装飾山イバラ道[18]パリ旅行記(8)アントワネットの最後の時間/武田瑛夢

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●旅の終わりに見るコンシェルジュリー

パリ旅行記も今回がラスト。最後のシテ島では、セントシャペルとコンシェルジュリーの二か所が見られるチケットを売っていたので、予定になかったコンシェルジュリーにも行った。

コンシェルジュリーは元々は宮殿だったところを牢獄にしたもので、マリーアントワネットが最後に過ごした場所だった。宮殿ひとつが巨大な牢獄。フランス革命でここに送られた多くの貴族が、それぞれの身分によって待遇の分けられた部屋に入れられていたという。

あまりカメラを向けられる気分でもない場所が多かったけれど、唯一中庭にはきれいな花が咲いていて光が射し込んでいた。



・コンシェルジュリーの中庭
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拡大(640×480)
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それまでのパリの名所の豪華な雰囲気とは一変して、冷たい石造りの壁や黒い鉄の柵が閉じられた空間をさらに寂しげなものにしている。当時の様子が再現された牢屋の中は、服装や髪型もそのままで等身大のリアルな人形を使って日々の暮らしがわかるようになっている。数人が一緒の部屋、テーブル付きの個室などがガラス張りで見える。

処刑台に送られた人物の名前が壁一面に記された部屋や、当時の処刑の様子を描いたモノクロの版画を見ると、歴史の中でこの場所が果たしていた役割の重さを感じる。

・処刑台(版画)
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拡大(640×480)
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肝心のマリーアントワネットが過ごしたのはどこなのか、あてずっぽうに回っていくしかなかったけれど、やっとその部屋をみつけた。マリーアントワネットの人形は、粗末なテーブルの上の小さな十字架に向かい合うようにに座っている。見学者からは後ろ向きで顔が見えない。部屋は狭く、下に敷かれた絨毯は大きな絨毯の一部をカットしたものだし、必要最低限のものしかないという印象だ。ここで聖書を手に祈りながら暮らした姿を旅の終わりに見ることができて良かった。

シテ島にはある時代の人々の終焉の姿があり、人を神の元へ導く寺院の美術がある。ノートルダム寺院の高く高くそびえる内と外の様子は、見ているだけで人を天へと引っぱっていくような感じがする。宮殿とは全く違うかたちで、人々の心に作用する建築や美術なのだと思う。

シテ島がこの日になったのは偶然だったけれど、本当にパリでラストのシメにちょうど良い場所だと思った。

最後の観光地をまわって、後は帰るだけとなった。できるだけ長くパリにいたいので、飛行機は夜の最終便をとった。ホテルからのタクシーがなかなか来なくて焦ったけれど、もっと焦ったのは実は空港についてからだった。

チケットを窓口で見せると、残念そうな顔でオーバーブッキング(過剰予約)で乗れないと言うのだ。「?」普通に帰れると思っていた私たちはショック。そういえば窓口で大きな声で怒っている人がいたり、ほとんどの人の顔から笑みが消えているのはそのせいか。エッフェル塔の最上階へ行けなかったくらいで悔しがっていたのに、今度は日本へ帰れませんときた。

座席番号が指定されているのに、人数があふれてしまうしくみがよくわからないけれど、いろんな工夫で座席の空きを防ぐために起こりうることだという。「明日の朝また来てください。ホテルは用意します。それでいいですね?」噂では聞いたことがあったけど、実際そういうことになってみると何とも言えない感じ。この後もだいぶ待たされて、なぜか荷物の重さを量られたりした。どうやら、どうしても納得しない人から順に乗せてくれたのかもしれない。交渉事なので一人一人が時間ごとに別々の条件になっていくらしい。

結局、私たちは翌日の朝の韓国経由の便で帰ることになった。近くにいた日本人の親子は日本への直行便だけれど、座席が離れてしまったという。長旅で隣同士でないのは不安だろうな。

予定外に一泊増えてしまったけれど、条件を飲んだ以上あまり文句は言わないことにする。用意されたホテルは空港に近すぎて寝るだけという感じ。でもその日はノートルダムに上って足が最高潮に疲れていたので、ベッドで眠れて良かったのかもしれない。

次の日の飛行機の中では、機内食がビビンバだった。ソウルの空港でキムチを買ってそれはそれで楽しかった。家に帰るまでが旅、自宅に着いた時の安堵感はひとしお。振り返ってみれば当初心配していたスリにも遭わなかったし、自分たちで納得できれば済むミスばかりだったので、次につなげればいいかな。

はじめてのパリ旅行は、流れに身を任せる時は任せるのが良いのを学んだ旅だった気がする。書ききれないことも多かったけれど、ここにパリ旅行記を書かせていただいたおかげで、自分にとってのパリがよりしっかりと刻まれた気がする。夏休み開けには通常のコラムでお送りします。

●iPhone買いました

お休み前にやっぱりiPhoneのことも書かずにはいられなかったので追記。デジクリの皆さんのiPhone記事を楽しく読ませてもらいました。それぞれのスタンスでアクションは違うものの、やはり気になる物には違いないですね。私もiPhoneが待ちきれなくてiPod touchを買ったくらいなので、大いに気になっていた。初日のお祭りは楽しそうだけれど、気力+体力的に出かける勇気がなくて、いつどこへ買いに行くかを迷っていた。

そういえば「噂のアイテム」「販売日の行列」と言えば以前ファービー(しゃべるペット)の大行列に並んだことがある。明け方から並んでやっと開店まじかになっても、今度はテレビカメラ取材陣や巨大ファービーのかぶり物やらがどしどし駆けつけて大変だった。予約を忘れて買えずにいたので、あちこち探す苦労を思えば、確実にありそうな所で決着させた方がいいと学んだ。もう10年も前のこと。

結局、iPhoneは次の日の土曜日に表参道へ朝から出かけて16GBの白を買うことができた。その日は8GBのみ販売ということにも納得して並んでいたのでびっくりしたけれど、状況は刻々と変わるらしい。契約を終えて店を出たのが昼。猛暑。

手続きはいろいろ大変だったけれど、私にとっての重要事項「しゃべるお父さん犬ストラップはもらえるんですね?」の確認は怠らなかった。ところが、最後に紙袋を手渡された時に「犬、入れてもらえました?」「あ!」と危うく忘れられそうだった。でもあの混雑状況ではしょうがないな。白い犬ストラップはファービーに比べて動かないけれど、ちゃんとあの低い声でしゃべるのがかわいい。

実際iPhoneを使ってみると、自宅のMacとの同期作業が頻繁になる。そこでMobileMeで自動的にプッシュなんだろうな。でもまだ設定せず。だんなさんには「ほとんどゲーム機と化している」と言われている私のiPhoneだけれど、一日の中でこんなに携帯電話に触れている時間が多いのはiPhoneがはじめてだ。

Macでアプリを探せる便利さ、と購入の手軽さはすごい。今までの携帯アプリって買いに行くまでにいくつもの画面を通らなくてはならなくて、途中でやめちゃったりしてた。iPhoneではプリペイドのiTunes Cardを買っておけば、チャリっと買える。プリペイドなので使い過ぎ防止にもなっていい。

・装飾アートの総本山WEBサイト“デコラティブマウンテン”
< http://www.eimu.com/ >

「やさしいデザイン」誰でもかんたん、レイアウト・配色・文字組
エムディエヌコーポレーション発行 インプレスコミュニケーションズ発売
< http://www.mdn.co.jp/content/view/3983/ >

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やさしいデザイン―誰でもかんたん、レイアウト・配色・文字組
武田 瑛夢
エムディエヌコーポレーション 2007-09

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by G-Tools , 2008/07/22