、相変わらず関西方面の地理的感覚が、かなりズレている私です。大阪から見て京都は隣町で、神戸は東京と横浜の距離感、という間違った地図が脳内にこびりついています。

だから、今回も新大阪と大阪の感覚をちょと混乱してしまい、大阪駅から環状線に乗り換えなくてはならないのに、新大阪で環状線を探して暫くお上りさんゴッコしてしまった事は内緒です。





ところで、今回は常連の参加者から、ガチャガチャで販売されている団子虫とザクヘッドを、たくさん頂いてしまいました。昨年の大阪でのセッションで、「欲しいんだけれど、東京でもなかなか手に入らない〜」と私が言ったことを覚えてくれていたようです。

どうやって塗装しようかなどと、これまた脳内を駆け巡る色々なアイデアに、疲れが伴うほどです。

そんなこんなで、関東以外では圧倒的に出かける回数の多い関西方面ですが、それでも勘違いが多くて苦笑い。だから、他の地域だともっと勘違いしてしまうでしょうね。

そう言えば、台湾の方が作った47都道府県を制覇する「日本制県」のページが面白いです。「居住(住んだ)」「宿泊(泊まった)」「訪問(歩いた)」「接地(降り立った)」「通過(通過した)」「未踏(未訪問)」をマーキングして、レベル数を競うわけです。

私は制県レベル78でした。ちなみに……

全てに住んだ場合は、レベル235
全てに泊まった場合は、レベル188
全てを訪問した場合は、レベル141
全てに降り立った場合は、レベル94
全てを通過した場合は、レベル47

ということで、私はかなりレベルが低いことになりました。

JapanEx 制縣等級傳説
https://zhung.com.tw/japanex/


話を戻します。夏休みの冒頭はセミナーというスタートでしたが、8月に入って直ぐに上製本のワークショップに参加しました。ワークショップと言っても参加者2名のクローズな場でしたので、とても濃い内容でした。

公開募集ではなくて、完全なリクエストによるプライベートなワークショップです。贅沢な一時を過ごすことが出来ました。上製本は学生の時にやっていましたが、かなり曖昧な記憶になっていました。

実は高校生の頃から見よう見まねで色々作っていたので、理解は早かったと自負しています。

今回は着物の端切れをカバーにしてみました。手作りは本当に楽しいですね。「いちょうごて」さえゲットすれば、すぐにでも製本が出来るだけの最低限の道具は揃っているので、ちょっと脳内が製本工場になっていたりします。

今後も、色々とチャレンジしていきたいと考えています。手漉き和紙、シルク印刷など、いくらでも希望が出て来ます。夏休みですからね〜。

そういえば、夏休みに入ってから突然、妙なスパムメールが大量に届くようになりました。集中キャンペーンなのかも。

もっとも、普段はそのまま直接ゴミ箱行きなので、気が付かないはずなのですが、たまたま学生とのメールの行き違いがあったかもしれないので、チェックしていて気が付きました。

大学で成績判定の資料として試験、レポート、課題作品などがあるわけですが、出席はクリアしているのに提出物がなかったり、試験を受けていない学生がいる場合は、メールにて問い合わせをします。私が何か勘違いしているかもしれませんし、病気や事故などで入院している学生かもしれません。

とにかく本人に確認を取り、指定の日付までに再提出を連絡し、駄目な場合は不可で再履修となるわけでが、問い合わせにリアクションをしてくれない学生が本当に多いので、ストレスが溜まります。で、問題のスパムは……。

なんと、一度もやってもいないのに……

-----------------------------------
お客様のLINEアカウントに異常ログインされたことがありました。お客様のアカウントの安全のために、ウェブページで検証してお願いします。こちらのURLをクリックしてください。
-----------------------------------
そして、お前のパスワードを俺は知っている。お前のコンピュータは私のマルウェアに感染している。
-----------------------------------
Hello, I know your password: ************
Your computer was infected with my malware, RAT.
-----------------------------------

で、このパスワードは本当に私のパスワードなのです。ちょっと冷や汗が出ました。しかし、それは某CG系ソフトウェアの代理店に登録していた、ログインページのためのパスワードで、数年前にその代理店から大量に流失したモノでした。

流出前に管轄が別の代理店に移管し、パスワードは失効になっていますので、実害はゼロなわけです。しかし、3日以内に対処しないと…… と、リンクを貼っていましたが、無視して既に3週間経過……この手のメールには毅然として対処しないとダメですね。思うに、この手の犯罪行為には厳罰を下して欲しいですね。

■今月のお気に入りミュージックと映画
------------------------------------------------------------
"Beyond the Sea" on Kevin Spacey in 2004(USA)

邦題「ビヨンド the シー 夢見るように歌えば」。ケヴィン・スペイシーの監督・脚本・主演で、往年の歌手ボビー・ダーリンの半生を描いた伝記。興行的には失敗してしまったようです。

それほど悪い作品ではないと思いますが、37歳で他界したボビー・ダーリンの18歳から30歳ぐらいまでを、当時47歳のケヴィン・スペイシーが演じるのは、画面で見ていてもかなり無理がありますね。

ただ、彼が劇中の歌をすべて自身で歌いきっている部分は、評価したいと思います。ちなみに、調べて見るとこの映画は、企画から完成までに紆余屈折があって、17年かかっていたそうです。

もし企画段階でストレートに映画が完成していたら、ケヴィン・スペイシーは30歳だったわけですから、ある意味仕方がなかったのかもしれませんね。

とにかくボビー・ダーリンは、持病と戦いながら名曲を送り出していました。長生きしていたら、世界のミュージックシーンが変わっていたかも知れません。後に彼の最初の妻となるサンドラ・ディー役を「スーパーマン リターンズ」でロイス・レインを演じた、ケイト・ボスワースがキュートに好演しています。

"Beyond The Sea" by Kevin Spacey in Beyond the Sea (2004) with Kate
Bosworth


"Beyond the Sea" by Bobby Darin at 1960(U.K)

もともとはフランスの歌手、シャルル・トレネの「ラ・メール」(La Mer)にジャック・ローレンスが英語詞をつけた楽曲。

『ファインディング・ニモ』のエンドクレジットで使用されたのはロビー・ウィリアムズのカバー版。オリジナルのフランス語版は海に対して人生と「愛」を想い、英語版が「恋」の歌になっているのが、いかにも……と感じてしまいました。

Bobby Darin "Beyond the Sea"


Finding Nemo- Beyond the Sea


Charles Trenet - La mer (Officiel) [Live Version]



【海津ヨシノリ】グラフィックデザイナー/イラストレーター/写真家/
お菓子研究家

yoshinori@kaizu.com
http://www.kaizu.com

http://kaizu-blog.blogspot.com

https://www.facebook.com/yoshinori.kaizu

https://twitter.com/Yoshinori_Kaizu


今月をもって、2010年から10年間関わってきた東京工芸大学アニメーション学科での非常勤講師を、退任することになりました。

2018年度から、芸術学部が1年次からすべて中野キャンパスに変更になった関係による、カリキュラム変更だそうです。要するに科目がなくなったわけです。

厚木で秋学期を4年、中野で春学期を6年、「インタラクティブメディア論」を1コマを担当してきましたので、正に一期一会で506名の学生と関わってきたと言うべきですね。

講義なので学生との交流がほとんどなかったのが残念でしたが、こればっかりは私が決めることではありませんので、運命としか言いようがありません。

ですので、某大学の教授からの紹介で話が舞い込んできたときには、巡り合わせを感じてしまいました。実際、厚木での非常勤講師時代の最初の年に、私が受験したときの記憶で、厚木キャンパスのバス停がそのままの状態だったのには本当にビックリしました。他はすべて建て替わってしまっていましたので……。

■9月の画像処理セッションは9月19日を予定しています。
海津ヨシノリの画像処理テクニック講座 vol.136
〜Dimensionの基礎 Dimensionの可能性2〜

参加は無料で、誰でも参加できます。詳しくは以下のサイトでご確認下さい。
https://www.borndigital.co.jp/seminar/15214.html


講演内容:Dimension本来の使い方ではなく、3DCGソフトで作成したデータのレンダリング用ツールとしての可能性を整理します。レンダリング設定が複雑なツールの場合は、思い切ってDimensionという選択肢もありだと思います。

・3Dデータの書き出しに注意
・プレビューとレンダリングの差異
・背景画像の調達
・Photoshopでの最終調整