装飾山イバラ道[6]料理を飾る
── 武田瑛夢 ──

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お正月はゲームもしたけれど、お重におせちを詰めてそれなりにテーブルを装うこともした。去年は適当に済ませたことを、今年は何となくやってみようと。

おせちで好きなのは栗きんとんくらいだし、他に何があるのか詳しく知らない上に、買い集めるのも大変なので通販のおせちセットを購入。自分で詰めればいいだけの状態のもの。三段のお重も簡単に洗える樹脂製のものを買う。デコレーションは好きなので、盛り付けは楽しいはずだ。

しかし、三段重用のおせちの量ってけっこうあって、自分で切って盛るだけでかなり大変だった。見本の写真では入るはずのかまぼこの列と伊達巻の列が、収まらない。切ると増える気がする。本当に見た目だけ考えればギッチリ詰め込めるけれど、かまぼこに栗きんとんが密着するなんて許せないので、いちいち小鉢に分けていたら見本とはだいぶ違う入れ方になってしまった。小鉢に入れれば入れるほど、また増える(笑)。


これはもう五重くらいの入れ物がないとだめかもしれないと思ったり。きっと本来は、いろいろなものを圧縮して詰めるところにお重の豪華さや意味合いがあるんだろう。性格的には空間を生かす皿盛りの方が向いているみたい。あれこれ詰めて、黒豆に金粉をかけてなんとか素敵に仕上げる。

栗きんとんだけは栗の甘露煮と金時芋で自分で作ったものを用意。くちなしの実を入れてお芋をゆでると、嘘のように鮮やかな黄色になって、気分も盛り上がる。温かいままつぶして、寒露煮のシロップでのばして栗とまぜる。甘さも控えめにしたできたての温かい栗きんとんは、ホクホク感もあってスイートポテト風。

おいしいんだけれど、これがまた大量で困る(笑)。甘露煮一瓶とさつま芋二本で作ると、できあがりの栗きんとんはボールいっぱい。

盛り付けが終われば、後は食べて壊されるのがおせちの宿命だ。おせちの説明書きを読めば、それぞれの食材に込められた意味や願いを食べるものなんだなぁと感心する。正月も終わると冷蔵庫の片付けで買いすぎを反省し、毎年段々と削減の方向で量が減っていくものだろうな。

日常の料理はあまり飾ることを考えないけれど、それなりの見た目にするには、柄のあるお皿と横に長いお皿が便利だ。お皿に柄があればお刺身も映える。長い皿は魚用にするだけでなく筋子とかまぼこと漬物なんかを3箇所に分けて置けば綺麗にまとまるし、洗うお皿は一枚なのがいい。この方法でおせちの残りも普段の朝ご飯として美しく(こっそり)消費する。

おせちでも言われていることだけれど、白と赤と黒と緑に黄色の5色が入るとお料理は綺麗に見える上に健康にもいい。日常では白と赤と緑は比較的簡単に揃う。白はごはんや乳製品、赤は人参や梅干やお肉、緑は葉物やきゅうり。うちで少なくなりがちな黒は、シイタケや昆布やひじきで取り入れるみたい。黄色は卵、豆製品や柑橘系。

柑橘系といえば、最近食べ始めた「でこぽん」が私の中で大ヒットしている。ヘタのところが出ていてぼこぼこしていて不細工でも、食べると味が濃くて本当においしい。普通のみかんはあまらせてしまうことが多いけれど、でこぽんは少々置いておいても酸味が減ってよりおいしくなっていたりする。この冬はでこぽんをあちこちで買って、どこのがおいしいのか調査だ。

ふだんから料理を飾り付けるくらい余裕があればいいなと思う。実際はまだ、麻婆豆腐は麻婆豆腐らしく、酢豚は酢豚らしくするのが手一杯の基本的な段階なのできれいな見た目にはほど遠い。

二月になればバレンタインでチョコを飾ろう。あ、でもこれも去年やって、チョコを溶かすだけで温度計との戦いになって大変だったのを思い出した。

見ても食べてもおいしいものを作るのが最終目標だけれど、当面は不細工なでこぽんと買って来たチョコの方が、ラクして幸せかもしれない。

【武田瑛夢/たけだえいむ】 eimu@eimu.com
Wii Fitのバランススキーの初級は21秒台にまで縮めて、現在20秒切りにトライ中。

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武田 瑛夢
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by G-Tools , 2008/01/22