電網悠語:日々の想い[150]探す/伝える/結ぶ
── 三井英樹 ──

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Twitterで不満を述べた結果、その不満解消に一歩近づけたという話が増えてきた。企業と個人がダイレクトにつながった好例なのだろう。

サウスウエスト航空の乗客が怒りをツイートして、その結果お詫びのメッセージと次回無料航空券をゲットした話があった(らしい)。Twitter凄いな、と思いつつ少し引っかかった。いやいやちょっと待て。そもそもサウスウエスト航空はユーザ重視指向性の強い会社だ。目の前の仕事に注力する前に、目の前のお客様が望んでいることを考えようとする風土がある。そっちの方が鍵なのではないか。

そもそもお客様サポートという部隊はどこでも持っている。アンケートだってどの機内誌にもついてるだろう。ましてや、口頭で言おうと思えば、空港中にいるその会社ロゴを付けている人すべてが窓口だ。ユーザの声を集める仕組みはなくはない。

そうした窓口にクレームを言う、あるいは書くという行為の敷居の高さはある。レスポンスも早いとは言えないかもしれない。でも、そうした場での振る舞いをきちんとしてきたから、Twitterという波が来ても即対応できたのではないだろうか(検索すると幾つかの失敗の歴史も見れます)。

Twitterに限らず、ネットでの発言は広がりやすい。それは今に始まったことではなく、路上で大声でクレームを叫ばれているのに等しい。更にそれが人という媒体を通して、増幅減衰されながらこだましていく。残響のように延々と続く場合もある。それに眉をひそめることもできるが、真摯に向かい合うこともできる。リスク管理として実直に取り組む企業も多い。




情報が、TVのコマーシャルでガンガン流され、紙メディアでダメ押しをする時代が衰退していき、ようやくネット特有の文化が定着のレベルで広まっている。商品をネットで初めて知り、興味を持ち、評判を見て、購入するなり更なる評判を書く。一般ユーザはここ10年で確実にネット社会での振舞いを学習し、身に付けて行っている。

mailで連絡し合い、自分のサイトを作り、Blogに載り、mixiにはまり、SNSをやりつつCGMに加担し、オークションで売買し、アフィリエイトで小銭を稼ぎ、Twitterでつぶやく。しかも、パソコンなしでケータイでそれらを苦もなくやっていく人たちもいる。肩肘張らず、自然体に新しいことを覚え、試行錯誤し、馴染み、自分色に染めて、更に発信する。

もちろん、それらができるのは総人口から考えるとまだまだ少数派だろう。でも何事もアーリーアダプターがいて、広まっていく。その中で、更なる試行錯誤が起こり、喧嘩も起こり衝突も起こり、新たなルールや秩序が生まれていく。それらも数ヶ月のスパンで、徐々に崩壊し再生し育っていく。

個人がネットを受け入れて生活自体を変えていき、ネット自体、社会の一部として何かしら変化をしながら広がって行く。でも、会社はその最後にやってくるようだ。看板のような形としては早かったのかもしれない。もはや自社サイトがない企業は珍しいだろう。10年前には想定しなかった予算がここに使われている。

しかし、その後が続かない。看板を立てて満足してしまったようにも見える。その看板がどのように見えているのかを気にしない。でも紋切型の情報提供の後に続くものがある。それがコミュニケーションである。挨拶をしてから握手をして友人になっていく、そんな関係性の育成が、企業と個人の間で成立するのである。10年前はおとぎ話のように聞こえたかもしれないけれど、実際にそれらは起こっている。

CMを見て検索し、思いついては検索し、人との会話の中でひらめいてアクセスし─。企業や商品と、人との距離感が明らかに変わり始めている。コミュニケーションのスタイルが変わってきているのだ。

その最たる部分が、今はTwitterなのだろう。ようやく企業Twitterも始まり、面白い動きが出てきている。こんなコミュニケーションが成立するのかと驚かされることも多い。いきなり有名社長と話ができたり、提案ができたり、担当者に感情移入したり応援したり。

でも、まだまだ道が定かではない。どこに向かっているのか分からない。広告代理店を通さずに、ダイレクトにコミュニケーションできることに直面して、未だに困っている観がある。だから最近の企業Twitterも、名物担当者で終わってしまう危惧がある。企業として、個人ユーザに真剣に向かい合っているんですよ、と伝えるべき場面なのに。


双方向コミュニケーションという言葉を、技術用語として捉えていたんだろうなと、自分でも思う。話ができる二人(企業と個人ユーザ)が出会えば、そこには必然的に会話が生まれるのである。何を話していいか分からないでは済まされない場面も多い。

Web屋はそういった領域でも呼ばれ始めている。より現実的な戦略策定の場である。単なるグラフィックでも、情報整理でもない。事業計画に密接に関わる部分で必要とされ始めている。それは嬉しい。かなり嬉しいと言って良い。

そんなWeb屋の進み方を考えながら、ちょっと前に、自分でネットって何だろうと考えた図を思い返す。ネットの本質は何かを省くもの、何かを集めるもの、そして何かを広げていくものなのだろう。その上で、ユーザも企業もどう使うか。それは探す/伝える/結ぶの3点だろう、と。

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  ▼探す
  情報を探す、モノを探す、技術を探す、人を探す、熱意を探す、チャンス
  を探す

  ▼伝える
  人を伝える、情報を伝える、技術を伝える、想いを伝える、熱意を伝える
  チャンスを伝える。

  ▼結ぶ
  人と情報を結ぶ、人とモノとを結ぶ、人と技術を結ぶ、人と想いを結ぶ、
  人と人とを結ぶ、人とチャンスを結ぶ。技術と技術を結ぶ、技術とモノと
  を結ぶ、技術と情報を結ぶ、技術と想いを結ぶ、技術と人とを結ぶ、技術
  とチャンスを結ぶ。情報と情報を結ぶ、情報とモノとを結ぶ、情報と技術
  を結ぶ、情報と想いを結ぶ、情報と人とを結ぶ、情報とチャンスを結ぶ。
  そして、ビジネスとビジネスを結ぶ。

的をはずしてはいない気がしている。さて、何と何を結びつけてこうか。

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