講師だって、最初は初心者だもの[番外]トラブル時の接客対応で、知っておいて欲しいこと
── 森 和恵 ──

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こんにちは! 森和恵です。

ご無沙汰しました。10月になりましたね!......と書いている今も、部屋でクーラーをつけてますけれど(苦笑)暑さもしぶとく残っている......そんな秋ですね。長袖への衣替えは、もう少し先のようです。

さて、今回は、Adobeさんのアノ事件を受けて、トラブルがあった時、クレーム対応について知って欲しいことをお話ししたいと思います。




●勤め人時代のクレーム対応の鉄板ネタ

随分昔の話ですが、某メーカー系のショールームに勤めておりました。インク
ジェットプリンターなどを作っていたメーカーです。

ショールームで機器の説明をするのが主な業務でした。カッコイイでしょ?......なーんて。嘘です嘘。接客業がカッコいいはずがないですよ。泥臭い仕事です。

知ってますか? ショールームのお仕事って1/3ぐらいは、クレーム対応なんです。相手から出向いているぐらいなので、大抵の場合は怒り心頭状態です。怖いです。そんなお客さま方々と、対面の一次対応をしておりました。

「このプリンター、なんぼやっても印刷できへんやん!!」

と、お怒りのお客さまに落ち着いて頂き、プリンターを見せて頂くと......。えっと、インクがセットされてない......んですが。

「もしかしたら、わかりにくい場所にあったのかもですが、実は、プリンターにインクの箱がついてまして......ええ、青い奴です。それを、こう差して頂くと、印刷ができるはずです。あ、梱包箱もお持ちですね。ちょっと拝見させてください」

と、私。ほどなく見つかったインクを差して、無事解決。すこしバツが悪そうに、お客さまが帰り際に一言。

「なんやねん。わからんとこにインクを入れとくから悪いねん。......ま、ええわ。ありがとう。」

一件落着。ほっと一息です。

私が返すときに、事務的にズバッ! と問い詰めずに、ちょっとへりくだったのは、お客さまを辱めないためです。逃げ道を残してあげるというか、そんな空気感です。

理由はどうであれ、お客さまの心情を考えると、「インク差してないから、印刷できないのあたりまえじゃん!」とは言えませんしね。

#ちなみに、彼氏の悪い所を問い詰める時にも使えるテクですよ。
#追い詰めずに、手の上で転がす......。そんな感じです。(^^ゞ

その後、私たちは事の顛末をレポートにして、本部に連絡します。

今ではプリンターの梱包を外すときに、結構大きめの文字で、「プリンターにはインクを差してください」って書いてあるはずです。また、インクを差さないと、正常に電源が入りません(エラーランプが点灯しヘッドは動かない)。

メーカー側もまた、次にクレームを受けないために、きちんとアナウンスすべく仕組みを改良しているのです。

......とまぁこれは、私が飲み会で話す鉄板ネタでもあります。

与太話はさておいても、トラブル対応は、最初が肝心です。ホントです。最初が肝心(大事なことなので二回言いました)。お客さまと距離を詰める、信頼を得てから、話を進める必要があります。

◇ユーザーの気持ちになる(メンドクサイとか思わない!)

◇気持ちをダイレクトに伝えるように、最初にわかりやすく謝る(何が起こったのか事実確認はできてないけど、まずはお客さまを悲しい気持ちにさせたことを謝る)

◇正確に状況や心情をヒアリングする(起こっていること・怒っていること・不満な点・要求点など)

◇どこまでがメーカー責任なのか? の範囲を把握し、導き出した対応をユーザーに正確に告げる(過度に対応する必要もなく、謝る必要もない。加減を間違えると、問題が大きくなりがち)

この4つに気をつけつつ、日々の問題をクリアしておりました。

●10/4の悲しいトラブル体験記

先週金曜日の朝、Facebookでお友達の書き込みを見ていると「Adobeのオンラインサービスで290万人の個人情報が流出」ということを知りました。
< http://ggsoku.com/2013/10/adobe-creative-cloud-cyber-attack/
>

・個人情報(暗号化されたクレジットカード情報も!)が流出したらしい
・対象ユーザーはパスワードの再設定方法について電子メールが届くとあったので、早速メールをチェック......来てない。

だんだん不安になってきて、来てないのか? それとも対象から運よく外れたのか。クレジットカード番号のこともあるので、待ちきれなくなってきて、とりあえず、パスワードを替えるか! とAdobe Creative Cloudサイトへ。
< http://creative.adobe.com/
>

ログイン情報をブラウザに保存しておいたので、何事もなくログインできてしまいました。サイトを見ても、何のお知らせも出ていませんでした。

一回、ログアウトしてみよう。と思って、ログアウトすると驚きのメッセージが! そして、元々のパスワードでログインしたら、案の定ログインできない(涙)
< http://r360studio.com/dgcr/dgcr-extra45-1 >

「パスワードリセットのメールを送った」とのことで、確認すると来てました。しゃーねーなと思いつつ、画面を出すと......使い方がわかんないよ(涙)
< http://r360studio.com/dgcr/dgcr-extra45-2 >

てっきり元々のパスワードを聞かれているのかと思って入れると、「再設定されました」メールが届く。おーい。なんだよそれ。結局、元と同じパスワードが設定されただけになっちゃいました。(苦笑)
※大抵のサイトでは、「元のパスワードと新しいパスワードを入力」するのがセオリー。

しょうがなく、もう一度Adobe Creative Cloudのサイトへ。アカウント情報から、プロファイルへ進み、パスワードを変更しました。

なんて二度手間、なんてアナウンス不足なんでしょう。(怒)朝の忙しい時間をこんなことで取られてしまいました。(げきおこ)やっている最中の不安感ったら、半端ない。そして、メンドクサイことこの上ない。......そして、まだ、Adobeさんから謝罪してもらってないよ。(泣おこ)

その後、15時ぐらいにAdobeさんからメールがくるも、英語の件名だったために、迷惑メール処理として削除されてしまい届かず。SNSで教えてもらった件名を検索すると出てきたサイトでようやく文面を読みました。
< http://helpx.adobe.com/x-productkb/policy-pricing/ecc.html
>

全部英文。|日本語|をクリックすると、日本語を読むことができます。
< http://helpx.adobe.com/x-productkb/policy-pricing/ecc.html#japanese
>

そして、文面がわかりづらい、上から目線、どこか他人事のニュースを報道しているようにさえ感じられます。本当に、ユーザーのこと考えてますか......?

不満ばかりが、つのってしまいました。

●Adobeさんの情報漏えいの......な顛末

Adobeさんのサイトの方には、メールよりも早く情報が提供されていました。
< http://helpx.adobe.com/jp/x-productkb/policy-pricing/customer-alert.html
>

好感が持てた場所は、たった一つ。電話のお問い合わせを土日も開けてくれたことでした。

その他は、件名・状況説明・対応方法のアナウンス(なぜか、メールでお知らせしてきた方法と異なります)が、お客様の気持ち目線で書かれていないし、「いま何が危険なのか、どう対応すればいいのか?」が、明確になってませんでした。それを知らせる空気感が、あまりにも他人事過ぎるような気がしました。これでは、ユーザーも右往左往してしまいます。

また、後日発表されたブログ記事はこちら。
< http://blogs.adobe.com/japan-conversations/セキュリティに関する重要なお知らせ/
>

冒頭が言い訳から始まっているし、肝心のユーザーが対応すべきこと(パスワードリセットをしてください)が、文面に埋もれてしまっています。こうなると、最後の謝罪文もどうしても素直に受け取れなくなってきます。(重ねて深くお詫び申し上げます、とあるけれど、そこまでに一度も謝罪してないので、重ねているわけではないし......など細かい所で突っ込みたくなります)

●ユーザーの声も、ニュースブログも批判的......もったいない。

あちこちの有名ニュースブログも、この問題を取り上げましたが、いずれも問題視している内容に終始されました。

< http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20131004/508865/
>
< http://jp.techcrunch.com/2013/10/04/20131003adobe-gets-hacked-product-source-code-and-data-for-2-9m-customers-likely-accessed/
>
< http://gigazine.net/news/20131004-adobe-was-hacked/
>

Yahoo!リアルタイム検索などで拾った、一般ユーザーの声も、こぞって否定的です。事件発覚から二日たっても、まだ不安がっていたり、怒っている人が多数いました。

明らかに、初動の対応が上手くいっていないことを物語っています。対応が不十分になっているので、よけいな不安を煽ってしまい、苛立ちを生み、悪口に発展してしまうのです。最近は、SNSがあるので、悪口の口コミスピードは、半端なく広がります。悪口の方が、浸透率は高いのです。そして、ダメなイメージを払しょくするには、労力と時間がかかるのです。すごい損をしているなと思います。

まずは初動で、全ユーザーに、お詫びの言葉と現在の状況とパスワードリセットの方法(専用画面を準備しなくても、「Adobe Creative Cloudのサイト」にログインしてマイアカウントからパスワードを変えてね、という通常の手順を画面入りでアナウンスするだけでOK)を日本語でメールしておくだけで、随分と反応が変わったのになと思います。

私は、10年以上Adobeさんのソフトを使い続けているユーザーで、Adobeソフトを愛用しています。だからこそ、こんなつまらないことで、格を下げて欲しくないんです。

老婆心ながら、そして製品を愛するいちユーザーとして、この文章を書きました。愛されるメーカーになって、さらによい製品を届けてくれることを祈って
ります。

さて、今回はここまで。また、来月初めにお会いしましょう。
次回は、Fireworks話の続きをする予定です。
ではまた!(^θ^)

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秋のTV番組がスタートしましたね! ホラーものが嫌いなので、どうかな......と思っていた「境界の彼方」が、予想の斜め上をいく面白さで、ちょっとウキウキしています。まだ未視聴ですが、リーガル・ハイ、ガリレイドンナ、サムライフラメンコが楽しみで仕方ありません。(^^)