装飾山イバラ道[275]玄関のあたりまえも変化した
── 武田瑛夢 ──

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今年は自宅マンションのリフォームを進めたいと思っていた。しかし、コロナのせいでショールームに行く気分にもなれず、いったん先送りにすることに。それでもマンション全体で計画していた改修工事は、時期を見ながら進めていく方針のようだ。マンションは全体の流れに乗っていれば良いところもあって、ありがたさもある。

この夏、インターフォンの初めてのバージョンアップがあり、モノクロ映像がカラーになった。個別玄関前もカメラで確認できるようになったのが嬉しい。モニタも実際の明るさより、ずっとクリアに映る設定のようだ。工事終了後、自分達で動きながらテスト録画してみたりした。設備が新しくなるだけで嬉しい。

実際はうちの場合、ほぼ宅配の人が映るだけなわけだけれど(笑)。不思議なもので、知らない人でも、どんな人が来るのかが事前に見えているだけで少し安心する。ドアを開ける時に初めてその人物を見るのって、とても怖いのだ。





●来訪者の視線

実家マンションにいた当時、小学生の頃から私は鍵っ子だった。子供の頃はピンポーン! と誰かが来ても、ドアについているのぞき穴から見える情報だけで、来訪者を判断するしかなかった。子供だけの留守番中は、危険なので来訪者には対応しなくていいと言われていたのだ。

こののぞき穴が何という名前か知っていますか? ドアアイとかドアスコープと呼ぶみたいです(たった今調べ)。

オートロックのないマンションではそれは当たり前で、外から来た人も中に人がいるかどうかを、ドアスコープがうっすら光ることで把握していたと思う。そしてそれを防止するために、小さい布や紙で隠せるような仕組みを手作りしていた人も多い。

小さい布の上の所だけをテープで止めたフタみたいなもの。人が来た時はそれをめくって、ドアスコープから外を見る。すると、魚眼レンズのように変形した見知らぬ大人の人が立っているのが見える。留守番中の小学生の私には、そんなのは恐怖でしかなかった。時には外側からのぞき穴をのぞいて来る人もいて、顔がドアップに。ひぃぃ(怖)。

まぁ家族ならこのドアスコープに映る変顔で遊んだりしていた訳だけれど(笑)、見知らぬ人となるとやはり怖い。物理的なドアと穴のガラスが隔てていたとしても、その距離の近さが嫌だ。調べたらモノタロウなどで、カッコいい金属製のドアスコープのフタが売ってるんですね。標準でついているドアもあるのかな。

ドアの下部に新聞受け用の横長の穴があった時などは、そこの扉を外からパカパカ開けたりされて中の様子を知ろうとする人もいた。ここにはガラスもないのでさらに怖い。

便利なはずの仕組みが、自宅の情報が漏れる穴となるのだ。来た人もピンポンして誰も出ないのに、何を知りたいんだろう。もちろん今でも、これに悩んで色々な防御の工夫をしている方も多いと思う。

当時うちでは宅配の注文もしていなかったろうし、「新聞取って下さい」などの営業の訪問が多かったように思う。会社の教育もマナーの常識も今とは違っていたので、その人なりの工夫でドアを開けてもらっていたのだろうか。その後、マンションの改修の時に、新聞受けの穴はなくなり、壁にホルダーケースがつくようになった。

●カメラの普及

私は大人になりオートロック付きの新しいマンションへ引越したので、インターフォンとカメラモニタで外部を把握できるようになった。実家のマンションもリフォームをして、カメラ付きインターフォンにした。

マンションによっても、インターフォンの取り扱いは違うようだ。実家のマンションはインターフォンは個人で改修できるタイプ。私のマンションでは、火災報知器やメインの共有エントランスの宅配ボックス、鍵と連動しているので、マンションでの共通の工事に合わせるしかないタイプだ。

会議に参加すれば意見を述べることは出来るけれど、基本的には多数決。個人的に鍵やカメラを導入することも、既存の設備を傷つけなければある程度は可能だと思う。

実家マンションでは特定フロアのエレベーターのドアが開くと、そのフロアにしかない監視カメラがこっちに向いていたことがありちょっと怖かった。

最近は監視カメラもコンパクトになって、威圧感もなく当たり前になった。しかしどこにカメラがあるのかの意識はしっかりとある。安心感もあるけれど、映されているという感覚も消えないものだ。カメラはどんな人にも、ある種のプレッシャーとして存在しているということか。

今回インターフォンのカメラモニタが明るいカラー表示になったことで、来訪者のユニフォームの色や雰囲気がよくわかるようになった。子供の頃の魚眼レンズから見た人の印象とは全く違う。

マナー教育も徹底されてきて、印象の悪い人も滅多に見なくなった。カメラには自動録画で映像が残る。ある程度たまったら動画の録画は自動消去。うちでは今回この方式になったけれど、録画されるということから、人の意識も変わってきたことは推測できる。

ドアにしてもインターフォンにしても、改修のタイミングは10年以上の間隔を開けるのが普通だろう。平均15年くらいか。うちはもっとかかっていた。そうなると、セキュリティーが時代遅れの状態が続く場合も多いのだ。

ここのところユニフォームを着た詐欺グループや強盗もあるそうで、見た目だけで判断してはいけないと言う。服装や表情もはっきりと映るカメラが、抑止力にはなっていないのだろうか。

コロナ対策で宅配も変わった。自宅にいても対面しないで受け取る置き配が一般化してきて、より安全確実に荷物を受け取るシステムが考え直されるだろう。今回の工事でノンタッチタグになり、ほぼ手で触れずに済むような共有エントランスに変わったのは、ちょうど良かった。ノンタッチタグは非接触タグで、鍵穴に差し込む必要がない。

新しい暮らし方で、玄関の当たり前も変化していく。


【武田瑛夢/たけだえいむ】
装飾アートの総本山WEBサイト"デコラティブマウンテン"
http://www.eimu.com/


任天堂のゲーム「リングフィット アドベンチャー」が予定より早めに到着したので設定をした。リングコンと左足につけるレッグバンドにコントローラーを装着。マンションなので飛び跳ねるのではなく、軽くスクワットするように動けば良いモードを選択することができた。これなら振動も少ない。

モグラたたきやアドベンチャーの最初をプレイしてみたけれど、コレは楽しい。弾力のあるリングコンを押しつぶしたり、引き伸ばす運動で腕がけっこう疲れる。外出が減って相当ナマっているからな。詳しくはもう少しトレーニングを進めてみてからまとめたい。