装飾山イバラ道[122]新しい下北沢駅と記憶地図の更新/武田瑛夢

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下北沢駅の小田急線が地下化されたことで、私も乗り換え時間に余裕を持って家を出るようになった。ロングのエスカレーター2本分も地下にもぐってしまったので、感覚的には5分〜10分の余裕を持たないと、今まで通りに間に合う気がしないのだ。

初めて地下ホームへ向かった時は、駅の構造にも慣れていなかったので階段を使って降りてみた。その階段は見た目以上にキツかったため、今は確実にエスカレーターを使っている。

下北沢駅周辺は、私の中学校時代のたまり場といった町だ。駅前のスーパーにもよく行くが、地下になる前は工事中の駅の踏切付近で極太ケーブルが地下へもぐっているのを見るたびに、今どのへんを掘っているんだろうとぼんやり考えていた。

しかし、実際の深さを体験してみると、それほど巨大な駅でもないと思っていた下北沢を、あんなに深く掘っていたことにびっくりした。

私は狭い所が嫌いなので、深いところもそんなに好きではない。というか嫌いかも。同じ地下でもピカピカに完成された駅なら安心感があるけれど、まだテープ貼りが残るような臨時感漂うあちこちの様子にどうも落ち着かない。




●地下ホームには人も多けりゃ誘導員も多い

下北沢、世田谷代田、東北沢の3駅は3月の23日から地下に移った。前日の終電まで使っていた線路を、一晩で地下へとつなぎ換えたそうだ。すごいとしか言いようがない。

写真による工事の記録サイトをいくつか見たけれど、どれだけの計画や段取りが必要だったかと思うと、その途方もなさに、今さらながら働くお父さんたちに感謝の気持ちでいっぱいだ。

駅周りで働くのは、お父さんに限らず女性も多いことに気がつく。まだ工事は継続中で、狭いホームに柱の数が多く感じる。地下ゆえに柱が必要なのか。電車が入って来た時には、特に人とのすれ違いに気を使うホームだ。制服姿のかなりの数の男女の誘導員がいて安全面をカバーしているようだった。

下北沢駅はいずれ急行と各駅停車用のホームが上下に分かれるという。各駅停車用ホームは、今使っている線路の上に準備されている。将来の各駅停車用のホームの場所に、パネルや模型などで完成イメージを展示しているので、電車好きの人には興味深いかもしれない。この展示もいずれはなくなってしまう。

●残るものと消えるもの

渋谷駅も大きく変化している途中だけれど、どこであっても昔懐かしい風景が消えていくのは残念なものだ。変わっていくのはしかたがないけれど、何10年間か見慣れた風景は頭に染み込んでいるので、新しいものにはなかなか置き換えられないことがある。

時間をかけて刻んだ頭の中の「記憶地図」を新しいものに書き変えるのは、同じように新しい風景の中で時間をかけて過ごさないと無理なのだ。

下北沢は駅前商店街もかなりなくなってしまうという。入り組んでいて、災害時に大丈夫なのか不安に思われる駅前だったのは確かだ。今はまだ駅前もそう変化ないけれど、いよいよ景色が変わるとなると、目の前と脳の中の違いに困惑すると思う。

うちの最寄り駅は高架になるらしく、下北沢駅ほど大変ではなかったけれど、駅前問題で住民がもめている時期もあった。

駅を地下にすると工事完了までに何年もかかるけれど、駅周りはきれいになるという。高架にすると高架下が出来てしまうので、イメージが暗くなり騒音も気になるらしい。

他の駅の過去の例から推測するしかないので、本当はどっちが良いのか判断するのは難しい。地元の駅はあまりひどい変化にならないように期待はしている。

そのうちにD社などから「昔の下北沢駅と駅前商店街」とかの模型が作れるキットが発売されそう。城でもないのに無理だろうか(笑)。でも誰かにとってはきっと心の城だ。

私は記憶地図を書き換えるとか簡単に言ってしまったけれど、決して書き換えたくない人もいるのかもしれない。実用の地図だけを書き換えて、保存用の記憶地図は別のところにとっておき、たまに引っ張り出す。写真や動画がWEBに残る時代だから、そうそう記憶からは消えてしまうことはないと思いたい。

【武田瑛夢/たけだえいむ】eimu@eimu.com
装飾アートの総本山WEBサイト"デコラティブマウンテン"
< http://www.eimu.com/ >

赤ワインは食事の時によく飲むけれど、夫婦だけだと量は飲めないので最近便利なのがBOXワイン。紙箱にビニールパックのワインが2Lとか3Lとか大サイズで売っている。空気を遮断できて、冷蔵庫保存で蛇口がついていて、いつでも新鮮なグラスワインが楽しめる。

今日は料理中にミートソースを作るために、冷蔵庫から直接おたまに赤ワインを注ぐことに成功した。蛇口は簡単なプラスチックなので、いきなりブハーっと出ることもあって怖いけれど、うまくいけばすごく便利だ。でもいつか失敗しそう。