?×?× CrossOver Talk[5]容量の重いデータ、どうやってやりとりしていますか?──MOからDropBoxまで、新旧様々なデータのやりとりを見直してみる/杏珠

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デジクリ読者の皆さん、こんにちは。studio H.M代表のディレクター/デザイナーの杏珠(あんじゅ)です。先日、デザイナーさんに「最近、MO入稿ってやったことある?」と聞かれ、そういえばここ数年やっていないなぁ......と思いました。CD-RやDVD-Rでのメディア入稿は、2年ほど前まではやっていましたが、現在はインターネット経由でデータを入稿しています。

今回はデジタルデータの入稿方法、その中でも特にインターネット経由でやりとりする際に便利な「オンラインストレージサービス」と「ファイルサーバ」についてお話させていただきます。

さて、もうすっかりお約束になりましたが、皆さんに質問です。容量の大きいデータは、どんな方法で入稿されていますか? 上記のようにMOやCD-Rなどのメディア入稿をされているのでしょうか? もしくはクライアントが契約しているレンタルサーバやオンラインストレージサービスを使っていますか? そしてデザイン作成に必要な写真やテキストデータを、クライアントとはどのような方法でやりとりされているでしょうか? 昔からよく使われている「宅ファイル便」などのファイル転送サービスを使っているのでしょうか? 最近では色々なファイルストレージサービスが出てきていますので、データのやりとりに関して、一緒に見直して見ませんか?



●容量が大きいデータの入稿はどうしていますか?

最近では、実データでの入稿も増えてきて、当事務所で取り扱うゲーム雑誌などでは、Photoshopで加工した画像やIllustratorで作り込んだデータをふんだんに使うレイアウトが多いと、入稿データもやはりそれなりの大きさになります(ちなみに先日受注した雑誌20Pの特集ページだと、入稿時の総容量は2.6GBほどになりました)。そこの編集部とは、編集部サイドで契約しているオンラインストレージサービスを使えるので、ウェブブラウザ経由でデータのやりとりをします。

そういったサービスを使っていないクライアントとのデータのやりとりの場合は、自社の環境を整えていく必要があります。方法としては、以下の3つが考えられると思います。

1◎オンラインストレージサービスを使う

「オンラインストレージサービス」とは、サーバを借りて、データをそこに保存するサービスのことです。インターネットプロバイダーにも用意されていることがあります。もしそれで条件がよさそうであれば契約も簡単ですし、大抵の所はウェブブラウザからの操作、管理もでき、手軽で便利なので、使ってみてはいかがでしょうか。ただし、他のサービスにもいえることなのですが、一定期間(たとえば1か月間)でのデータ転送量の上限が決まっていることが多いので、容量の多いデータのやりとりではそのあたりをご注意下さい。

プロバイダー以外にも、無料・有料でオンラインストレージサービスを行っているところが多数あります。Macユーザーであれば「MacServer」のような、MacのFinderを使っているような感覚で操作ができるサービスもあります。
▽MacServer < http://www.macserver.jp/ >
▽firestorage < http://firestorage.jp/ >

2◎レンタルサーバを使う

自社のウェブサイトやブログなどの設置を考えていて、なおかつデータ容量の大きいものをやりとりしたいということであれば、レンタルサーバを借りるのもひとつの方法です。独自ドメインまで取れるところ、メールアカウントを複数設定することなど、サービスも様々なのでデザイン業務全般で使うのであればこちらをオススメします。ちなみに当事務所では「ロリポップ!レンタルサーバー」を使っています。
▽ロリポップ!レンタルサーバー < http://lolipop.jp/ >

3◎自社ファイルサーバを使う

これは特殊な位置付けになりますが、余ったPCをファイルサーバにしたり、NAS(ネットワーク接続ストレージ)を使って、外部から直接データにアクセスできる環境にする、というものです。手元のサーバ(PC)にデータを残しておいて、クライアントにアクセスしてもらうといった感じになります。過去のデータも引き出したり、素材集などのデータを管理して、いつでも読み出せるようにしたり、やりとりするデータ容量をより多く取り扱えたり、メリットはとても大きいです。

ちなみに当事務所では、現役引退したPowerMac G4にOSX Server(10.4)をインストールして稼働しています。導入した経緯を簡単に説明しますと、営業に行ったデザイン会社の方から、株式会社THINKSNEOの大里さんをご紹介いただいたんです。以前DTP関連雑誌でOSX Serverの記事を書かれていた事を知っていたので、大里さんの事務所に伺った際に、直接その環境を見せていただきました。コスト面からも導入するメリットが高いと感じ、早速設置しました。OSX Serverのインストール、プリンタやセキュリティの設定、契約プロバイダーでの固定IPサービスの契約などを経て、およそ1週間で稼働し始めました。

セッティングが面倒と思われる場合は、Snow Leopard Serverを搭載したMac miniのようなオールインワンパッケージで使えるモデルも出ていますから、これから導入する方は、こちらも検討されてはいかがでしょうか?

サーバにアクセスする場合、クライアントごと、担当者ごと、グループごとにアクセス権を決めることもできますし、出張先やモバイル環境でPCを使っている人は、インターネットが繋がる環境であれば、どこからでもOSX Serverにアクセスできます。OS9からのファイル共有を使った事があれば、設定もさほど難しくないと思いますので、興味のある方はぜひチャレンジしてみて下さい。ちなみに現在、取引先のスキー雑誌編集部や、その他クライアントとのデータのやりとりは当事務所のOSX Serverを利用してもらっています。
▽アップル - Mac OS X Server Snow Leopard < http://www.apple.com/jp/server/macosx/ >
▽Snow Leopard Serverを搭載したMac mini < http://www.apple.com/jp/macmini/server/ >
▽THINKSNEO < http://www.thinksneo.jp/ >

以上、3つの提案をさせていただきました。初めは1番から、必要になれば2番にアップグレードする感じがよろしいかと思います。3番目はストレージサービスというより、仕事環境全般を変えていく感じになりますが、やはり容量を気にせず、どこからでもデータが出し入れできるメリットは大きいので、興味のある方は検討してみてはいかがでしょうか。

●デザイン作業に必要な素材データ、デザインチェックに必要な校正用PDFデータのやりとりはどうしていますか?

テキストデータ、スキャンしたラフ画像や仮配置のInDesign、Illustratorのデータ、写真データ......メールに添付するには容量が大きいデータを先方に送るのは気が引けたり、受信容量オーバーで相手側が受信できるかどうか判断に迷うことはないでしょうか? そんなシチュエーションで、使ってみてはどうかというサービスを3つ紹介します。

1◎「宅ファイル便」などファイル転送サービスを使う

DTP業界では昔からよく使われているファイル転送サービス「宅ファイル便」など、ウェブブラウザから送信したいデータをサーバにアップロードして、そのダウンロード先URLをメールにて相手に知らせるというサービスを使うのが一般的かと思います。昔はアップロード容量が少なかったため、容量の大きいデータの場合、分割して送る事もありましたが、最近では容量も増えてきて、そういった問題も解決されてきているようです。ファイル転送サービスは各社色々と出ています。
▽宅ファイル便 < http://www.filesend.to/ >、
▽データ便 < http://www.datadeliver.net/ >、
▽ファイルオクール < http://www.fileocool.com/ >)

2◎オンラインストレージサービスを使う

入稿データのやりとりと重複しますが、アップロードしたデータが一覧できるということと、アップロードする総容量が大きい場合オンラインストレージサービスを使った方が良いこともあります。Appleが提供している「MobileMe」でも「iDisk」というストレージサービスがあります。データをアップロードした後に、ウェブブラウザ上からダウンロード先URLを先方に知らせたり、ダウンロード可能なファイルのダウンロード期間など設定できます。

3◎所有しているPCのデータと、サーバや複数台のPCと同期ができるオンラインストレージサービスを使う

この種類のサービスは様々な会社から出てきていますが、今回は「Dropbox」というサービスをご紹介します。作業しているPCの特定のフォルダにデータを入れると、サーバに自動的にデータをアップロードしてくれるサービスです。複数台のPCにDropboxのアプリケーションをインストールしておくことで、起動しているすべてのPCのデータが自動的に同期されます。

たとえば会社で作業をしているデータを特定のフォルダに入れておけば、しばらくすると同期がはじまります。同期が終了したあとに帰宅して、自宅のPCを立ち上げると、データの同期が自動的に始まります。しかもiPhoneやDropboxアプリケーションが入っていないPCでも、ウェブブラウザからデータにアクセスでき、使い方は自由です。さらには共同作業をしている人とIDを共有すれば、データが常に同期されるので、作業中のデータも常に最新になります。もし必要なファイルだけ渡したいときは、特定のデータのダウンロード参照URLを作成して相手にメールなどで知らせればOKです。2GBまでなら無料で使えますし、有料で容量をアップグレードすることも可能です。動作環境はWindows、Mac共に使う事ができます。
▽Dropbox < http://www.dropbox.com/ >
▽SugarSync < http://www.sugarsync.com/ >

と、そこそこ容量が大きいデータのやりとり方法を提案させていただきました。今回お話したインターネット経由でのデータのやりとりは、最近では当たり前のようになりつつあると、回りの編集部やデザイナーさんからのお話で感じています。クライアントごとに対応の方法は違ってくると思いますが、仕事の効率化や進行をスムーズにするためにも、ストレージサービスやファイルサーバを使ってみるなど、一度、インターネット経由でのデータのやりとりを見直してみてはいかがでしょうか。

【あんじゅ】ask@happy-montblanc.com
Design × Lifehack × CrossOver Lab
< http://happy-montblanc.com/wordpress/ >

東京都出身。デザイン事務所「studio H.M」代表。エディトリアルを中心にデザイン業を営んでます。愛車のSKYWAVE250にPSPのマップラスナビをつけていろんな所に出没してます。大手コンビニエンスストアと某家電量販店でAV機器(カーナビ、衛星放送機器、テレコ)の販売経験を持つ、妙な経歴の持ち主のディレクター/デザイナー。
「みんなが幸せになることはないか?」をモットーに、日々自分が気になることを追求し、業種、仕事にとどまらず多方面で物事を追求し、答えを求めている天国思考な人物です。最近はモチベーションを上げるためにはどうしたらいいか? という事もよく考えるようになったので自分で勝手に『モチベーションクリエイター』という肩書きを作りました(笑)
機械モノ(PCとかガジェットとか。iPhoneは2台持ち)が大好きで、小学校低学年からの生粋ゲーマー、料理(食べ物)が大好物です。業種、仕事の内容、もちろん仕事でなくとも「ピンっ!」と何かを感じてくれましたら、いつでもコンタクトいただければ嬉しい限りです。