子だくさんIT社長のFileMaker日記[33]「光の道」は国家存亡の危機を救うと思う
── 茂田カツノリ ──

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ソフトバンク孫正義社長がこのところUstreamなどで主張されている、「光の道」構想における回線会社設立案。これは、日本という国家の存亡危機を救うかどうか、というくらい重要な話だと僕は思う。

●「光の道」は、AかBか。

< http://www.softbank.co.jp/hikari/
>

11月18日の全国紙朝刊に、ソフトバンクによる意見広告が掲載され、これにともなってTVなどでもこの話が取り上げられていた。

そもそもインターネットメディアではずいぶん前から大きな話題になっていたのに、新聞やTVなどのオールドメディアで取り上げるまでにタイムラグがあるということ自体が、この「光の道」問題の本質かと思ったりするが、とにかくお年寄りの方達にもこの問題の存在は伝わったようだ。

孫さんの案の本質は、メタル線の全廃にある。全国に張り巡らされたメタル線はとっても維持費がかかっており、これを全廃し光に置き換えれば、最初はお金かかっても総コストは安上がりで、そして全国津々浦々に光ファイバーによるインターネット接続が実現する、というのがざっくりとした話だ。

これを実現するために、NTTを分割するなど、細かく具体的な提案がなされている。

・ソフトバンク「光の道」への提言
< http://www.softbank.co.jp/hikarijp/
>

これに反対する側の主張として、「光が欲しいと言われない相手にまで引くのは無駄使い」というものがあるのだが、ここは僕の専門分野にも関わってくるので、ちょいと一言。



●見えないインターネット

インターネットをどう使うかと人に聞いたら、Webブラウジングとか電子メールとかの答えが返ってくるだろう。これは、インターネットというものの存在がはっきり見える形での使われ方だ。しかし、インターネットが活きる範囲はこれだけじゃない。

インターネットとはちょっと違うが、ガスメーターの検針においてはすでに電話回線を使ったシステムがひろく実用化されている。ガスを使って料理している人は、別に電話回線を使ったシステムを使ってるなんてことは意識することはない。

これからは「インターネット使ってるぜ」というものではない、無意識に使われる場面がどんどん広がってゆく。そしてこれは、特に高齢者向けの生活支援・医療・介護といった分野において活用される。

おじいちゃんおばあちゃんは、iTunesで演歌ダウンロードしたりYouTubeで綾小路きみまろの動画を発掘したりはしないかもしれないし、そもそもパソコン持ってないかもしれない。でもパソコンにまったく縁がない生活してても、インターネットの恩恵は受けるのだ。特に今後はそこが強まる。

てなことは火を見るより明らかな話だから、「需要のあるところから光にすればいい」というのは、まったくもって詭弁というか、筋の通らない話。「見えないインターネット」だけを使おうという人は、自分から必要性を表明することはないけど、実際には便利に使うことになるのだから。

ここでは「見えないインターネット」という表現を使ったが、これはちょっと前に乱発されていた「Ubiquitous」という言葉がもつ概念そのものだ。ただ、Ubiquitousという言葉がバズワード化し、「クラウド」同様に概念が不明確になってくるのが嫌なので使わなかった。

●NTTは頑張ったのであと一歩だ

光ファイバーというと、このところ指摘されている談合の件も思い浮かぶ。光ファイバーの整備はすでに国家的大事業であったわけだが、その素材においてここまで広く不正が行われていたことは、いち国民として本当に腹立たしい。

光ファイバーを納品される側のNTTだって、公益的企業なのだから責任は重いことは確か。でも、ここまでしっかりと全国に光ファイバー網をはりめぐらしたここまでの動きは、明確にNTTの功績といって良いだろう。

これを人口過疎地域まで到達させる残り数歩は大変とは思うが、そこを埋める意義は大きい。あとちょっとなのだから、ソフトバングでもNTTでも総務省でも誰でもいいから頑張ってほしい。あるいは住友電工、古河電工、フジクラがカルテルで儲かった分で実施してもらってもいい。課徴金160億円払ったから金ないか...。

●小さな動きを出発点に日本を「再・建国」しよう

全国全家庭に光回線があるとなったら、それを前提とした新しいアイデアを付与した機器がどんどん登場し、現実に問題をいくつか解決し、世の中を変えてゆこうという機運が隅々まで高まってゆく、そんな好循環を起こしたいという気持ちが、孫さんの言葉からは強く感じられる。

この好循環が起こせれば、日本は変われる。こうした世の中においての断片だけでも変えてゆけば、やがてそれは大きな流れになるんだ、と僕は信じている。

いま日本は、まさに国家存亡の危機といえる状況。特に、生活者が幸福を感じられないという点が大きい。しかしまだ治安はいいし貿易黒字もある。だから、立て直すならいまのうち、でないと今後もっと深刻な事態になる。

日本をもう一度建国しなおすくらいの気持ちをみんなが持てば、大きな山も動くというものだ。

世の中便利になったというが、まだまだ足りない部分は多い。特に医療においては、現場のお医者さんは大変な思いしてることを僕も実感するし、これからもっと大変になるんだから、IT関係においてやるべきことは多い。

僕の専門はいわゆるエンドユーザコンピューティング支援、つまりパソコンで実際に業務を行う人がシステム開発に深く関わったり、自分で改造をするというものを助ける仕事なわけだが、この立場からも「光の道」に関してできることはたくさんある。

僕はいいシステムを作ったり、有用な情報を提供し、その価値を広めてゆくことを頑張って進めたいと思うのであった。しかし儲からないな、もっとうまくやらないとな...。

【しげた・かつのり】エンドユーザコンピューティングの道具としてのFileMakerに大きな将来性を見込む起業家。起業して15年以上立ってもまったく成功できないが(苦笑)。FileMaker公認トレーナー/FileMaker11認定デベロッパー。株式会社レクレアル代表取締役、四児の父。エンドユーザコンピューティングそしてFileMakerネタにご興味持っていただけた方は、僕の会社サイトでメルマガ登録をお願い致します。コンサルティングだけ、データベース基本設計だけといったご依頼も大歓迎ですのでよろしくです。

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