LIFE is 日々一歩(39)[Web]「フォントのホント」に参加してきました
── 森 和恵 ──

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こんにちは! 森和恵です。今年は日本に上陸する台風が多いですね。台風第18号(チャバ)が、水曜日にかけて、だんだんと関西に近づいてくるそうで……。みなさま、十分にお気をつけください。

さてさて。先週は、とってもバタバタした日々を過ごしてしまい、チャット対談をお願いするタイミングを失いました。なので予定を変更して、週末に参加してきたWeb系イベントのレポートをまとめたいと思います。




●リクリセミナーと今回のテーマについて

“Re:Creator's Kansai”(愛称:リクリ)は、2007年に発足された、関西の
クリエイターの交流、勉強会・セミナーの開催を目的としたコミュニティです。
http://www.re-creators.jp/


トレンドなWeb系の勉強会を関西で開催してくれるので、わたしも何度も参加しております。地方では、鮮度のよい生の情報がどうしても少ないので、たいへんありがたいです。

今回参加してきたのは、“第30回リクリセミナー「フォントのホント」”。
https://recreators.doorkeeper.jp/events/47685


「デコレーション(見ため・修飾)だけではなく、『文字の読みやすさ・伝わりやすさ』(可読性、視認性、判読性)に目を向けたデザインを考えたい、学ぶ機会の少ない『フォント』について勉強したい』というテーマで開催されました。

デジクリ木曜日「もじもじトーク」でおなじみの日本語Webフォントサービス「FONTPLUS」のエバンジェリスト・関口浩之さん、株式会社モリサワの高桑剛さん、CSS Niteの鷹野雅弘さんが登壇されました。

●日本語Webフォント最新事情(2016年版)

関口さんのセッションは、イマドキの日本語Webフォントのお話でした。

“FONTPLUS”を導入している企業を事例にし、どんなWebフォントがサイトで使われているかという切り口がとても興味深かったです。

FONTPLUS 使用フォントランキング
http://support.fontplus.jp/font-ranking/


サイトで一般公開されているトップ10は、筑紫・ロダン・新ゴなど、「嗚呼、デザイナーさんが選ぶ憧れのフォントばかりだなぁ」という結果でした。このトップ10の順位は、これまでもほとんど変化はないそうです。

(2016年10月現在に筑紫系フォントが4つも入っている理由は、書体デザイナーの藤田重信さんがテレビ〈NHK プロフェッショナル 仕事の流儀〉に出演したからかも? とのことでした)

セッションでは、特別にTOP10以下も紹介がありました。「UDフォントが増えている」「特徴のある思いきったフォントが増えている(ベビポップ・くろかね・勘亭流・秀英)」の二点が目につくということでした。

これを聞いてわたしはこう思いました。

もしかしたら、Webフォントの使いどころは、タイトルまわりなのかも? と。

本文のフォントは、いままで通りユーザーになじみのあるOS標準を用いたほうが軽い。

しかし、目立つタイトル周りの文字組は、雰囲気を表現する必要があるので“画像”にしてきたけれど、Webフォントならテキストデータのまま意匠をこらすことができますよね。

セッションで紹介された事例も、ほんとうに驚くデザインのものばかりでした。同サイトの利用方法の紹介から、たくさんの事例を見ることができます。
http://webfont.fontplus.jp/service/how


日本でのWebフォントの普及は、まだ10%程度ということなので、これからの可能性や伸びしろに期待したいと思います、と締めくくられました。ワクワクする内容でした。

●文字・書体のひみつ 〜フォントの裏側教えます〜

高桑さんのセッションは、“フォント(文字)”がどのように作られているのか? どんな仕組みでパソコンで表示されているのか? など、かなり突っ込んだ技術的なお話がされました。

モリサワとAdobeが提携して、1989年にPSフォントへの移行がスタートしたのがきっかけで、フォントの電子化が始まったそうです。

個人的に、EPSONプリンターを扱っていたので、“PSフォント”という響きをたいへん懐かしく聞いていました。

PSプリンターは、PSフォントを内蔵するためにプリンターにハードデイスクがついてたりして、フォントの取り扱いがすごく厄介だったのを覚えています。ちゃんと設定しないと、スクリーン表示用のビットマップフォントが割り当てられて、印刷物がガタガタになったり……(涙)

セッションの中で、特に印象に残ったのが“モリサワの書体デザインの工程”です。約5分間程度のムービーが流されました。
http://www.morisawa.co.jp/fonts/


そこで驚いたのが、『フォントの元デザインは、方眼紙に手書きをしている』ということ、幾度にもわたって品質チェックが行われていること、最後に全工程の制作プロセスが、多くの人の手で数年かけられているということです。

モリサワさんのフォント、お高いからなぁ……と言って愚痴ってて本当にごめんなさい。品質の優れたプロ仕様に耐えられる製品ということだったんですね。

また、フォントの設計においては「人間の目で見て美しく見えるように」徹底的に微調整されているということにも驚きました。

錯視(視覚に関する錯覚)を考慮して、「縦棒より横棒を長くする」「空間の開け方を調整する」などの工夫がされているそうです。
http://ggdesign.blog48.fc2.com/blog-entry-26.html


このような慎重な工程を経て作られているフォントをデザインする私たちは、なおざりに使ってはいけないなぁと思いました。

●読みやすさ、伝わりやすさのためのテキストの扱いアレコレ

鷹野さんのセッションは、Illustratorなど、具体的にソフトを使って文字組をするために必要な知識や、知っておくと便利なことについての紹介でした。

鷹野さん自身が、デザインをする中で身につけたテクニックを、毎回惜しみなく披露していただけるので、とても参考になります。

くわしくは、著書の「10倍ラクするIllustrator仕事術」などを読むとよいと思います。
http://www.dtp-transit.jp/books/x10ai/


わたしが心に残ったのは、いくつかの言葉でした。

「サイトに人格があるように、Fontを用いた表現はサイトの大切なひとつのパーツ」「自分の好みで選ばず、サイトの世界観に合わせる」「文字組は三つのレイヤーに分けられる。原稿・フォント・組版」

ひとつひとつの機能を適切に使うことで、文字を見る側のオーディエンスに文字を意識させることなく、情報を正しく伝達することが大切なんだなと痛感しました。

●フォント愛ダダ漏れLT大会

セミナーの中盤で、有志によるLT大会が開かれました。わたしも、「Windowsのフォント事情と本音」というテーマで参加しました。

「Winのフォントはかわいそう」と、よくデザイナーにささやかれるWindowsユーザーが、パソコンでどんなふうに文字と向き合っているか? というところをお話しました。スライドを公開していますので、よかったらみてください。
http://www.slideshare.net/r360studio/windowslt-66616461

http://www.slideshare.net/r360studio/


LT大会ですが、主催者の方がお話していたように、LTを経験したことのない若い方々にもどんどん参加してもらいたかったなという気持ちでおりました。

わたしも、参加表明をギリギリまでしていなかったのですが、「年長の自分がでるより、まずは未経験の方の発表の場にして欲しい」と思っていたからです。結局、参加者が少ないようだったので、だったら楽しませていただこうかなと手を挙げた次第です。

やったことのない方がLTをするのは、敷居が高いのでしょうか……。今回、わたしがLTに向けてどんなふうに準備したか? を後日レポートにしたいなと考えています。少しでも、これからチャレンジしてみようという方が増えたらいいな。

……というわけで、今回はこの辺まで。

さて次回こそ、10月から始まる新アニメの話をする予定です。これを送ったら、川合さんにチャット対談の打診をさせてもらおうかなと思っております。ではでは、また!(^^)


【 森和恵 r360studio 〜 Web系インストラクター 〜 】
site: http://r360studio.com

mail: r360studio@gmail.com
Twitter: http://twitter.com/r360studio


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