まだまだ自宅待機が長引きそうなローマからお送りします。
●現状
4月10日の首相令で自粛が5月5日まで延長になった。
https://www.corriere.it/cronache/20_aprile_11/coronavirus-negozi-riaperti-nuove-regole-dispenser-metrature-20-giorni-adeguarsi-norme-eb67ef7c-7bf1-11ea-8e38-cc2efdc210dd.shtml
ただし、前回の自粛期限の4月14日から本屋、文房具屋、子供の衣料品店、クリーニング店は営業してよい。5月4日から、徐々に他の業種も営業を再開してよい。ただし:
1)人と人の安全距離を保つ
2)日に最低二回の掃除をして衛生を保つ
3)自然の空気を取り入れ、換気を保証する
4)手の消毒を可能にする。特に、支払い機器界隈の消毒に気をつける
5)閉鎖した環境、また、安全距離を保てない場合(例えば、床屋とか)にはマスクを着用すること
6)特に食料飲料の購買に当たっては使い捨て手袋を使用すること
7)人の入場に関して;
a)営業時間を調整する
b)40平方メートル以下の施設では、最大二人のオペレーターに一人の顧客であること
c)b)で述べた部屋よりも広い施設については、可能な限り出入り経路を区別して、利用可能なスペースに応じて入退室を規制する
8)入店待ちの客に関して:
a)手を小まめに洗う。公共の場、スポーツジム、スーパー、薬局などの集合場所では、手を洗うためのハイドロアルコール溶液を利用できるようにすることが推奨される
b)急性呼吸器感染症の人との接触を避ける
c)抱擁、握手を避ける。
d)対人において少なくも1mの距離を空ける。
e)呼吸器の衛生管理(くしゃみや咳をハンカチに吸い込み、呼吸器の分泌物に手が触れないようにする)を行う。
f)手で目、鼻、口を触らない
g)くしゃみや咳の場合は、口や鼻を覆う
h)医師の処方がない限り、抗ウイルス剤及び抗生物質を服用しないこと
i)塩素系またはアルコール系の消毒剤で表面を洗浄する
これは、感染者数の増加がかなり緩んできたので、「対新コロナウイルス第二段階」に入ったと、首相のテレビ会見ではっきり言った。
増加が緩んできたのはイタリア全国で自粛を初めて4週間、先に都市封鎖をした北イタリアでは一か月以上経ってからのことだ。でも、増加が止まったわけではないので、完全に自粛をやめるわけにはいかない。
それでも感染者増加率が2%まで落ち(ピーク時は20%を超えた)、重篤患者の増加はマイナス、つまり、治って退院する人が増えた。今、ここでもとに戻すのは早計。治療薬も確立していないし、ワクチンもまだない。
問題は学校だ。イタリアの学年度は他の欧米諸国同様に、9月新学期で翌年の6月に終わる。小中校もそれぞれ問題があるけれど、一番懸念されている問題は、高校最終学年の試験、と大学の単位のための試験。
イタリアの学校制度で、高校はほぼ公立で5年制。最終学年は学校ごとの成績表の他に全国一律の卒業試験を受けて、これにパスしないと高校卒業の免状がもらえない。日本の国立大入試に匹敵する。レベルも。理数系、文化系、芸術系のリチェオと専門分化したスーペリオーレに二分し、それぞれ共通課題と専門課題の筆記と口頭試験がある。(高校卒業者は「ディプロマート」という称号を使える)
授業をストリーミングで実施している学校は多いが、現状として全国津々浦々まで、デバイスやインターネットが行き渡っていないのが問題になっている。
授業でさえ問題なのだから、試験をどうするのか。書留で郵送? なんていう話も出ているようだが、解決策にはまだ至っていない。
●治療薬、ワクチン
イタリアの副厚生大臣が4月16日のラジオのインタビューに答えて、ワクチンが出来次第、イタリア国民全員に義務付けねばならない、と話した。
https://www.ilfattoquotidiano.it/2020/04/16/coronavirus-il-viceministro-sileri-il-vaccino-dovra-essere-obbligatorio-il-covid-19-ha-fatto-troppi-danni/5771878/
そのワクチンだけど、世界中で50種類ほど研究がなされているが、中でも私が住む地域のローマ郊外ポメツィアの研究所ADVENT-IRBMと、オックスフォード大学のJENNER ISTITUTEで研究しているものが最有力らしい(住んでる地域というだけで自慢したい気持ちになる)。
イギリスのものは、4月末に550人の健康なボランティアに試験的に接種。イタリアの方は9月に公式許可がない状態でも、急を要する状態の患者に接種するkotoが可能になる。一般に接種できるようになるのはまだ先だけど、光明が見えたというのは嬉しい。
https://www.corriere.it/cronache/20_aprile_14/coronavirus-cinque-vaccini-gia-sperimentazione-l-azienda-italiana-pronti-test-sull-uomo-2290c074-7db8-11ea-bfaa-e40a2751f63b.shtml
●経済支援
前回3月末に出た「イタリアの治療」と名付けられた、各種税金控除や支払い延期を主な項目にした首相令が、さらに延期されることになった。固定資産税の支払いをさらに二か月延期、小中企業への銀行融資は国が保証人となること(融資限度については細かい取り決め有り)(雇用を保証しかつ小中企業を潰さないため)。
フリーランスへの給付金を3月の600ユーロ(約7万円)から800ユーロ(約9万円)に引き上げる、一回目の給付金に漏れた層への400から500ユーロ(約5万から6万円)。ただしこれらは、財源をどのように回すかの決定を国会審議に待たねばならない。
https://www.adnkronos.com/soldi/economia/2020/04/14/coronavirus-arrivo-terzo-decreto-economico_1CIvLhccAubPTstdsUcv4H.html
財源については国内での予算の切り回しのほか、EUの助けをどの国も必要としているわけだけど、欧州安定メカニズム(IMFのEU版)を利用しての融資に関し、多大な被害を出したイタリアは通常の様々な条件をなしにして欲しいと意見を出したが認められず、コンテ首相が珍しく感情を表して、声を震わせながらEUへの怒りを表していた。
この辺については日本語で読めます。
https://toyokeizai.net/articles/-/344209
欧州安定メカニズム
https://imidas.jp/ichisenkin/g05_ichisenkin/?article_id=a-51-069-12-11-g204
【Midori/マンガ家/MANGA構築法講師】 midoriyamane@gmail.com