僕がコンテンツ制作でお金をもらうようになってから6年程になりますが、改めて振り返ると、その間にもろもろのクライアントワークや、個人的な創作作品を含めると意外に結構な数の作品を作っています。
僕の制作のスタイルとして、「いろいろ試したい」という気持ちがあり、プロジェクト毎にテクニックや見た目を意図的に変えています。ほとんどがAdobe社のFlashを使ったアニメーション作品なのですが、正直なところ、コンテンツクリエイターとしても、アニメーターとしても専門的な教育を受けていない自分自身への漠然とした不安から、開き直って「模索」というものを自分の作風にしているところもあります。
しかし、この「いろいろやりまっせ」というウリでは、クライアントが困惑してしまう場合もままあります。クライアントサイドのイメージを具現化するにあたり、「個性」の希薄な状態では、通常よりとっかかりを見つけるのに、一ステップよけいな手間がかかっていると感じることもあります。画風やデザインの傾向などで、はっきりと主張できればいいのですが、それはそれで相手に自分を押し付けるようで気が引けてしまうのです。
僕の制作のスタイルとして、「いろいろ試したい」という気持ちがあり、プロジェクト毎にテクニックや見た目を意図的に変えています。ほとんどがAdobe社のFlashを使ったアニメーション作品なのですが、正直なところ、コンテンツクリエイターとしても、アニメーターとしても専門的な教育を受けていない自分自身への漠然とした不安から、開き直って「模索」というものを自分の作風にしているところもあります。
しかし、この「いろいろやりまっせ」というウリでは、クライアントが困惑してしまう場合もままあります。クライアントサイドのイメージを具現化するにあたり、「個性」の希薄な状態では、通常よりとっかかりを見つけるのに、一ステップよけいな手間がかかっていると感じることもあります。画風やデザインの傾向などで、はっきりと主張できればいいのですが、それはそれで相手に自分を押し付けるようで気が引けてしまうのです。
そこで、相手にもわかりやすく、自分もさりげなく主張できる方法として、「名刺代わりになる作品」を作るという方法があります。自分の過去の仕事を提示して相手に理解してもらうのはもっとも手っ取り早いやり方だと思います。多くのウェブサイト制作の会社のプロフィールを拝見すると、良質のクライアントのウェブサイトが制作事例として紹介されています。作家でも、フィルモグラフィーという形でいくつも紹介されています。
ただ、「名刺代わり」に限って言えば、プロフィールのような作品の羅列ではなく、なんとなくですが、もっと「一発勝負」的な感じもしています。名刺はだいたい相手一人に一枚渡せば終わりですし、その一枚でなんとなく相手を判断する事もあります。オシャレっぽい名刺なら、デザイン系の仕事の印象を受けますし、シンプルかつオーソドックスな名刺なら、堅実さを感じる事もあるでしょう。
そのように考えてゆくと「私こういうものでございます」と自己紹介するのに、クリエイターであればびしっと、一本の作品でアピールしたいなぁと思うのです。
僕は、はじめて作った作品の公開が、ちょうどFlashがインターネットで目新しく受け取られていた時期と重なった為、それなりの認知を得ることが出来、対外的には「代表作」になっていますし、この場合、「名刺代わりの作品」ということができると思います。
ただ、個人的には「受け入れられたのは嬉しいけど、そろそろ新しい名刺も持ちたい」と思うのです。また、はじめての作品が名刺代わりになってしまうと、「いつも新鮮! 荒削り!」的なノリが前面に出てしまうような気もしてしまうのです。6年とはいえ、僕なりに変化もしただろうと……
改めて「新しい名刺的な作品を作ろう!」と考えると、多少なりとも「狙い」をつけた方がいいかなぁと思うのです。
自己アピールができているか? その作品は、自分が相手に与えたい印象を代弁してくれるか? 無理がないか? 気負っていないか?
と、考えているうちに気負ってしまったりするのですが、こういった点を作品作りの前の企画段階で考えてみるのも面白いかと思っています。「結果的によくできたから代表作」「思わず人気が出たから名刺代わり」というのとは、アプローチが全然違います。受け仕事であっても「名刺代わりにするつもり」であれば、自身のプロモーションへの利用許諾という希望を契約の早い段階で相手に提示もできるでしょうし、作品に使用するイメージやサウンドについてもちょっと心遣いが変わってくると思います。
より良いものにする為に、通常の仕事よりちょっと見積もり以上の仕事をしてしまう事もあるかもしれません。「名刺は自費で作るもの」と思えば、ある程度の自分の時間や労力の投資もやむなしでしょう。
そうやって作った自分自身も満足しているコンテンツが一作品あれば、なにかしらオファーのあった時に「では、これをご覧下さい」と気持ちよくアピールができると思うのです。
代表作を作るという目的のもと、「自分は誰か?」「自分はどうなりたいか?」「自分は何を見せたいのか?」という事を考える為だけでも、挑戦してみたくなってきます。
僕自身、外に向けた自分のイメージが「自分はFlashでアニメーションコンテンツを作る人」「動画で物語を表現したい」「振り幅の大きい自由な作風と、バラエティのある制作スタイルをアピールしたい」となると、名刺代わりといっても、結局作品集みたいになってしまいそうです。
ああ、堂々巡りです。
生意気言いました。
【あおいけ・りょうすけ】your_message@aoike.ca
< http://www.aoike.ca/
>
本文でも触れました僕の名刺代わりになっている作品「CATMAN」がフジテレビ・お台場ランドで順次公開されています。過去の14作品公開後には、新作を公開します。この新作が名刺代わりになるといいのですが……
< http://www.fujitv.co.jp/game/catman/
>
1972年生まれ。大阪芸術大学映像学科卒。学生時代に自主映画を制作したのち、カナダ・モントリオールで映画製作会社に勤務する。Flashアニメシリーズ「CATMAN」でWebアニメーションデビューする。芸術監督などを経て独立し、現在はフリーランスとして、アニメーション、Webサイト、TVCMなど主にFlashを使い多方面なコンテンツ制作を行う。
・書籍「Create魂」公式サイト
< http://www.ascii.co.jp/pb/flashbooks/create-damashii/
>
ただ、「名刺代わり」に限って言えば、プロフィールのような作品の羅列ではなく、なんとなくですが、もっと「一発勝負」的な感じもしています。名刺はだいたい相手一人に一枚渡せば終わりですし、その一枚でなんとなく相手を判断する事もあります。オシャレっぽい名刺なら、デザイン系の仕事の印象を受けますし、シンプルかつオーソドックスな名刺なら、堅実さを感じる事もあるでしょう。
そのように考えてゆくと「私こういうものでございます」と自己紹介するのに、クリエイターであればびしっと、一本の作品でアピールしたいなぁと思うのです。
僕は、はじめて作った作品の公開が、ちょうどFlashがインターネットで目新しく受け取られていた時期と重なった為、それなりの認知を得ることが出来、対外的には「代表作」になっていますし、この場合、「名刺代わりの作品」ということができると思います。
ただ、個人的には「受け入れられたのは嬉しいけど、そろそろ新しい名刺も持ちたい」と思うのです。また、はじめての作品が名刺代わりになってしまうと、「いつも新鮮! 荒削り!」的なノリが前面に出てしまうような気もしてしまうのです。6年とはいえ、僕なりに変化もしただろうと……
改めて「新しい名刺的な作品を作ろう!」と考えると、多少なりとも「狙い」をつけた方がいいかなぁと思うのです。
自己アピールができているか? その作品は、自分が相手に与えたい印象を代弁してくれるか? 無理がないか? 気負っていないか?
と、考えているうちに気負ってしまったりするのですが、こういった点を作品作りの前の企画段階で考えてみるのも面白いかと思っています。「結果的によくできたから代表作」「思わず人気が出たから名刺代わり」というのとは、アプローチが全然違います。受け仕事であっても「名刺代わりにするつもり」であれば、自身のプロモーションへの利用許諾という希望を契約の早い段階で相手に提示もできるでしょうし、作品に使用するイメージやサウンドについてもちょっと心遣いが変わってくると思います。
より良いものにする為に、通常の仕事よりちょっと見積もり以上の仕事をしてしまう事もあるかもしれません。「名刺は自費で作るもの」と思えば、ある程度の自分の時間や労力の投資もやむなしでしょう。
そうやって作った自分自身も満足しているコンテンツが一作品あれば、なにかしらオファーのあった時に「では、これをご覧下さい」と気持ちよくアピールができると思うのです。
代表作を作るという目的のもと、「自分は誰か?」「自分はどうなりたいか?」「自分は何を見せたいのか?」という事を考える為だけでも、挑戦してみたくなってきます。
僕自身、外に向けた自分のイメージが「自分はFlashでアニメーションコンテンツを作る人」「動画で物語を表現したい」「振り幅の大きい自由な作風と、バラエティのある制作スタイルをアピールしたい」となると、名刺代わりといっても、結局作品集みたいになってしまいそうです。
ああ、堂々巡りです。
生意気言いました。
【あおいけ・りょうすけ】your_message@aoike.ca
< http://www.aoike.ca/
>
本文でも触れました僕の名刺代わりになっている作品「CATMAN」がフジテレビ・お台場ランドで順次公開されています。過去の14作品公開後には、新作を公開します。この新作が名刺代わりになるといいのですが……
< http://www.fujitv.co.jp/game/catman/
>
1972年生まれ。大阪芸術大学映像学科卒。学生時代に自主映画を制作したのち、カナダ・モントリオールで映画製作会社に勤務する。Flashアニメシリーズ「CATMAN」でWebアニメーションデビューする。芸術監督などを経て独立し、現在はフリーランスとして、アニメーション、Webサイト、TVCMなど主にFlashを使い多方面なコンテンツ制作を行う。
・書籍「Create魂」公式サイト
< http://www.ascii.co.jp/pb/flashbooks/create-damashii/
>
- Create魂 Flashクリエイターによるオリジナルアニメ創作論
- 青池 良輔
- アスキー 2006-12-15
- おすすめ平均
- 新分野の第一線で活躍するプロのクールで熱い創作論
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by G-Tools , 2007/06/26