子育てSOHOオヤジ量産プロジェクト[131]iPhoneみて日本がヤバイと思ったことについて
── 茂田カツノリ ──

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みなさま、新年あけましておめでとうございます。

年末最後の原稿を病欠により落とした上に、新年早々から渡米して時差ボケに苦しみ、ついでに時差とは関係ないただのボケで日本の曜日を間違えて原稿送るのが遅れた茂田です。

年始早々、成田エクスプレスには乗り遅れ、スーツケースのキャスターは壊れ(ちぇ、けっこう高いの買ったのに……)、サンフランシスコまで来たにもかかわらずMacworldExpoのプレス入場却下され、歴史に残るiPhoneの発表を生で見損ねるなど、実に僕らしい間抜けな日々を過ごしてる。

(いや、昔は普通にプレスで入れたから、まさか今回入れてもらえないとは思わなかったもんで、レポートできなくてすいません皆さん……)。


●しかしiPhoneすごいっすね

かねてから噂が飛び交っていた、Appleのケータイ「iPhone」がついに発表された。

これはiPodに電話が付いたというような生やさしいものではなく、ジョブスの言う「Appleが電話を再発明した」という言葉に違わぬ凄いものだ。

まだちゃんと見てない人は、以下をぜひみてほしい。

・iPhone発表の動画
< http://events.apple.com.edgesuite.net/j47d52oo/event/
>

このiPhoneを、派手なインターフェースを持ったケータイだという表層的なところだけ見ちゃうと、その真価を見落とす。

注目したいのは、まず「ユーザーインターフェースはこうあるべき」という理想を持った上で、それを本当に実現し、たった$599で買える製品に仕上げたこと、そしてそれを世界中に強くアピールするよう、きっちりショーアップされた状態で発表したことだ。

iPhone登場の背景として、いわゆる「スマートフォン」というものの存在から考えてみたい。

ジョブスのデモでも紹介されていた「BlackBerry」というカナダ製のスマートフォンは、近年世界中で多く利用されている。メールなどの情報を内部に蓄積しないなど、ビジネスの現場での活用をしっかり考えた製品。コミュニケーション手段として、重要な存在になっている。

W-ZERO3〈es〉フリーソフト完全ガイド―決定版!!でも、BlackBerry程度の端末なんて、日本にもいくらでもある。特にWILLCOMのW-ZERO3なんて、機能もデザインもBlackBerryなんかよずっとずっと上だと僕は思う。

しかし、世界中で使われ、企業の基幹システムの重要な構成要素となっているBlackBerryと比べると、W-ZERO3なんてまったくの日本ローカルな存在に留まってしまっている。

その主な原因はもちろん、電話の規格が日本(と韓国)だけ世界標準じゃないことだ。いまさらながら、なぜに日本がデジタル携帯電話としてGSMを採用しなかったのか。

日本がGSMを採用しなかった理由はいろいろあるとは思うが、海外の端末メーカーを参入させにくくして、日本国内メーカーの地位を有利にしようなどという考えが仮に働いていたとしたら、これは未来の世代への犯罪とすら言えるくらいの愚行だったといえる。

そして注目のiPhoneも、GSMによる通話と、GSMをベースにしたEDGE(Enhanced Data GSM Environment)というデータ伝送技術を使っているから、現状では日本では使えない。

iPhone自体は発表されたばかりで、これからFCCの認可を取ってアメリカの発売が6月、その後今年の第4四半期にヨーロッパで発売されるが、アジアは2008年と発表された。

これは推測だが、iPhoneの3G版が2008年に登場し、そこで初めて日本で使えるようになる、という意味なのだろう。

EDGEはたかだか384kbps。すでにHSDPA方式で3.6Mbpsなんて速度が実用になってる日本のほうが、ずっと進んでいるはずなのだ。

ずっと進んでいるはずなのに、気づいたら思いっきり世界から取り残されているという状況は、ケータイに限らない。この状況はヤバイし、せっかく世界一の労働クオリティを誇る日本が世界的には取り残されてくというのは、実に悔しくもある。

●ま、どの国かっていうことはあまり考えずにいこう

日本だけヤバいじゃんと思う反面、いまとなっては国なんてものはあんまし関係ない、という思いもある。

実際、いまこうしてカリフォルニアに来て仕事しているが、これも僕が日本人だからということは関係なくて、単にFileMakerでソリューション開発する会社を探した結果として、僕らを指名してくれている。

カリフォルニアの会社からすると、たとえばシカゴあたりに依頼しても飛行機で3時間かかるから、だったら東京に依頼してもそんな変わらない、という感覚らしい。Skypeで連絡の付く東京の人のほうが、連絡してもつかまらない地元の人よりいい、との話もあった。

世界の経済成長から取り残され、いろんな国に抜かれている日本は、格差社会の性質を強めることで復活をはかっている。

格差社会ってホントにいやな言葉だが、さらにいうと格差によって救われる人が、日本はアメリカよりもずっと少ないんじゃないか、ということも感じる。

これは僕がこの数か月、日米を往復してみて感じた範囲だけなのであんましアテにはならないが、少なくとも僕自身が『FileMaker職人』として生きるぶんには、日本では明白に負け組になる。日本に十数名しかいない認定デベロッパ資格保持者であっても、取引先との関係は単なる出入り業者のひとつ、という感じのところが多いし。

これが、特別な技能にそれなりの敬意を払ってくれるアメリカでは「ちょい勝ち組」くらいにはなれるかな、と感じている。

あ、僕の今年の目標は「ちょい勝ちオヤジ」になることにしようっと。

【しげた・かつのり】shigeta@amonita.com
Webコンサルタント/プランナー & FileMakerデータベースデザイナー。
『ちょい勝ちオヤジ』(c)Katsunori SHIGETA All Rights Reserved.ってことにしておこう。

・【イベント】「FileMaker Fun Night! AppleStore銀座」
1月13日(土)18:00〜19:30
< http://www.sevensdoor.com/event.html
>
FileMakerユーザのためのマンスリーイベント「FileMaker Fun Night!」。
今回のテーマは「データモデリングを考える」です。DB設計の際は「このテーブルは分けるべき、それともひとつにすべき?」などといったことで悩むもの。そこで今回は具体的事例をもとにした、データモデリング手法について考えてみます。

FileMaker Pro大全・【書籍ご案内】「FileMaker Pro大全」絶好調発売中!
< http://www.rutles.net/books/156.html
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[有限会社レクレアル(FileMakerソリューション開発)]
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< http://www.amonita.com/
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[Max_blog —"インターネット拾いモノ"でも執筆中]
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