装飾山イバラ道[30]素性の知れない料理
── 武田瑛夢 ──

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ネットを見ていると、最近は画期的な調理器具がいろいろあってわくわくする。石焼芋器や焼き鳥マシンやジューサーなど。そんな新しい調理器を物色していると、うちの旦那さんは「料理の種類ごとに道具が必要なの?」と疑問に思うようだ。

確かに食べ物の数だけ道具があったらキリがない。でも、たこ焼き器でないとたこ焼きは焼けないだろうし、石がごろごろ入った石焼芋器で焼く石焼芋はおいしそう。その料理に最適な道具があれば、きっと作れるものの幅も広がる(ような気がする)。

うちではたまに家事から解放してくれる日もあって外食もするし、買ってきたもので済ませることもある。そんな「外食」の意味合いは結婚する前とはだいぶ変わったと実感している。旦那さんにとっては外食はつまらないし、出掛ける準備もあってめんどうだしお金もかかること。私にとっては気分転換だし、楽しいし、ラクチン。そして何より「人が作ったもの」を食べるという刺激があることなのだ。



旦那さんが料理をしない人なので、食べ物の味はほとんど私が管理していることになる。そうすると結局、自分で食べる前にだいたいの味の想像がついている。自分の料理なら味見だってしてしまっている。その食材をどこで買って、あとどれくらい残っていて、早く食べきらないといけないものかなども。皿の上に乗っているものの素性を知りすぎているのだ。

例えば、大きな塊で買いすぎたベーコンは、私の中では食べても食べてもなくならない「エンドレスベーコン」として認識されてしまう。シチューに入れたり、チャーハンに入れたり、うまく使って味としては、大成功。でもシチューをすくってベーコンをみつけても、入っていて当然のものが入っているわけだから普通に口に運ぶのみ。

それが外のレストランの料理だと、スプーンですくうごとにどこから来たのか知らない食材との出会いがある。なんだろうと考えられること自体が楽しい。それが外国のものでも安いものでも、インスタントのものでも、素性を知らないというありがたさのようなものがあるのだ。なんだか食の安全とは間逆のことを言っているようだけれど、人はたまには、どこの誰が何をどのように作ったのか知らないものを食べる機会が欲しいのではないかと思う。

もちろん「店を選ぶ」ことはしているので、全くわからない訳ではないけれど、後は任せて出てくるものをそのまま楽しみたい。思えば母親の料理を食べている時には、そういうことが当たり前にあった。なんで煮物にから揚げが入っているのか、時には文句を言ったりしていた。

家庭の料理というのは、レシピと比べて足りなかったり、分け入ってくる材料というのがある。買いすぎていたり、傷みそうだったり、最後のひとかけだったりする食材の事情ごと料理に入ってしまうのだ。それが家庭料理の良さでもあり可能性でもあるけれど。

そんな食生活をリフレッシュするのは、新しく買う新入りの野菜やお肉。食べたことのない変わった野菜や加工品を使うと、想像がつかないので自分で作った料理でも新鮮な気持ちで食べることができる。昨年から2週間に1回ほどの割合で利用していているのが、オイシックスの食材の宅配サービスだ。

・安心食材宅配のOisix(おいしっくす)
< http://www.oisix.com
>

近所のスーパーの野菜やお肉のラインナップにも飽きてしまった人や、スーパーが開いている時間に買い物に行けない人にも使われているらしい。値段は生鮮品はお高めだけれど、珍しい卵や乳製品を取り入れることができるのでマンネリ化していた食卓が華やぐ。使ったことのない調味料などでも、ユーザーの評価コメントが読めるので試し易いし。

おすすめは、「デンマークヨーグルト」。トクホのマークを取得しているヨーグルトで、飲むタイプもあるけれど、食べるタイプがコクがあっておいしくて大好き。

Oisixでは、買いたい野菜やお肉のボタンをクリックしながらカートに入れて、予算に合わせて買っていく。冷凍物はクールの送料がかかるので、割引になるようにまとめて買ったり。夜中にノートパソコンを広げて「ベーグル買う?」などと家族と相談できるのもいい。自分で食べたいと言ったものは、責任を持って食べてもらえる。

調べてみると、他にも自分の地域へ届けてくれるスーパーは多くなっているし、送料なども安くなってきている。自分で食材を買う時は、産地をチェックしている。外食では素性が知れないのもアリだと思うのに、自分で料理するものはどこから来たものかを把握するのは矛盾だろうか。たぶん、自分で作るものは量も多く使うし、長い期間食べるのでなるべく安全でありたいからだと思う。

新しい調理器や珍しい食材でつけられる「変化」は、生活にはなくてはならないものだ。変化に失敗はつきものだけれど、何度か使ううちにおいしく食べられるようになった食材は、リピートして我が家の定番料理になっていく。まだ、食材がまずいのか料理がヘタなのか判明する前に季節が終わってしまう野菜もあるけれど、気長にトライだ。

【武田瑛夢/たけだえいむ】 eimu@eimu.com
装飾アートの総本山WEBサイト“デコラティブマウンテン”
< http://www.eimu.com/
>

今年のバレンタインの自分チョコは新宿高島屋でやっていたバレンタイン特設売り場でみつけたゴンチャロフの「アニマル・ショコラ」にした。かわいすぎる外観でまだひとつも食べていない。私は特に白くまがツボである。
・アニマル・ショコラ
< http://www.eimu.com/dgcol/choco >

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やさしいデザイン―誰でもかんたん、レイアウト・配色・文字組
武田 瑛夢
エムディエヌコーポレーション 2007-09

ちゃんと知りたい配色の手法 (MdN DESIGN BASICS) デザインの教室 手を動かして学ぶデザイントレーニング(CDROM付) デザイン・ルールズ デザインをはじめる前に知っておきたいこと 配色アイデアミニ帳 レイアウトデザインのルール―目を引くページにはワケがある。

by G-Tools , 2009/02/24