Scenes Around Me[89]小川てつオくんのこと[20]246表現者会議で撮った写真[1](2007年11月〜2008年3月)
── 関根正幸 ──

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今回は、246表現者会議で撮った写真を取り上げることにします。

246表現者会議
https://kaigi246.exblog.jp


個人的には、2007年の暮れから2009年にかけて、重要な出来事が続いたように思います。その一つが、246表現者会議と関わったことでした。
https://kaigi246.exblog.jp/6786112/


246表現者会議については、連載第24回で簡単に紹介したことがあります。
https://bn.dgcr.com/archives/20180327110100.html


小川てつオくんの記事によると、2007年3月に地元のまちづくり協議会が、近くのデザイン専門学校に依頼して国道246号線の渋谷駅ガード下に壁画を描きました。

そして、2007年10月になってガード下を「渋谷アートギャラリー246」と名付け、ポスターを掲示して、そこで寝泊まりしている人たちに立ち退いてもらうようお願いしたそうです。

その流れに対して、小川てつオくんと武盾一郎さんが、アートが排除の手段に使われたのではないか、と反応して毎月1回ガード下周辺で会議を行うようになりました。

会議にはガード下で暮らしていた人たちを含め、多くの人が参加しました。
また、参加者の中には現在、第一線で表現活動を続けている人も少なくありません。







246表現者会議とは直接関係ありませんが、会議に先立つ2007年11月23日に、246ガード下でいちむらみさこさんのパフォーマンス(ダンボールハウスによるファッションショー)が行われました。

いちむらさんをはじめとする数名が頭からダンボールで作った家を被り、246ガード下を歩きました。

https://live.staticflickr.com/65535/51091077462_841389d6ef_c
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写真左手の壁に描かれているのが、問題となった壁画(渋谷アートギャラリー246)です。

のちに、いちむらさんが、壁画はファッションショーのバックに合っていた、という趣旨の発言を会議で行ったようです。



私は、246表現者会議については、てつオくんと武さんが組んで何か始めることに関心があり、会議が行われている様子を記録しようとしました。

第1回会議(2007年12月28日)
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第2回会議(2008年1月28日)
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第3回会議(2008年2月22日)
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写真の通り、246ガード下にダンボールを敷いて、その上で参加者が車座になって話し合いました。参加者は回を重ねるにつれ、増えて行きました。

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この写真は2008年3月20日に行われた第4回会議で、この時はてつオくんの提案で集合写真を何枚か撮りましたが、薄暗い場所だったため、全員がブレずに写っている写真は1枚も撮れませんでした。



以下、会議そのものからは離れますが、エノアールで行われた対談についての思い出を記します。

雑誌「美術手帖」が現代美術家の会田誠さんの特集(2008年5月号)を組みました。そして、特集に載せるための対談(青空雑談会)が2008年2月27日にエノアールで行われました。

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青空雑談会については、この14ページ以降に対談の内容が載っています。

http://chimpom.jp/pdf/bt200805.pdf


対談には、会田誠さん、卯城竜太(chim↑pom)くん、遠藤一郎くん、小川てつオくん、いちむらみさこさん、増山麗奈さん、小田マサノリ(イルコモンズ)さん、富永剛総さんが参加しました。

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対談者のうち、卯城くんと遠藤くんは、会田さんが2001年から2004年まで美学校で行った講座「バラバラアートクラス」の生徒でした。

また、遠藤くんは、いちむらさんと武蔵小金井のライブハウス「アートランド」でイベントを企画したことがあり、246表現者会議にも参加しました。

そして、遠藤くんの報告により会田さんが246表現者会議に関心を持ったことがきっかけで、会議の参加者が対談に呼ばれたのだと思います。

私は武さんから、対談の撮影を依頼されました。

その時は、246表現者会議が美術手帖から取材を受けるので、撮影した写真が使われるかもしれない、というくらいの話を聞いた記憶があります。

ところが、当日エノアールに行ってみると、案の定、美術手帖側から女性のカメラマンが手配されていました。

彼女はカメラマンがもう一人現れたことに戸惑いを覚えたのかもしれません。対談が始まる前、エノアールから少し離れた場所でぼんやりしていました。そして私に、あそこにいるネコは撮らないんですか? と話しかけてきたのを覚えています。

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私としては、正式なカメラマンが来たことで、撮影についての責任がなくなったことに安心しました。私は246表現者会議のブログに載せる写真を撮ると、次の仕事に行くぎりぎりまでエノアールにいました。

対談に先駆けて、参加者が各々普段行なっている活動について報告を行いました。

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その中で、私は卯城くんの報告に興味を覚えました。

卯城くんのことは、当時中目黒にあったミズマアートギャラリーで、加藤愛さんとの二人展を見て知っていました。

しかし、卯城くんがchim↑pomというアーティスト集団を結成していたことはこの時初めて知りました。そして、卯城くんが以下のような活動報告をしたのを覚えています。

エリィ(chim↑pomのメンバー)がセレブ好きなので、ブランド品をカンボジアの地雷原に埋めて爆破した。
そのブランド品をギャラリーで展示したら数百万円で売れたのだが、セレブは寄付を行うということで、売り上げは全て寄付してしまった。


【せきね・まさゆき】
sekinema@hotmail.com
http://sekinema.com/photos


1965年生まれ。非常勤で数学を教えるかたわら、中山道、庚申塔の様な、自転車で移動中に気になったものや、ライブ、美術展、パフォーマンスなどの写真を雑多に撮影しています。記録魔