装飾山イバラ道[261]オーディオブックを試してみた
── 武田瑛夢 ──

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新年に入って何か新しい習慣を取り入れたいと思って、試してみたのがオーディオブック。Audible(オーディブル)だ。Amazonが提供している聴く読書サービス。まずはこれをトライ。私はナレーションで本を一冊聴くことは、今までなかった。

Kindleを持っているのだから、iPhoneでの音声読み上げ機能で音読させることもできる。しかし、これはやってみたら私には味気なくて、長時間は無理だと思った。

Audibleは会員になると月額1,500円でコインが付与され、好きなタイトルを一つ購入できる。退会しても買ったタイトルはアプリで読むことができるという。1,500円以上の本もかなりラインナップされていたので、気に入ったものを選んで買ってみた。





●Audible体験

AudibleはWebとiPhoneアプリがある。Amazonアカウントでログインすることができるので、試しやすい印象。

・Audible
https://www.audible.co.jp/

WebとAudibleアプリのどちらでも本を検索できる。既に単行本やKindle版で買った本もラインナップにあった。また同じ本を買う気にはならなかったので、違うものを選んだ。

本のボリュームは再生時間6時間や3時間と書いてあるので、目安にすると選びやすい。10時間を超える本もある。ナレーションの感じを確かめたい時は「サンプルを聴く」のボタンで試し聴きができる。

Audibleは俳優や声優が、しっかりとしたプロの声で朗読した音声だ。切り替え時にちょっとした音楽や効果音が入っている。クオリティは高い。

私が選んだ本は男性の声だった。これは美術館の「音声ガイド」と同じような印象だ。音声ガイドは使う人と、全く使わない人がいる。

私も以前は美術館の音声ガイドには否定的で、作品と自分との間に余計なイメージが入り込むような気がしていた。

しかし最近は、かなり音声ガイドを使うことが多くなった。夫と一緒に出かけるので、美術に疎くても飽きないで楽しんでほしいと思ったのが、使い始めた理由だ。

音声ガイドは時代背景などのパネルの文字情報を声で説明してくれるので、作品を見ることに目を集中して使うことができる。人気の展覧会で人が多くてパネルに近づけなかったり、暗くて文字が読みにくかったりのストレスがない。パネルを飛ばして、スイスイと絵に近づいていくことができるのは快適だ。

オーディオブックも同じように、目で文字を追う必要がない。音で聴ける楽チンさは慣れると良さがしみじみわかってくる。

●使い方は簡単

Audibleアプリのインタフェースは、本のカバーの画像と、シンプルなプレイボタンなどだ。30秒前から再生ボタンや、30秒先送りボタンもある。ちょっと聞き逃した時に、30秒前からの再生は便利だ。

再生速度は0.5倍から3.5倍まで。実際に速く再生してみると、1.75倍までならなんとか聞き取ることが可能だった。遅くするのは、なんだか奇妙な感じがするのでオススメできない。肉声だからこそ、普通の速度でないと不自然に感じるのかもしれない。

実用書のようなものなら、意図的に速く再生して勉強もできる。速度調整による聴き心地は、朗読者の声の質にも影響を受けそうだ。

Audibleはページではなく、残り時間の表示でボリュームが管理されている。横軸のスライダーの色が変化していき、今どこを読んでいるのかがわかるのだ。

目次の章タイトルでも、全体の構成を確認することができる。ブックマークの機能もあり、慣れれば使いこなせるのかもしれない。まだ慣れない私には、このブックマーク機能、よくわからなかった。

●聴く読書だからこそ

ハンズフリー、アイズフリーがウリなのだ。ながら聞きは実際どこまで可能か。何かを作業しながら、聞くことは可能かを試してみた。もちろん、本の内容をしっかりと聴きたいので、頭を使う作業は無理だった。

顔に美容パックをしたままとか、簡単な足のマッサージとか、リラックスした状態で行うことは、ながら聞きでも可能だ。音があるとなんだか楽しい。

目で文字を読む必要がないので、何かを見たり、目を閉じたりといった、今までの読書中は不可能だったことが可能になる。iPhoneはスタンドに置きっぱなしなので、飲み物を飲むのも簡単。

勉強用の本なら、繰り返し聞くことに意味もあるので活用できそう。Audibleを聞きながら、ノートに大事なことを書きとめることもできるだろう。覚える作業が必要な人にも、耳から入ってくる言葉は文字とも違う刺激として使えそうだ。本との関わり方が、1パターン増えた感じがする。

良い点ばかりを先に書いたけれど、オーディオブックならではの問題もある。たいていの本はサンプルを聴くことができるので、事前にどんな音声かは確認できる。当たり前だけれど、本のタイトルごとにナレーターは決まっているので、好みの声でない場合は諦めるしかない。

デジタルの読み上げソフトの場合は、男性や女性、声のタイプをいつでも選ぶことができる。肉声の価値を考えたら、比較できないけれど、豊富に選べる時代に慣れているとああそうかと思う。

作品とナレーターをマッチングさせる、Audible作品としてのセンスが重要になってくるのだ。別の声での収録のチャンスがない限り変わらないのだから。

もし作家もナレーターも、自分の好みにバッチリの組み合わせのオーディオブックがあったら、素晴らしい体験ができそうな気もする。そういった探し方をすれば、楽しみは広がりそうだ。

例えば、現代ホスト界の帝王で有名なROLANDの「俺か、俺以外か。ローランドという生き方」は、著者とナレーションがROLANDだ。サンプルもあるので試しに聴くことができる。

ローランドの声で著作を聴けるのだ。Kindle版1,386円、単行本1,540円、Audible版2,500円。やはりAudible版だと高めな印象。

それでも、Audible会員だと2,500円の商品も、毎月一作品はコイン一つで買うことができる。月額1,500円で得られるコイン一つだ。それだとKindle版や単行本と変わらない感じだ。ファンならきっとAudible(笑)。

著者とナレーションが同じケースはこれから増えそうだけれど、ナレーションはできる人とそうでない人がいる。制作コストもかかりそうなので、売れた実績のある本や売れそうな本が、ラインナップになるのはしょうがないかもしれない。

映画や音楽の有料サービスも増えていて、すでに色々契約している人も多いだろう。それを考えると、オーディオブックに1,500円というのは、やはり高い感じもする。聞き放題ではないので、別に購入する作品のコストはどんどんかかる。

これに比較して他のオーディオブックの会社はどうか。audiobook.jpの月額750円で聴き放題のプランがあるので、これは安くて良さそうだ。

しかし、このプランは契約が終了してやめてしまうと、もう作品を利用できないそうだ。こちらの場合は自分の本を買うというよりは、図書館や漫画喫茶の感覚ということか。単純に比較できないのがもどかしい。

音の本との関わりは新鮮だし、せっかく始めたのでまだ楽しみたい。オーディオブックをこれからも続けるかどうか、数か月試してから決めたいと思う。


【武田瑛夢/たけだえいむ】
装飾アートの総本山WEBサイト"デコラティブマウンテン"
http://www.eimu.com/

Audibleのラインナップには落語もある。サンプルが入っているものが少なかったけれど、落語家の声の魅力はやはり凄かった。しかしYoutubeで無料の落語動画があるし、見ても楽しめる方が強いかな。