電網悠語:HTML5時代直前Web再考編[192]アイデアの紡ぎ方
── 三井英樹 ──

投稿:  著者:


いつでも何やら色々と考えてる。それでもアイデアの良い発想法に出会えていない気がしないでもない。未だ出会えていないだけなのか、私が愚鈍すぎるのか。でも、手塚氏も言っている。やはり選ぶ手間は省けない。

   弘法筆を選ばずとも、ペンと紙とはよく選べ。
   手塚治虫「ぼくは漫画家」漫画家十訓
   < http://amzn.to/Lksbn4
>

●アイデアの出し方

基本的には情報収集から始まると思っている。何もないところから、アイデアをひねり出せるほど賢くないので、諸々頭の中にちょっとでも入るような工夫をする。朝何を食べたのかさえ定かに答えられない貧弱なメモリだが、下手な鉄砲も数撃ちゃあ、ということで、最近はRSS+Evernote。記事の見出しを見るだけでも、何かの弾みで思い出せる場所まで記憶が散歩してくれる。

次は、批判精神。体系的に勉強した訳ではないけれど、基本的には「6つの帽子」的なアプローチだと思う。下記の6つの帽子をかぶって、物事を見る:

   白い帽子(中立的視点:事実やデータ)
   赤い帽子(感情的視点)
   黒い帽子(批判的・消極的視点)
   黄色い帽子(希望的・積極的視点)
   緑の帽子(創造的視点)
   青い帽子(冷静的・思考プロセス的視点)
   決断の時に役立つ「6つの帽子のテクニック」:[lifehacker日本版]
   < http://www.lifehacker.jp/2008/11/post_368.html
>
   デボノ博士の「6色ハット」発想法:E. デボノ・松本道弘
   < http://amzn.to/LDI2tV
>

常に6つの視点でモノゴトを見つめるのも厳しいので、今は「赤」、次は「黒」という具合に順繰り見つめる。更に進めば、下記のように、発明を体系的に生み出せるのかもしれない(本まで買ったけれど、未だ身につかず)。

   TRIZ/TIPS
   < http://www.iteq.co.jp/TRIZ.html
>
   < http://ja.wikipedia.org/wiki/TRIZ
>




●情報整理

次は、基本「KJ法」。考えを絞り出し、グルーピング化して、言語化する。基本的には、一人100本ノックをしなければ、と思ってしまう。100本絞り出す事は最近はしないけれど、見逃した視点がないかは、整理しながら気をつける。

   KJ法 - Wikipedia
   < http://ja.wikipedia.org/wiki/KJ%E6%B3%95
>

ツールは、だいぶmindmap系に移って来た。最近使っているのは、これ一本。

   App Store - SimpleMind+ (mind mapping)
   [無料版]< http://bit.ly/KTUGW2
>
   [有料版]< http://bit.ly/MFv6pT
>(600円)

他と何が違うかは、全部を見た訳ではないので、直感に近いかもしれないけれど、ポイントとしては下記:

   1)見た目:基本はこのUI → < http://bit.ly/MM0DTR
>
   2)操作感:とにかく楽(入力、再整理=移動や離縁や再婚的な操作)
   3)連携性:pdf/mail/txt/pngなどの形で出力+Mac(PC)に転送
   → Mac/PC版もあります:
   SimpleMind Desktop for Mac OSX | simplemind
   < http://www.simpleapps.eu/simplemind/desktop/osx
>

使っているのは、iPod touchとMacBook。でも9割はtouchで操作している。とにかく何処ででもアイデア絞り出しが、再利用可能な形で実現できるのが嬉しい。会議やイベントのメモも、基本的にはこれで済ます。

但し、メモ用として使う時は、お話のテーマによって使うかどうかを決めている。スマホ(touch)なので、基本的にブラインドタッチは不可能。なので、使われる単語への親和性が鍵。よく知っている単語が殆どで、それらの組み合わせ方や再整理といったテーマの場合は、これでOK。

メモるのは、基本的には「単語」のみ。助詞とかは使わない。文書化しようとも思わない。ただただ単語を掴んでは、他の単語との関係性にのみ気を使う。どれとどれが親子関係で、どれが兄弟で...、というイメージ。

だから単語自体が未知のものが多い場合には、変換でイライラして、話を聞き逃してしまうので、紙とペン派。あと、スマホ系だとどうしても画面を見てる時間が多くて、demoなどが主体の場合も、殴り書き手書きの方が効率が高い(私には)。ちなみにペンは下記。久々に最後まで使い切って、更に買い直したペン。

   Amazon.co.jp: 三菱鉛筆 ジェットストリーム 3色ボールペン 0.7mm
   【グリーン】SXE3-400-07: 文房具・オフィス用品
   < http://amzn.to/MgMDCS
>

●半分清書モードの再整理

ここで大きくツールが分かれる:
1)Adobe Illustrator
2)Microsoft Powerpoint

▼1)Adobe Illustrator

より視覚的に、InfoGraphics的にしたい場合や、あまりに込み入っていて、図として試行錯誤が必要な場合は、こっち。でも、必須なのが以下:

   イラレで便利 for Adobe Illustrator - アドビ・イラストレーターの
   ツール集
   < http://d-p.2-d.jp/ai-js/
>
    → イラレで便利: テキストでちょっと便利
    < http://bit.ly/X91WC
>

この中の「テキストばらし」が必須。文字列を、改行コードで切り離してくれるもの。流れ的には、SimpleMind+で下記貯めたアイデアを、テキストで持ち込んで、これをバラバラにして、再整理。Illustratorのキャンバスを全部使って、再整理します。広いお部屋で片付けしている見たいで壮快。無論CS6でも動いています。

▼2)Microsoft Powerpoint(使っているのは2003ですが...)

もう一つが、パワポ。以前は大分嫌いなソフトだったけれど、最近は手軽さが気に入っている。気に入った理由は下記:

A)テンプレートを正しく作れば、中々ちゃんとしている
  defaultが異常に残念なのだが(売る気ないとしか思えない)、ちゃんと
  フォーマットを作ってやると、後作業が凄く楽。

B)印刷系が楽:特にWindows環境では、図の拡大とか考えなくて良いので楽
  とにかくペタペタと図をコピペすれば良くて、これも快適。
 特にブラウザの画面キャプチャが多発する資料は、他で作る気しない

C)整理:左右揃えボタンなどをキャンバス下に配置したので超快適
 参考)オートシェイプを揃える方法 - パワーポイントの使い方
 < http://powerpoint.pc-technique.jp/autoshapes/autoshapes_01.html
>

D)テキストの流し込みが可能
  参考)アウトラインの作成 - パワーポイントの使い方.com
  < http://ppt.jissen-p.com/knowhow/knowhow_021.html
>
  TABのない10行のtxtファイルからは、10pのパワポができます。
  これの何が嬉しいかというと、TABでインデントされたテキストが、
  2段落目としてインポートされます。勿論TABが2つだと3段落目。
  ページタイトルとそこに書くべき内容をTAB付きで書けば骨子完成。

E)目次が生成可能
  参考)目次スライドの作り方:PowerPoint パワーポイントの使い方
  < http://www.relief.jp/itnote/archives/000128.php
>
  ※正しくテンプレートを作る必要があります

要は、テキストさえTAB付きで出来ていれば、サクッと「形を整えられる」。テキストを見ながら、自分がプレゼンしている姿は想像し難いので、プレゼン画面に一回変換しなければならない、パワポはそこ辺りが楽。

ちなみに、テキストの流し込みを検索すると、ワードから云々というのがやたら増えてます(昔はあまりなかった気がする)。私にはワードでアウトライン考えられる人がよく分からない。いらぬおせっかいが多すぎて、全然集中できないため。ちなみに愛用のテキストエディタは、これ。社会人になった時から、これ。

   ViVi web site
   < http://vivi.dyndns.org/
>

●膨らませながら、再々整理

で、骨子ができ、更にイラレであろうとパワポであろうと、「画面」という形まで整ったので、あとは肉付け。自作の絵も使うけれど、Web屋なので、やはり画面キャプチャの方が多い。ブラウザは、そのためにある気がする程。で、こちらも諸々機能拡張をする。あ、今はGoogle Chromeがメイン。

A)画面キャプチャを楽に入手する
  Awesome Screenshot - Capture, Annotate and Share
  < http://awesomescreenshot.com/
>
  色々と試した結果、今はこれに落ち着いている。小さいエリアの切り取り
  に難があったり諸々あるけれど、最後のファイルに落とす寸前で右クリッ
  クでクリップボードにコピーできる(=このままパワポに貼れる)
  Macでは、スクロールで見えないとこまで撮らないならこっち:
  Apple - Downloads - Dashboard Widgets - Screenshot Plus
  < http://bit.ly/IJwh
>

B)サイトのtitle/urlを楽に入手する
  Chrome ウェブストア - Copy Title+URL to clipboard
  < http://bit.ly/mnQEBo
>
  Google短縮URLが機能しなくなった気がするのだが、右クリック系よりも、
  ボタンの方が好きなので、こちらを愛用。

C)HTML/CSS/JSコードを楽に見る
  Chrome Web Store - View Selection Source
  < http://bit.ly/jTYH73
>
  ちょっとしたものなら、これで対応。

D)サイズを測る
  Chrome Web Store - ruul. Screen ruler
  < http://bit.ly/nLq0Mg
>
  実用性より使い心地的に。

E)画面サイズを楽に統一する
  Chrome Web Store - Resolution Test
  < http://bit.ly/jTaNIj
>

考えてみれば、AddOnを育てすぎて、Firefoxからは抜け忍できないと思っていたのに、申し訳ない程にChromeに移ってしまった。それはともかく、これで画面キャプチャーから出典の記述や、サイズも含めた統一感支援もできたことになる。あとは、どの画面を撮るか。

そこで役立つのは、再びRSS+Evernote。過去に気になったものが検索対象になるので、気に入った情報に再会する可能性が高まる。

●貯める+再再々チェック

で、Dropbox。作成した資料のほとんどは、基本PDF化して蓄積。お客さんとの兼ね合いで、全てをDropboxに置けるわけではないけれど、自習用の自作資料は、どこかに置いて、そこからiBooksで開いて、指で拡大しつつ再チェック。これも、touchで。

   Dropbox へのご招待です。 - Dropbox
   < http://bit.ly/N8xit4
>

結局、一巡して来た感じがする。touchという小さなデバイス上で、大切な情報が回っている。そして、使う側は無理していない。トイレですら出来ることが、情報閲覧だけでなく、書く事も、整理する事も、小さなアイデアを育て上げる事すらにも広がって行く。

「ソーシャル」や「クラウド」という言葉の裏で、様々なコトガラが、目の前ではなく、「あちらがわ」で処理できるようになり、回るようにサイクルが成立しはじめた。

ツールが発達した程に、私は賢くなったのだろうか。筆すら選ばなかった、弘法大師は、この便利さの洪水を前に、何を思うのだろう。より良くを求めすぎて、何かを失っているのかも。怖い程に便利。

【みつい・ひでき】@mit | mit_dgcr(a)yahoo.co.jp
・DropboxからPublicが消える、かなりの痛手。
 Dropboxが既定Publicフォルダを廃止。8月以降の新規アカウントから。
 共有リンク機能に移行 - Engadget Japanese < http://engt.co/LPq7U7
>
・結局またツール紹介になってしまいました...。