Scenes Around Me[53]アートブックOBSCURE(2)OBSCURE付録の音源
── 関根正幸 ──

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◎アートブックにCD-Rの音源を付録に付けるプロジェクト

アートブックOBSCUREの製作に、私は1号から関わっていました。というのも、私は本誌の付録のCD-Rに音源を提供していたからでした。

鷹野依登久くんが1998年9月に、オブスキュアギャラリーと神宮前のギャラリーの二箇所で同時に個展を開催したことは以前の連載に書きました。

その際、鷹野くんから、神宮前の会場のBGMとして、水の泡のような音を作って欲しいと依頼がありました。

そこで、私は湯呑みに水を張り、コンタクトマイクを突っ込んで、ストローで水に息を吹き込みました。私はその音にディレイをかけて、数パターン録音しました。そして、それらをミックスして音源を作成しました。





その音を鷹野くんは気に入ったようで、後になって鷹野くんから、音源をCD-Rにダビングして、OBSCURE1号の付録に出来ないかと打診がありました。

私は1997年にコンピレーションCD「kids」を制作した関係で、CD-Rレコーダーを持っていたので、ダビングは可能でした。

そこで、私は依頼を受けたのですが、締切までの時間とメディア代の関係で、ダビングできたのは30枚程度だったと思います。

OBSCUREは各号300部を製作したので、1号には、ほんの一部にしかCD-Rを付けられなかったことになります。

とにかく、これをきっかけにOBSCUREにCD-Rの音源が付くことになりました。

OBSCURE1号は私一人の音源だったのですが、2号からtechnical cutの佐藤久順(kujun・ひさとし)くんと白井朋樹くんが参加、さらに、おそらく3号からひさとしくんの紹介で植野隆司くんと藤乃家舞さんが参加しました。

植野くんは、奥さんのさやさんと「テニスコーツ」というユニットをやっていました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%86%E3%83%8B%E3%82%B9%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%84


筋肉質で寡黙な印象がありました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/YAMP_KOLT_(a.k.a_mai_fujinoya)


また、舞さんはUAのバックでベースを弾いていました。毒舌なところはありましたが、それを裏付けるテクニックと、仕事に対する誇りがあったのだと思います。

余談になりますが、東日本大震災の後、たまたま、音楽関係の編集者でUA担当だという人と飲む機会があったので、舞さんのことを知っているか訊いてみました。

すると、彼は、舞さんを知っているどころか、藤乃屋舞は「不治の病」をもじって付けられたいうことを教えてもらいました。

当時舞さんは沖縄に移住していましたが、OBSCURE時代にはそのようなことを舞さんから聞いたことがなかったので、驚くと同時にさすがUA担当だと感心した記憶があります。

さて、CD-Rのダビングは私と鷹野くんで手分けして行いましたが、私のCD-Rレコーダーは等倍速の書き込みしかできなかったため、一日に数枚しかダビングできませんでした。

そのため、割り当てられたCD-Rを焼き終わると、すぐに次の号の音源を編集しなければならず、新作を作る時間が取れなくなりました。

さらに、この頃、曲を作り始めるきっかけとなった、失恋した相手と和解するなど、いくつかの状況が重なって、私は曲を作るモチベーションを失っていくことになります。

それはともかくとして、オブスキュアでは、1999年の4月頃、さらに多くのミュージシャンを集めて、CDを作る計画が持ち上がりました。

https://live.staticflickr.com/65535/48160945346_55f9d58c78_c

写真はOBSCURE5号の裏表紙の一部ですが、9月にコンピレーションCDを出すという告知とともに、参加したミュージシャンの一覧が載っています。

コンピレーションに参加したのは、これまでCD-Rに参加したミュージシャン以外にSafari、宇川直弘、Rudolf Eb er、そして、亡くなってしまいましたが、WOODMANがいました。

https://togetter.com/li/997738


トラック2の NiederKasseler Kirchberg は小林亮平くんで、私が誘って音源を提供してもらいました。

そして写真の上の方に私のクレジットが部分的に写っています。5号から私もOBSCUREにクレジットが載ることになりました。

最後に、私の部屋から発掘したコンピレーションCDを紹介します。

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外箱は潰れていますが、上面に各トラックの曲名とミュージシャンが記載されています。

CD製作のことについて覚えていることは多くありませんが、私の曲名を見る限り、1999年5月9日に録音しているので、5月末頃が音源の締切だったようです。CDのマスタリングはひさとしくんが行ったと思います。

パッケージ
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CDケースは地球儀の北半球になっています。
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また、蓋は鉄板で出来ていて、蓋を止めるためのネジは耳の形をしています。中身を出してみようとしましたが、ネジが固くて開けず、下手に抉って壊すと面倒なので、CDの写真はありません。


【せきね・まさゆき】
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1965年生まれ。非常勤で数学を教えるかたわら、中山道、庚申塔の様な自転車で移動中に気になったものや、ライブ、美術展、パフォーマンスなどの写真を雑多に撮影しています。記録魔