●キャラの感情を表現せよ
私のMANGAセミナーの授業が始まった。屁理屈は得意だけど、ちゃんと理論立てる理数系というか科学的な検証は不得手で、10年くらいこのセミナーをやっているのに、未だにきちんと筋道を立てて授業内容を整理することが出来ない。
デ・アゴスティーニのウエブサイトの仕事の一環で、ビデオ・レッスン10回という企画を提出しようと考え、その内容を元に本も書いちゃおうかという気持ちになっているので、ここで、11月から来年5月まで21回分の授業内容(おおよそ)も決められないでどうする! と自らを叱咤してようやくまとめた。
MANGAの構成の重要度はコマの使い方が多くを占めているので、コマの解説が半分は占めることになった。
1:MANGA・セミナーの紹介とMANGAとコミックスの違い
2:コマ・空間=時間
3:ストーリーのベース「起承転結」
4:コマ・三コマ=エピソードのユニット1
5: 同上 2
6: 同上 3
7:コマの構成 (フキダシの位置)
8:レイアウト
9:読者の視線を誘導する
10:第一話の提出
11:特殊なコマの形
12:キャラの設定(主人公)
13:キャタの設定(それ以外)
14:ネームの作成
15:メリハリ(空間)
16:メリハリ(アングル)
17:現実性の挿入
18:オリジナル性の挿入
19:第二話の提出
20:講評
21:講評
講評を二回もいれたということに疑問を持たれた方もいるかも知れないけれど、そこは華麗にスルーするー。
MANGA言語を授業にするというのは、多分とても難しいことなのだと思う。今までの経験から言うと、生徒にネームを作ってもらうと、MANGA言語からあまりにも離れていて、コミックスに近く(状況を解説して話が進む)、ついつい、そっちに引っ張られてしまう。
頑として、キャラの感情を表現する、ということに徹するのだと自分に言い聞かせることを忘れないようにしなくては。
一回目は私自身の紹介と、MANGA・セミナーではいわゆるMANGAスタイルのキャラの描き方や、トーンの使い方を教えるものではないこと、MANGAの文法とでも言うべき構成の仕方を解説するものですよ、としゃべった。
そして、以前にここで書いたアルゼンチン人作家の1ページと井上雄彦氏のバガボンドの見開きを示して、違いを解説した。
< https://bn.dgcr.com/archives/20080513140100.html
>
私が言う前に、どこが違うと思う? と生徒に聞いてみた。
「コミックスの方は舞台を見てるみたい」
「MANGAのほうが感情移入ができる」
「MANGAはアップが多い」
見て感じたままを言えばいいのだから、全て正解。どちらかと言えば、そうした考え方をしたことがないことを体験してもらって、考えてみる、というのが大事。
●キャラ化=日本の心
それから、MANGAの一環として「Hinomoto Oniko」と「はやぶさたん」の絵をダウンロードしたものを見せた。どちらも、無機物(「日本鬼子」という罵倒語を無機物と呼んでいいかはともかく)をキャラ化してしまっている。
「Hinomoto Oniko」は日本に対する中国語の蔑称。尖閣問題の後、この蔑称を萌えキャラにしようぜという提案が2チャンネルでされて、多くの絵がアップされた。日本鬼子と検索して萌えキャラがトップに出てきたら、あちらは萎えるんじゃないかという、オタク文化の粋な使い方だと私は大いに拍手喝采した。
< http://dic.nicovideo.jp/a/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E9%AC%BC%E5%AD%90
>
< http://dic.pixiv.net/a/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E9%AC%BC%E5%AD%90
>
「はやぶさたん」はご存知、探査機はやぶさで、はやぶの帰還時に多くの萌えキャラになったはやぶさが、MANGAやアニメやイラストでネットにアップされた。
< http://hayabusamatome.xrea.jp/wiki/index.php?%C1%CF%BA%EE%B7%CF
>
そのココロはMANGA(そしてアニメ)なのだ。モノに人格を与えるのはディズニーアニメにもあるし、各国の童話にもある。ただ、あらゆるものに精霊を見る日本の精神が自然にそうした動きを作り、日本人が自然に受け入れると考えるのは行き過ぎだろうか?
地球の大気圏に突入前のはやぶさを「最後に地球を見せてあげたい」と、はやぶさの目であるカメラ部分を地球に向けるために、本体を回転させた川口博士の心のあり方もそれに通じる。
MANGAは、読者が主人公に感情移入して一緒にストーリーを生きる、という特徴がある(コミックスにはそれがない、主人公はいるけれど)。感情移入すさせるためには、その主人公に人格がなくてはならない。はっきりした性格、その性格を形作るに至った過去の人生などまでにまで作者の考えが及ぶ。キャラの形状はそうしたことを彷彿させるものになる。そして、見て楽しい。
今年も作品をつくってもらう。4ページのものを二編。宿題にしてもやってこないだろうし、出席したりしなかったりなので授業中にやってもらう。いつも、学生がつくってくる「何が起きるか」に終始してしまうので、今年こそ、ストーリーよりも感情を表現することに集中したい。それこそがMANGAの持つ大きな特徴なのだから。
ビデオ・レッスンも含めて、MANGAの真髄(?)をイタリアに広める第一歩にするぞー! の気持ちを新たに、今年も授業開始なのであった。
【みどり】midorigo@mac.com
ここのところ、いろいろあって飽きる暇がないですね。尖閣事件のビデオ「投稿」。「投稿者」の「自白」とその逮捕見送り。
尖閣諸島界隈は中共、韓国の領海侵犯が多く、海上保安庁職員はその実態を知る必要があり、皆が各事象を見なくてはいけない。だからこそ海上保安大学校にもあったのであり、そもそも、あのビデオを隠すことで利益があるのは中共と、巡視船に体当りした「漁船」船長を釈放してしまった失策を犯した政府(地検だということになっているけれど)。
二つのフレーズを使い分けていればいいという法相(そうこうするうちに「辞任」)や寒い官房長官。「きちんと」「しっかり」「精一杯」「できるかぎりのこと」を言えば大臣をやっていられる政府って、いったいなんなんだ。。。。
イタリア語の単語を覚えられます! というメルマガ出してます。
< http://archive.mag2.com/0000075559/index.html
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