Scenes Around Me[20]ワークショップ・ガロの事(中)
── 関根正幸 ──

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前回はワークショップ・ガロ(以下WSGと略)という、漫画雑誌「ガロ」の編集長・山中潤さんが主宰、ライターの今一生さんが顧問という形態で開講された、クリエイターを養成するワークショップに、スタッフとして関わった経緯を書きました。






当時のガロに載った告知から、WSGの開催日と場所をリストアップしてみます。

第1回 1996年9月22日 アップリンク(渋谷)
才能自覚カウンセリング/才能をえぐり出す

第2回 1996年10月12日 スタジオはるか(阿佐ヶ谷)
サイコドラマ×自分を見る・見られる自分

第3回 1996年10月26日 ギャラリー荻窪
見たことがないもの/事件を作る

第4回 1996年11月16日 中野駅北口 サンプラザ前
オリジナリティー 自分の中の変を知る

第5回 1996年11月30日 セシオン杉並
人前の自分 一人の自分/作品を差別する

第6回 1996年12月21日 セシオン杉並
説得力/自他を差別し、理解者を得る

第7回 1997年1月11日 二村スタジオ(港区内)
ディスコミュニケーション/もう一人の自分をプレゼンする

第8回 1997年1月25日 二村スタジオ
噂になりたい! ガロ版市街劇/他者になる

第9回 1997年2月8日 中野区内
〈他者〉をふちどる質問術〜自分を驚かせる〈他者〉性の発見

第10回 1997年2月22日 中野区内
編集という遊び〜〈意味〉の偽造と情報錬金術

第11回 1997年3月29日 中野区内
公開プレゼン大会 〜アーティスト全員集合!!

第12回 1997年5月3日 salon s-36・31(池尻)



全12回の内、最後の一回を除いてタイトルが付いていますが、今さんらしい付け方だと思います。

また、WSGの内容も実務的なものというより、ある意味、自己啓発的なものだったという印象があります。



例えば、第4回ですが、中野駅北口に集まった参加者に、潜伏している司会進行役の二村さんを、時間内に探しだすよう指令を出したそうです。

聞いた話では、二村さんは中野駅近くの喫茶店にいて、外から見えるように窓際の席で待機していましたが、結局、時間内には誰も二村さんを見つけることは出来ませんでした。

(ガロに掲載されたアフターレポートには、二村さんは今さん宅に居たと書かれています。3時間の長丁場だったので、途中で移動したのかもしれません)

ただし、その回は二村さんを見つけることもさる事ながら、二村さんを見つけるために何をしようとしたかも重要だったようです。

参加者はそれぞれ、単独で二村さんを探しているだけで、チームを組んで情報交換をするようなことはありませんでした。

また、犯罪以外何をやってもよいと事前に告知したにもかかわらず、今さん宅に電話をしたり、今さんを買収して二村さんの居場所を聞き出すなどの行為に出る人もいなかったそうです。

つまり、知らず知らずのうちに自分に課している制約の存在に気づいてもらうというのが、その回のテーマの一つだったかもしれません。



前回書いたように、私は会場を探す係だったのですが、WSGの現場に(特に前半は)顔を出さなかったので、上記のリストには取った記憶のない場所もあり、少々驚いています。

当初、ワークショップの参加人数が全く掴めず、会場代を抑える必要があったので、中央線沿線で安く借りられるスタジオや公共施設に、片っ端から電話で問い合わせましたが、なかなか思うような場所が見つからなかった記憶があります。

セシオン杉並はその意味で、適した場所だったと思いますが、WSGの意に沿う場所だったかは分かりません。

WSGは、第7回以降、参加者が少人数の固定メンバーになってから、二村さんの実家にあるスタジオや、中野区内(今さんの自宅)を会場として使いました。



WSG最終回の会場となったsalon s-36・31(以下salonと略)は、映画監督の福居ショウジンさんのスタジオで、今さんから、タダで借りられる場所があるので押さえて欲しいと連絡がありました。

salonがあった池尻は、当時のバイト先に近かったこともあり、仕事が後わってから直接向かいました。

当初は借りるつもりでスタッフに色々話を聞いたのですが、料金について訊いたところ、入場料をイベント企画者とスタジオで折半するシステムだったので、一旦保留にしてもらいました。

その後、最終回はちゃんとした所でやろうと、salonを借りることになりました。ガロ以外にも告知を出したと思いますが、ゲストを呼んだこともあり、当日はそこそこの集客があったと記憶しています。

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今回の写真は1999年2月頃撮影した、百人町の給水塔です。小滝橋通りを、大久保通りとの交差点から北上、JR中央線のガードをくぐって小滝橋への坂を下る途中、右手に戸山住宅の古い給水塔が見えました。

その廃墟のような佇まいに、思わず三脚を立てて写真を撮りました。

都営戸山住宅には、同様の給水塔がもう一基ありましたが、どちらも2006年頃に解体されてしまったのは残念でした。


【せきね・まさゆき】

sekinemajp@gmail.com
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1965年生まれ。非常勤で数学を教えるかたわら、中山道、庚申塔の様な自転車で移動中に気になったものや、ライブ、美術展、パフォーマンスなどの写真を雑多に撮影しています。記録魔。

1/31までですが、高円寺のバー鳥渡で、トリドリの宴という写真のグループ展に参加しています。また、川口のmasuii R.D.R galleryで、2/5〜2/11まで開催されるグループ展「あらかわあつこと柳田亮のmasuiiギャラリーのゆかいな仲間たち」に参加する予定です。