講師だって、最初は初心者だもの[番外]伝える技術 〜クレーム対応を例に〜
── 森 和恵 ──

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こんにちは。森和恵です。のびのびになっていましたが、9月に行われた金沢イベントWDFで担当したセッション"伝える技術"...コミュニケーションの3つのポイントをお話しします。
 |WDF < http://wdf.jp/vol02/
>

●"伝える"で必要なこと

私は、ショールームの説明員、初心者向けパソコンスクール講師、Web制作者、Web系スクール講師...と、どの仕事をしている時も接客業をメインにしてきました。そんな中で、人とのコミュニケーション、伝えることの大切さを痛感しました。伝える時のポイントは3つあると考えています。

1・相手の"状況"を理解する
2・伝えることの"知識"を得る
3・役割にあった"好印象"をかもしだす

この3つのポイントは、どんなコミュニケーションの時も使えます。
今回はWDFで一番反響のあった「クレーム対応」を例にお話しします。



●クレーム対応での伝え方

ショールームの説明員だったときに、毎日のようにクレームに対応していました。製品がうまく使えない...という状況で来られたお客さまは、基本怒っていらっしゃることが多くて、最初は怖い思いをしていました。初対面の人に怒鳴られるところから始まるのですから、当然といえば当然ですね。

...が、ある時気がつきました。お客さまは誰もが何かして欲しいことをお持ちで、どうやったらその要望が伝えられるか不安を抱えているのだと。そう考えるようになってから、対応が怖くなくなりました。どんな理不尽な要求でも相手の話をじっくり伺い、相手の心を気遣いながら、自社のルールに則ってアナウンスする...。たったそれだけのことだったのです。

 |状況を例えるなら、アニメのナウシカとテトのファーストシーンの
 |「怖くない...」のシーンを思い浮かべてみてください。(^^ゞ

私がいたのがプリンターメーカーでしたので、年賀状シーズンのクレームが本当に多くありました。いまでも記憶しているのが、プリンターにインクをつけずに「印刷できない!!」というクレームでした。

以前の私なら、「そんなん当たり前やん...」と相手の話もろくに聞こうとせず、すぐにクローズに入ろうとしたでしょう。でも、それではうまくいきませんでした。「インクなんか入ってなかった!」とか、「そんなん知らんかったわ!」とか、逆ギレされることもありました。たとえ、誤解から生じたトラブルだとしても、正論を言われただけではお客さまの怒りが収まらないからです。

メーカーとして愛されるためには、邪険に扱わず、まず相手の話を終わりまで聞き、製品の欠陥ではないにせよ「インクを付けること」へのアナウンスが足りなかったことを詫び(どんなスキルの方が利用するとしても、それがわかるようにしておくことが大切だと考えます)、お客さまが今後困ることがないように、何故インクが必要なのか? の製品構造から、インクの付け方など最低限の製品知識を丁寧にレクチャーする...といった、相手を下に置かず、メーカーとしての毅然とした姿勢も保ち、きめの細かい対応をすることが必要でした。それが次に繋がるクレーム対応だと思います。

3つのポイントになぞらえれば、

○"状況"を確認──話をとことん聞くことで、相手の要求とそうなってしまった原因を確認する。この時、途中で相手の話を遮ることはせず、相手から言葉がこぼれなくなるまでとことん聞き続けることが大切。聞いている時に「ことが起こった原因」・「お客さまの要望」・「自社のルールと対応方法」を頭で組み立てておく。

○"知識"を確認──自社のルール(製品やサービスの知識、契約内容、対応パターン)をきちんと理解する。そもそも、対応基準となる自社の方針を理解しておかなければ、判断をすることが出来ません。日頃から知識を蓄えておきましょう。

 |個人的な意見ですが、私はあまりイレギュラー対応というのが好きではあ
 |りません。お客さまを"えこひいき"で不平等に扱っているだけなのでは?
 |と思うからです。
 |「文句いったものが勝ち」的な対応は、対応者の怠慢でしかありませんよ
 |ね。あくまでも基本はルールに則って対応すべきです。

○"好印象"を与える──接客の基本は"笑顔"なのですが、クレーム対応ではそうは行きません。かといって、怒られている子供のような表情もよくありません。相手に対して迷惑をかけてしまったという気持ちと、会社の代表として毅然とした態度を取りつつ、相手を怖がらせない安心感を出せるように、状況に合わせて表情と口調を変化させる必要があります。

●クレーム対応を嫌がらず恐れずに

今回は、クレーム対応を例にコミュニケーションの3つのポイントをお話しました。こんな風に文章に書くのは簡単ですが、実践するのは難しいと思います。うまくなるためには、場数を踏むことが肝心です。対応を嫌がらず・恐れずにどんどんチャレンジしてください。また、終わった後にレポートをつけて自己反省をすると馴れるのもはやいと思います。

 |WDFでは、他に「プレゼンテーションでの伝え方」と「セミナーでの伝え
 |方」を例に挙げました。もし、聞いてみたい! という方がいらっしゃっ
 |たら、ご意見フォームからお寄せ下さい。< http://bit.ly/gIHFfu
>

...ということで、今回の報告は終わりです。

さて、次回は、12月のイベントのからみもあるので、jQuery Mobileに関して
ちょっと濃い話をしようかと思います。Theme Roller とか面白い動きもあっ
たようですので。

ではまた次回。(^θ^)
 |Theme Roller < http://jquerymobile.com/themeroller/
>

※記事へのご意見・ご要望は下記より受付ま〜す。お手柔らかに。
< http://bit.ly/gIHFfu
>

前回の記事にお二人から感想を頂きました。読んで頂けてるんだなぁ...という感動と、自分の意識がさらに深まった気がします。メルマガに書くってこういうことなんですね。考えが派生し繋がっていくって素晴らしいことです。情報共有の目的で、頂いたご意見をちょっとだけご紹介しますね。

 |前回の記事は、"Webアドバイザーになりたい"
 | < https://bn.dgcr.com/archives/20111017140100.html
>

Iさん(ウェブプロデューサー):お金をくれるはクライアントだけれど、その源泉はサービスを利用するエンドユーザー。だからこそ、エンドユーザーの思いをクライアントに届け、仲立ちするのが第三者としてのディレクターの役割と感じます。

 |Iさん、ご意見ありがとうございます。まさに現場の意見という感じで勉
 |強になります。クライアントの利益も守りつつ、エンドユーザーの要望を
 |くみ取る思索が必要ですね。難しいですが、やりがいのあるポジションだ
 |と思います。

Mさん(Web制作&Web系IT講師):あるサイトリニューアルで、制作会社の選定から交渉などのディレクションをしました。制作会社と発注元企業との橋渡しをしたわけです。双方から話がスムーズに進んで喜ばれました。こういったお仕事「Webアドバイザー」的な仕事も付け加えていきたいと思いますが、果たしてお金を頂ける仕事になるのか? が悩み所です...。

 |Mさん、いつも読んでいただいてありがとうございます。近い立場ですね。(^^)
 |また、今回の案件お疲れさまでした。
 |自分が直接動かない案件は、もどかしくて大変だったのでは?と推察しま
 |す。お答えになるかわかりませんが、個人的な意見を述べさせて頂くと、
 |お金を頂けるのか...ではなく、頂けるように働きかけることが大切です。
 |自分が動き相手に利益を与えたならば、対価を要求するのはごく自然なこ
 |です。最初から話をしておくこと、かどがたたない進め方をすればOKかな
 |と思います。

【森和恵 r360studio 〜 Web系インストラクター 〜 】
<site: http://r360studio.com
> <twitter: http://twitter.com/r360studio
>
<mail: r360studio@gmail.com >
<サイト制作の教科書 r360study: http://www.facebook.com/r360study
>

近況報告:
12月4日、大阪で開催される「CSS Nite in OSAKA, Vol.28」に登壇します。タイトルは「jQuery Mobileで、ちゃっちゃと作ろう!スマホサイト」。デジクリで何回か記事を書かせて頂いたご縁で登壇することになりました。今回はDreamweaverの枠を超えて、パワーアップした内容でお届けします!
< http://osaka.cssnite.jp/vol28/
>