装飾山イバラ道[284]足の軽さは心の軽さ〈足の温冷交代浴〉
── 武田瑛夢 ──

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私は以前、結構なサウナ好きだった。ここでも何回か、書いたように思う。

スポーツジムはほぼサウナのために契約していたし、電車でそう遠くない温浴施設を検索しては出かけていたこともある。岩盤浴や炭酸泉も大好きだ。

サウナ好きの人に共通する特徴のひとつに、「やたら人に勧める」があると思う(笑)。サウナで気持ち良くなる状態を「ととのう」と呼ぶ。

ととのうと心がポジティブになるせいか、その良さを知らない人がまだいることが、もったいなくてしょうがなくなるのかもしれない。

しかし、このコロナ禍。サウナ施設も色々な対策をしていると思うけれど、前のように気軽に行きにくくなったのは確かだと思う。





最近YouTubeで見たのは、一人用サウナのお店や、自宅でサウナ的な入浴が出来る方法の紹介動画などだ。私もあの「ととのう」状態に、自分を持っていける方法があれば知りたいと思って色々見てみた。

自宅のお風呂でサウナスーツを着て入浴する動画もあった。お風呂でビニール傘をかぶって顔まで温めるなども。みんな苦労している(笑)。今はアウトドアのテント式サウナというものもあるんだそう。簡易式でも結構高い。

私としては、温冷交代浴法が良さそうだと思った。浴槽が二つあれば水風呂を用意したいところだけれど、一つしかないのでそこは水シャワー。

お風呂で温まったら、水シャワーを浴びて休憩するという方法だ。通常の入浴と違うのは水シャワーだけなので、そんなに言うほどの違いもないような気もする。実際にやってみると、その効果が素晴らしい。まずヒザ下から冷たい水シャワーをかけては、お風呂に入って体を慣らしていった。

徐々に慣らして現在の私は、入浴最後には頭から真水の水シャワーをかけても大丈夫になった(笑)。ここまでかなり鍛錬あり。

この方法は私がサウナ好きなので体の土台が出来ていたので、慣れが早かったのかもしれない。全身の水シャワーは、高齢者や体の弱い人にはお勧め出来ないので、くれぐれも注意が必要だ。冬場は普通の入浴だけも負担が大きいらしい。

そこで負担少なく試せるのが「足だけ温冷交代浴法」だ。これは自分でやってみて効果に驚いたのでWEBで検索したら、やはり既にやっている人もいた。「温冷交代足湯」と呼んでいる人もいる。

プールなどでも、まずは手足を水の温度に慣れさせるのが一般的。足湯なら冷たい水が怖い人でも大丈夫だし、体への負担も少ないはずだ。

●簡単なのに驚く効果

まずはお風呂に入って体全体を温める。お好みの時間つかれば良いと思う。

いよいよ水シャワー。もちろん冷たいので、それなりの覚悟がいる。冷たさで足が縮こまってしまうような感覚。20秒~30秒間ヒザ下に水をかけながら耐えて、お風呂に入った。水で冷えた足にお湯の温かさがしみてくる。ジンジンジン。私は元々この温度差が好きな方なので、快適だ。

お風呂ではiPhoneのアプリで5分タイマーを利用。適当なところで風呂のフチに腰掛けたりもする。WEBで調べたら温浴は2分でも良いらしい。お好みの時間で。

タイマーが鳴ってお風呂から出たら、またヒザ下に水シャワー。すっかり温まっているので、水がどんどん気持ち良く感じられるようになる。

うちのシャワーは温度が、青、黄色、赤と温度帯によって色分けされている。最初は黄色あたりの、なまぬるい水だったけれど、青の領域の水はかなり冷たい。黄色と青の間くらいの位置でも慣らすのに良い。真水の青でかけるのが効果も大きい。

数回繰り返して、最後は短めの水シャワーで引き締めてお風呂から出る。

お風呂から出て休息していると、足の軽さが素晴らしい。何の疲労感もないような、独特の感覚だ。血管の収縮と弛緩を繰り返したことで、血行が良くなって、足が軽くジンジンしているような感覚もある。

しばらくはこの「足だけ温冷交代浴」で満足するほど、効果抜群だった。やるとやらないでは、入浴後の快適さが全然違う。これで「ととのう」とまではいかないけれど、久しぶりに冷たい水の効果を感じた。

マラソンなどのアスリートでも足の疲労が取れるそうなので、血管を内側からマッサージするような効果がありそう。温度差だけで血管が自分で疲労物質を流してくれるような感じだ。

●ステップアップ

どんなことでも慣れると次の段階へ行きたくなる。苦痛と回復というのは、アンチエイジングの秘訣らしい。耐えられる程度の試練を繰り返す行動は、若返りが期待できるとのこと(色んな本調べ)。ヒザ下の軽さを体感したら、もしもこれが全身だったらと想像できると思う。

次は、足全体だ。私の経験上、お尻もけっこう冷たい水に耐えられる。水シャワーは体の芯部に近づくほど冷たく感じるので、手足なら我慢できても、お腹や胸はキツい。心臓にも近いので、ぬるいくらいの温度、レベル黄色の水で十分だと思う。

私がヒザ下にかけるのをオススメしているのは、真水の温度の真っ青な青色レベルのこと。足全体には好きな冷たさでかけながら試して欲しい。

もしも、もしもですよ、そこからステップアップするのであれば、背中。ここからは自己責任で読んでもらいたい。

シャワーを高い位置のホルダーにつけて、後ろをむいて背中から体に水を浴びる。これはもう、冷たい水が身体中にかかってしまうので、よほど慣れた人にしか勧められない。だって、ほぼ滝行だから(笑)。いや、滝行は違った。検索してみたら全然違った。滝行の方々どうもすみません。

背中や鎖骨付近には褐色脂肪細胞が多く、ここが本領発揮らしい。私も結局やたらと人に勧めているけれど(笑)、ポジティブになる効果が出てきているということかも。

結論は「足だけ」で良いと思う。本当にずっとヒザ下の足だけでも良いくらい、「足だけ温冷交代浴」の効果は素晴らしい。足の軽さは心の軽さなんじゃないかと思うほど。そういえば足湯できるくらいのバケツもあるので、足用水風呂も試してみよう。

その後のステップアップは、くれぐれも自己責任で。お風呂の中での楽しみだけでなく、軽くなった足で日中の快適さが変わるのを体験してほしい。


【武田瑛夢/たけだえいむ】
装飾アートの総本山WEBサイト"デコラティブマウンテン"
http://www.eimu.com/


顔を真水で冷やすことは「お冷やし」と呼ばれる、昔からある美容法。氷水を入れた氷嚢で冷やす人もいる。最近は温冷交代浴の流れで、顔にも真水をかけている。シャキっとするし気持ちいい。