ローマでMANGA[19]神様が用意してくれた仕事
── midori ──

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イタリアのデ・アゴスティーニ社「MANGAの描き方」全60巻が、今年の1月発売開始されてから4か月が過ぎ、ようやく9巻がキオスクに出ている。本誌のクレジットに「Direzione corso di disegno」つまり「絵のレッスン指導」というタイトルの後に私の名前がある。

正真正銘の日本人がスタッフとして参加している! というのが大事なわけだけど、ついでにレッスンの記事を書き、アニメのコーナーにもレッスンを書き、若い絵描き達のラフを見て指示し、参加している日本人漫画家のコメントを訳し、「レッスン指導」なんていうより雑用係と呼んだ方がいいようだ。

おかげで、絵のラフを見て何がだめなのかを見抜くことと、イタリア語で毎日文章を書くことを強制されて、わたしにとっても今後の展開のいい訓練になっている。きっと「イタリアでMANGA言語を使った新しい漫画をプロデュースする!」という夢の実現のために神様が用意してくれた仕事なんだろう。



雑用ついでに、このコースのサイトのコーディネートもおおせつかっている。一週間で約2万人近い登録者が投稿する絵の中から、毎週適当に選んで講評をするのが仕事。

これがまた楽しいのだけど、すごくうまい子とどうにもならない子の差が激しく、下は11歳、上は30過ぎの登録者の中から選ぶのも、何を基準にするか、毎回悩む。そこで、「宿題」を出してみた。

投稿されている絵のほとんどがいわゆる「ファンアート」、既成のキャラクターのコピーで、コマ割りの原稿を投稿する人は少ない。もっとも、編集部の人間からして、MANGAというものがわかっていないのだから仕方ないのだけど。それでも、本当の意味でのMANGAに少しでも近づいてほしいので、コマ割りの宿題を出した。ただし、コマは既に割って、自分で絵を当てはめてもらうことにした。

ほとんどの登録者は、SNSのノリで互いにコンタクトをとって楽しんでいて、私の添削ページを読んで、コメントを残す人は多くない。毎週2万ものコメントが来ても困るわけだけど、せっかくMANGA言語を知る機会なのだから、もうちょっと読みに来てほしい。インターアクティブになれば、興味を持つ人も増えるのではないかという期待もある。コメントを読む、という仕事が増えてしまうけど。

宿題は、原稿一枚、日本のMANGA出版社が普通に使うサイズ、270ミリ×180ミリの枠内に、横長のコマを三つ配置し、これをバックにして、左側に全身のキャラ、正面向きを入れる。要するに、キャラを前面に押し出したインパクトのあるページ構成になるわけ。

私のページ内の「ブログ」に「宿題」というタイトルを設けたので、そこにアップしたことを知らせる一文を入力するように、という条件も出した。すべての条件をクリアしなければ、添削はしないよ、とも。

宿題を出してから期限は2週間。10日過ぎて、宿題をアップした人は25名。いや、期待以上です。私の「ブログ」でなく「コメント」というコーナーにアップの知らせを書いた人2名。全身ではなく膝までの人物を描いた人1名。まぁ、初めてだし、ちょっと甘くして、とりあえず受け取ることにしてしまった。

添削する時に、「全条件クリアした人」と「エラー」とはっきり分けて添削しようと思う。コンテストに応募したり、仕事になったりした時に、条件をしっかり把握してクリアするのは大事なことだから、それを経験してほしい、ということでもあるので。

宿題のお知らせを出した添削ページは、今までになく盛況で80近いコメント、質問、参加表明が入力された。今までは行って20くらいだったから、とりあえず思惑通り…というわけ。これも、将来イタリア製MANGAのプロデュースをする時の練習になるに違いない。おまけにうまい子、やる気のある子を発掘する場にもなる。締め切りは6月1日。何人提出するでしょうね。そして出来具合は?

【みどり】midorigo@mac.com
イタリア語の単語を覚えられます! というメルマガだしてます。
< http://midoroma.hp.infoseek.co.jp/mm/menu.htm
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16歳、高校二年の息子がバンドを始めてはや2年。日本のクラブ活動にあたる学校主催の活動で、毎年この時期に発表会をやる。先日、その発表会に行ってきた。教会経営の小さな劇場でやる。

もちろん、プロの技には及ばないけれど、2年で皆ずいぶん上達した。指導する先生は、生徒の心に入って行くことのできるタイプの人で、音楽は楽しくなくちゃ! というのがポリシー。息子がこれで自信をもち、何に対してもポジティブにとらえて行けるようになれば、と願っている。息子は、これで食べて行きたい…と思っているけれど。
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○ありがとうございました!
前回、掲載した図々しいお願いに応えてくださった奇特な方が3人いらっしゃいました。その中のおひとりが、校長の意向に合って、お願いすることになりました。応募してくださった方、この機会を与えてくださったデジクリに感謝します。