ゆずみそ単語帳[26]性別おひろめで大惨事の巻/TOMOZO

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すこし前のことだが、CNNのニュース速報で妙な見出しを見た。

「Yet another gender reveal backfired, this one leading to a plane
crash in Texas.
(Gender Reveal がまたもや裏目に。今回はテキサス州で飛行機が墜落)」

Gender reveal=「性別を明らかにする」だよね。

それが backfired(裏目に出た)ってなぜ?

そしていったいなぜ、飛行機が墜落?

最初、LGBT関連で何かが起きているのかと思ったのだけど、そうではなかった。





ぐぐってみると、「gender reveal」というのは、おなかにいる赤ちゃんの性別がわかったときに、それをみんなに知らせる、という意味で使われてるのだった。そのおひろめパーティーが「Gender reveal パーティー」。

ウィキペディア先生によると
「Gender reveal parties are typically held near the middle of the pregnancy.
(Gender reveal パーティーは、妊娠中期におこなわれることが多い)」という。

むかしは子どもが生まれたときに「It’s a boy! 」または「It’s a girl! 」とかかれた風船とかリボンを飾って、男の子でしたよー、女の子でしたよー、とお披露目していたものだけど、いつの間にかそれが、おなかから出てくるのを待たずしてお披露目するのことになっていたのであった。

Gender reveal パーティーは、どうやら10年くらい前からのトレンドらしい。全然知らなかった。

ニューヨーク・タイムズの記事(2019年6月)
https://parenting.nytimes.com/pregnancy/gender-reveal-cake

これによると、最初は、切ってみると中にブルーまたはピンクのクリームやスポンジがはいってるケーキで性別をおひろめする、というインスタ映えするアイデアを、とあるブロガーが2008年に紹介し、それがSNSで一気に山火事のようにひろまったという。

アメリカ人の中には、こういうホームパーティー系のイベントになると、命が燃え出す人がかなりの割合いて、ときに異常なまでのクリエイティビティを発揮するのは周知のとおり。

前庭のハロウィンやクリスマスのデコレーションが、どんどんエスカレートしていき、しまいにはどこかのテーマパークのアトラクションのような、入園料を取られそうな有様になっていくのとおなじ原理で、しかもSNSという燃料を投下されて、性別おひろめパーティーの演出も映えるだけでなく、どんどん奇抜な方向に爆進していき、ペットのワニを使ってピンクの粉を撒いてみたり。
https://heavy.com/news/2019/06/gender-reveal-pet-alligator/

つい先月はアイオワ州で死亡事件まで発生した。
https://www.nytimes.com/2019/10/28/us/gender-reveal-party-death.html

ピンクだかブルーの粉を室内でまきちらそうとして、手製のパイプ爆弾的装置を作ったら、それがガチで大爆発し、56歳の親族が亡くなってしまったという悲劇。

生まれた子どもは、自分の性別おひろめパーティーで親戚のおばさんが爆死したと聞いたら、いったいどういう気持ちになるんだろうか。

山火事のように広まったこのトレンドは、じっさい2017年にアリゾナ州で山火事を引き起こしている。

からからに乾いた山の中に、火薬の一種とブルーの粉末を詰めた箱をおいて、それを銃で撃ち、爆発させるという衝撃的な性別おひろめのおかげで、1万9,000ヘクタールが燃え、800万ドルの損害を与えた。
https://www.cnn.com/2018/11/27/us/arizona-gender-reveal-party-sawmill-wildfire-trnd/

山火事の原因を作ったこのお父さんは、8万ドルの罰金支払いを命じられているそうである。切ない。

先日のテキサスの飛行機墜落事故も、小型機でピンク色の水を撒いているあいだに、低空を飛びすぎて地面に接触したという。さいわい死者は出なかった。
https://www.newsweek.com/gender-reveal-plane-crash-botched-stunt-absurd-trend-1470812

生まれてから何年かたって、やっぱり自分は別の性別だったと分かって変わることだってあるんだから、なにも生まれる前から男だ女だって、そんなに大騒ぎせんでもいいと思いますけどね。


【TOMOZO】yuzuwords11@gmail.com

米国シアトル在住の英日翻訳者。在米そろそろ20年。マーケティングや広告、雑誌記事などの翻訳を主にやってます。

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