装飾山イバラ道[40]伊勢旅行記(2)鳥羽水族館と二見シーパラダイス
── 武田瑛夢 ──

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伊勢旅行記の2回目は水族館について。伊勢志摩のガイドブックには、お伊勢参りと海の幸の他に水族館が必ず取り上げられる。海で囲まれている伊勢地方には大小の水族館やイルカ島があって、好みに合わせてプランを組むことができるのだ。

・鳥羽水族館
< http://www.aquarium.co.jp/index.html
>

伊勢地方の水族館で、規模や知名度でTOPと言っていいのはやはり「鳥羽水族館」。海に隣接した大きくて立派な建物。ここは観覧順路がとくに決まっていないということも特徴だ。ジャンル別に分けられた12のゾーンを自由に見て回ることができる。

水槽ひとつひとつが大きいのでそれなりに歩くけれど、見物客で混んでいる水槽を後回しにしたり、自分の好きなように動けるのはいい。まずは、アシカショーやセイウチパフォーマンスなど、いくつかあるショーの開始時間をチェックしておくのも忘れずに。

やはりここの目玉と言えるのは「人魚の海」ゾーンで、特に縦にも横にも大きいジュゴンの水槽は圧巻だ。優雅にゆったりと泳ぐジュゴンの姿に癒される。白くて大きな体に小さな目、笑ったような口元はとても魅力的だ。ペアのジュゴンが二つの水槽に分かれて、それぞれに魚や海ガメと一緒に泳いでいる。



・ジュゴン
< http://www.eimu.com/dgcol/jyu01 >

そういえば、学生時代に教育実習で母校の中学校に戻った時に、男子生徒に「ジュゴンに似てる」と言われたことがある。その生徒と交わした会話で覚えている唯一の言葉がそれ。軽いショックを受けたっけなぁ。

ジュゴンの他に大きな動物は「ジャングルワールド」ゾーンのマナティ。ジュゴンとマナティは似ているようで全然違っていた。マナティは横に平べったい体で水槽の床で寝て、たまに床をのしのしと歩いては空気を吸いに水面へ泳ぐのを繰り返していた。床で寝ていると、どこにいるのか見つけにくいので「マナティは空気を吸う時に動くので数分待って下さい。」というような注意書きがあった。そうしないと、寝ているマナティを岩かと思って素通りする人がいるんだと思う。

アシカショーのエリアは、客席数の収容人数もたっぷりで階段状になっている。ショーの開催時間の前に座席を確保した方がいい。場所はあまり前だと水がかかる覚悟が必要なのはどこの水族館も同じ。元気なトレーナーのお姉さんと、かわいいアシカたちのショーはとても楽しい。アシカの環くぐりは、デジカメでジャンプのタイミングに合わせてシャッターを押すのが難しいけれど、偶然ばっちり撮れているのがあった。

・アシカの環くぐり
< http://www.eimu.com/dgcol/asi02 >

・二見シーパラダイス
< http://www.futami-seaparadise.com/
>

大きな鳥羽水族館の人気に押され気味なようでいて、しっかりとファンを確保していると思えたのが「二見シーパラダイス」だ。伊勢志摩の観光ポスターには鳥羽水族館のジュゴンの写真が使われるのが定番だけれど、駅で多く見かけたのは二見シーパラダイスの人気アイドル「アッカンベーアザラシ」の写真。お笑いの「響」のモノマネでもおなじみの、アザラシが立ち上がって胸びれを顔にあてながら舌を出すあの芸だ。

かなりのインパクトがあるその表情を、生で見ることができるのがこの水族館のウリで、「海獣王国」といううたい文句がぴったりくる場所。私もアッカンベーアザラシのために、どうしても二見シーパラダイスに行きたかったのだ。

アッカンベーをするアザラシの種類はミナミゾウアザラシで、写真で見る印象とは違ってものすごく大きい。本当に大きい。ショーが始まる前にミナミゾウアザラシの水槽を見てみるとドーンを水の中に寝そべっているだけで、姿形はよくわからない。そういえば、ゾウアザラシってどこの水族館でも体が大きくて寝ているという印象しかない。それが、ショーが始まると全く別の動物のように全員はりきって動き回るのだから驚く。

実は立ち上がってアッカンベーをするポーズというのは、腰から上を90度に曲げている。それでトレーナーと同じくらいの高さに頭が来ているので、全長は倍くらいあるのだ。トレーナーのお姉さんの「アッカンベー!」という大声に合わせて、しっかりと表情を作るゆみこちゃん。

・アッカンベーアザラシのゆみこちゃん
< http://www.eimu.com/dgcol/aka03 >

目が大きくてかわいい(?)でしょう。顔はかわいいけれど、体格はド迫力なので想像していたラブリーな印象とは違っていた。でも人気No.1なので、みんなに見えるようにがんばって何度もポーズを決めていたのが健気だ。

今回の旅で見た動物の中では、セイウチが大好きになった。セイウチと言えば、大きなオスに生えた立派な長い牙が恐ろしい印象。たぶん、私のイメージの中で勝手にトドと混じってしまっているんだと思う。実際、トドの水槽は時折荒々しい声が聞こえて、水しぶきと共にダイナミックな動きを見せていた。ちょっとこわごわと見てしまう。

一方、セイウチは人を笑わせる天才で、床に敷かれた防水シートの上を何のしきりもなくノシノシと体全体で滑ってくる。小さな子供たちが前方最前列にいたのでハラハラしてしまった。かなり危険度の低い動物としてトレーニングされているようだ。

鳥羽水族館ですっかりセイウチが気に入ってしまった私は、二見シーパラダイスのセイウチのショーも、防水シートから最前列を確保して地べたに座って待っていた。二見のセイウチの方がずっと大きくて、500kgを越える巨体なのに身軽に体を滑らせて来る。くるりくるりとターンをして定位置につく器用さ。

・セイウチ
< http://www.eimu.com/dgcol/sei04 >

一頭のセイウチは、胸びれを口で吸ってチュパっとひれを離してポンポンと音を出す、投げキッスのような遊びをずっとしていた。普通はトレーナーの指示した芸だけをやる海獣たちだけれど、そのセイウチには口で音を出すことが楽しくてやっている感じがあったので驚いた。

動物たちにはどうしてもご褒美でもらえる魚のカゴばかり見てしまう種類も多いのに、このセイウチはショーの時間を楽しんでいるような、高度な情緒があるように思う。見た目も「スター・ウォーズ」のどこかの星にいた宇宙人のようだけれど、人間に近い気さくな性格(?)の生き物なのだ。最後の記念撮影では、スタッフに自分で持って来たデジカメを渡すとポーズを取ってくれる。後で確認すると、セイウチはしっかりカメラ目線だった。本当に何もかも理解して人間につきあってくれているのだ。

二見シーパラダイスは水族館の規模は大きくはないし、水槽設備は鳥羽水族館とは比較にならないけれど、ショーのオリジナル感や館内の展示の工夫に温かみを感じる。

例えば、イルカのショーでは小さなプールで最前列の人が透明なビニールシートを両手で掲げて、ジャンプではねる水を防ぐしくみ。当然私も一番前に陣取っていたので、後ろの人に水がかからないようにイルカのジャンプのタイミングでシートを上げ下げしていた。もちろん、ジャンプ前に泳いでいるイルカは水の中にいて見えないのですごく難しい。でもそのスリルがたまらない。

ここでは本当に間近にイルカを見ることができるし、最後にはイルカと握手もさせてもらえたので、小さい水族館の良さを堪能した感じ。伊勢志摩方面へお出かけの時は、ぜひ二見シーパラダイスもコースに組み込んでほしい。

【武田瑛夢/たけだえいむ】 eimu@eimu.com

自分用のおみやげは、地域限定キューピーの「ジュゴンキューピー」と「セイウチキューピー」。水族館のカプセルフィギアもリアルでいろいろありました。鳥羽水族館のアクアリムショップのWEBからも買えます。

装飾アートの総本山WEBサイト“デコラティブマウンテン”
< http://www.eimu.com/
>

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