装飾山イバラ道[44]まずい薬とあまい蜜
── 武田瑛夢 ──

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寒い季節になると、人前で話す仕事を持っている私はのどの調子を整えておくことがとても大切になってくる。元々のどが丈夫ではないほうなので、のど飴が欠かせない。風邪の後に咳だけがいつまでも続いてしまうこともあったし、のどの調子を保つ方法はいつも探していた。

今回も夏風邪の後の咳を止めたくて病院に行き、いくつかの薬をもらった。以前はテープを貼るタイプの気管支拡張剤をもらったこともある。今は軽い症状でも、素人考えでなく医者に診てもらって悪化を避けようと思う。数種類の薬を飲むのは大変だし、嫌だけれど直すためにはしかたがない。それでも病院の薬ではなかなか思うような効果が出なかった。



●のど飴や民間療法を試してみる

自分の体だからできるかぎりのことをしようと、WEBで民間療法の情報を探す。のどに良い食品や飲み物の話題はたくさん出てくる。昔からのどに良いと知られた「大根とハチミツ」「キンカン」。体を温める「しょうが」や「ねぎ」などの野菜系を使ったレシピも多い。「レンコン」ものどを潤すのに良いらしい。

変わったところでは「プロポリス」や「リコリス」などの成分。いずれも薬というほど強いものでない商品がたくさん出ているので興味津々で探す。

秋の授業が始まる前に早急に直したかったこともあり、ドラッグストアの通販でキンカン味ののど飴や蓮根の粉末、プロポリススプレーなどを取り寄せた。ひとつづつ試して行くと、キンカン味ののど飴は普通においしくて食べ易い。

プロポリスののど飴は、以前にも買ったことがあり覚悟はしていたけれど、驚くほどまずい。極端に味の濃いハチミツのような、洗剤のような、ゴムのような何とも形容しがたい味。以前買ったものよりも成分が濃いのか、まずさもレベルアップしていた。

プロポリスののど飴がのどに効くかどうかよりも、我慢ならないほどのまずさをどうしたものかと悩む。そうだ、おいしいキンカン味ののど飴と一緒に食べてまぎらわそう。一緒に口に含むと爽やかな香りと酸味でだいぶ助かった。

「耐えられないまずさ」+「おいしさ」=「耐えられるまずさ」になる。結局はまずい。キンカン飴のおいしさを犠牲にするのはもったいかなかったけれど、プロポリスの飴はけっこう高いので我慢してなめる。

私の感想では、のど飴はその場しのぎには良いけれど、のどの調子をアップさせる力はなかった。ずっと口に入れていることを考えると、歯にも良くなさそうだ。

他には、蓮根の粉末をお湯で溶いたものを毎晩飲んでから寝てみる。茶色の葛湯のような見た目で、味は風味のないココアのような感じ。ただ、体が暖まると咳き込み易いのはまったく変わらなかった。結局は、食品レベルの民間療法では、劇的に素晴らしいものに出会うのは難しいのだろうかとがっかりする。

●市販薬を試してみる

自宅で使えるお薬系だと「ルゴール」の評判が良いらしかった。消毒薬のような赤茶色い液体を、長いめん棒につけてのどに直接塗るという。塗るのに慣れた人には効果てきめんらしい。「のどに薬を塗る」、文字で書くと簡単だけれど、実際にやってみると大変だった。

まず鏡を使って口を大きく開けても、のどの奥というのが見えない。舌の付け根が邪魔してのどが開かないので、せっかくルゴール液で湿らせためん棒が舌の上をむなしく転がるだけだった。液体の味も病院の匂いを濃縮したようなものだし吐き気がしてくる。だんなさんにのどを見せてもらったら、いとも簡単にのどの奥が見える。普通にのどを開けばいいと言う。

何度かトライして、「あぁ〜」っと声を出しながらだとのどは開くことがわかった。ようやく少しだけのどに塗れたようだ。でもやはり涙目でオェっとなる。毎回こんなに辛くてまずいなら、私には全くこの方法が向いていないということだろう。局所にバッチリ塗れていないので、効果もわからなかった。

●マヌカハニーに出会う

「大根とハチミツ」のレシピはなぜか試す気がしなかったけれど、ハチミツは好きなので調べてみると、「マヌカハニー」と呼ばれるニュージーランドのハチミツは抗菌力があってのどに良いらしい。抗菌レベルの数値が高いものは値段もすごく高いけれど、興味があったので取り寄せた。

ニュージーランドに生息する、マヌカというティーツリーの仲間の植物の花からミツバチがとるハチミツがマヌカハニー。ティーツリーは、ニキビの治療薬として聞いたことがあった。

普通のハチミツにも抗菌力はあるけれど、マヌカのハチミツにはさらに強い抗菌力があると言う。このマヌカハチミツ独自の抗菌力の強さは、「ユニークマヌカファクター:UMF」という表記で示される。たとえばUMF10+だと一般的な消毒薬のフェノール溶液10%以上の抗菌力があるということらしい。自然のハチミツが、それほど強い抗菌力を持つというのはなんとも不思議。

取り寄せたのは16+という数値のもの。一瓶250gが約3,000円もするので、ハチミツと言うより健康食品やサプリメントの感覚だ。

届いたので開けてみると、茶色のクリーム状のハチミツだ。スプーンですくってゆっくりと口の中で溶かす。ナチュラルな味で食べにくくはない。むしろおいしい。不思議とその日の晩は咳き込むこともなく寝ることができた。次の日は朝からのどの調子は良かった。咳が出そうな感じがしたら、マヌカハニーをなめることで抑えられる。

手応えを感じたので、UMFの数値の高い25+というものも取り寄せた。その日から夜寝る前と朝起きた時、日中のどがイガラっぽくなったらというように、一日にスプーン2〜3杯ほどのマヌカハニーをなめた。そうしていると全く咳が出ないし、のどの調子は万全なものになってしまったのだ。

ハチミツ恐るべし。「良薬口に苦し」ではなく、あまーい、あまいハチミツでのどの痛みが直るとは!

マヌカハニーについてもっと詳しく調べると、胃炎で有名なピロリ菌をやっつけるらしいとか、インフルエンザにも? とか情報が出て来る。どこまで信用していいのかわからないけれど、私ののどに一番効いたのがこれであるのは確か。数値が25+にもなると6,000円から7,000円もして高いので、ニュージーランドから直接送ってもらえるところを探した。

前回のコラムで書いたような方法で現地の通販サイトを探し、マヌカハニーやマヌカオイル、マヌカのリップクリームなどを注文。マヌカハニーはUMF20+のものなら3,000円以内でみつかる。

ニュージーランドのオンラインショップの送料は、安かったり無料なところも多い。値段はNZドルなので換算がめんどくさそうだけれど、価格表示のプルダウンメニューで「Yen」が選べたりするところもあって驚いた。しっかり日本のお客さんのことを考えているみたい。ニュージーランドのWebShopをみつけるのが楽しくなってしまった。

今はすっかり咳も出ないので、学校へ行く前日にマヌカのハチミツをなめてケアする程度になった。スプーン一杯のハチミツで大助かりだけれど、一匹のミツバチが一生で集めるハチミツの量が、ちょうどスプーン一杯程度だという。蜂さんにはもう感謝するしかない。

あのまずいのど飴のプロポリスという成分も、そもそもはミツバチの巣に入り込んだねずみなどの動物の死骸の防腐剤として、ミツバチが作り出したものだという。蜂って本当にすごい。

そのミツバチが、世界中から姿を消しているというニュースをテレビ番組の特集で見た。原因は諸説あって特定されていないけれど、生き物として高性能すぎるミツバチのデリケートさにその謎が隠れていそう。もちろん、そこに人間がした何らかが影響をしているだろう。人間は自然に対してデリカシーがなさ過ぎるのかもしれない。

かなりの果物の受粉をミツバチがしているから、食品がなくなってしまうと世界中が躍起になって心配している。個人的にミチバチに依存している私も心配だ。今年の冬はマヌカハニーのおかげで安心して過ごせそうだけれど、ミツバチの今後にも注目しなければならない。

【武田瑛夢/たけだえいむ】eimu@eimu.com

装飾アートの総本山WEBサイト「デコラティブマウンテン」
< http://www.eimu.com/
>

デジタルペンの「MVペン」を試している。学校でホワイトボードに書いて見せるよりもデータが残っていいかと思って。でも、まだMacに全面対応していないので使いにくいのと、慣れないのとでスムースにいかない。


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by G-Tools , 2009/10/27