どうしたらできるかな?[step:02]とにかくやってみました
── 平山遵子 ──

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さて何を作ろう? ぬいぐるみってどうやって作るのだろう? とりあえず自分の好きなキャラクターで実験してみようと思いつく。裁縫もまったくできない状態で、無謀にも近所の手芸屋へ材料を買いに行きました。

店内を見回すと色んな布、針や糸、材料が並ぶ。見ていてとても楽しい。ぬいぐるみの材料を買いに来たのに、キラキラ光るデコレーションパーツやビーズばかり見ては「うわぁ〜! これかわいい!」と楽しんでいる始末。手芸本コーナーを見つけ、とあるフェルトマスコット本を読んでみました。

「あっ、これなら私でも作れそうじゃん! なんだ簡単じゃないか!」そう思った私は、フェルト数枚と綿を探して購入。裁縫を甘く見ていた私。この後、とんでもない苦戦を強いられることになるとも知らずに。

自宅に帰り、早速、手芸屋で立ち読みした本の手順通り、型紙を作りました。型紙に合わせフェルトを裁断。ぬいぐるみの各パーツがそろった所でいざ縫いへ。ところが......。




上手く縫えなくてとてもじれったい。どの段階でどの程度の綿を詰めればいいのかわからない。最後のタマ結びが全然出来ない。留めようとしても手品の縄抜きのように糸はスルスルと解けてしまう。ひとつのパーツを縫うのに一時間以上もかかりました。楽しいはずがイライラするばかり......。

「いてぇぇ〜!!」見事に針を指に刺してしまったのです。指からダラダラと血が流れる。フェルトに血が付くといけないと思いあわてて作業をやめ、救急箱からバンドエイドを出し、指に貼り付けます。横でテレビを見ていた母親が、そんな私の姿を笑っています。

「針と糸をまともに持ったことのない人なら当たり前よ」

母は和裁も洋裁もできます。私から見て母は裁縫の達人です。そうか、身近にこんな良い先生がいたじゃないか! そう思った私は、母親にどうやったらぬいぐるみが作れるのか? 裁縫が上手くなるのか? を聞いてみました。

「ぬいぐるみは作ったことがないわね。それと針と糸の感覚がまったくない人には、いくら教えても無駄なの。だから、まずは自分でやって感覚を掴むことね。どうせ、あなたのことだから途中でやめてしまうでしょうけど。裁縫は簡単じゃないわよ。甘く見ないでね」

意外と冷たい母の対応。ケチ! クソババ! と思いました。私は悔しくて悔しくて、何とかして仕上げてやると、意地で作業を続けました。その後も痛い思いを三回ぐらいして、夜明けに一体のフェルトのぬいぐるみが完成しました。

大手術並みに8時間以上もかけたのに、今思うと縫い目は滅茶苦茶の無惨な仕上がりでした。でも、忘れられない第一号のぬいぐるみ。自分のイラストのキャラクターが初めてぬいぐるみになり、自分の手元に姿を現した時の喜びは忘れられません。「やればできるんだ!」という自信にもつながりました。

道具を片付け、完成したぬいぐるみと一緒に布団に入り眠りについたあの日から、ぬいぐるみを作りにのめり込むことになったのです。

【平山遵子・ひらやまじゅんこ】
J★(Junko allstars)〜思い出を形に未来につなぐハンドメイド〜
< http://www.j-allstars.com/
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夢は「世界一楽しいぬいぐるみ」を作る!