武&山根の展覧会レビュー アーカイブとレポートの重要性を知る──【驚くべき学びの世界展】を観て
── 武盾一郎&山根康弘 ──

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武:こんばんはー。
山:シャワー浴びてましたわ。いやー、今日も暑かったからね〜。もう熱中症になるかと思たがな。
武:こんな時は缶ビールをカシュッ!と、、って酒がない! どこにもない! 一滴もない! 料理酒すらない! エアビールgkgk。

山:しらふかいな。チャットやのに。そんなことあるんや。
武:水道水を念力でビールにする。
山:念力って、、、まあ、呑まん方がええかもな。。
武:念術「養老の滝!!」、ごくごく。うん。水道水だ!
山:あたりまえやろw

武:くそう、量子力学的に考えたら起り得るはずなのに。。
山:起こるわけないやろ。ってね、7月に入ったんでなんや調子が上がってきたんですよ!たぶん。
武:お、いいですねえ。やっぱり暑くなると陽気になりますね。こないだの展示の帰りもよく呑んだしね。

山:呑んだっけ。
武:覚えてないのか、代々木のなんて店だっけ? 立ち飲み屋。ちょっと呑み過ぎたなw 毎度の事だけど。
山:なんやったっけ。おいどさんやったか。あ、おくどさんかw
武:あ、ちょっと納豆とって来る。

山:ほんまに酒はないんかw という訳でですね、今回は久しぶりに、ワタリウム美術館に行って参りました! バリー・マッギー以来なんかな。
『俺たちはストリートから生まれた「バリー・マッギー展/ワタリウム美術館」
を観て』
< https://bn.dgcr.com/archives/20070711140300.html
>

武:2007年の、7月じゃんw
山:すごいな、そんなに経つんか。なんか4年前の読むとはずかしいもんやな。
武:楽しそうだよなw
山:勢いがある。金もないのにw
武:今もないけどな。
山:知ってるけどな。

武:元気だぞ!今も! ていうか、今の方が元気。
山:酒すらないけどな、、、って、話進めよう。
武:おお、なんだっけ? バスキアか。
山:ちゃうがな!
武:そうだったそうだった。バンクシー。
山:なんでやねん! 教育系ですよ今回は!



●【驚くべき学びの世界展】ワタリウム美術館

武:今回のチャットはうまいこと言える気がしないんすよ。
山:「うまいこと」なんて今までも言ってないやん。
武:もうね、しらふでも泥酔でも能力さほど変わらないですよ。
山:常に呑んでるようなもんか。
武:そうね。

山:そうね、ってww
武:常にハッピー、脳みそお花畑。
山:やっぱり過去の飲酒がきてるんやろな、、、でもその方が実はええかもね。
武:酒もないし、納豆ともやしだけだけどね。幸福感に包まれてるよ。
山:そうですか。ほんなら気楽にいきましょ。僕はもう出来上がりかけですが。

武:丁度、子ども向けワークショップしに行こうと被災地に行って来たのでね、
『山元町、石巻大街道、網地島に行ってきました』
< https://bn.dgcr.com/archives/20110608140200.html
>
子どもに対してミョーに重く捉えてしまってるのかな?
山:まあそういうのあるかもね。で、サクッと概要。要は幼児教育なんですね。それの展覧会。

近年、世界最高水準の教育実践として注目を集めているレッジョ・アプローチの起源は、第二次世界大戦直後の北イタリア、レッジョ・エミリアで、村の人々が戦車や軍用トラックを売り払い、手づくりで始めた「自分たちの学校」でした。そこに、ローリス・マラグッツイ(1920-1994)という素晴らしい教育者が加わり、独自の方向性とインスピレーションを与え開花していきました。今回の展覧会では、レッジョ・アプローチが2000年以降取組んでいる最新の試み、現在進行形のプロジェクトを中心に紹介します。
< http://www.watarium.co.jp/exhibition/index.html#ex
>
レッジョ・エミリア
< http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%83%83%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%83%9F%E3%83%AA%E3%82%A2
>

武:手作りインディペンデント学校、フリースクールってことになるのかしら。
山:それを町ぐるみ、町と言うか、もうちょっとおっきいんか?
武:市民から産まれて行政がそれを保護していくってことかの。発生のプロセスがいいよな。日本だとさ、行政が絡んで来ると何か「一番大切なもの」が消え去ってしまう傾向ってある気がするんですよ。
山:日本で言えば、京都市がやってる、みたいな感じなんかな。

武:なんだろなあ。ヨーロッパがなんでも優れてるとは思わないし言いたくもないけど、こういうの観ると溜め息出るよな。日本ではこんなことやってねーよなー、とか。やってるとしたら本当に特殊な一部裕福層しか入学出来ないような学校だったりさ、って思ってしまうわ。
山:行政とは言うものの、市民活動的でもあるんか。
武:イタリアってそういうイメージあるよね。

山:お国柄?
武:うーん、なんだろうなあ。行ってみたいなあ、イタリア。。。
山:「第二次世界大戦直後の1945年、労働者階級の市民たちが、街に残されていた戦車を売って幼児施設を作るための資金をまかないました。その後、市民たちの草の根的な要求に対応する形で、レッジョエミリア市が運営する幼児学校が数多く生まれていったのです」サンドラ・ピッチニーニ氏談

武:運動が盛んだし、行政が運動を支えるし。そこは日本と逆なんだな。
山:まあヨーロッパですから。
武:国民投票で脱原発が勝利してから、俺、本当にイタリアを好きになってしまったよw

山:でも今の日本で国民投票やったらそうなるんちゃうの。
武:どうかね? やってみたいもんだよ。
山:ならんのかな。国民投票をやらない、ということが問題か。

●展示=報告

武:そうだな。で、展示の話をちょろっとだけすっか。
山:ちょろっとですかw
武:まずさ、長いロールにレポートを印刷してそれらを展示空間に自由な感じに張り巡らせて見せてるよね。+展示ブツ。
山:ああ、展示の方法な。あれは正直観にくい。でも、それが良かった。

武:そういうことなんだろうけどね。整然と研究レポートを陳列展示しても、この教育プログラムの在り方ではないもんな。うん、わかる。好きか嫌いか?
山:僕は好きと言えば好きやね。

武:めちゃくちゃアカデミックな内容だからこそ、くるくるとロールしてたりするのが面白く感じるってのはあるかな。「意味を理解」させるより、レッジョの現場を「感じ取って」欲しいわけだからね。展示方法も教育的ってことか。
山:見に来てた人達の多くがおそらく教育に携わっている、或いは携わるであろう若い人やった。学生なんかな。

武:勉強の為に観に来てた感じだったよね。
山:そうね。藝術ってモノを、理屈でわかる感じにしたいのであれば、ああいう感じがいいのかも。
武:これさ、レポートの仕方がうまいんだよな。現場自体はビデオでちょっと観たけど、まとまりもないし、まったりダラダラしてたりするんだよね。

山:そうやな。
武:それを「画像にトリミングする時」、「レポート(展示)というフレームにおさめる時」、のうまさが際立ってるのかなあって思ったよ。もちろんそれは「プログラム内容と現場」が良いからだけど。
山:実際どうかわからんけどなw

武:そうかなあ。
山:どんな教育者も良い風に見せたいんやろうし。映像かて編集出来るしな。
武:映像じゃなくて展示ね。レポートする意識の高さ、というか。
山:色んな意味があるんやろな。実際には現場は問題だらけやったりしてw でも、本当に優れた人材を作りたいからこそ、レポートが重要なんやろうけど。

●アーカイブとレポート

武:言ってみればこれって報告書でそ。「教育報告書」。
山:そうやね。
武:こんなふうに普通は報告しないよね。
山:いい報告書なんやろなあ。

武:誰に向けてるか、ということか。補助金を出してくれるようにと、役人にお伺いを立てて、判子押してもらう為に提出するレポートではないもんね。
山:「社会」に向けてるんやろうねえ。
武:そうだねえ。報告する場合の態度、立ち位置ってのかなあ。

山:意識が違うんかね。
武:教育の現場があってさ、すでに同時にアーカイブ、レポート、が考えられてるってことなんだよね。日本にどれだけそんな教育現場があるだろうか?
山:抽象的やなあ!
武:抽象的じゃないだろ! 実践的な話じゃろ!

山:え? そうなん? もうわからん。。
武:難しい話してないだろ! 記録、つまり、カメラがいつでもいる。用意してるんだよね。
山:みんな持ってるやん。
武:プログラムの実践だけで普通はいっぱいいっぱいじゃん。教員は日々のプログラムをこなしながら、アーカイブとレポートを同時にすでに行なっているから、あういうレポートができるんじゃないのかなあ。

山:撮影部隊が別にいたりするんかもな。
武:そうかもしれないけど、発見と意味を常に与えて行く。これはすごいね。
山:はあ。
武:子ども教室手伝ったけど、現場でプログラムこなすのが精一杯で、それをアーカイブして、レポートなんてちょっと大変だな。

山:はあ。
武:そこの子ども教室だって、哲学というか子どもと美術について、直感的に考えて、10年以上やってるんだよね、内容と現場はいいんですよ。
山:へえ。
武:けど、それらを同時にアーカイブしてレポートするなんて出来ないなあ。
山:やってる人いるんちゃう。実は。

武:レポートは日本だとあんまり重きを置かれてないというか。社会に向けて発信するレポートより、判子を押してもらえるレポートの作り方なんだよな。日本て。
山:知らんだけちゃうの。
武:うん。知らない。日本の教育現場で、いや教育だけじゃなくていいよ。制作でも政策でも、現場があって、どこだって現場は一生懸命だよ。優れてるんだよ。で、同時にアーカイブとレポートを行なってるのか? ということを俺は言いたいのだ!

山:......。
武:今回のこの展示で分ったことは、現場でいつもアーカイブ録ってるってことでしょ。発見を記録し、その直感をレポート出来るように態勢が出来ている。
山:そうやろな。
武:レポートは社会に向けている。権威のお墨付きを頂く為にお偉い人を喜ばすためのレポートではない。
山:武さんがやるしかないんちゃうw

武:楽しく。リリカルに。哲学的に。直感的に伝わるようにレポートする。
山:え、自分はできないって話?
武:ちがうよ! 展示の話だよ!
山:もうちょっとわかりやすく。
武:さっきからずっとわかりやすく話してるぞ!!

●「ペタゴジスタ」と「アトリエスタ」

山:まあそんなことは知らんねんけど、いやあ、もっと構造がしっかりしてるよな。「ペタゴジスタ」と「アトリエスタ」というのがいるらしい。このサイト面白いので最後まで読んでみてください。
< http://www.kokuyo.co.jp/hiramekilab/report/vol1/italy02.html
>

武:ふむふむ。興味深い。なるほど「ドキュメンテーション」てのね。やっぱり最初からそういうのが含まれてるんだね。
山:そうみたい。

また、レッジョでは、先生たちが「ドキュメンテーション」という独自の方法で、子供たちの遊びや活動を写真やメモを用いて観察、記録し、資料化しています。ジュウディチ氏はその意義を次のように語ります。
「子供たちの遊びを形にして残すことで、先生たちは、彼らの研究や考え、発見などの精神的な営みを知ることができ、今後の子供たちへ関わり方や、新しい教育方法を考えるための参考にします」
そしてドキュメンテーションされた子供たちの活動は、地域の人々の交流の場で、保護者を含めた多くの人たちの目に触れるものとなります。
「公園や広場などで、子供たちは作品を展示したり、子供たちが作ったレッジョエミリア市のガイドブックを出版するなど、街をひとつのテーマ、舞台として、子供たちの視点、物の見方を紹介しています。そのことで、子供たち自身も、自分たちが文化の作り手であることを広く認識できるのです」

武:いいなあ。宮下公園なんて、ワークショップとか野宿者とか運動とか排除してナイキの施設が建っちゃうんだよ。
山:東京は凄いねー。そんな「都市」。
武:そういうことによって生きようとする都市の公園があるならば、それとは真逆の公園が日本のどこかにあって欲しいな。

山:本気で思いますか?
武:なにを?
山:レッジョみたいに日本もなってほしい、って。
武:ある部分はそう思うなあ。
山:で、さらに、自分でやりますか?

武:週3でアトリエリスタのパートやりたいなあ。きっとヨーロッパってほとんどワークシェアリングのパートタイマーでしょ?
山:やってる人達はいるんちゃう。お金ないかも知れないけど。
武:週2でアトリエスタ。
山:できるんか。

武:なんで藝術が情操教育に有効だとされてるのか? それはひとりひとりの違いがとてもポジティブな形で立ち顕われて来るからなんだよね。ドローイングや立体など創作物や身体表現を通して。同じルールに乗って競い合わせた勝ち負けとか優劣や序列付けではなく。
山:なるほど。

武:これから先、多分、そういうことの方が重要になる、社会や、経済においても。なので、レッジョのような取り組みは今後日本でも広まって行くと思う。(と、願う)
山:どうなんやろ。

武:日本も教育方針は近いところがあると思うんですが、アーカイブ・レポート、つまり「ドキュメンテーション」がない。発表の立ち位置が違う。授業参観も運動会も親というクライアントを満足させるための発表会だったり、報告書は業界内での権威付けだったりして、「社会」に向けたものとは言い切れない。そこが変わって行くんじゃないかなあとうっすらと思うけど。
山:はあ。酔っぱらいのレポートは、社会には必要ないかw

【驚くべき学びの世界展】ワタリウム美術館
< http://www.watarium.co.jp/exhibition/index.html
>
会期:2011年4月23日(土)〜7月31日(日)11:00〜19:00 水21:00
休館日:月曜日(7/18は開館)
入場料:大人1,000円 学生800円(25歳以下)ペア券:大人2人1,600円/学生2人1,200円(期間中、何度も使えるパスポート制)

【武 盾一郎(たけ じゅんいちろう)/ちゃんと喰えてる画家】
上尾の自宅アトリエにて『個(別)展』始めました。作品を観たいあなた、ぜひ一度、きてみてください! 都合のよい日取りで、お待ち申し上げます!!
似顔絵ドローイングを差し上げます!【プチ・パトロン】になって下さい!
経費や食事や交通費などを支援して下さい!こんな感じです。
< http://d.hatena.ne.jp/Take_J/searchdiary?word=%2A%5B%BB%F7%B4%E9%B3%A8%5D
>

『武盾一郎の企画書#01 滞在ドローイング』
「神社仏閣、公民館、美術館などにうかがって、その場に寝泊まりしながら、襖、壁、床、天井、外壁などに絵を描きます。その「出張装飾」の全過程まるごとが、僕のアートです。
ご依頼いただける方、どうぞご一報ください。コーディネートしていただける方も、もちろん歓迎です。
< http://www.facebook.com/note.php?note_id=207290389315856
>
take.junichiro@gmail.com
twitter < http://twitter.com/Take_J
>
武盾一郎の企画書
< http://www.facebook.com/junichiro.take
>
武盾一郎の報告書 Take Junichiro report.
< http://d.hatena.ne.jp/Take_J/
>
Take Junichiro Art works
< http://take-junichiro.tumblr.com/
>

【山根康弘(やまね やすひろ)/酔い方が変わってきた】
yamane@swamp-publication.com
SWAMP-PUBLICATION
< http://swamp-publication.com/
>