挑んで死にたい、ダンボールアーティストとして[18]人とのつながりの大切さ
── いわい ともひさ ──

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●なぜ人とのつながりが大切なのか

人とのつながりの大切さは、若いころにはよくわかっていませんでしたが、さすがに40歳すぎにもなると、身にしみてわかります。

私が独立できたのも、特別な能力もないのに何とかやりくりできているのも、周りの人達に支えてもらっているお陰です。お世辞でもなんでもなく、心からそう思っています。

様々な分野の人達と接点が持てれば、自分が何かを始めようとしたときに相談できます。

つながりを持った人が、自身の仕事とは全く関係がない業種の人だったとしても、別の知り合いにその人を紹介できるかもしれません。

誰かに親切にした結果、自分の評価が高まり、見返りなど期待しなくても結局は自分に返ってくるのです。

人とのつながりが増え、自分自身が多くの人達との接点になれれば、周りを豊かにできるようになり、結果として自分も豊かになれるものだと感じています。




●どうすれば人とのつながりが増えていくのか

私の人脈が爆発的に広がったのは前職のときでした。会社員として数社を経験してきましたが、そのいずれもが制作畑の仕事でした。

前職でも、最初はウェブサイトの管理担当者として入社しました。ところが、諸事情があって、在職中の10年間のうち、後半の5年間は営業として勤務しました。

30代中頃という年齢で、初めて営業職を経験することになったのです。最初は戸惑いもありましたが、会社から給料をもらうからには絶対に手を抜いてはいけないという考えがあり、右も左もわからない状態でとにかく取引先に足を運びました。

前の会社はレンタルサーバサービスを提供していて、ウェブ制作会社などが主要なお客さんでした。

ウェブやITの世界では、東京を中心に勉強会やイベントが盛んに開催されています。技術の進歩や流行り廃りが他の業界に比べてかなり早いので、最新情報を得るために皆が積極的に学んでいます。

私の勤務地であった名古屋でも、年に4回、ウェブ系の大きなイベントが定期開催されており、業界の各分野で先駆的な活動をしている人達がゲストスピーカーとして招かれ、毎回200名前後が参加していました。

私はウェブサイトの管理だけでなく、広告宣伝の担当者でもあったため、営業になる3年ほど前からそのイベントに参加しはじめ、8年間、一度も休むことなく足を運びました。

最初はできるだけ多くの人達に顔を覚えてもらえるようにと、積極的に名刺交換。参加回数を重ねるごとに顔見知りも増えました。

イベントでは参加者だけではなく、ゲストスピーカーにも声をかけて名刺交換していました。

このような大きなイベントで登壇する人達は、業界の中でも影響力を持っています。そんな人達と接点を持つことは、自身の見識を広めるために重要なことだと考えていたのです。

他にも趣味だったCG関連のイベントや、東京、大阪などで開催されるウェブ系イベントにも参加し、知り合いが増えていきました。

このようなイベントを通してつながった人達の中には、いまでも深い付き合いになっている人と、そのとき限りの人がいます。

その違いが生まれた理由のひとつは、会った回数です。繰り返し会う人とは徐々に関係も深くなります。

もちろん人には相性があるので、何度会っても仲が深まらない人もいれば、二回ぐらいしか会っていなくても仲の良い人もいます。

おおむね、会った回数が多く付き合いの年数も長い人とは、良好な関係が続いています。

●ハズレだったイベント

私が人とのつながりを広げたきっかけが、イベントであることは間違いありませんが、中にはもう二度と参加したくないと思うような、ハズレのイベントもありました。

私の経験上、「異業種交流会」にはハズレが多いです。理由は簡単で「売りたい人ばかり」が集まる傾向があるからです。

過去にそのようなイベントで知り合った人の中に、粗悪な保険屋の営業がいて、不定期に勧誘の電話を入れてきました。最後にはいい加減にしろと激怒してしまいました。

これは保険屋の営業という職種が悪いのではなく、その人のやり方がまずかっただけです。自分がそういうことをされたら、どう感じるかという視点が欠けていたんですね。

他にはイベント会場で無言で名刺を配りまくり、Facebookで友達申請をして広告宣伝を繰り返す人がいました。

少し年齢が上で不器用そうな人だったので、きっと誰かに誤った手法を教えられて盲目的に従ったのでしょう。

この人もやはり、顧客目線で考えることができていませんでした。

イベントに限ったことではありませんが、不特定多数の人達と交流を行っていると、中には残念な人もいます。

このような危険性もあるということは覚えておきましょう。

●利己的で打算的な人は結局損をする

ハズレのイベントで知り合った残念な人達は「営業成績や店の売上をあげたい」という考えを持っていたことは間違いありません。

私も営業だったときは、当然売上を伸ばしたいと思っていましたし、それ自体は悪くありません。問題は、その結果を出すための方法です。

人の迷惑も顧みずに一方的に電話をしたり、広告をうったりしても、喜ぶ人はいません。そんなやり方で色々なイベントに顔を出していたら、すぐに噂が広まります。

仮にそれが会社の方針だったとしても、そのような営業活動を行っている個人の信用が損なわれてしまうことでしょう。

自分のことだけを考えて動いていたら、誰とも親しくなれず、信用も得られません。利己的になってしまうと、結局は損をするのです。

同様に、人との関係を損得だけで考える人も、やはりうまくはいかないことが多いと感じます。人間として信用ができないからです。

知人から聞いた話なのですが、会社を去った元上司から引き継いだ取引先に挨拶に行ったときに、先方の担当者から「前任の人は苦手でした」と言われたそうです。

悲しいですね。私もそう言われているかもしれないということは考えないようにします(笑)

●最終的には人間としての器が試される

なんだか「人とのつながりを作るためにはイベントが一番」みたいな話になりましたが、必ずしもそれだけではありません。

イベントは、何もないところから始められる出発点として考えてもらえればと思います。イベントが多くない業種や職種もありますしね。

また生まれてきた環境や、所属する会社によっても条件が変わってきます。それぞれの立場によって得られるものが変わってくるということは、なにも人とのつながりに限ったことではありませんよね。

でも腐る必要はありません。目標をしっかりと定めて進んでいけばよいのです。似たような境遇であっても、努力次第で結果は変わります。

最終的には人間としての器によって、人とのつながりの広がりや深みは変わってきます。なにごとも自分次第ですね。


【いわい ともひさ/ダンボールアーティスト】
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今週の一言:ちょっといま、自分にとって大勝負となることの準備を始めています。3月中にはご報告できる予定です。あ〜緊張する!