ローマでMANGA[29]日本はどこへ行っちゃったの???
── midori ──

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(編集部注:このテキストは5月15日に書かれた)

何を書こうかと、頭を巡らせても何も浮かばない。いや、浮かぶのだけどすぐに、今私の頭を支配してる思いに取り替ってしまう。

で、マンガに関係ないことだけど、思いに素直に書くことにしてしまう。宮崎県で起こっている口蹄疫の話。

幸か不幸か、イタリアにいるせいで、マスコミではなくネットで日本の情報を得ているので、口蹄疫の話は感染が確認されてすぐに知った(現政府になってから政治に目覚めて、よけいに日本のサイトやブログやYouTubeやニコ動をしょっちゅう見ている。で、政策のひどさに、怒り、怖いもの見たさで次々と情報をたどって、仕事にならないわ、睡眠時間が減るわで、大迷惑)。

Mixiでも、日本在のオトモダチがマスコミは何も言ってない! と不思議がっていた。Twitterでフォローしている人たちの中でも、この件に関する発言をしているのは、藤井厳喜さん、原口内務大臣(責任者の一人。発言は言い訳)、東国原宮崎県知事(当事者)くらいのもの。鳩山氏も言及してない。やっぱり、みんな知らないのか? と不思議になる。それとも、日本の畜産業の危機に関心がないのか。



口蹄疫は偶蹄類にしかかからない病気だけれど、感染力が強く罹病したらその動物は殺すしかない(ヒトには感染しない)。実は10年前にも起こっている。初動がすばやく、宮崎で34、北海道で700余りの殺処分で済んだ。時の政府は、すぐに100億を用意し「できることはすべてやる」という姿勢で臨んだおかげ。結局は35億の出費で済んだ。今回は、県側からも国側からも初動態勢をとるが遅れて被害を広げてしまい、三週間経った今、殺処分(を待つ動物も含め)8万頭に迫っている。

感染が確認されたのは4月20日。22日に農林水産委員会で宮崎県出身の江藤拓議員が赤松農林大臣に対して、どんな対策をするつもりなのか質疑している。農林水産大臣であるからには畜産の敵、口蹄疫についての知識を持っているはずであるけれど、応答を見る限りとてもそうは思えない。江藤議員の口蹄疫についての講義になっている。すくなくとも、全く勉強不足だったとしても、この質疑で口蹄疫の知識は大雑把に得たはず。

↓4月22日の農林水産委員会 質疑の模様
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当の農家はあらゆる意味で、なんというのか、地獄の釜の中。ともかく消毒と殺処分で封じ込めないといけないのだけれど、肝心の消毒液が不足している。ドイツの製薬会社バイエルのビルコンSという消毒剤が効果がある。20日の時点で、大臣は外山いつき議員から消毒液が足らないと報告を受けていたけれど動かず。

この消毒液に関して「国に5000(単位は不明。瓶?)の備蓄があったはずだけれど、韓国・中国で口蹄疫が発生ということで"友愛"精神で譲渡してしまった」という話がネットに出ているけれど、実際は国で消毒薬の備蓄は行っておらず、韓国によるビルコンS買い占めによる入手困難情報が伝搬途中で変化してしまったものらしい。また、やっと確保できたもの横流しがあったという話も出回っているが、正確なことはわからない。いつになっても動かない政府に対する苛立ちが、そのような憶測を産むことにもつながるのだと思う。

川南町では岩手の農家からそのビルコンを貰い受けたり、お酢を使ったりして消毒している。生きている動物の世話、感染が確定した動物の殺処分、殺処分された動物を埋める作業。その間にも僅かな睡眠時間で、皆、消毒作業に従事して、疲労困憊。

感染動物が出たら、感染を防ぐためにその農場の動物は全部殺処分にしないといけない。殺処分にした動物は土に埋めるのだけど、宮崎の土地は水分が多く、掘ると水が上がってくる土地が多くてそこには埋めることが出来ないので、土地の確保も大変。殺しても埋める場所がないので、遺体を積み上げている。生きている動物の糞尿持ち出しを禁止されているのでその始末にも困っている。

競りはすべて中止。つまり、今季の収入は無し。子も殺すので20ヶ月後の収入も無し。埋めるための土地は農家が購入することになっている。40年かけて作り上げた宮崎牛を守るために種牛の移動を政府に申請して、だいぶ時間かかってやっと許可。

心身の疲労、動物を失い、将来への絶望感に包まれている農家多数。病気が収まったら、また小牛を購入して再開すれば良いじゃないか、という問題じゃないらしい。殺した動物を埋めた土地の汚染は、この騒ぎが終わった後問題になるかも知れない。

被害はこの感染力の強い病気のせいばかりではない。20日に報告を受け、22日に質疑があり、27日に宮崎県知事が上京して(大臣が被災地に行くべきじゃないのか?)陳情した(つまり病気の発生とその問題について知っていた)にも拘らず、政府は何もしない。見かねた自民党が対策本部を作り、30日に鳩山総理と赤松大臣に対策要綱申し入れを予定したが、赤松大臣は南米への外遊に出発してしまう。その間、福島みずほ大臣に代理を頼んだと言うことだけど、大臣は口蹄疫に関して何もせず。

県と国の初動の遅れ、すべてが後手後手に回る政府の対処。10年前のケースを考えれば人災になってしまっている。不気味なのは、マスコミが全く報道しなかったことだ。赤松大臣が5月10日に宮崎を訪問した後、ぼちぼち報道が始まった。まるで、「OK 今日から解禁」とでも言われたように。それでも、ネットで知った情報とは温度が違う。県と国の初動のまずさを隠すための報道規制があったらしい、という噂も流れている。さらには、感染経由について隠すものがあったという噂もある。噂だから、ここでは書かない(ああ、これを書いている時に殺処分に8万頭を超えたというニュース)。

何がって、これだけの被害がありながら、親身になれない大臣ってなに???救おうとしない政府って何? 言い訳ばかりする大臣ってなに?? と、頭に血が登り、血圧が上がる。災害が起きたときに、救えない政府って何????

日本はどこへ行っちゃったの???(←120ポイントくらいで表示したい)
未だに対応が未熟で混乱が続いている。国民から内閣総辞職要求ってできないの???

●私たちにできること。

1)宮崎産のものを買う
宮崎産の豚肉、牛肉、害がありません。安心して食べられます。野菜類もその他の食品もオーケーです。

2)バスタオルを送る
殺処分作業等にあたって使用するバスタオルは、一度使ったら処分されるので足りないそうです(なにしろ8万頭ですから)。
< http://omnmiyazaki.blog109.fc2.com/blog-entry-1692.html
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(5月18日追加:すでに全国から大量に届いているそうです。ひとまず募集を締め切りました。第二の募集まで、少々お待ちを、とのことです)

3)お金の協力
宮崎県口蹄疫被害義援金
< http://www.pref.miyazaki.lg.jp/contents/org/fukushi/fukushi/shakai_fukushi/html00165.html
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川南町のムッチー牧場 口蹄疫災害見舞金を募る会
< http://green.ap.teacup.com/applet/mutuo/20100507/archive
>

4)JA宮崎「宮崎の畜産を守る」署名運動への協力
「平成22年4月20日、宮崎県内にて口蹄疫が発生しました。発生農場も多数に上っており、畜産農家の経済的・精神的苦悩は計り知れません。また、農業以外の産業への影響も出ており、地域経済の疲弊も心配されます。
畜産農家の再建には、皆様のご支援が必要です。趣旨をご理解の上、署名へのご協力をお願いいたします。
第1次締切:6月14日(月) 第2次締切:6月30日(水)

以下から署名様式のPDFをダウンロードできます。「畜産農家の生活、農業経営の再建についての国の全面的支援」を赤松農水大臣と鳩山総理に宛てます。
< http://group.ja-miyazaki.jp/cgi-bin/news/SkinView.cgi?mode=1&id=66&html=./detail01.html
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この要望が通れば、まぁ、資金源は国民の税金なわけです。私としては、どちらにしても、口蹄疫にかかる費用は国、すなわち私たちの税金であり(だからこそ、もっと早く手を打てば、もっと低く済んだのに! ともっと私たちは怒っていい)、建設的なことに使われるならよしとしたいと思います。

精神の強いひと、こちらの審議の模様をどうぞ。精神が強くないと、「日本は終わりだ」と絶望します。

↓4月28日農水・国交連合審査会 この後、赤松大臣は外遊に出発。
農水・国交連合審査会(自民)赤澤亮正1/2
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農水・国交連合審査会(自民)赤澤亮正2/2
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農水・国交連合審査会(共産)穀田恵二
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↓5月11日
農水委員会 江藤拓(自民質疑1/5)
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農水委員会 江藤拓(自民質疑2/5)
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農水委員会 江藤拓・長島忠美(自民質疑3/5)
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農水委員会 長島忠美(自民質疑4/5)
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農水委員会 長島・坂本(自民質疑5/5)
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ほかにも、YouTube、ニコニコ動画で「口蹄疫」で検索すると、血圧が上がる動画がもっといろいろ出てきます。

【みどり】midorigo@mac.com
マンガの話じゃなくて済みませんでした。でも、これ、知ってしまったら、後に引けません。マスコミがまともに報道してないということも。こういう日本でしたか? と、ほんとに情けに思いでいっぱいです。

イタリア語の単語を覚えられます! というメルマガだしてます。
< http://archive.mag2.com/0000075559/index.html
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