ゴージャスイメージの頂点に位置するようなヴェルサイユ宮殿。到着してみると観光客の列や、改装中の看板などもあって、想像していたほどの威圧感はなかった。広大なので年中どこかしらは修理しているらしいし、見られない箇所があってもしょうがない。
パリの観光名所はたいてい各国語のマップを用意してくれている。初日のルーブル美術館でも日本語のマップをもらったけれど、見学しながら後悔したことがひとつ。フランス語のマップも同時に一枚もらっておけば良かった!
やはりここはフランスなので、各部屋の看板にはフランス語がメインで表示されている。英語が添えてはあるけれど、手の上にあるのは日本語のマップだ。日本語マップはご丁寧にカタカナになっていて、フランス語が併記されていないので、とてもややこしかったのだ。
ただでさえ地図は苦手なのに。結局かなり勘に頼って歩くことになった。併記やフリ仮名を多用した思いやりのある日本の印刷物が懐かしい。
パリの観光名所はたいてい各国語のマップを用意してくれている。初日のルーブル美術館でも日本語のマップをもらったけれど、見学しながら後悔したことがひとつ。フランス語のマップも同時に一枚もらっておけば良かった!
やはりここはフランスなので、各部屋の看板にはフランス語がメインで表示されている。英語が添えてはあるけれど、手の上にあるのは日本語のマップだ。日本語マップはご丁寧にカタカナになっていて、フランス語が併記されていないので、とてもややこしかったのだ。
ただでさえ地図は苦手なのに。結局かなり勘に頼って歩くことになった。併記やフリ仮名を多用した思いやりのある日本の印刷物が懐かしい。
ということで、ヴェルサイユでは日本語のマップと一緒にフランス語のマップももらっておいた。これなら、同じページを開きながら見られるのでなんとかなりそう。音声ガイドのイヤホンも借りる。
こういうのは日本の展覧会ではほとんど借りたことがないけれど、基本情報を知るには便利なものだと思う。場所に合わせてBGMも変わって雰囲気も出ていい感じだ。
ヴェルサイユ宮殿の内装は、部屋ごとのテーマで壁や家具がまとめられている。ベッドルームも大きくてゴージャスだ。マリーテレーズが使った「王妃の間」は後にアントワネットによって装飾を変えられた。寝るところくらいは自分の趣味にしたいものですよね。
・王妃の間
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寝室のほとんどは天蓋つきで、カーテンのような飾りが降りている。私はベッドにつける天蓋というものはお姫様アイテムで、贅沢で、ほんとはなくてもいいようなものだと思っていた。でも、実際見てみるとこのようなスタイルの宮殿には必要不可欠なものだったのかもしれない。
こんなに天井が高くて広い部屋で、ベッドの周りに覆うものがなかったら落ち着かないと思うのだ。部屋のあちこちに肖像画があるし、天井には天使が飛んでいるし、家具の足元にはいろんな動物の飾りが座っている。暗闇で見たらとっても怖いに違いない。夜は見えないようにする方がいい。
ベッドの装飾では、天蓋のてっぺんの隅にだちょうの羽飾りがふんわり付いているのがかわいらしかった。この時代の人は素材が出す持ち味とか、魅力に敏感だったのだと思う。
それぞれの部屋は完成までに何年も要するほど手のかかったもので、しょっちゅうリフォームしていたらしい。ルイ14世はリフォームおたくなのかもしれない。これだけ屋敷に手をかけてばかりいて大丈夫なのか? と心配になるけれど、大丈夫じゃなかったからあの結果があったのだろう。
ナポレオンの戴冠式の大きな絵が飾られた部屋がある(この絵とほとんど同じ別バージョンの絵がルーブルにもある)。この部屋は各国からの要人を招くのに使われていたという。他国から贈られた絵も飾られている。贈呈品を最大限素晴らしく展示して敬意を表すという、政治的な匂いの強い部屋。
・他国からの贈り物の絵画の部屋
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この部屋の壁や柱に使われたローズ色の大理石は、採掘される場所が限られたとても貴重なものだという。日本のデパートにもあるような薄くカットされた大理石タイルではなく、しっかり中身のつまった、無垢のまま切り出した使い方で重々しい。柱も太くて、まるで自分がチェスの駒になったような、囲み込まれた感じがした。
一部屋作るためにこれだけの材料を集める実行力。命令力かもしれない。とにかく途方もない労力がかかっている。宮殿全体を完成させるまでに50年かかったというのも納得。
そして、ガラスと言えばイタリアというこの時代に、「鏡の間」の鏡にはフランスの工房のものが使われた。産業でも他を圧倒するフランスの力を見せつけることもできる。鏡は600枚近い総枚数だそうだから、近くで作るしかなかったのかも。
・鏡の間
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鏡の間突き当たりの王様の椅子が、修復中か、移動中か、何かの理由でレプリカのようなものが置いてあった。こういうのを見られる機会も少ないので写真に撮る。椅子の周りの銀の花台がリアルに描かれているけれど、紙で作られていて厚みがないのがおもしろい。写真で済まさずに、わざわざこういうものを作って実物大で置いておくんですね。等身大POPといったところか。
・紙製レプリカ
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ヴェルサイユを見ていると、最近どんどん作られている東京の都市の巨大建造物を思い出す。まだ東京の建物は多くの人を広く受け入れているけれど、ヴェルサイユはどうだろう。
「マリーアントワネット」の映画で見て驚いたのは、宮殿の生活は多くの人々に見物されていたこと。王族たちは起床時の挨拶から、着替え、食事、全てがショーのように人の目にさらされていた。それを見られる人の身分は限定されていたけれど、宮殿は毎日働いていた人や招かれた人でごった返していたらしい。今のようにテレビやインターネットがなかった時代では、人々の「評判」が重要な情報網だったのかもしれない。
そして、もしヴェルサイユを訪れるなら、4月以降の週末がおすすめ。3月のパリ行きの航空券は安いけれど、安いのにはいろんな事情がありそう。1月2月のセール時期は終わっているし、ファッションショーの時期ではあるけれどVIPじゃなければ見られないし。そして3月のヴェルサイユでは噴水が出ていない!
守衛さんに聞いてみると「フォンテーヌ? エイプリル、ウィークエンド」どうも4月以降の週末に水が出るという。
・噴水していない噴水
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水の出ていない噴水は静かでいいと言う意見もあるかもしれないけれど、やっぱり噴水はバンバン出てて欲しいのだ。時期によって出ていないことを知らなかったのが残念。確かに人が少ない時期に水を出すのは、今どきエコじゃないからかもね。
節約とは最もかけ離れているように見えるヴェルサイユが、現在はこうして節約をしているなら我慢という協力をしなければと思った。
次回もパリ旅行記がつづきます。
【武田瑛夢/たけだえいむ】 eimu@eimu.com
今回のGWは期限間近の無料チケット類を使うのに費やした。
・装飾アートの総本山WEBサイト“デコラティブマウンテン”
< http://www.eimu.com/
>
「やさしいデザイン」誰でもかんたん、レイアウト・配色・文字組
エムディエヌコーポレーション発行 インプレスコミュニケーションズ発売
< http://www.mdn.co.jp/content/view/3983/
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こういうのは日本の展覧会ではほとんど借りたことがないけれど、基本情報を知るには便利なものだと思う。場所に合わせてBGMも変わって雰囲気も出ていい感じだ。
ヴェルサイユ宮殿の内装は、部屋ごとのテーマで壁や家具がまとめられている。ベッドルームも大きくてゴージャスだ。マリーテレーズが使った「王妃の間」は後にアントワネットによって装飾を変えられた。寝るところくらいは自分の趣味にしたいものですよね。
・王妃の間
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寝室のほとんどは天蓋つきで、カーテンのような飾りが降りている。私はベッドにつける天蓋というものはお姫様アイテムで、贅沢で、ほんとはなくてもいいようなものだと思っていた。でも、実際見てみるとこのようなスタイルの宮殿には必要不可欠なものだったのかもしれない。
こんなに天井が高くて広い部屋で、ベッドの周りに覆うものがなかったら落ち着かないと思うのだ。部屋のあちこちに肖像画があるし、天井には天使が飛んでいるし、家具の足元にはいろんな動物の飾りが座っている。暗闇で見たらとっても怖いに違いない。夜は見えないようにする方がいい。
ベッドの装飾では、天蓋のてっぺんの隅にだちょうの羽飾りがふんわり付いているのがかわいらしかった。この時代の人は素材が出す持ち味とか、魅力に敏感だったのだと思う。
それぞれの部屋は完成までに何年も要するほど手のかかったもので、しょっちゅうリフォームしていたらしい。ルイ14世はリフォームおたくなのかもしれない。これだけ屋敷に手をかけてばかりいて大丈夫なのか? と心配になるけれど、大丈夫じゃなかったからあの結果があったのだろう。
ナポレオンの戴冠式の大きな絵が飾られた部屋がある(この絵とほとんど同じ別バージョンの絵がルーブルにもある)。この部屋は各国からの要人を招くのに使われていたという。他国から贈られた絵も飾られている。贈呈品を最大限素晴らしく展示して敬意を表すという、政治的な匂いの強い部屋。
・他国からの贈り物の絵画の部屋
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この部屋の壁や柱に使われたローズ色の大理石は、採掘される場所が限られたとても貴重なものだという。日本のデパートにもあるような薄くカットされた大理石タイルではなく、しっかり中身のつまった、無垢のまま切り出した使い方で重々しい。柱も太くて、まるで自分がチェスの駒になったような、囲み込まれた感じがした。
一部屋作るためにこれだけの材料を集める実行力。命令力かもしれない。とにかく途方もない労力がかかっている。宮殿全体を完成させるまでに50年かかったというのも納得。
そして、ガラスと言えばイタリアというこの時代に、「鏡の間」の鏡にはフランスの工房のものが使われた。産業でも他を圧倒するフランスの力を見せつけることもできる。鏡は600枚近い総枚数だそうだから、近くで作るしかなかったのかも。
・鏡の間
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鏡の間突き当たりの王様の椅子が、修復中か、移動中か、何かの理由でレプリカのようなものが置いてあった。こういうのを見られる機会も少ないので写真に撮る。椅子の周りの銀の花台がリアルに描かれているけれど、紙で作られていて厚みがないのがおもしろい。写真で済まさずに、わざわざこういうものを作って実物大で置いておくんですね。等身大POPといったところか。
・紙製レプリカ
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ヴェルサイユを見ていると、最近どんどん作られている東京の都市の巨大建造物を思い出す。まだ東京の建物は多くの人を広く受け入れているけれど、ヴェルサイユはどうだろう。
「マリーアントワネット」の映画で見て驚いたのは、宮殿の生活は多くの人々に見物されていたこと。王族たちは起床時の挨拶から、着替え、食事、全てがショーのように人の目にさらされていた。それを見られる人の身分は限定されていたけれど、宮殿は毎日働いていた人や招かれた人でごった返していたらしい。今のようにテレビやインターネットがなかった時代では、人々の「評判」が重要な情報網だったのかもしれない。
そして、もしヴェルサイユを訪れるなら、4月以降の週末がおすすめ。3月のパリ行きの航空券は安いけれど、安いのにはいろんな事情がありそう。1月2月のセール時期は終わっているし、ファッションショーの時期ではあるけれどVIPじゃなければ見られないし。そして3月のヴェルサイユでは噴水が出ていない!
守衛さんに聞いてみると「フォンテーヌ? エイプリル、ウィークエンド」どうも4月以降の週末に水が出るという。
・噴水していない噴水
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水の出ていない噴水は静かでいいと言う意見もあるかもしれないけれど、やっぱり噴水はバンバン出てて欲しいのだ。時期によって出ていないことを知らなかったのが残念。確かに人が少ない時期に水を出すのは、今どきエコじゃないからかもね。
節約とは最もかけ離れているように見えるヴェルサイユが、現在はこうして節約をしているなら我慢という協力をしなければと思った。
次回もパリ旅行記がつづきます。
【武田瑛夢/たけだえいむ】 eimu@eimu.com
今回のGWは期限間近の無料チケット類を使うのに費やした。
・装飾アートの総本山WEBサイト“デコラティブマウンテン”
< http://www.eimu.com/
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「やさしいデザイン」誰でもかんたん、レイアウト・配色・文字組
エムディエヌコーポレーション発行 インプレスコミュニケーションズ発売
< http://www.mdn.co.jp/content/view/3983/
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