《他業種の人と一緒に行動すると思いもかけないことが起きる》
■映画と夜と音楽と...[532]
カラードたちの優雅な生活
十河 進
■ところのほんとのところ[72]
ふるさと高松にて
所幸則 Tokoro Yukinori
■歌う田舎者[30]
誰もバックしてはならぬ in 琉球王国
もみのこゆきと
■映画と夜と音楽と...[532]
カラードたちの優雅な生活
十河 進
■ところのほんとのところ[72]
ふるさと高松にて
所幸則 Tokoro Yukinori
■歌う田舎者[30]
誰もバックしてはならぬ in 琉球王国
もみのこゆきと
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■映画と夜と音楽と...[532]
カラードたちの優雅な生活
十河 進
< https://bn.dgcr.com/archives/20120210140300.html
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〈ミシシッピー・バーニング/背信の日々/リリィ、はちみつ色の夏/夜の大捜査線〉
●「粋な負け犬」と形容されたジェームズ・ガーナー
ジェームズ・ガーナーについては、「きみに読む物語」(2004年)のときに書いた。「スペースカウボーイ」(2000年)で久しぶりに再会したとき、ずいぶん老けたと思ったが男っぽさはいつまでも変わらない。テレビシリーズ「ロックフォードの事件メモ」で一般的にも知られる俳優だが、今年84歳になるからもうスクリーンでは会えないだろう。
そう思っていたが、キネマ旬報2月上旬号で鬼塚大輔という人がジェームズ・ガーナーについて書いていた。そのコラムを読んで、「やっぱりね」と僕は膝を叩いた。我が意を得た思いである。コラムのタイトルは、「気骨のある『粋な負け犬』」となっていた。もちろん、それはジェームズ・ガーナーのことを指している。「粋だけど、負け犬ではないだろ」と僕は思った。
コラムでは、ジェームズ・ガーナーの自伝(翻訳は出ていないようだ)が紹介されている。ガーナーは1963年の「ワシントン大行進」に、シドニー・ポワチエ、バート・ランカスター、サム・ペキンパー、ポール・ニューマンとジョワン・ウッドワード、トニー・カーティス、リナ・ホーン、マーロン・ブランドなどと一緒に参加したのだという。
そのメンバーがいい。ニューマン夫妻はハリウッドのリベラル派代表みたいな存在だが、反動的でマッチョなイメージがあるサム・ペキンパーのリベラルさが証明されたようで、僕はうれしくなった。ガーナーはFBIや映画会社の幹部たちの恫喝にも屈せず、信念を持って「ワシントン大行進」に参加し、あの有名なキング牧師の演説「私には夢がある...」を聞く。
孫引きで恐縮だが、ガーナーは自伝の中で「あれほど力強い言葉を聞いたのは生涯で一度だけだ。私は歴史が作られるところを目撃していた」と書いているという。子供の頃、欠かさず見ていた西部劇「マーベリック」、「大脱走」(1963年)で目が見えなくなったドナルド・プリーザンスをかばって逃げるアメリカ兵を演じたジェームズ・ガーナーを、僕は改めて見直した。
「大脱走」が封切られたのは、1963年の夏休みだった。その夏休みが終わりに近づいた8月28日、人種差別に抗議する人々がワシントンに向かって大行進をした。リベラル派のハリウッド・スターたちは、自分たちが参加することで抗議行動がより注目されると信じた。ポワチエやリナ・ホーンなどのカラード(有色人種)と違い白人スターたちには相当に強い圧力がかかったに違いない。
当時、南部では公然とホワイトとカラード(当然、日本人も含まれる)を区別する法律が適用されていた。カラードは公共のバスでも専用席でないと座れなかった。州によっては、鉄道も黒人専用車両を指定していた。それに対し、黒人たちは公民権の適用を求めた。ジョン・F・ケネディが大統領になったことで、さらに公民権運動は盛り上がった。しかし、1963年11月22日、ケネディはダラスで暗殺される。
その日のことは、僕もよく憶えている。天気のよい秋の日だった。僕は、テレビでケネディ暗殺のニュースを見た。その後、60年代のアメリカはベトナム戦争と黒人差別問題で騒乱が続く。公民権は認められたもののキング牧師もマルコムXも暗殺され、より過激な黒人組織ブラック・パンサーが登場する。人種差別反対とベトナム反戦と学生たちの反乱が渾然一体となった時代だった。
●人種差別を告発する映画はたくさん作られてきたが...
公民権運動と聞くと、僕は「ミシシッピー・バーニング」(1988年)という映画を思い出す。1964年、ミシシッピ州で公民権活動家三人が行方不明になる。その実際の事件に基づいた映画だ。監督は、硬派のアラン・パーカー。その事件の調査にミシシッピを訪れるFBI捜査官を演じたのが、ジーン・ハックマンとウィレム・デフォーだった。
ジョン・F・ケネディ大統領の死後、跡を継いだ副大統領のリンドン・B・ジョンソンは公民権法の制定に積極的で、1964年7月2日、法案に署名し公民権法が制定される。しかし、法律ができたからといって、根強い黒人差別がなくなるわけではない。おそらく、根っからの差別主義者にとっては、公民権を振りかざす黒人は余計に腹立たしい存在だろう。いっそう怒りを募らせたに違いない。
1964年、日本が東京オリンピック開催に向かって盛り上がっている頃、アメリカ南部では公民権法を背景にして、権利を主張する黒人たちを憎む白人たちがいたのだ。「ミシシッピー・バーニング」を見ると、その頃の状況がよくわかる。FBI捜査官に対して警察も非協力的だし、クー・クラックス・クランなどの白人至上主義者たちは敵意を丸出しにする。
「ミシシッピー・バーニング」を見たのは、1989年の春のことだった。その数ヶ月前の冬、僕は「背信の日々」(1988年)という映画を見ている。デブラ・ウィンガーとトム・ベレンジャーという、当時、人気のあった美人女優と男優を起用した、ラブ・ロマンスの振りをした人種差別糾弾映画だった。監督は硬派で、政治的な作品を多く作ったコスタ=ガブラスである。
ほんの数ヶ月のうちに「ミシシッピー・バーニング」と「背信の日々」を見た僕は、その二本をセットのように記憶している。「ミシシッピー・バーニング」を思い出すと、同時に「背信の日々」を思い出すわけだ。どちらも南部の白人たちの血に埋め込まれたような、根っからの人種偏見を描いている。その二本を見ると、彼らにとって黒人は人間ではなく、家畜同然なのだとしか思えない。
それは、やはり奴隷制度の名残りなのだろうか。白人至上主義者たちは黒人を殺し、平然としている。牛や豚やニワトリを殺しても良心の呵責を感じないのと同じで、彼らは黒人を殺しても何の後ろめたさも持たない。「ミシシッピー・バーニング」にも「背信の日々」にも、そんな醜い白人たちが出てくる。
それでも「ミシシッピー・バーニング」は制作時から20数年前の設定だったが、「背信の日々」は映画が作られた同時期の話である。デブラ・ウィンガーはFBI捜査官で、ある事件のために南部の町に身分を偽って潜入する。そこでトム・ベレンジャーの農場主と知り合い、愛し合うようになる。だが、やがてトム・ベレンジャーが白人至上主義者たちが作る秘密結社の一員だと判明する。
トム・ベレンジャーたちは、銃器に異常な偏愛を示す。森の中に黒人を追い込み、ライフルを抱えて全員で駆り立てていく。それは獲物を追うハンターと同じだ。獲物は黒人であり、彼らは人間ではない。現在もワシントンでの強力な圧力団体として存在する全米ライフル協会は、トム・ベレンジャーが演じたような男たちによって支持されているのだろう。
人種による差別、偏見...、自分と違うというだけで他者を排斥してしまう人間たち。何と愚かしい存在であることか。そんな愚かな人間の姿を描いてくれたという意味で「ミシシッピー・バーニング」と「背信の日々」は、僕にとって忘れられない映画になった。
●1964年7月1日から始まる14歳の白人少女の物語
ジョンソン大統領が公民権法の文書にサインしてから44年後、一本の映画が制作された。「ミツバチの秘密の生活/The Secret Life of Bees」という、全米ベストセラー小説を映画化した「リリィ、はちみつ色の夏」(2008年)である。原作が出版されたのは2002年、日本語の翻訳が世界文化社から出たのは2005年のことだった。
映画は、ショッキングなモノローグで始まる。「4歳のとき、私は母を殺した」というナレーションである。クローゼットらしい暗がりの中に幼い女の子が潜んでいる。かいま見える部屋の中では、男女が争っている。やがて、少女の前に拳銃が落ちてくる。母親らしい女が「それを渡して」というように近付く。そのとき、銃声が聞こえる。
それから10年、リリィは拳銃の暴発で母を殺してしまったことを深い心の傷として生きてきた。記憶が曖昧で「もしかしたら私のせいじゃないかもしれない」という一縷の希望を抱いていたリリィに、父親のT・レイは「おまえが拳銃を拾って暴発した。おまえのせいだ」とあえて傷付けるように言う。ひどい父親だ。そんなリリィの味方は、黒人の家政婦ロザリンだけである。
「リリィ、はちみつ色の夏」は、1964年7月1日から始まる。7月4日の独立記念日が迫っている。その前に黒人たちは、重大な7月2日を迎える。ジョンソン大統領が公民権法に調印するのである。ロザリンはテレビ中継される調印式の様子を、食い入るように見つめる。公民権法が成立し、ロザリンは選挙権の登録をするために町に行こうとする。
──いやな予感が私の胸に沈んだ。きのうの夜だって、ミシシッピ州の黒人男性が登録しようとして殺された、とテレビで言っていた。私自身が耳にしたのは、協会の執事をしているバシーさんがT・レイに言ったことである。「大丈夫だよ。完全な筆記体で書かなきゃだめってことにするのさ。iに点が打ってないとか、yの最後を丸めてないとかケチをつけて、用紙をわたさないだけのことだ」(小川高義訳)
ロザリンと一緒に町に出かけたリリィは、案の定トラブルに巻き込まれる。黒人が選挙権の登録にいこうとするのを邪魔する白人たちに行く手を阻まれ、その白人のブーツに咬みタバコの汁を吐きかけたロザリンは逮捕されるが、隙を見てリリィはロザリンを連れて逃げ出す。もちろん家には帰れない。リリィは、母が遺した小さな手がかりを頼りに、母の過去を探ろうとティブロンという町に向かう。
1960年に発行(映画化は62年)され大ベストセラーになった「アラバマ物語」がスカウトが30年前の少女時代を回想するのと同じように、「リリィ、はちみつ色の夏」もリリィが14歳の夏を回想する。しかし、同じ南部の黒人差別を描いても、舞台になった時代に30年の差がある。そのせいか、「リリィ、はちみつ色の夏」は、ファンタジィのような楽しさや美しさがある物語になった。
●黒人のマリア像というアイコンが映画を象徴している
ティブロンという町の食料品店でリリィは偶然、黒人のマリア像をラベルにしたハチミツの瓶詰めを見付ける。それは、母の遺品の中にあった黒人のマリア像の絵と同じものだった。リリィはそれが町外れの黒人の養蜂家が納めている商品だと聞き、ロザリンと共にその家を訪ねる。そこは外壁を派手なピンク色に塗った、不思議な家だった。
その家には黒人の三姉妹が住んでいる。でっぷりとしたオーガスト(8月)は長女で養蜂家、スリムな次女のジューン(6月)は黒人学校の教師、三女のメイ(5月)が家事を担当している。そして、その家の居間には黒人のマリア像が置かれていた。リリィは何かを感じ、嘘を付いてロザリンとその家に住み込むことにする。彼女たちが泊まるのはハチミツ小屋。集めたハチミツを加工するための作業場である。
オーガストを演じるクィーン・ラティファがいい。天才子役と言われた頃から比べると成長した、リリィ役のダコタ・ファニングも思春期の少女の心の揺れを繊細に演じるけれど、その少女のガラスのような心を見守るクィーン・ラティファは包容力にあふれ、こんな人にハグされたらそれだけで安心できるだろうなあ、と思う。固太りだが、柔らかそうな丸い体型が頼もしく見えてくる。
印象に残るキャラクターが、三女のメイである。彼女には双子のエイプリル(4月)がいたのだが、エイプリルは町で黒人であることで差別され、ひどく傷ついて鬱病になり、15歳のときに猟銃で自殺する。己の半身のような存在を喪ったメイは、オーガストに言わせれば「世界と双子になったように」おかしくなる。世界中の悲しみに反応し、精神的にひどく不安定になるのだ。
──たとえばね、リリィ、あたしたちは外の世界の悲しいことを聞くと、そのときは悲しいと思うけれど、すっかり動揺するわけじゃないでしょう。心の中に防衛機能がそなわっていて、つらさに打ちのめされずに済んでいる。でも、メイはね、そういうのがないの。何もかもまともに受け止めて、世の中の苦しみが、みんな自分の身に突き刺さったように思うのよ。区別ができないの(小川高義訳)
メイは「嘆きの壁」を作っている。悲しいニュースを聞いて情緒不安定になったメイは、紙にその悲しい出来事を書き付けて、石を積み重ねて作った壁の間に埋めるのだ。そこは彼女の祈りの場であり、そうすることでメイは何とか悲しみから回復できるのである。しかし、特別に大きな悲しみに襲われると、メイは自分自身が生きていけないほどにふさぎ込む。
広い養蜂場で、リリィの夏が穏やかに過ぎていく。リリィの周囲には黒人しかいない。白人の少女はひどく目立つはずだが、誰もそんなことは気にしない。リリィは、生まれて初めて安らぎの場を得る。オーガストと共にミツバチの巣箱を見てまわり、作業を手伝う。巣箱の中のミツバチたちの羽音に耳を澄ませる。ハチミツ作りの作業を手伝っている、ハンサムな黒人少年ザックにほのかな恋心さえ抱く。
だが、ある日、ザックと共にトラックで町に納品に出かけたリリィは、白人たちの注目を浴びる。黒人と白人が並んでトラックに乗っているだけで、奇異な目を向けられる時代だ。ハンサムな黒人の少年と白人の少女のふたりは、町中の関心の的になる。怪しまれ、ザックは白人たちに憎しみの視線を向けられる。穏やかだった世界に、邪悪なものが紛れ込み始める...
「リリィ、はちみつ色の夏」は、今だから作ることができた映画だ。人種差別が激しい時代だったら、「夜の大走査線」(1967年)のように現実を鋭く描き出す映画になる。フィラデルフィアの殺人課刑事バージル・ティッブスは、南部の田舎町の駅で黒人で大金を持っていたために逮捕されるし、町の権力者である農園主を殴り返すと、農園主は同行した署長に「撃ち殺せ」と命令する。白人たちは東部の刑事と知りながら、ティッブスをリンチしようと襲う。
僕が「夜の大捜査線」を見た頃、前述のようにアメリカは人種差別反対、ベトナム戦争反対などを叫ぶ黒人や学生たちの熱気で坩堝のように沸き立っていた。あの熱い時代から半世紀近くが過ぎた。あれから、何かが変わったのだろうか。変わった、と僕は思いたい。黒人たちの優雅な世界を、黒人と白人の親密な関係を、「リリィ、はちみつ色の夏」のように描ける時代になったのだから...。
【そごう・すすむ】sogo@mbf.nifty.com < http://twitter.com/sogo1951
>
内藤陳さんのお別れの会が開かれる椿山荘に向かって、目白駅からブラブラと目白通りを歩いていたらとんでもなく遠いのが判明。それでも村上春樹さんの短編「螢」(後に「ノルウェイの森」第二章になった)に出てくる学生寮「和敬塾」、講談社が持っている「野間記念館」、「目白御殿」こと田中邸、田中角栄の相続税を物納した「目白台運動公園(旧田中邸の庭)」などを発見したので、得した気分だった。寒かったけど......。
●第25回日本冒険小説協会特別賞「最優秀映画コラム賞」受賞
既刊三巻発売中
「映画がなければ生きていけない1999-2002」2,000円+税(水曜社)
「映画がなければ生きていけない2003-2006」2,000円+税(水曜社)
「映画がなければ生きていけない2007-2009」2,000円+税(水曜社)
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「1999年版 天地創造編」100円+税
「2000年版 暗中模索編」350円+税
「2001年版 疾風怒濤編」350円+税
「2002年版 艱難辛苦編」350円+税
「2003年版 青息吐息編」350円+税
「2004年版 明鏡止水編」350円+税 各年度版を順次配信
< https://hon-to.jp/asp/ShowSeriesDetail.do;jsessionid=5B74240F5672207C2DF9991748732FCC?seriesId=B-MBJ-23510-8-113528X
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■ところのほんとのところ[72]
ふるさと高松にて
所幸則 Tokoro Yukinori
< https://bn.dgcr.com/archives/20120210140200.html
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[ところ]は正月に高松へ帰省した後、また帰っていました。今年から、高松での生活を今までより大幅に増やすつもりもあるからです。
[ところ]は一人っ子なんです。実際は20歳までは姉と僕で二人姉弟だったのですが、[ところ]が大学で授業を受けてる真っ最中に電話が入り、姉の死を知りました。今までの人生で、母親のあんなにも悲しい顔を見たことはありません。母が[ところ]にすがりついて、長いこと二人とも硬直していたのを覚えています。
その後[ところ]は結婚し、あまり家に帰らなくなりました。理由は沢山ありますが、ここでは伏せておきます。ただ、3年前に母が倒れて入院し、その看病疲れや精神的なものもあったのでしょう、後に父も同じ病院に入院し、直接連絡がとれなくなってしまったということもショックでした。
父と母はどこまでも人が良く、父は弱っていたところ元の弟子につけ込まれ、何十年もかけてある種ブランド化していたお店を失ったようです。父が人生のすべてをかけたものでしたから、今とても悔やんでいます。
最近になってそのことを知った[ところ]としては、放っておくわけにはいきません。母の余命も考えると、[ところ]もある程度高松にも住まなければならないと結論付けました。その住む場所のリフォームを友人の建築家・西森陸雄君に頼み、一度見に行こうということでまた高松に行ったのです。
西森君は朝一で来て最終で帰るというスケジュールだったのですが、[ところ]にはひとつ引っかかっていることがありました。それは正月に訪れた時、家族で買い物の移動中に、とても不思議な光景「影」を見てしまったことです。普通の人は気がつかないのでしょうが、街を撮る写真家【ところ】としては見逃さなかった。そのときカメラを持っていなかったことを強烈に悔いたのです。
それもあって、本来1泊2日でもいいところを4泊5日にして、そのポイントに撮影に向かいました。その「影」の出る時間は昼間の15分程度。初めて見た日から既に10日が過ぎ、微妙に影の形も変わっていましたが、なんとか許容範囲。
しかし、太陽のある方向にだけ雲がかかる日が続き1日目も2日目も無駄足でした。3日目にしてなんとか撮れましたが、まだ不満があるので、やはり来年、初めて見た日と同じ日に撮らなければいけないなと今思っています。
さて、[ところ]が今後数年間を高松で暮らすであろう場所から、歩いて1分のところに、現在高松市内で食べるなら一番と呼ばれている「上原屋本店」が引っ越してきました。そこへ西森君を連れて行き、セルフのうどんを食べました。彼はとても感動していたようです。
昼食はもう少し郊外の、飯蛸の上げたて天ぷらが食べられる「しんせい」という店に行きましたが、ここの飯蛸の天ぷらは絶品でした。蛸の頭に卵が詰まっていて、それが非常においしく、うどんも高レベルでした。高松にしては少し値段がはるのですが、飯蛸あげたて天ぷら付きで500円前後でしょうか。
西森君はとても気に入ったらしく、帰り際におみやげとして麺を2箱求めましたが、それから20分近く待つことになるとは思いもしなかったようです。うどんのタネから延ばし始めて、それからうどんを打つのですから。土産物屋のうどんとは違うんです。
[ところ]も西森君も満足したところで、彼が何気なく口にした「機会があれば坂出人工土地に行きたい」という一言で、みんなで行ってみることになりました。それは、商店街と有料駐車場、市民ホールの上に、分厚いコンクリートの地盤を築き、集合住宅を設けた「二階建ての都市」というべきものでした。
香川県にこんな所があったのか! というような不思議な空間でした。たぶん坂出市に住んでる人ですらほとんどが知らない。住んでいる人ですら、ここがどういう経緯で存在するのか知らないのではないでしょうか。
他業種の人と一緒に行動すると、思いもかけないことが起きる。これが[ところ]にはたまらない出会いなんですよね。
参考:ARCHITECTUAL MAP 坂出人工土地
< http://www.arch-hiroshima.net/a-map/kagawa/jinkotochi.html
>
さて、2月19日(日)の夜21時(予定)久々にニコニコ動画の配信をします。
< http://com.nicovideo.jp/community/co60744
>
3.11以降、演劇を志す若者たちの集団、主催者らと知り合いになって、大人から社会人まで14劇団の主催者たちが考え演じた「日本の問題」のお手伝いとしてパンフの写真、Webページでのメインビジュアルを手がけました。
3.11をテーマに4つの学生劇団が渋谷で演じる。今回は、そのプロデューサー・松枝佳紀さん、そして学生劇団の主催者たちと3.11以降のことについて話します。ちなみにUstreamでも配信しますが、その詳細は[ところ]のブログ、もしくは松枝さんのブログで確認して下さい。
< http://tokoroyukinori.seesaa.net/
>
< http://alotf.cocolog-nifty.com/
>
◎日本の問題 Ver.311(収益全額寄付公演)
日程:2012年3月6日(火)〜11日(日)
場所:渋谷 ギャラリー ル・デコ 4F(東京都渋谷区渋谷3-16-3)
詳細:< http://nipponnomondai.net/ver311/
>
【ところ・ゆきのり】写真家
CHIAROSCUARO所幸則 < http://tokoroyukinori.seesaa.net/
>
所幸則公式サイト < http://tokoroyukinori.com/
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■歌う田舎者[30]
誰もバックしてはならぬ in 琉球王国
もみのこゆきと
< https://bn.dgcr.com/archives/20120210140100.html
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はて、今月はデジクリに書くネタがないのだが、いかがいたそうか......おぉ、そうじゃ、そうであった。今月は琉球王国に仕事に行くのであった。とりあえず行けば何かが起こるであろう。なにしろ初体験であるからな、琉球王国は。吾輩は九州各県全て制覇済みなのであるが、琉球王国だけはまだ足を踏み入れたことがないのじゃ。
琉球王国というからには、一般的に考えられるハプニングは、おおよそ以下の
ようなものであろう。
●沖縄アクターズスクールにスカウトされて、安室奈美恵の腹違いの姉、安室浪江としてデビュー。腹違いとは、腹周りのサイズが違うことを意味する。
●第11管区海上保安本部の巡視船を強奪。尖閣諸島に近づく異国船を打ち払い、国民的英雄となる。
●前回のデジクリで暴力団専門家になる誓いを立てたからには、沖縄旭琉会と四代目旭琉会を統合し、レトルト中身汁製造の一大コンツェルンを組織。こてっちゃんで勢力を拡大する会津小鉄会と、ホルモン抗争を繰り広げる。
※前回のデジクリ【暴力団専門家になるための必須条件】↓
< https://bn.dgcr.com/archives/20120113140100.html
>
あんまりこてっちゃんこてっちゃん言ってると、本当の製造元エスフーズ株式会社から訴えられそうなので、蛇足ながら......こてっちゃんと会津小鉄会には何の関係もありません。多分。
ちなみに琉球王国初心者の吾輩は知らなかったのだが、中身汁とは、豚の内臓の短冊切りを具にした吸い物のことであるらしい。まぁ、どのハプニングが来てもよいぞ。受けて立とうではないか。ふぉふぉふぉ。
......しかしである。起こったのはいずれでもなかった。「琉球王国の民人たちよ、我が匠の技を見よ!」能ある鷹は爪を隠すと言われるが、初めて琉球王国に罷り越したからには、吾輩の類まれなる優れた能力をお見せしないわけにもいくまい。そのようなわけで、はからずも、しばらく封印していた匠の技を披露することと相成った。
おぉ、時節柄、BGMにバレンタイン・キッスも聞こえてきたではないか。
♪シャラララ 素敵にキッス シャラララ 柱にキッス シャラララ 歩道にキッス シャラララ 壁にもキッス♪
そう、できればキッスなるものは殿方に対して実行したいものである。しかしながら、なぜか吾輩の場合、柱や歩道や壁にばかりキッスしているとは、いかなる罰ゲームであろうか。しかも、それは車という鎧をまとっている時に起こるのである。すなわち、吾輩の類まれなる優れた能力とは、平たく言えば、車をぶつける能力なのであった。
さて、薩摩藩から琉球王国へ向かう飛行機は、吾輩の自家用機JACではなくANAである。「おぉぉ、6番搭乗口......ボーディングブリッジからの搭乗ではないか!」薩摩藩の空港は、11番搭乗口まではボーディングブリッジなのだが、12番搭乗口はタラップ搭乗である。ボーディングブリッジフェチとしては誠にもって喜ばしく、幸先のよい旅の始まりと言えよう。
しかしながら油断は禁物である。先日など、JACで奄美大島に行くのに、6番搭乗口に案内されたので「なんだよ、やりゃあできるじゃねぇか」と小躍りしていたら、ボーディングブリッジ半ばまで歩いたところで、地上に降りる階段が設置されており、そこから徒歩で飛行機に向かうという罠が待ち受けていた。
そのようなことをTwitterでつぶやいていたら、吾輩のタイムラインはこんなことに......。
★今度は梯子
★飛行機までバンジージャンプ
★消防署の滑り棒
★但しのぼり
★しかもサラダ油塗られてる
★途中に落とし穴
なんとしてもボーディングブリッジを使わずに旅立たせようという、フォロワーさんたちの愛が痛い。全く友達がいのない奴らばかりだ。しかしながら日頃の行いが良い吾輩、何者にも邪魔されず、ボーディングブリッジを渡りきる偉業を成し遂げ、機中の人となることができたのであった。
そして、はじめて降り立った那覇空港。「なんと立派な空港よのぅ。薩摩藩の数倍立派ではあるまいか。ここは羽田か?」。空港で立ち働く従業員には、半袖の人々もいる。国内線なのに免税店まである。プロ野球キャンプの旗が何本も翻るレンタカー送迎車両エリアから、予約していたマ○ダレンタカーの車に乗り込むと、送迎車両の運転手も半袖だ。
それにしても、吾輩の類まれなる優れた能力を鑑みるに、できうればレンタカーを使うという危険な行為は止めたいのであるが、ボスより指定された客先をすべて回るにはいたしかたない。任務を遂行できなければアラスカ送りの上、強制労働20年なのである。
1泊2日で車を予約したマ○ダレンタカーのフロント女子は、全員明るい茶髪につけまつげバサバサのきゃりーぱみゅぱみゅである。つけまつげも制服の一部なのであろう。
そのきゃりーぱみゅぱみゅが、「免責補償はどうされますかぁ。対物免責とか車両補償免責とかのお支払いが免除ですけど」と仰せになられたのだが、今月はあまりに貧乏だったため、「あっ、そーですね。えっと......いや、いいです」と、1,050円の金をケチったのであった。なんせ毎年2月は、年払いの生命保険に自動車の任意保険の支払いがあり、ただでさえ貧乏なのに、今年は車検も加わって、もうすこしでブラック金融に手を出しそうな極貧ぶりなのである。
手続きを終えたあと、さっそくカーナビを頼りに、那覇市、浦添市、豊見城市、糸満市、島尻郡と猛烈に走り回り、機密情報の入手に努めたわけであるが、ここに罠が待ち受けていた。電話番号をカーナビに入れてみたものの、どうしても辿りつけない客先が出てきたのだ。
約束の時間は既に20分過ぎている。どこだ、どこなんだ。お客に電話をすると、カーナビが示す道では辿りつけないので、山手側の道路に回らなければならないらしい。回ってみたものの、影も形も見つからないので、取りあえず路側に車を止めて再度電話をしていると、数10メートル先に道案内の看板が。「おぉ、あそこから入るのか!逆じゃねぇか」さっそくバックで車を切り返した。
ゴン!
は? ゴン! って何ですか。ゴン中山ですか、カルロス・ゴーンですか。今なんか音がしましたけど、気のせいですよね。いや、でもちょっとした衝撃があったような気もするんですけど。えぇ、ホントにちょっとした。えぇと......念のため、あくまでも念のため、ちょっと確かめてみた方がいいですよね。
うぬ! なんだ、この歩道は! 切り返した場所は、隣接する駐車場のために、歩道が車道に切り下げられている場所だったのだが、なぜか真ん中が一部切り下げられていなかったのだ。お前、最初からここにあったか? 吾輩がバックするのを見て、今、移動したんじゃないのか? 車を確認すると、後部バンパーの塗装がこすり取られ、ナンバープレートのあたりがへこんでいる。これは夢ですか幻ですか違いますか。
ちきしょー! なんということだ。どうやらボーディングブリッジを渡ったところで、旅の運を使いはたしてしまったに違いない。吾輩、今回レンタカーを使うということで、いつもなら最も安いクラスのホテルパックを取るのだが、旅行会社に「広大な駐車場があって、車を止めるのが難しくないホテル」を指定して、いつもより2ランク上のゴージャスなホテルパックを取る気の遣いようだったのである。にもかかわらず、このようなことになろうとは......あぁ、修理費用はいったいいくらかかるのだろうか。1,050円をケチるなど、全く貧すりゃ鈍すの典型である。
だからバックはイヤなんだよ、バックは。吾輩が車で事故るときは、いつもバックしているときなのだ。かつて奄美大島では、レンタカーを電信柱にぶつけて、リアウインドウを全て破壊するという暴虐ぶりを見せつけ、島の人々を震撼させたものだが、これもバックしている時であった。社用車で客先のビルの柱にぶつけたのも、自分の車を駐車場のブロック塀にぶつけたのもバックの時である。
だから何なんだ! そもそもバックなどという人生後ろ向きなことをやるなど卑怯者のやること。プッチーニも、かの有名な歌劇『トゥーランドット』の中で、「誰もバックしてはならぬ」と云っているではないか。ちょっと違うような気がする方々もあられるやもしれぬが、些細なことだ。気にするでない。とにかく、バックはダメなのだ。では、バックがダメなら正常位や松葉崩しならいいのかというお尋ねもあろうが、そのような質問は、清廉潔白清純無垢な吾輩としては意味がわかりません。
山口百恵曰く、交差点で隣の車がミラーこすったと怒鳴ってきたら、大声で「馬鹿にしないでよ。そっちのせいよ」と凄めば良いということである。歩道の馬鹿野郎が吾輩のバンパーをこすったわけであるから、事例に倣って、歩道の縁のコンクリートブロックに「馬鹿にしないでよ。そっちのせいよ」っていうと、「坊や、いったい何を教わってきたの」っていう。こだまでしょうか、いいえ、誰でも。
このまま知らないふりでホテル乗り捨てしちまえばいいのではないかという悪魔の囁きもあったが、そこは真実一路な吾輩、そのようなことをしては人生に拭い難い汚点を残すことになると、マ○ダレンタカーに自首することにした。
夕方は車を返すお客が多く、忙しそうである。カウンターから出てきたスポーツ刈りの兄ちゃんをつかまえ、おずおずと切りだした。
「す、す、すいません。あの〜、車ぶつけちゃったんです。申し訳ありません。えっと、ホテル乗り捨てなんで、車の修理費用とかのお支払いしなきゃいけない分を今精算したいんですけど」
「え、どこですか」
「はぁ、ここの後部バンパーのあたりなんですけど」
「あー、ちょっと待ってください」
スポーツ刈りの兄ちゃんは、傷の場所を確認して事務所の奥に消え、しばらくして、きゃりーぱみゅぱみゅを連れてきた。かくかくしかじか説明して、判断を仰いでいる。ほほぉ。スポーツ刈りの兄ちゃんよりも、きゃりーぱみゅぱみゅの方が偉いのであるな。
茶髪をかきあげ、車の傷跡をちらりと確認すると、きゃりーぱみゅぱみゅは宣言した。
「結構ですよぉ」
「は?」
「結構ですぅ」
「え......あのその、修理費用は」
「とくに必要ないです。そのままホテルで乗り捨ててくださーい」
それだけ言うと、くるりと踵を返し、スポーツ刈りの兄ちゃんを引き連れて事務所に戻って行った。
いいんですかマジですか! レンタカー費用に含まれていた基本の保険でカバーOKってことですかね。吾輩が薩摩藩に戻ってから請求したって、もう知らないよ!
あぁ、きゃりーぱみゅぱみゅ様、ありがとうごぜぇますだ。あなた様の大岡裁きに、感激のあまり、あっしは毎晩枕を濡らしております。貧乏な2月に、この上レンタカーの修理費用まで加わったら、女郎宿に身を売るしかないと思っておりました。えっ? 年齢制限がある? やかましいわ。
これから琉球王国に足を向けては寝られません。あっしもあなた様のような慈悲深い人間になれるよう、これからは毎日つけまつげを付け精進いたします。
以降、吾輩はどこに行くにも徹底的にバックしないことを念頭に運転している。どうしてもバックしなければならない場合は、クラクションを鳴らされようと、罵声を浴びようと、時速1mで走行し、世界平和に貢献している次第である。そして、いずれ「バックしない生き方 -決してうしろは振り返らない-」というベストセラーを出版し、左うちわで印税生活を送るつもりである。
※「バレンタイン・キッス」国生さゆり
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※「つけまつける」きゃりーぱみゅぱみゅ
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※プッチーニ作 歌劇トゥーランドットから
「誰も寝てはならぬ」ルチアーノ・パヴァロッティ
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※「プレイバックPart2」山口百恵
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※「こだまでしょうか、いいえ、誰でも」金子みすヾ詩集
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【もみのこ ゆきと】qkjgq410(a)yahoo.co.jp
働くおじさん・働くおばさんと無駄話するのが仕事の窓際事務員。かつてはシステムエンジニア。
琉球王国では何を喰らふべきか? との問いに、twitter上ではステーキという声が多数だったため、ステーキ2回、沖縄そば2回が旅の飯であった。回った客先がご年配の方々ということもあり、数か所で「薩摩とはいろいろあったけどね」という発言が。
17世紀に島津氏が琉球に進攻して以降、琉球王国は独立国家の形態を取りながらも、薩摩藩への貢納を強いられた歴史のことを言っているのである。むむむ......確かに小学生の頃、そういうことを習った記憶があるなぁ。でも日頃意識することもなく、すっかり忘れていたのである。そういうわけで、旅の買い物は「やさしくまとめた沖縄の歴史」であった。
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■編集後記(02/10)
・駆動部がこわれたソニーのCDラジカセを長いこと放置していたが、処分する前にフト思ったのは、スピーカーは使えるじゃないかということ。Mac miniとLINEでつないだら実にいい音で鳴った。モニターの後ろの壁際にセットして、デスクワークのときにiTunesでクラシックを流している。この15年間、音楽を聴きながら作業することはなかった。なかなか気持ちがいいものだと始めて知った。/吉井宏さんの「立ったままデスクワークを本当に始めてみた」(デジクリ3201号)におおいに刺激を受けて、わたしも考えた。ただし、ずっと立ち続けるのもつらそうだ(軟弱だ...)。疲れたら椅子に座りたい。立つ・座るのコンパチブルな環境が構築できないものか。吉井さんに倣って、サイドテーブルにキーボードを載せる。モニタは机の上だから、立つとずいぶん下方になる。吉井さんは、自然に見下ろす感じも悪くないというが、わたしやはり目の高さまで上げたい。モニタの下に何か置いて高くするか。それは出し入れがめんどうだ。デュアルモニターアームを導入したらどうか。椅子に座ったら、キーボードを机に戻し、モニターをクィッと下げる。これいいかも。だがモニターアーム設置は問題もありそうで、いま研究中である。(柴田)
< https://bn.dgcr.com/archives/20120208140100.html
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吉井宏「立ったままデスクワークを本当に始めてみた」
・明日は編集長のお誕生日。/「消せないアダルトサイト感染、何と110万人」というニュースを見た。いわゆるワンクリックサイト。リンクをクリックしたら、なぜか契約したことになる有名すぎる詐欺。今回のは請求画面がパソコンの画面上から消せないとかで、ひっかかった人のうち1万人が解除のために支払い、被害額が6億なのだとか。1%近くの人が払ってるっていうのに驚いた。110人に1人ですよ。支払ったら解除してもらえると思うのも驚きだ。以前にも後記で書いたけれど、まずこれは不正請求。リンクをクリックしただけで、それが例え二回クリックだとしても、契約する意思がないなら無効。第一、契約内容は何なのさ? 個人情報を入力したりしていないよね? せいぜいメールアドレスなんじゃない? アダルトサイトで会社のメールアドレスなんて使わないよね? 画面やメールで、あなたのメールアドレスやIPアドレス、ブラウザやパソコンの情報が出たとしても、GPSで場所を特定されたとしても無視すること。契約していないんだから。会社に話すと言われようが、裁判所でうんたら言おうが、利子うんぬん言われようが無視。あちらはコンタクトをとってきた相手は鴨だが、そうでない人にまで、いちいち手間暇かけてIPアドレスから知り得た会社に、その人の名前すらわからないのに連絡したりしないよ。寝てても振り込んでくれる人がいるんだから。実際に裁判所からの郵便物が来てから考えよう。はがきで? ありえない。消費者センターやマスコミに相談してもいいと思うよ。アダルトだからって関係ないよ。あちらは慣れたもんよ。支払う前にまず検索。パソコンが使えないなら、スマホやケータイのブラウザ機能でもいい。110万人が被害に遭うような詐欺なのだから、解除方法を教えてくれるサイトも複数ひっかかるはず。今はTwitterやblogで、ひっかかっちゃったよ的な個人案件もネットにはいっぱい。で、ここを見て解除できたよとか、感想とかがあるはず。今回の場合は、システムの復元やレジストリから回復できる。いざとなればクリーンインストール。Mac版のがあるとすれば、タイムマシーンで戻るか、ブラウザを強制終了。iPhoneなら強制再起動や過去のバックアップから復元。(hammer.mule)
< http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120209-00000024-yom-soci
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消せないアダルトサイト感染、何と110万人
< https://bn.dgcr.com/archives/20071129140000.html
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ツークリック詐欺が捕まったという記事を見た